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ついに会えたなクソ野郎ども! 「GTAV」先行体験レポート

精密で、広大、バラエティ豊かな情景の中をドライブできる喜び

精密で、広大、バラエティ豊かな情景の中をドライブできる喜び

「GTAV」のロスサントスは、見るものに驚きをもたらす緻密さで描かれている
夜景も美しい。時間の経過による表情の違いも楽しい
こちらはトレバーのいる郊外。遠くには山が見える

 お次は、“「GTA」らしさ”にフォーカスしていきたい。プレイしていて何よりも楽しいのは、“街をドライブする感覚”だ。スーパーカーでぶっ飛ばす、バイクで車をすり抜ける、坂も上るのも苦しいぼろ車でよろよろと走る……。その視界に流れては消えていく街の風景が楽しい。

 「GTAV」の舞台はロサンゼルスをモデルとしたロスサントスである。ダウンタウンには天高くそびえるビル街があり、北西部には高級住宅地、東部はスラム地域、南西部には海岸地帯がある。「GTAV」のオープニングシーンではこれらの風景がコラージュのように次々と映し出され、シリーズのファンに「ああ、今俺は『GTA』を始めたんだ」と実感させる。

 車で走っていると、これら様々な地帯が視界を流れていく。ドライブとミッションを通じ、街の細部に詳しくなっていく。夕闇の海岸通りや、朝日をバックに輝くビルなど、自国で強烈に印象を残す場合もある。「ああ、ここはあのギャング達の根城か」など、ゲームの知識が地形に堆積されていき、プレーヤーの心の中に「地図」が形成されていく。

 特に「GTAV」は街の細かさ、実在感が素晴らしい。その中でも最も強烈なのが「空気感」だろう。カリフォルニア州ならではの強烈な日差しが街を際立たせる。都会のごみごみとした空気や、犯罪が多いスラム街でのよどんだ雰囲気、ビーチのまったりとした感じ……都市が持つ様々な“場”の雰囲気が、きちんとゲームに再現されているのが楽しい。グーグルのストリートビューと見比べたくなるランドマークの表現もたまらないところだ。

 今作はロスサントスだけではない。トレバーが住むのはロスサントス郊外の地域であり、道路に車がたまにしか走らないような超ド田舎だ。鹿やウサギなどの野生動物が闊歩していて、手に入るバギーなら道など気にせず突っ切ってしまった方が早い。店は入ると年中酔っ払いがけんかしているようなバーくらいしかない。ドライブしていれば、巨大な山々が見え、のんびりした気分にさせられる。ここではロスサントスと全く違ったドライブ体験ができる。

 圧巻なのはこの全く異なるようにみえるこれらの世界が、ゲーム内でシームレスに連続していることだろう。ごみごみしている都会から離れると人家の少ない荒涼とした土地に出て、そこからさらに砂漠地帯や針葉樹林が生い茂る山岳地帯に出たりする。山を超えると小さな集落が見えたりもする。実際の長距離ドライブと同じ感覚が味わえるのだ。

 飛行機や、船での移動もできる。トレバーのミッションでは飛行機に乗れたが、眼下に見える荒涼としながら美しい光景にうっとりしてしまった。着地地点まで近づくと、そこは建物の細部まで描き込まれた「GTAV」ワールドなのがまたスゴイ。これほどまでに地上が書き込まれたフライトシムなどこれまで絶対存在していない。フライトシムファンが夢見た世界を実現している点でも、「GTAV」は見逃せない作品だ。

 そしてこの緻密で美しい世界を、ひたすらとんでもなく爆走できるのが本作の楽しさである。車列に突っ込み、車体をぎしぎしいわせながら強引に進み、周りのドライバーから悪態をつかれるのは当たり前、時には車をはね飛ばしたり、自分の車がおシャカになった瞬間に他の車を奪うのもOKだ。

 長い距離を移動するのが面倒な時は、飛行機を奪って目的地地点で飛行機を乗り捨て、パラシュートで降下したっていい。今作で注意したいのは郊外のドライブ。交通量の少ない田舎では、代わりの車が手に入らない場合もある。今回ショートカットしようとして溝に突っ込み、代わりの車が見つからなくて苦労した体験から忠告しておきたい。

【ロスサントス】
ロスサントス。場所で全く雰囲気が変わる

【郊外】
こちらは郊外。多彩な乗り物も確認できる
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(勝田哲也)