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【特別企画】フィギュアの革命、「ねんどろいど」その歴史と未来
未来に向けて新たな規格を提示した“初音ミク 2.0”
(2014/3/18 00:00)
未来に向けて新たな規格を提示した“初音ミク 2.0”
――ねんどろいど「初音ミク」から5年後に生まれた「初音ミク 2.0」ですが、どういった部分が進化しましたか。
月山氏: それまでは表情パーツを交換するには1度頭部ごと外さなくてはいけなかったのですが、「ねんどろいど初音ミク 2.0」は頭部を外さずに交換できるようになったことで、より手軽に表情が変えられます。これが最大の特徴と言えますね。これ以降のシリーズはスタンダードとなります。
話が前後しますが、ねんどろいどの進化、という視点で欠かせないのが、2010年に発売された「ねんどろいどセイバー スーパームーバブル・エディション」です。武器を持ち激しいアクションで戦うキャラクターを再現するにあたり、肘・膝の関節を動かせるようにして、剣を持って戦うシーンなど、より細かい動きができるようになりました。
「ねんどろいどセイバー スーパームーバブル・エディション」で最も難しかったのが肩の可動ですね。ねんどろいどデザインは女性キャラクターが多いこともあり、上半身、特に肩幅が狭いんです。その中でどう肩の可動域を確保するか、機構の設計は苦労しました。他の部分も頭身バランスを守りつつ、様々な可動軸を仕込んでいます。かなりやりがいのある企画でしたね。
また可動ねんどろいどは3Dソフトとも相性が良く、後の3Dデータでの原型作成の参考になった部分は大きいです。
カホタン氏: 「ねんどろいどセイバー スーパームーバブル・エディション」は膝も可動します。「ねんどろいど初音ミク 2.0」は膝は可動しないのですが、これは初音ミクの衣装が膝の関節の表現が難しいことと、関節を仕込むと足が少し長くなるので、キャラクター表現のバランスが崩れてしまうからです。今のねんどろいどでもキャラクターによって膝の曲がるもの、曲がらないものがあります。
月山氏: アクションの実現ということに関しては、台座にも工夫があります。関節を仕込んだ支柱をねんどろいどの背中の穴に差し込むことで、フィギュアを浮かせて固定できるようになりました。膝を曲げてジャンプしているような飾り付けが出来るようになりました。この支柱と背中の穴は「ねんどろいどネコアルク アルティメット・エディション」や「ねんどろいどセイバー スーパームーバブル・エディション」から採用された仕様です。
――「ねんどろいど初音ミク 2.0」もこの支柱が使われていますね。
めすか氏: そうですね、「ねんどろいどセイバー スーパームーバブル・エディション」で確立し、以降の多くのねんどろいどで使っています。「ねんどろいど初音ミク 2.0」に話を戻すと、色々試行錯誤してきたなかで、「これがねんどろいどだ」という体型ができてきました。ねんどろいどは手足が短く頭が大きいですが、バランスにはとても気を使っています。頭でっかちだけではなく、身体のラインを末広がりに「A」のラインを描く様にしています。
手はまっすぐ下に下ろすのではなく、広げるような形にするとねんどろいどならではのかわいらしさを発揮できるのではないかなと。この“黄金比率”は経験によって生まれたバランスです。「ねんどろいど初音ミク 2.0」はその黄金比率を意識して作られています。現在のねんどろいどのバランスを提示した作品と言えるかもしれません。
もう1つ、「ねんどろいどを座らせる」というものも試行錯誤してきた部分です。「ねんどろいど初音ミク 2.0」は下半身パーツを差し替えるのですが、この時jの上半身と分割ラインを考えないと姿勢が不自然になってしまうんです。座らせるポーズはいつも大変ですがパーツ差し替えでバランスがとれるように工夫しています。パーツは身体ごと変えてしまえば楽かもしれないですが、コストがかかるし、なにより「組み替えの楽しさ」を感じてもらいたくて、こだわっているポイントです。
座ることを意識した髪パーツも用意されており、これはツインテールを差し替えるだけでできます。この髪があることで、踊っているときを表現できたりと、座ったとき以外の汎用性も魅力です。
月山氏: 「ねんどろいど初音ミク 2.0」は様々な交換パーツを入れていますが、それらは複雑化させることなく、あえてできるだけシンプルにまとめているんです。原点回帰とも言えるものになっていて、今後続けていくねんどろいどシリーズの基点となる、新しいスタンダードを目指したアイテムです。
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