ニュース
「G-STAR World of Tanks 日本代表決定戦」の勝者が決定!!
日本フルサポート体制下での初オフライン決勝。その栄冠に輝いたクランは?!
(2013/9/22 22:44)
東京ゲームショウ 2013最終日の9月22日、「World of Tanks(以下『WoT』)」の国内最強クランを決める公式戦のひとつ、「G-STAR World of Tanks 日本代表決定戦」が開催された。
本大会は、9月5日に「WoT」の日本向けサービスが正式スタートしてからとしては初のオフライン決勝大会。 本大会の優勝チームは、11月14日から17日にかけて韓国のプサンで開催されるゲームショウ「G-STAR 2013」にて、韓国代表チームとエキシビジョンマッチに臨む権利を獲得する。
展示ホール内に設営されたeスポーツゲーム競技会「Cyber Games Asia」の大型会場に満場のファンを集め、これまでの予選を勝ち抜いた2チームが激突した。さあ、世界7,500万人がプレイするという本作(紹介されるたびに500万単位で人数が増えていくのが凄いが)、eスポーツ的な激突の模様を見てみよう。
歴史ある「WoT」ならでは、すでに歴戦の経歴を持つ2クランが対決
本大会、「G-STAR World of Tanks 日本代表決定戦」の決勝に臨んだのは、マルチゲーミングチームDatonatioNの「WoT」部門を構成するSilly Ducks Revolution(以下『SDR』)と、国内強豪クランで大会常連チームのひとつHarmlessSavageRebellion (以下『HSR』)の2チームだ。
SDRは海外で開催された「WoT」大会で数々の出場実績があり、昨年はアジアサーバー代表としてロシアで開催された大会でも優秀な成績を収めた世界的強豪チーム。選手の中には「平均与ダメージ世界1位」といった凄まじい個人成績を誇るプレーヤーも存在し、押しも押されぬ優勝候補だ。
今年はすでに8月の「G-Tune Presents World of Tanks WCG2013日本予選大会」にて優勝を決めており、11月28日から12月1日にかけて中国で開催されるゲームの世界大会「WCG2013 Grand Final」に日本代表として出場することが決定している。
一方のHSRはそこまでの実績はないが歴史あるチームで、SDRとは公式大会で幾度か対決してきた経緯をもつメンバーが集まるクランだ。本大会の予選でも一度両チームは対決しており、その時はSDRが勝利。HSRは惜しい敗北を喫したものの、ルーザーズブロックからの再挑戦を駆け上がり、決勝での再選を果たした。
さて、そもそも「WoT」でのクラン戦というのはどういう内容になるのだろうか?
公式ルールとしては、各チームは7人構成。使用戦車の制限は、チーム全体でティア数の合計が42以下という制限がある。できるだけ高いティアを使ったほうが有利になるため、5人がティア8、2人がティア1という戦車の構成が標準的だ。その範囲内であれば使用車種の制限はない。
ゲームルールは「通常戦」で、制限時間は10分。国際大会では5本勝負の3本先取制で行なわれることが多いが、今回、国内大会では3本勝負の2本先取制で試合が執り行われた。
7対7にて緻密な連携をもって行なわれるクラン戦では、15対15で行なわれるランダム戦とは全く違う立ち回りが要求される。チームに2人いるティア1の軽戦車が特に重要で、撃たれれば一撃で爆散してしまうところ、小回りを活かして視界をとり、敵の配置を先に明らかにしたほうが戦術的なアドバンテージを得ることになるわけだ。
いったん数の差ができると多い方が非常に有利な展開となるため、各選手はヒットポイントが1%になってでも生き延びることが大切となる。そのため立ち回りは非常に慎重なものとなり、序盤は静かな展開が続くが、いったん試合が動き始めると一気に激しい乱打戦へと突入することも多い。
では実際の試合の流れを見てみよう。
HarmlessSavageRebellionが見事な作戦、予選でのリベンジを果たす!
