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NVIDIA、ノートPC向けGPU「GeForce 800M」シリーズを正式発表

AAAタイトルが快適に動作、ライブ配信も可能に。ゲーミングノートPCを再定義

3月13日正式発表/出荷開始

 3月13日、NVIDIAは新世代のノートPC向けGPU「GeForce 800M」シリーズを正式発表した。本GPUを搭載したゲーミングノートPC各種は本日より各メーカーから発売、出荷が開始される。

 この発表に先立ちNVIDIAでは都内オフィスにてプレス向けの発表会を開催した。本稿ではその模様を交えつつ、GeForce 800MがどのようにゲーミングノートPCのパフォーマンスを再定義するのか、そのポイントをお伝えしよう。

Maxwellアーキテクチャ搭載モデルで大幅なパフォーマンスアップを達成

NVIDIA プロダクトマーケティングマネージャー ブライアン・チョイ氏
PCゲームの市場規模は映像ソフト市場に迫る
GTX 800Mシリーズ、GTX 700シリーズとの比較

 プレスカンファレンスに登壇したのは、NVIDIAのプロダクトマーケティングマネージャー、ブライアン・チョイ氏。GeForce 800Mシリーズをアピールする立場から、冒頭は“PCゲーム市場の目覚ましい成長”に言及。近年のPCゲーム市場はオンライン販売やF2Pタイトルの市場拡大で急速な成長が見られているのが特色。現在では全世界の市場総額で250億ドルを越え、音楽・映画市場を抜き去りDVDやブルーレイディスクの販売からなる映像ソフト市場の規模に迫っているというから面白い。

 それだけNVIDIAはPCゲーム市場を有望視しており、PC用GPU開発に気合を入れている、というわけだ。中でもゲーミングノートPC分野は過去3年で1.5倍の伸びを見せているというのだが、NVIDIAとしては今回の新GPU投入で2014年にはさらなる急成長をもたらすつもりという自信を見せている。

 さて、NVIDIAがその起爆剤と期待するGeForce 800Mシリーズ。ゲーミング向けとしてはGTX 850、GTX 860M、GTX 870M、GTX 880Mがラインナップされおり、いずれも前世代の700Mシリーズからの大幅なパフォーマンスアップを果たしている。

 中でも伸び幅が大きいのはGTX 850M(60%)、GTX 860M(40%)の2モデルだ。これらは新アーキテクチャのMaxwellを採用しており、純粋なパフォーマンスアップのみならず、ワットあたりのパフォーマンスが大幅に向上。省電力と高速なゲーム動作を両立するGPUとしてこの世代で最有力のゲーミングノート用GPUだ。

 これに対してハイエンドモデルのGTX 870MとGTX 880Mはいずれも前世代と同じKeplerアーキテクチャを採用。チップデザインの見直しにより、前世代と比較してGTX 870Mで30%、GTX 880Mで15%のパフォーマンスアップを果たしている。

 ちなみにMaxwellアーキテクチャを採用したGTX 850Mの場合、3世代前のハイエンドGPU、GTX 580Mに比べても30%高速であり、消費電力や発熱量は比べ物にならないほど小さい。これにより、3年前に51mm厚の大型ハイエンドゲーミングノートPCで出していた以上のパフォーマンスを、この世代では21mm厚の薄型ノートPCで実現できるようになるという。わずか3年だが、隔世の感がある。

 このプレゼンテーションで特にブライアン・チョイ氏が強調したのは、薄型ノートPCにも実装できるGTX 850M・GTX 860Mで、最新のAAAタイトルが高品質設定・フルHD解像度で快適に動作するということだ。これまでゲーミングノートPCといえば重く、大きく、熱く、とても持ち運ぶ気になれない代物というイメージが強かったが、800M世代からそのイメージが完全に変わりそうだ。

GTX 850搭載ノートは、GTX 580搭載ノートより格段に小さく、速い
最新のAAAタイトルがフルHDで快適に動作する

長時間のゲームを実現する“Battery Boost”。ShadowPlay対応で低負荷ライブ配信も!

Battery Boost機能によるバッテリー駆動時間の伸び
「GeForce Experience」上でゲームごとに設定可能

 さらにNVIDIAでは、GeForce 800Mシリーズの発表に合わせ、Geforceシリーズのコンパニオンアプリ「GeForce Experience」を大幅アップデートしている。これによりGeForce 800Mシリーズでは新機能“Battery Boost”が利用できるようになる。

 Battery Boostはゲーム中の消費電力を極力抑えてバッテリー駆動時間を最大2倍近くにまで伸ばすという機能だ。本機能はゲームのグラフィックスオプションやフレームレート制御などを自動で調整することによって電力を節約する仕組みで、「GeForce Experince」のゲーム品質調整画面にアドオンされる形で実装される。

 「GeForce Experience」アプリ上ではバッテリー駆動時の電力節約加減をスライダーで簡単に調整できる。バッテリーを優先すればゲームの品質が下げられ、品質を優先すればフレームレート上限や各種グラフィックスオプションがONになっていくというイメージだ。各ゲームの設定項目はアプリ側が設定してくれるので、ユーザーは感覚的にスライダーを調整するだけでいい。

 NVIDIAによるデータでは、通常状態で「Borderlands 2」を1時間26分駆動可能だったノートPCにて、フレームレートターゲッティングのみでは1時間47分、BatteryBoost機能を使用した場合では2時間11分の駆動が可能になったという。これなら、外出時のちょっとした空き時間にヘビー級のゲームを遊ぶというのも現実的な選択肢になるかもしれない。

Battery Boostの設定画面。電力の節約程度をスライダーで調整できる
システムワイドでフレームレートの上限を設定することも可能

 また、Keplerアーキテクチャ以降のGPU(KeplerおよびMaxwell)を搭載するGeforce GTXシリーズでShadowPlay機能が有効化される。これにより、ゲームプレイのバックグラウンド録画や、Twitchへのライブ配信をデスクトップPC同様にほぼゼロ付加で行なえるようになる。

 これらを総合すると、GeForce GTX 800Mシリーズ搭載のノートPCでは次の3点が実現する。


1.AAAタイトルが満足に(常時60fpsで)遊べる
2.バッテリー駆動時でも長時間遊べる(2時間くらいは)
3.ゲームシーンを負荷を気にせず録画・配信できる

 とくに上記の1と3は、多くのPCゲーマーにとって嬉しいポイントだろう。最高の画質設定で常時120fps以上の動作を要求するとか、何テラバイトもの内蔵ストレージを必要とするなど、とてつもない要求さえしなければ、これらGeForce GTX 800Mシリーズ搭載ノートで十分だ。大半のゲーマーにとってデスクトップPCは不要となる。Geforce 800MシリーズはゲーミングノートPCの役割を再定義することになりそうだ。

 なお、ブライアン・チョイ氏によれば、MaxwellアーキテクチャのGeforce 800Mシリーズ(GTX 850M、GTX 860M)はValveが展開中のゲームマシンブランド「Steam Machine」にもベストフィットすると考えているとのこと。仕様の判断はあくまで各メーカーによるが、小型PCタイプやノートPCタイプのSteam Machinesの多くがMaxwellアーキテクチャのGeforce 800Mシリーズを搭載することになる、と期待していいだろう。

ノートPCユーザー待望のShadowPlay対応。ほぼゼロ負荷の録画・配信が可能になる
WiFi経由でSHIELDにPCゲーム画面を出力、操作できるGameStream機能もサポート

(佐藤カフジ)