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SCEJAとキュー・ゲームスがタッグを組んだPS4「THE TOMORROW CHILDREN」
シングル感覚で遊べる斬新なソーシャルアクション
(2014/9/4 00:00)
ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパンアジア(SCEJA)とキュー・ゲームスは、プレイステーション 4用ソーシャルアクション「THE TOMORROW CHILDREN(トゥモロー チルドレン)」を現在開発中だ。価格、配信日、CEROレーティングは未定。ここでは都内で開催されたメディア向けクローズド発表会の模様をお届けする。
「THE TOMORROW CHILDREN」は、オンライン専用のソーシャルアクションゲーム。ひとつの世界をオンライン上の他プレーヤーと共有し、互いの行動がその世界に影響を与え合う。プレーヤーの目的は、人類を再建すべく各所に建てられた“街”に出向き、人類の集合意識にある恐怖から生み出さた“巨大獣(イズベルク)”から街を守り、運営・発展させていくこと。
冷戦下の社会主義国家を美術デザインの核とし、その時代から歪められた歴史という設定のもと、近代と前時代が入り混じった異質な科学技術や、人間の潜在的恐怖を硬質かつ無彩色で表現した巨大怪獣などSF要素を採用。PS4のハードパワーを活かした自然で動的なライティング技術“レイヤード・ボクセル・コーン・ライティング”を採用し、人形のようなキャラクター造形により独特の世界観を演出している。
【世界観】
舞台は、冷戦時代を境にして、今とは違う歴史を歩んだ未来世界。
1967年、ソ連にて全人類の意識を共有しようとする実験が行なわれた。
しかし実験は失敗し、自然・文明・あらゆる生命体が地球上から消え去り、地表は人々の意識が溶けて固まった「ボイド(Voids)」に覆われることとなった。それから約1世紀の時が流れた。わずかに生き残った者たちの長年の研究により、ボイドに溶けた人々を救出する方法が発見される。
だが地上には、ボイド下の集合意識にある恐怖心によって生み出された巨大獣「イズベルク」という新たな脅威も現われるようになった。
生存者たちは、自分達に代わって作業をする「プロジェクションクローン」を開発し、人類の再建をこの生命体に託すのだった。
ゲームは「街」と「島」ふたつのエリアに大別される。島には、街の運営に欠かせない資源や消えてしまった人々が変容したマトリョーシカが存在。これらを持ち帰ることで街を発展させていく。「島」では、通路の掘削、資源の採掘、障害となる敵の駆除など、さまざまな作業を行なう。「街」はそうした活動の拠点でもあり、ここでプレーヤーたちは冒険の準備を整えていく。
巨大獣(イズベルク)との戦いは、プレーヤー同士の協力が不可欠。武器を手に戦うだけではなく、砲台などの防衛施設を作ったり、弾薬の生産も大切な要素。被害にあった「街」の修繕も、もちろんプレーヤーたちの役割。こうした貢献はクーポンとして還元されるが、それを受け取る際は世界観にある“社会主義体制”を象徴する“行列”ができるといったユニークな側面を持つ。
会場では、キュー・ゲームス代表取締役で本作のディレクターを務めるDylan Cuthber氏がデモプレイを披露。まずは真っ白なフィールドが印象的な「街」から島への移動。「街」と「島」の行き来は徒歩では行なえず、バスなどの移動手段が必要不可欠。ジェット、ホバーなど多彩な往復手段があるが、バイク的なシングルシートの乗り物は「他の誰かが乗ってしまうと、当然自分は使えなくなる(笑)」とのこと。
「島」につくと、選択したツールで掘削を開始するDylan氏。掘削にはすぐ効果がでるもの、出るまでに時間がかかるものがあり、いずれも成果は全プレーヤーで共有される。面白いのは、通常は他プレーヤーの存在をまったく認識できないこと。他プレーヤーの存在を認知できるのは、行動した結果が反映された直後の約2秒ほど。この間、ふわっと浮き出るように“そこに影響を与えたプレーヤーのシルエット”が現出し、しばらくするとフェードアウト。他にもジェスチャーでコミュニケーションをとることができるなど、行動により他プレーヤーに存在を示すという、これまでにないシステムを採用している。
帰ってきた「街」は、イズベルク襲撃の真っ最中。Dylan氏は近くにあった砲台で応戦。他プレーヤーが応戦する姿も散見されるが、シルエットが浮かび上がるのは前述のとおり“行動した直後の数秒”だけ。ちなみに、応戦に必要な砲台、武器、弾薬などは、すべて住民たるプレーヤーが作って設置しなければならない。資源は「島」や共用スペースから取得。イズベルクを破壊すると、死骸から特別な資源“クリスタル”が手に入る。死骸から資源を持ち帰ろうとするプレーヤーたちの姿は、さながら「死骸に群がる蟻の群れ」のようでもある。
