インタビュー

PS Vita「ファンタシースター ノヴァ」インタビュー

豪華声優陣が演じる、サバイバルをテーマにした“これまでにないファンタシースター”

豪華声優陣が演じる、サバイバルをテーマにした“これまでにないファンタシースター”

サバイバルをテーマに、極限状況下でのドラマが展開される。ビジュアルもいわゆる汚しを入れたものになっている

――ポイントとなる「PSO2」との差別化ですが、大きなところはどのあたりになりますか?

都築氏:1番最初にあったのは「ビジュアル」ですね。見た目です。「PSO2」等のシリーズでは“キレイなSF感”だったのですが、「PS NOVA」ではそこを破壊して“汚したSF感”にしています。

 全体のコンセプトに「サバイバル」というテーマがあって、何も無いところで生き抜くという物語なので、見た目も小綺麗なままではいられません。自給自足の生活なので「PSO2」のようにマザーシップでいろいろ整えられるわけもなく、自分たちでマザーシップ的な設備までも作るというゲームです。

 ゲーム的にも、よりカスタマイズ要素が広くなっているというか、何もかも自分たちで作る、自分好みにできるという、コンシューマーならではのやり込みが楽しめるものになっています。

――「PSO2」は設備が整った中での壮大なスペースオペラ的な物語ですが、「PS NOVA」はそれとは正反対の、局地的で絶望的なサバイバルになっている。“サバイバル”というのは単純にストーリーがそういうものなだけではなく、ビジュアル的にもゲーム性的にも欠かせないキーワードであり、必須なアクセントだったというわけですね。

都築氏:そうなんです。帰るに帰れない状況になってしまって、「どうしたらいいんだ……」というような。切羽詰まった状況を生き抜くために、仲間たちと協力していく。そういう物語性の高さがポイントになっています。

 オンラインゲームでは、どうしても多数のプレーヤーさんと一緒に遊べるところや、一緒に戦うっていうバトルが醍醐味というか、主体になっていきます。それに対して「PS NOVA」では1人でじっくりストーリーを楽しめるところが主体になっています。

――極限状態に追い詰められているからこその、人間ドラマ的な物語が楽しめるのかなと想像されるのですが、そういうところが見所でしょうか?

都築氏:キャラクター同士のドラマですよね。主人公に関わる人物たちは、それぞれに思いを抱えながら戦っていたり、生き延びるために考えていたりしていて。そこからいろいろなドラマが語られていきます。

――お話を聞いているだけで、やっぱりストーリー作りは苦労しそうですね?

都築氏:大変でしたね(笑)。プロットはディレクターの山下と私、トライエースの則本真樹さん(「ヴァルキリープロファイル」の原案・シナリオを務めた)とで、いろいろと意見を出し合って。仕上げていきました。固まるまでに時間はかかりましたね。

――キャラクターの魅力にも強くフォーカスしているという点で、主要キャラクターの声優さんも豪華ですね。

都築氏:ヒロインの「ルティナ」は内田真礼さん、「セイル」は松岡禎丞さん、「イズナ」は茅野愛衣さん。さらに「フィルディナ」は沢城みゆきさんにお願いしています。他にも銀河万丈さん、浪川大輔さんも参加して頂いてますし、キーキャラクターの1人である「ユノ」は早見沙織さんに演じて頂いています。

 非常に人気の高い声優さんばかりです。そうした豪華な声優さんに演じて頂いてのドラマティックなストーリーをお楽しみ頂きたいですね。



ルティナ CV:内田真礼(うちだ まあや)本作のメインヒロイン
セイル CV:松岡禎丞(まつおか よしつぐ)
イズナ CV:茅野愛衣(かやの あい)
フィルディア CV:沢城みゆき(さわしろ みゆき)
マグナス CV:銀河万丈(ぎんが ばんじょう)
ユノ CV:早見沙織(はやみ さおり)
レイヴァン CV:浪川大輔(なみかわ だいすけ)

サバイバル生活は拠点も自分たちで素材を集めて作っていく。施設を自由にレイアウトでき、外観も好みのものに変えていける

――そうした濃いストーリーやドラマというのは、オンライン専用ゲームの中だと展開しづらいですよね。制限が多いというか。構造的にやりづらいというか。そこが「PS NOVA」と「PSO2」の大きな違いというわけですね。

都築氏:そうなんですよね。オンラインゲームは多人数で遊ぶのが魅力なので、ストーリーを主体に自分のペースでじっくり遊んでもらうというのは難しいかもしれませんね。

――サバイバルという環境があってのストーリーは「PSO2」のようなオンラインゲームでは難しそうですね。……ちなみに、あの世界にはいろんな種族がいますが、サバイバルというとキャストが1番長生きしそうというか。ヒューマンが不利なような気がしますが(笑)?

都築氏:確かに(笑)。「食べ物はどうしているの?」とかもよく聞かれますね。そういうテーマ的に「PSO2」では見せる必要がなかったものが「PS NOVA」では出てきます。「PSO2」はシップ内になんでもありそうで暮らせそうですが。「PS NOVA」は何もない状況から始まっていきます。「冒険に行くぞ!」という始まりではなく、「うわぁ、どうしよう……」という困ったところからの「でも、やらなきゃな」という感じです。

――“生きていくために必要なものを全て自分たちで作っていく”という。

都築氏:はい、それに拠点も自分たちで作っていきます。「PSO2」ではマイルームという部屋を自分でデコレーションしていますが、「PS NOVA」では街ごと作ります。戦うためにいわゆる武器・防具屋的な施設を作ったり、アイテムショップを作ったり。

 レイアウトも自由度があるので、キレイに商店街のアーケードのように建て並べるのもいいですし、雑多に作ってもらってもいいです。建てる施設も性能や外観に違いがあって、最初は露店のようなほったて小屋のようなものですが、立派なお店にしていけますし、外観を和風や洋風にしたりする他、さまざまなデコレーションもできます。パラソルを立ててバカンスみたいにもできますよ。

 単純な機能が変わるだけの効率重視なものだけでなく、自分好みに楽しめるようなものをたくさん入れてあります。

――いわゆる“クラフト要素”ですね。やりこむと、それこそ「こんなものまであるのか!」と驚くような、ユニークなものも用意されているのでしょうか?

都築氏:ありますね。凝っていくと結構なものが作れます。ただし、拠点を作るのにも武器・防具・アイテムを作るのにもそうなのですが、「素材」が必要になります。戦闘で素材を手に入れて、それを使っていろんなものを作っていきます。やりこんだ先の素材を集めるのはなかなかに苦労されるかもしれません。

 あらゆるものが自給自足の世界になっています。食べ物を探しに行くというクエストもあるんですよ。これまでの「ファンタシースター」シリーズにあまりなかった姿が描かれています。

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(山村智美)