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「ガンプラビルダーズワールドカップ2013」日本選手が世界一に!
「νガンダムは伊達じゃない!」。山内俊平選手がオープンコース優勝
(2013/12/22 20:58)
バンダイは12月22日、お台場のガンダムフロント東京で、「ガンダム」のプラモデル・ガンプラ作りの世界コンテスト「ガンプラビルダーズワールドカップ2013」の世界大会決勝戦を開催した。
ガンプラ作り世界一を決めるコンテストは今年で3回目。今回は日本、中国、韓国、台湾、香港、タイ、シンガポール、マレーシア、フィリピン、インドネシア、オーストラリア、北米、イタリアの13の国と地域で予選大会が開催された。
各予選を勝ち抜いた作品はジュニアコース(14歳以下)11作品、オープンコース(15歳以上)13作品の合計24作品。今回はスペシャルゲストとして俳優の及川光博さんも登場し入賞者を祝福した。
年々レベルアップする各国の作品。オープンは日本、ジュニアは香港が1位
「ガンプラビルダーズワールドカップ2013」の世界大会決勝戦では、世界各国から多彩な作品が集まり、その頂点が決まった。作品は「工作」、「塗装」、「アイディア」の3つの評価ポイントから審査された。
どの作品も非常にレベルが高かったが、オープンコースでの優勝は日本代表の山内俊平選手が製作した「宇宙世紀最強の機体」となった。これまで3回行なわれた「ガンプラビルダーズワールドカップ」初の日本人の作品の優勝である。
「宇宙世紀最強の機体」は映画「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」で主人公アムロ・レイが搭乗した「νガンダム」をモチーフにしたものだが、他の作品が派手なポーズをとれせたり、凝ったジオラマにしたり、原型がわからなくなるほどの改造を加えた機体を作成しているのに比べ、一見νガンダムがまっすぐ立っているという比較的地味な印象を受ける作品となっている。
しかし、近づいてじっくり見てみるとその情報量に圧倒される。細かく分割された装甲からのぞくフレーム、内部メカが非常に複雑なことがわかる。見れば見るほどその作り込み、製作者の強い思い入れと気迫に圧倒される。
ジュニアコースの優勝は香港のチョイ チキット選手の「フォーゴトゥン ザ・レッドコメット」。チキット選手は14歳ということだが、もっと上の大人の作品に引けを取らない完成度の高さだった。アニメ「機動戦士ガンダム」のシャア専用ザクが中心なのだが、その題材の使い方がとてもユニークだ。
シャア専用ザクは灰色の岩がごつごつした場所に横たわっているのだが、その周りにとても小さいガンダムやガンタンク、ガンペリーなどがいる。ザクに比べると連邦軍のモビルスーツは豆粒のようだ。ガンダムが18mだとすると、この巨大なザクは100mを優に超える巨体ではないか。これはいったいどういう状況なのか? ザクの正体はいったい何なのか? 非常に興味がそそられる、物語性を感じさせるジオラマである。
選手達にトロフィーを渡すスペシャルゲストとして、ミュージシャン・俳優の及川光博さんが登場した。及川さんは“ガンプラブーム”にハマった世代であり、お小遣いのほとんどをプラモデルにつぎ込んだという。買ったけれど作れなかったプラモデルも実家にはたくさん眠っている。ファンからもガンプラがをプレゼントされたことがあるとのこと。
今回の作品を見て及川さんは、「本当にワクワクさせられた」と語った。及川さんは中学時代はガンプラを作り、近所のおもちゃ屋のコンテストに作品を出品し、優勝した経験もあるという。「僕も久しぶりにガンプラを作りたくなった」とコメントした。
表彰式の最後、“川口名人”ことバンダイホビー事業部の川口克己氏は「全ての作品のクオリティが高かった。本心を言わせてもらえれば、誰がとってもおかしくないと思った。会場でバンダイのスタッフが各作品を飾り付けをしているとき、誰が1位になるかスタッフ間で話し合ったんですが、そのときも意見が割れました」とコメントした。
表彰式の後、優勝者の2名に話を聞いた。山内選手の「宇宙世紀最強の機体」は製作期間は5カ月だという。2012年に「MG 1/100 RX-93 vガンダム Ver.Ka」が発売されて、自分で作りたくなったのが製作のきっかけとのこと。パーツを薄くし、自分が考えるプロポーションに近づけるために改造を加えた。特に脚部には1カ月以上の時間をかけたという。
作品に関しては、「自分が思ったコンセプトを実現させる」というところに力を入れた。「そのコンセプトを製作中にいかに維持していくかが課題だったし、ファン投票ではコンセプトをしっかり出せたことがが評価されたかもしれない」と山内選手は語った。日本代表として他のモデラーの中から選ばれたのは光栄だし、世界一になったということで今後も精進していきたいと山内選手はコメントした。
ジュニア部門1位のチョイ チキット選手は「香港の代表として、優勝できてうれしかった」と語った。作品「フォーゴトゥン ザ・レッドコメット」の製作期間は3カ月ほどだという。今回、巨大なシャア専用ザクというコンセプトを思いついたのは「ガリヴァー旅行記」をテーマとした外国映画を見て思いついたとのことだ。
今回、最後の撮影は屋外で行なったのだが、強風のため山内選手の「宇宙世紀最強の機体」が壊れてしまった。作品を撮影のために運搬するのはやはり危なく、今後撮影の進行などで改善を望みたいところだ。今回の決勝戦に出場したガンプラは、優勝作はもちろん、各国のガンプラ24作品全てが1月7日までガンダムフロント東京で展示されている。「宇宙世紀最強の機体」も完全に修復され、多くの人に見てもらえることを願いたい。
(C)Panda's ana