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正式サービス前後の混乱は何だったの? 「ブレイドアンドソウル」メールインタビュー

価格設定、活力システム、金貨取引所などへの疑問をシニアマネージャー朴氏が回答。「水月平原」アップデート情報も

5月20日 正式サービス開始

利用料金:3,000円(30日間)

5月20日に正式サービスが開始された「ブレイドアンドソウル」

 正式サービス開始直前のプレイ料金発表や、「活力システム」や「金貨取引所」といったシステムが正式サービス開始と同時に廃止されるなど、混乱含みでエヌシージャパンのオンラインRPG「ブレイドアンドソウル」は立ち上がることとなった。

 プレイ料金は発表会で月額2,000円前後になることをほのめかしていたのにも関わらず、最終的に月額3,000円になり、またニコニコ生放送では目新しい「活力システム」や「金貨取引所」について説明もあったが、結局はすべてがひっくり返されてしまっている。

 補足として「活力システム」と「金貨取引所」について改めて説明しておくと、「活力システム」は1日の経験値獲得量に上限を設けるというシステムで、「金貨取引所」はゲーム内通貨の「金貨」を他のプレーヤーに売ることで、利用料金や有料アイテムの購入に使用できる「ソウルコイン」を得られるというシステムだ。

 色々と物議を醸した立ち上がりだったが、真意はどのようなものだったのか? そこで今回はエヌシージャパンに問い合わせ、メールインタビューという形でいくつかの疑問に一定の回答をいただいた。回答いただいたのはこれまで表立ってユーザーに説明を行なってきた五條隆将氏ではなく、シニアマネージャーの朴宰勲(パク ジェフン)氏となっている。なお朴氏からは、次期アップデート「水月平原」の話も伺うことができた。

2つのシステムの廃止、月額3,000円の価格設定はなぜ実施されたのか?

期待されているタイトルなだけに、周辺でのゴタゴタは大変残念だったが……

――5月20日に正式サービスとなった「ブレイドアンドソウル」ですが、現状の状況を簡単に教えてください。

朴氏: 現在4サーバーで稼働しています。リミテッドトライアルから開けていた2サーバーについては、最初は人口集中により待機時間が発生しており、キャラクターの制作制限を設けていましたが、現在は緩和され、さらにコミュニティも徐々に活性化しつつあります。

――「活力システム」と「金貨取引所」について、ニコニコ生放送で説明した各仕様の実装を見送ったのはなぜでしょうか?

朴氏: 活力システムはゲームの進行をシステム側で抑制することで、コンテンツ消耗を抑えつつ色々な装備強化やアイテムファーミングなどのプレイを想定していましたが、CBTやリミテッドトライアルで活力が切れたらログアウトし、ユーザーコミュニティが途切れたりと、こちらの思惑とは違った結果となりました。そのため、月額課金制でゲーム進行を阻害するシステムでしかない活力システムは実装意図とずれるので、見送ることになりました。

 金貨取引所は活力システムで目論んでいたプレイスタイルが成立して初めて活性化する仕組みでありましたが、活力システムの導入を見送った為、金貨取引所を残すとゲーム内の経済に大きな影響を与える可能性がありました。結果的に月額課金のもう1つの手段として期待されていた機能を見送った形ではあります。

 しかし、結果的にはこの2つの機能を封じることでプレイ制限なく、ユーザーコミュニティもより発生し易い環境になったといえます。こういった結果を事前予測できなかったのは事業統括をしている私の判断ミスでもありました。事前の情報が急に変更になり、お客様に混乱を与えてしまったことは大変申し訳ないと思っております。

――30日間3,000円という金額設定は昨今のMMORPGでは高く“強気”だと思います。最終的にこの金額に設定した理由は?

朴氏: 金額設定の理由は、コンシューマゲームのソフト価格平均が5,000円を超えている点からいえば、月額3,000円は、一定のご理解をいただける価格だと思っておりますし、その品質にも自信があります。その金額相応のサービスクオリティをご提供する覚悟を持って決定いたしました。

――パッケージが発売されているにも関わらず、5月18日まで価格発表をしなかった理由をお願いします。

朴氏: 発表が18日になってしまった理由は、お客様のプレイスタイルと市場動向を最後まで慎重に分析するために時間を要することになりました。これについては申し訳なく思っております。

――オープントライアル以降、正式サービスを開始した直後もログインしづらい状況が続いていました。なぜこのような状況になったのでしょうか。

朴氏: 現状は既に解消しておりますが、オープントライアルの際にはご迷惑をおかけして申し訳ございません。特定サーバーへお客様が集中する傾向がありましたが、中々分散されず、弊社の中でも解決策で相当悩みました。比較的、新しいサーバーへの誘導などを行ない、正式サービスの週末からはログイン待機列を減らすことができました。