数百人のファンが会場で、数千人のファンがオンラインで見守る中、2本先取制の試合が始まった。
HSRは本大会の予選で1度SDRに敗れており、この決勝戦に挑む時針に温度差が見られた。SDRは必勝を誓い、HSRは敗北もやむなしというコメントを残して各プレイブースの中へ。
・第1戦「大草原地帯」
第1マップは「大草原地帯」。見晴らしの良い草原を中心に、東西と中央に身を隠しやすい通路を持つマップだ。
立ち上がりはとても静かに展開した。南側陣地からスタートしたSDRは、じわじわと西側中央付近に主力を展開。西の端は2両ほどでディフェンシブなポジションをとり、HSRの動きをうかがう。残り5分を過ぎてSDR主力が西側のHSR戦力を発見。じわじわと押し始めた。
その直後だ。東側からHSRの主力が一気に攻勢をかけはじめる。SDRは東側に少数しか展開していなかったため、あっというまに囲まれ、2両が大破。西側に展開していたSDR主力は応援に駆けつけようとするが時すでに遅く、HSRは数の優位を活かして一気に前進、防戦一方のSDR残党を狩る形で殲滅勝利を果たした。
そもそものマッチングとして、SDR側にリボルバー戦車が多かった反面、HSR側は通常砲塔型の戦車がやや多いという面もあった。リボルバー戦車は短時間なら爆発的な火力を持つが、いったん装弾を撃ち尽くすと長い長いリロードが発生するため、数にまさる敵に攻められるとリロード中を好き放題に狙われるはめになるのだ。これが、数に劣るSDRの東側があっけなく抜かれた理由だ。
・第2戦「プロクホルフカ」
第2マップは「プロクホルフカ」。中央に鉄道が走り、東側に小高い丘と集落、西側に1本道路が走り、全体的に微妙な高低差が多い地形だ。
ここではHSRが北に、SDRが南側からスタート。HSRは鉄道より東側に展開してディフェンシブな体制をとる。SDRは早々に西側道路を北上、横列を組んで敵の出方を待つ体制となった。両チームが本格的に動き出したのは残り4分を切ってからだ。
あまりに敵が見えないことにしびれを切らしたのか、HSR側のひとりがマップ中央部、鉄道の踏切付近へ前進。じわじわ前進を始めていたSDR側と接触し、撃ち合いが始まる。地味な打ち合いに終始していればこのまま時間切れだったが、残り1分でSDR側が思い切って全力前進を開始。中央の踏切を一気に乗り越えた。
実はHSR側はこの部分が非常に薄く、1~2両しか展開していなかった。全力で雪崩れ込んできたSDR側の圧力に対抗できず次々に撃破され、他のメンバーが駆けつけるも時すでに遅し。残り2分で4両を撃破したSDRが撃破数の差でこのマップを勝利した。
・第3戦「修道院」
勝者が優勝することになる第3マップは「修道院」。マップ中央に小高い町、西側は山岳地帯の通路、東側に川岸の1本道があるマップだ。一般的には、途中で2ルートに展開できる西側の山岳地帯に主力を展開し、突破したほうが有利になるという地形だ。
ここに定石通り展開したのは、南側陣地からスタートしたSDR。東側通路の出口付近に監視用の1両を残し、他は一気に山岳地帯へ展開。そこでじわじわ進んでいくのだが敵が見えない。それでも慎重に進んでいく。
開始数分で試合が動いた。北陣地からスタートしたHSRは、東の川岸ルートに重戦車主力を展開し、一気に突破を図ってきたのだ。SDR側の監視用に1両待機していた選手はたまらず数秒で爆散。HSR側はそのままの勢いで、重戦車3両が壁を作る形でSDR側陣地の占領を開始する。
SDR主力が西側の奥までじわじわ進んでいたタイミングだ。SDR側は急いで戻り、占領中の敵を妨害しにいこうとするものの、3両での占領を受けているため残された時間は30秒程度。しかも、HSR側は頑丈な重戦車を壁のように配置して鉄壁の布陣を敷いている。SDRは全力で殺到するが、短時間ではこの壁を破れず、そのままHSRが占領完了にて勝利。速攻の成功にて、HarmlessSavageRebellionが優勝を決めた。
・まとめ:攻め切ったチームが勝った
この3戦を振り返ると、いずれの試合も勝ったのは最後に全力の攻勢を仕掛けたほうだ。防戦に回ったほうはいずれの試合も負けている。もちろん、ただ攻めればいいわけではない。相手の動きを見極めた上で、その弱いところを突く形が攻勢として現れるからだ。
その意味でいうと、今回はHSRが作戦とその実行の大胆さにおいて上回っていた。SDR側を見ると、主力が展開していたルート上での前進に時間をかけすぎており、もっと速く押し込んでいたら試合結果が変わっていたはずの状況が多かった。結果として、いまさら主力が戻っても遅いというタイミングで、薄い部分を一気に突破される展開に2度、晒された。慎重すぎたのだ。
実はSDR側はこれまでのHSRとの対戦で、タイムリミットまで陣地に引きこもる作戦をとるHSRに手を焼いてきたという経緯がある。その印象があったのだろう。「敵はこの奥で震えているに違いない」。その思い込みが、思わぬ油断を生んだ。HSRは、それを完璧に利用した。文句なしの作戦勝ちだ。
優勝を果たしたHSRには「G-STAR 2013」でのエキシビジョンマッチ出場権のほか、賞金35万円、ほか副賞が与えられた。これまで最強を誇っていたSDRを撃破しての優勝である。
9月に日本サービスを開始した「WoT」、これから選手層もどんどん厚くなっていくに違いなく、新勢力の台頭もあるだろう。eスポーツ的な競争、そして波乱が巻き起こっていきそうで非常に楽しみだ。