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【スマホアプリ今日の1本】謎解きと物語が絡み合う「NAZO」

謎解きが物語の全貌を明かしていく壮大な作品。ゲームの先にある「宝」もモチベーションに

9月23日 配信

ダウンロード:無料

利用料金:無料

ビジネスモデル:アイテム課金制

Studio4℃によるイラストと文章で物語が進行する。何気ない文章にヒントが隠されていたりするので、後から読み返すことも多々ある

 「謎解きゲーム」と一口に言っても、物語に隠された真実を追い求めたり、アイテムを見つけて部屋からの脱出を目指したり、クイズに近いパズルをいくつも解いていったりと、様々なパターンが考えられる。そのバリエーションの多さが同ジャンルの人気の高さを表していると言えるが、これらの要素を全部詰め込んだゲームが、サイバード配信のiOS/Android「NAZO」だ。

 「NAZO」は、絵本のように絵と文字で進行する物語を読みながら、途中で挟まれる「ナゾ」を解いて物語全体の真相を解き明かしていくという謎解き絵本アプリ。出題される「ナゾ」はストーリーと関連しており、謎を解くためのヒントが物語中に隠されているという仕掛けになっている。

 物語は独裁政治が横行する「月の国」を中心に、とある事件や状況が様々な人の視点から語られる群像劇形式で進められる。主人公となるのは、「霧の国」からやってきたケイ、仲間と冒険をするプッカ、国境ゲート審査官のイーラなどとなっており、最初は関連のなかった人物たちが次第に絡みあい、結末に向かって動き出していく。

 物語は10幕に分かれており、1幕は10章のストーリーから構成される。1章を読むには「チケット」が必要で、1枚100円から購入できるほか、残りチケット0枚の状態を条件として、毎朝5時に5枚が無料でプレゼントされる。

 章を進めていくと所々で「小ナゾ」が挟まれ、章の終わりには少し難易度の高い「中ナゾ」が出題される。問題の解答にもチケットが必要で、これらのナゾは出題された時に解いてもいいし、とりあえず謎解きを保留して次のストーリーを追いかけても良い。ただし、最後のナゾを解いて物語の真実を知るためには、これら全てのナゾを解いていかないとならない。

 ナゾの難易度としては、物語の所々にヒントが散りばめられているため、文章を良く読み、絵を注意深く追っていれば序盤はそれほど難しくない。また問題がわからないという場合には、物語中の絵に隠された「ヒントアイテム」を獲得することで、対応する問題のヒントをアンロックしていくことができる。なおヒントアイテムの獲得にはグローブが必要で、1幕開始時に無料で10個もらえるほか、購入も可能。

 現実とはかなりかけ離れた世界の物語であるため最初こそ戸惑ってしまうものの、キャラクターの人となりや人間関係を知っていくと段々と物語に入り込んでいける。1章の文字数はそれほど多くないためストーリーが一気に進むという感じではないが、ちょっとずつ本を読み進める感覚で楽しめる。

 そして本作独自の面白い仕掛けとして、「Share the Dream」プロジェクトがある。「Share the Dream」プロジェクトは、2015年3月までに「NAZO」で出題されるナゾをすべて解き、「最終ナゾ」に早く正解した人から順に本当の「宝」を獲得できるという試みのこと。

 「宝」はモノではなく全て「経験」となっており、世界的指揮者のグスターボ・アドルフォ・ドゥダメル・ラミレス氏指揮のオーケストラに1日入団といったものや、片山右京氏率いる「TeamUKYO」の一員になるなど、各界の著名人から様々なものが提供されている。またゲーム内からは「Donation」チケットを購入することでベネズエラの音楽教育プログラム「エル・システマ」へと寄付できるチャリティーにも参加でき、“夢をシェアする”ことができる。

 ゲームの先には「宝」という大きな目標があるため、これがゲームを進める大きなモチベーションとなっているが、アプリとしてちゃんと面白いというのもポイントが高い。配信直後はバグが見つかったり仕様が変更になったりと多少の不安があったものの、独裁国家とレジスタンス、そしてカギを握る「月の歌」といった「月」を巡る物語に段々とハマっていくこと請け合いの1作だ。

【スクリーンショット】
不思議な案内人によって物語の中へ。ナゾを解いていくことにより、物語の全貌が少しずつ明らかにされていく
iTunesで購入

(安田俊亮)