現状の考察と「水月平原」以降のアップデートについて

「水月平原」アップデートのスクリーンショット

――すでに次期アップデートの情報も出ていますが、今回の「水月平原」アップデートの見どころをお願いします。

朴氏: まずはレベルキャップを45まで開放します。現状レベル36に到達のユーザーは装備がそろい始め、次のステージへの材料集めやアイテム強化など行なっていることと思います。それに伴い、新たなフィールドボスやインスタンスダンジョンなど追加することによってより遊び方の幅が広がることを期待しています。

 今回のアップデートでもっとも気を付けていたのは「IDラスボスの歯ごたえ感」です。実はレベル36まで存在するIDの難易度は意図的に低く設定しており、まずはアクション性の高い「ブレイドアンドソウル」に慣れて頂きたいという背景がありました。

 しかし、予想外に皆さん、とても上手い! 水月平原では倒し甲斐のあるラスボスらを用意しましたので、挑戦欲の湧く内容になっていると思います。

 さらに、フィールド上で金貨もドロップすることにしました。当初は「金貨取引所」あったので、フィールドドロップが控え目でしたが、「装備成長」などにはそこそこのお金が必要ですので、その辺りのプレイ制限を緩和しました。

――現在のプレーヤーの属性と動向はいかがでしょうか?

朴氏: 多くのお客様がレベル36に達してます。現在は武器成長のためにアイテムファーミングされる方もいますが、思ったより比武のような対人コンテンツを楽しんでいるお客様の比率が30%以上という状況です。

 さらに、統合IDというシステムがよく利用され、他サーバーのお客様同士でID攻略に励んだり、門派メンバー募集や加入するなどコミュニティ活動が凄く活発に行なわれています。

――比武大会などPvPにも重きを置かれていますが、韓国では大きなオフラインでの比武大会などが開催されていました。日本ではコンテンツを盛り上げる施策としてどのようなものをお考えでしょうか?

朴氏: 通常の狩りと対人要素を楽しんでいる方それぞれの状況も考慮して、狩りに関してもコンテンツの拡充やインゲームイベントで盛り上げつつ、対人要素を楽しむプレーヤーへもオンライン大会やオフライン大会での施策を検討しています。

 まず、「ブレイドアンドソウル」のストーリーを楽しんで頂きながら、装備や武器成長などの王道コンテンツを十分にプレイして頂くよう各種イベントやプロモーションを実施します。

 また、対人要素を楽しまれるお客様が思っていたよりとても多いということに気づきましたので、こちらの対応をしていきたいと思います。「日本ではMMORPGでPvPや対人プレイが流行らない」という認識があったのですが、ちゃんとした対人プレイ環境やルールがあれば、決してマイナーなコンテンツではないことがわかりました。将来的には国際大会なども実施できればと考えています。

――今後のアップデートについて、御社として適正なゲームバランスを保ちながら運営する為に心がけていることなどあれば教えてください。

朴氏: 常に先端にいる上級者プレーヤーだけを意識してコンテンツ拡充を続けていくことは、後ろを顧みない危険な運営だと考えております。常に新規プレーヤーを取り込みつつ、カネとモノをゲーム内での川上から川下に流通させる経済バランスを意識しながら運営を行ない、単なるレベル開放とコンテンツ追加に止まらないよう留意していきたいと考えています。

――今後の予定について決まっている内容があれば教えてください。

朴氏: 活力システムを廃止した以上、予定より早くコンテンツ追加を行なう予定です。これは年内に数回予定しており、「カンストでやることがない!」という状況は極力発生しないようにスケジュールを組んでいきます。

――今後どのようなプレーヤーに楽しんでいただきたいでしょうか。

朴氏: 新しく始められる方へはプレイ指南を拡充しながら、ストレスなく冒険と成長ができる仕組みを考えていきます。特に、「ブレイドアンドソウル」をきっかけにMMORPGを始められる方は「NCゲーマーズ」サービスをご利用ください。ミドルスペックのPCが、とてもお得な価格で特別提供されています。

 ゲームサービスの面でも、プレーヤースキルによるゲームプレイが活性化するよう、課金アイテムによる直接的なキャラクター強化や強い装備の販売をするつもりはありません。従って、基本的にどんな方でもお楽しみいただき、プレーヤー同士のゲームでのつながりができるような施策づくりを心がけていきたいと考えています。

【「水月平原」スクリーンショット】
「水月平原」で追加される新エリア
新衣装の一部

(安田俊亮)