破壊された建物を修理する際は、ちょっとしたミニゲーム風のコマンド入力シーンが登場。「街」に必要な電力も、プレーヤーたちが「モルモットの滑車」のような装置で走ったり、火力発電所を設置するなどして生産。こうした役割分担と行動の積み重ねで、「街」が少しずつ発展していく。なお、橋や道路などは自由に作れるが、巨大な建物などは“住民投票”が必要とのこと。
さて……こうした役割分担から「誰かサボる奴がいて、そいつだけが得するんじゃないか? 共有リソースをひとりじめして上手く立ち回る奴が続出するんじゃないか?」といぶかしがられる方もいるかもしれない。そうしたことがないよう、本作では行動評価に応じて“労働局”から報酬が配布される。Dylan氏いわく「どんな小さなことでも、みんなのためになることは評価される」といい、たとえばイズベルク防衛であれば、砲台で派手に戦う人だけでなく、弾薬を生産する裏方もきちんと評価されるといった具合。獲得した報酬は、道具・武器・アイテムの取得や自身のパワーアップに使うことができる。
本作の配信日は未定だが、10月頃にPlayStation Plus加入者を対象にクローズドαテストを実施。9月17日よりPlayStation Storeにて抽選で募集を受け付けるとしている。
質疑応答 ~基本的には何をしてもいい、サンドボックス的な自由な世界~
発表会ではDylan氏とリードゲームデザイナーの前田和志氏による、メディア各社による質疑応答が行なわれた。プレーヤーが最初に到着する「街」は選べないが、貢献により取得したクーポンで引越しが可能。また、友人や知人などが住む街に遊びにいったり、あるいはお手伝いにいくことも可能という。ただし、出先での貢献は自身に反映されないようだ。
イズベルグの出現はゲーム側(運営)でコントロールされるが、苛烈な襲撃により「街」が壊滅するなど、激しい結果にまでは至らないものになると説明。「街」の発展に不可欠な「島」も、適宜刷新され資源が尽きることはないとした。
ゲームのおおまかな目的は「街」の発展だが、プレーヤーの行動がそれにしばられる必要はなく、基本的には何をしてもオーケー。Dylan氏は「サンドボックスっぽいところがある。僕たちがある程度ルーズな部分をつけている。プレーヤーは自分たちの好きなことをやっていい」といい、ゲームオーバーはないが「(フィールドで)暗いところに入るとリセットされて街に戻り「不健康」の証明書をもらっちゃう(笑)。それだけ」と説明した。
「どれだけ『街』の発展と逆の、秩序を乱す行為は許されるか?」といった問いに、Dylan氏は「完全に許しています」とキッパリ。秩序を乱す行為をしたプレーヤーには「ブーイング」ができ、累積するとキャラクターの一部(バンド)が黒くなり、「街」に警察が存在した場合、あまりにも黒いと刑務所に連れて行かれ賄賂を支払わされるハメになる。このあたりはシステム側で制限するのではなく、プレーヤー側の自浄作用を大前提としている模様。極端な話「この街は無秩序すぎてもうダメだ」あるいは「白河の清きに魚も住みかねて~」となった人は、クーポンを支払い他の街に引っ越せばいい。
ちなみに、ブーイングできるのは“現行犯”つまりアクションを行ないシルエットが浮かび上がっているタイミングのみ。テストプレイ中、イタズラばかりやる人に対し他のプレーヤーが「もう我慢ならん!」と集団で待ち伏せロケットランチャーを打ち込むなど「悪党狩り」が行なわれたというから驚き。なお、ブーイングに対し、プラスになる行動をした人を「評価」することもできる。
ジェスチャーによるコミュニケーションは、現時点では「ホイッスル」が明らかにされた。これはホイッスルを吹くことでシルエットを浮かび上がらせ、能動的に他のプレーヤーに存在を示す全員共通のジェスチャー。詳細は後日とされたが、他にどんなジェスチャーがあるのか今からとても楽しみだ。
タイトルについてきかれたDylan氏は「このゲームはパロディなんだけど、道具をもらうために並んだりとか、旧共産圏的に見える場合がある。だから前向きなタイトルをつけた。うちのプログラマーが最初に提案してくれた」と説明。1960年代の共産圏、かつ終末的な世界観を特徴としつつ、未来に希望をつなげていくゲーム性を踏まえたタイトルといえる。
いまは殺風景な街並も、将来的にはペインティングや造形などが可能になるとコメント。また、社会主義体制的な世界観ゆえ、プレミアムとかレア的なアイテムはあるのだろうか(あるいは存在してもいいのか?)と質問したところ「そういうものも当然あります(Dylan氏)」と説明。気になる料金は「今まさに検討中」とのこと。まだ詳細不明な点は多いが、端的な要素だけでも強烈にひきつけられる本作だけに、今後の情報公開に期待したい。
(C)Sony Computer Entertainment Inc.