ニュース

中国E-Home、「Xbox One Developer Day」で台湾の開発者にID@Xboxを紹介

Xbox Oneを通じて中国5億人のゲームファンにゲームを届けよう!?

1月28日~2月1日開催



会場:Taipei World Trade Center

 今年のTaipei Game Showでは残念ながらMicrosoft Taiwanは出展せず、昨年9月に台湾でローンチしたばかりのXbox Oneの存在感は最小限に留まっていた。しかし、Taipei Game Show会期2日目、会場2階の会議室でゲーム開発者を対象にしたカンファレンス「Xbox One Developer Day」が開催された。本イベント、Microsoft台湾が主催したものではなく、なんと中国でのパブリッシャーE-Home Entertainment Developmentが主催したものだった。果たしてどういうわけなのか、さっそく取材してみたのでご紹介したい。

会場は満席。立ち見も出るほどの人気だった
カンファレンスはE-Homeの紹介からスタート
現在開発中のID@Xboxタイトルの一部
とにかくコストが安く抑えられることをアピール
かつて中国市場を席巻した台湾タイトルたち。ID@Xboxなら同じ成功体験が可能、というわけだ

 E-Home Entertainment Developmentというメーカーは、多くのゲームファンにとって未知の存在のはずだが、れっきとした中国でのXbox Oneの正規パブリッシャーだ。株式の51%を東方明珠傘下のメディアグループBesTVが保有し、49%をMicrosoftが持つ合弁会社。中国でのXbox Oneの販売を一手に引き受けている。

 今回の「Xbox One Developer Day」は、このE-Homeが主催し、台湾のゲームデベロッパーに向けて、「中国の5億人のゲームファンに向けて、ID@Xboxのプログラムを利用してXbox Oneのゲームを開発しませんか?」という驚くべき主旨のイベントだった。会場は200ほどの客席がほぼ埋まり、関心の高さを伺わせた。

 それにしてもなぜMicrosoft TaiwanではなくE-Homeが主催しているのかについては、説明できる担当者が不在だったため明らかではないが、台湾は初代Xboxの時代からプレイステーションプラットフォームが支配的な地域であり、PS4とXbox Oneについても、ショップではすでに9:1の差が付いてしまっているため、それならば一足飛びに、SCEの支配が及ばない中国市場に勧誘した方が呼び込みやすいのではないかという戦略的な判断ではないかと推察される。

 カンファレンスでは、E-Homeの担当者が登壇し、E-Homeが、上海自由貿易区の第1号企業であり、E-Homeの親会社であるSMG(Shanghai Media Group)のメディアグループとしての強さを紹介。その上でMicrosoftが推進するID@Xboxというインディーズ向けのプログラムを利用することで、個人レベルでもほとんどコストを掛けずにゲームを開発・配信することが可能であり、5億人のゲームファンがいる中国市場、それ以上のユーザーがいるグローバル市場に自分が作成したゲームを配信できると熱っぽく語っていた。

 ちなみに中国でのID@Xboxの現状はというと、まだまだこれからの状況だが、少しずつ立ち上がりつつある状況が報告された。Xbox Oneの中国ローンチに先立ち、2014年7月にID@Xbox Oneの計画を発表し、8月にローンチに合わせてID@Xboxのユーザーを募集したところ、300ほどの申請があり、これを第1陣としてスタートしている。

 ただ、製品化までこぎ着けたのは、中国Chengdu Lanfei Huyu Technologyの「決戦猫星」1タイトルのみで、現在20以上のタイトルがセンサーシップの途上で、春節前(2月中旬)に少なくとも5タイトル以上のタイトルのリリースを予定しているということだ。2015年はID@Xboxのプログラムから、30から50タイトルのリリースを計画しており、その実現のために、インキュベーションセンターなどの準備を進めているという。

 中国でのXbox Oneは、昨年12月に掲載した中国ゲームマーケットレポートでもお伝えしたように、ローンチタイトル以降、新規タイトルの発売の目処が立たないという、ゲームプラットフォームとしては異常事態が続いている。新規タイトルが出ない理由については、センサーシップ(検閲)の問題ではないかと言われているが、そもそもの参入メーカーの絶対数が少ないという問題もある。

 E-Homeでは、この問題を台湾をテコにして解決しようと考えているようで、この大胆な施策が実を結ぶかどうかはわからないが、担当者のワラをも掴む気持ちが伝わってくる。実際、かつて台湾のゲームメーカーが、中国のPCゲーム市場を支配していた時代もあったため、このアプローチは決して絵空事ではない。ただ、すでにPCオンラインゲームやモバイルゲームによるアプローチが可能な中で、あえてXbox Oneを選ぶ理由という点が弱い。今後、中国や台湾でXbox Oneがどう巻き返していくかに注目したいところだ。

【数字で見る中国ゲーム市場】
続いてのセッションでは、中国ゲーム市場の成長率の高さやゲーム人口の多さをデータで見せ、“バスに乗り遅れない”ことを力説

【60日でモバイルゲームをXbox Oneに移植する方法】
上海に拠点を置くゲームデベロッパーT-REX Gamesからは、「Monkey King Saga」を題材にモバイルゲームからXbox Oneへの移植の仕方が語られた

(中村聖司)