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「World of Tanks」、ミリタリーバスツアー第2弾を広島県で開催

ディープなミリオタも大満足の濃厚な展示内容

ディープなミリオタも大満足の濃厚な展示内容

能美海上ロッジでの昼食
大和ミュージアム

 江田島にある、能美海上ロッジで、窓の向こうに重巡洋艦「利根」の沈没地点を見渡しながらの昼食を終えたあとは、ロッジの傍にある利根記念館を見学してから、午後の目的地である呉の大和ミュージアムに向かった。大和ミュージアムは戦艦「大和」が建造されたドッグ近くに、平成17年に呉市が建設した呉市海事歴史科学館の愛称。年間100万人が訪れる人気の観光スポットで、通算の来場者数は900万人を突破している。

 館内には10分の1サイズで復元された戦艦「大和」の模型や、琵琶湖から引き上げ復元されたという零戦こと、「零式艦上戦闘機62型」、人間魚雷「回天」の実物などが展示されている。午前中に行った教育参考館は、史料の数に圧倒されたが、こちらはムービーや模型を使った展示や、ボランティアガイドによる解説などでとても分かりやすく、「大和」が作られた歴史の経緯や、そこで培われた技術が戦後の発展にどんな形で活かされたかなど、大和にまつわる様々な知識を分かりやすく学ぶことができた。

【能美海上ロッジでの昼食】
能美海上ロッジ。すぐ近くには海水浴場と温泉施設もあり、家族連れで賑わっていた
昼食もやっぱり海がらみで、海鮮定食
重巡洋艦「利根」が沈んだ付近の風景
和気あいあいと盛り上がった食事風景
ロッジに隣接している「軍艦利根資料館」。保存会のメンバーが集めた様々な戦時史料が展示されている
資料館の内部。知る人ぞ知る穴場だったが、最近は聖地巡礼の影響でメジャーになってきたそうだ

【大和ミュージアム】
「大和のふるさと」と書かれているのが、戦艦「大和」が建造された巨大な屋根付きドッグ
10分の1サイズに再現された戦艦「大和」
大和の模型を上から見た所。何度か換装されているが、一番美しい時代を再現しているとのことだ
手前がゼロ戦、奥にあるのは人間魚雷の悪名高い「回天」
テーマごとのパネル表示で「大和」にまつわる歴史やエピソードが分かりやすく紹介されている
数少ない現存する「大和」の設計図。紙ではなく絹にインクで書かれている
ニコンの前進である日本光学工業株式会社が作った「大和」の反射板。その技術は太陽光を集めて熱エネルギーを利用する「太陽炉」の研究に活用されている
「大和」を建造する為に編み出された技術、エレベーターや空調、スタビライザなどは、高度経済成長期の様々な技術へと応用されている
100分の1や、200分の1の戦艦模型も多数展示されている。写真は戦艦「長門」
呉の海軍工廠で建造された船や潜水艇がすべて紹介されたコーナー

 見学にはたっぷりと時間がとってあったので、大和ミュージアムを見終わった後は、すぐ隣にある海上自衛隊呉資料館、通称「てつのくじら館」も訪れることができた。ここは無料で開放されている資料館で、中には自衛隊が行なっている機雷掃討に関する展示や、潜水艦開発の歴史などに関する史料を見ることができる。しかし施設の目玉は何と言っても、建物の外観としても抜群に目立っている潜水艦「あきしお」の内部を見学できることだ。

 「あきしお」は1985年に浸水式を迎えたディーゼルエンジン式の潜水艦。2004年に除籍された後から資料館の展示に使われている正真正銘の本物だ。まずはその巨大さに驚き、中に入ってからは内部の狭さに驚かされた。入れるのは居住区と操舵室で、狭い士官用3段ベッドやトイレ、キッチンなどを通って潜望鏡がある操舵室に到着する。大量のバルブや操作板が並ぶ船内を見て回ると、潜水艦操縦の難しさを肌で感じることができた。

 自衛隊の施設だけあって、入り口には軍服姿の係官がいかめしく立っているのだが、見学を終えた所にある売店には、男性から女性まで幅広い萌えをカバーする、どこよりもオタクくさい商品ラインナップのおみやげが並んでいたりと、ハードさとソフトさが絶妙に入り交じっているのが印象的だった。

 見学の最後は、「大和」のブリッジから甲板を見下ろすイメージ作られたデッキで記念撮影をして、広島駅に戻った。ここ数日全国的な猛暑が続いているが、ツアー当日もすかっと青空の広がる好天で、午前中からうだるような暑さとなった。そのため終わるころには全員かなりバテぎみのようだったが、最後までミリタリーづくしで、テンションの高いツアーだった。

【てつのくじら館】
とてつもなく巨大な潜水艦「あきしお」は外からも抜群の存在感
機雷掃海の歴史や技術を紹介するコーナー
士官用のベッド。閉所恐怖症には辛そうな狭さ
潜水艦の操舵室。見学者でぎゅうぎゅうづめだった
海自でも艦隊系ゲームの人気が高そうだと分かる帽子売り場
女性向け(?)入浴剤。今回訪ねたどこのおみやげ売り場よりもアキバっぽいラインナップだった

東京ゲームショウには「World of Warships」の最新情報を持って参戦

バス内の風景
「大和」の甲板風デッキで記念撮影

 今回、限りなく観光ツアーで、あまりゲームのオフラインイベントらしい時間はなかったが、移動中のバス内では、参加者が1人ずつ自己紹介を行ない、好きな戦車や軍艦について理由も交えて紹介していった。さすがに「WoT」のファンだけあり、かなりディープなミリタリーファン揃いで、上げていく戦車や軍艦にも強いこだわりが感じられた。

 当日にスタッフが着ていたポロシャツは、お土産として参加者にも配られた。黒いポロシャツの背面には、帝国海軍初の超弩級戦艦「扶桑」のシルエットがプリントされている。大和ミュージアムに行くのに、なぜ「扶桑」? という疑問には、宮永氏が答えてくれた。曰く、「扶桑」は呉の海軍工廠が初めて作った超弩級戦艦であり、「扶桑」があったからこその帝国海軍であり、「大和」である。

 ウォーゲーミングは海外ではいろいろなアパレルを展開しているが、日本の支社が初めて作ったポロシャツが「扶桑」だということが、今後どんな化学反応を引き起こすか楽しみだということらしい。他にも「大和」のグッズはたくさんあるけれど、「扶桑」のグッズはどこにもないというレアさも理由の1つだそうだ。そんなレアなウォーゲーミング謹製「扶桑」ポロシャツ。今はまだ参加者しか持っていないが、いつかまたどこかの機会で手に入るかもしれないので、欲しい人はまめに情報をチェックしておこう。

 「永遠のゼロ」や「風立ちぬ」といった小説や映画、アニメになった「蒼き鋼のアルペジオ」や言わずとしれた艦隊シミュレーション「艦隊これくしょん」など、近年のミリタリーブームを受けてどこの施設も老若男女で大にぎわいだった。第一術科学校に痛車が止まっていたり、大和ミュージアムで「アルペジオ」のTシャツを着た人をみかけたりと、夏休みに入って聖地巡礼も活発に行なわれているようだ。

 Wargamingが現在開発中の「World of Warships」のアルファテストにも、かなりの応募が殺到して激戦になったそうだ。東京ゲームショウでは、最新情報も出てくるそうで、いよいよ正式サービスも間近に迫ってきている。聖地巡礼のメンバーに「World of Warships」のファンが加わるのも遠い未来ではなさそうだ。

 今年の4月には、山口県岩国市にある海兵隊岩国航空基地で行なわれた日米親善デーに「WoT」がブースを出したが、参加者からも基地の人たちからも好評だったので、可能であれば来年もやりたいということだった。今後も、ひと味違うオフラインイベントを企画してくれるようなので、今回抽選に漏れてしまった人たちも、次回こそはぜひ参加してみて欲しい。

(石井聡)