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初音ミク「マジカルミライ」2013 開催!

関連最新タイトルの試遊や昼コンサートの模様をお届け!

8月30日 開催

会場:横浜アリーナ

初音ミクマジカルミライ2013コンサート(夜公演)

熱狂席 8,800円 センター席/アリーナ席 6,600円 スタンド席 5,500円

初音ミクマジカルミライ2013コンサート U-18優先(昼公演)

U-18優先センター席 3,990円 U-18優先アリーナ席 3,990円

マジカルミライ入場券:500円

(5歳以下入場無料)

 8月30日、初音ミクに関する大規模イベント、初音ミク「マジカルミライ2013」が、横浜アリーナで開催された。主催は東京メトロポリタンテレビジョンとクリプトン・フューチャー・メディア。

 “「初音ミクのすべて」を楽しめるユーザー参加型文化祭”として企画された本イベントは、初音ミクたちによるコンサートが楽しめる「マジ・エリア」と、これまでの初音ミクの歴史を振り返る展示とワークショップが展開された「カル・エリア」、企業とのコラボレーション企画やグッズの展示販売が行なわれた「ミライ・エリア」に分かれており、これまでの初音ミクはもちろん、これからについても感じることができるイベントとなっていた。

 ここからは、セガやソニー・コンピュータエンタテインメントジャパンの「初音ミク」関連シリーズ最新3タイトルの試遊ができたミライ・エリアの様子と、マジ・エリアにおいてU-18優先で開催された昼公演の模様を中心に、本イベントの内容についてお届けしていこう。

セガの初音ミク関連3タイトルはいずれも大人気!
ソニーブースの「miku miku hockey」は9月10日より配信開始!

「初音ミク Project DIVA Arcade Future Tone」は待ち時間150分を超える人気。4つのボタンの前部に、新たに用意されたタッチスライダーの操作が楽しめた

 ミライ・エリアのセガスペシャルブースでは、11月28日発売予定のニンテンドー3DS用リズムアクション「初音ミク Project mirai2」の試遊台を9台、アーケードで今冬稼働予定の「初音ミク Project DIVA Arcade Future Tone」の試遊台を4台用意。どちらも一般にはプレイできない開発中のタイトルのため、多くのファンが詰めかけており、プレイ待ちの行列は50分を超える人気となっていた。

 また、ソニースペシャルブースでは、2014年春発売予定の「初音ミク -Project DIVA- F 2nd」はPlayStation Vita版の試遊台が14台用意されており、こちらもプレイ待ち行列が50分を超える人気となっていた。また、ARで画面上に登場する初音ミクとエアホッケーを楽しめるPS Vita用アプリ「Miku Miku Hockey」の試遊台も用意されており、多くのファンが初音ミクとのエアホッケーを楽しんでいた。なお、「Miku Miku Hockey」については、PlayStation Plus限定で9月10日より配信されることになっている。

「初音ミク Project mirai2」では、操作をボタンとタッチの2種類から選択できた。新たな操作法であるタッチ操作でプレイする人が多い印象だった
「初音ミク -Project DIVA- F 2nd」は14台と最多の試遊台があることもあり、比較的スムーズにプレイできていた
PS Vitaを動かしてパックを操作する「Miku Miku Hockey」。初音ミクの画像をARマーカーにして、PS Vita上の初音ミクとエアホッケーを楽しむことができる

U-18優先で3,900名に向けて開催された昼公演コンサートレポート
別角度からの映像により存在感を増した演出に注目!

会場の様子。最上段に用意された3枚の大型スクリーンが効果的な演出となっていた

 マジ・エリアでは初音ミクのコンサートを昼公演と夜公演の2回開催。ここからは、取材することができた昼公演の内容についてお届けしていこう。ステージ上の中央には、初音ミクのコンサートに欠かせない初音ミクたちを映し出す透明なスクリーンが設置されており、その上に演奏を行なう生バンドのメンバー、さらにその上には3枚の大型スクリーンと、3段重ねの配置となっていた。

 いよいよ会場のライトが落とされて初音ミクが登場すると、会場のテンションは一気にヒートアップ!1曲目からリズムに合わせて色とりどりのサイリウムが振られ、観客たちが体を思い思いに揺らす特別な空間へと早変わりしていった。

 今回のコンサートで気がついたのは、ステージ最上部に設置された3枚の大型液晶スクリーンについて。ミュージックビデオのようなCGが表示されたり、アニメーションが表示されたりと、曲に合わせてさまざまなムービーが表示されたほか、途中からは透明なスクリーンに映し出された初音ミクたちを別角度のカメラから表示することで、さまざまな角度からの中継を見ているかのような、より存在感を増した演出が楽しめるたのが印象的だった。

【会場の様子】

【初音ミク「マジカルミライ2013」セットリスト】

曲名アーティスト名
M1Sweet Devil八王子P
M2二次元ドリームフィーバーPolyphonicBranch
M3キャットフードdoriko
M4からくりピエロ40mP
M5ありふれたせかいせいふくピノキオP
M6どうぶつ占いすこっぷ
M7深海少女ゆうゆ
M8Hello, WorkerKEI
M9erase or zeroクリスタルP
M10ピアノ×フォルテ×スキャンダルOSTER project
M11スキキライHoneyWorks
M12shake it!emon
M13Weekender Girlkz (livetune) × 八王子P
M14FREELY TOMORROWMitchie M
M15Last Night, Good Night(Re:Dialed)livetune
M16Leiaゆよゆっぺ
M17東京テディベアNeru
M18アンハッピーリフレインwowaka
M19glowkeeno
M20Tell Your Worldlivetune
M2139sasakure.UK×DECO*27
M22ODDS & ENDSryo(supercell)
●アンコール
M231/6 -out of the gravity-ぼーかりおどP(noa)
M24ゆめゆめDECO*27
※M13、14、23は夜公演のみ

「初音ミク V3」を日本のクリエイターが世界に向けて発信する力に
クリプトン・フューチャー・メディア伊藤社長インタビュー

クリプトン・フューチャー・メディアの代表取締役である伊藤博之氏

 昼公演後、初音ミクの生みの親といえる、クリプトン・フューチャー・メディアの伊藤博之氏への合同取材が行なわれた。このインタビューの内容についても合わせてお届けしよう。

――マジカルミライについてのコメントをお願いします

伊藤氏:今までの初音ミクのコンサートをやらさせていただきました。非常にたくさんの方に集まっていただいて、盛り上がるイベントだったと思うのですが、初音ミクという音楽のソフトウェアを使って、音楽を作る方、音楽に絵をつける方、動画をつける方という、創作が文化の中心になって、創作をした結果としてのコンサートだと思うのですけれども、創作の部分というのが従来のコンサートの中ではなかなか表現することができなくて……。

 今回、明日、初音ミクが6周年を迎える節目の年なんですけれど、コンサートを行なうことに加えて、初音ミクとかボーカロイドの技術の創作の文化を、若い子たちに伝えていく場を同時に開催するべきなのかなということで、そういった位置づけでコンサートとワークショップ等のイベントを開催させていただきました。そういたくくりでのイベントを「マジカルミライ」と名付けて開催したわけです。

――初音ミクの今後の展開についてお願いします

伊藤氏:初音ミクは音楽のソフトウェアであるというのがありまして、クリエイターが初音ミクというソフトウェアを使って、音楽を作ってイラストとか動画を作る方がそこに加わって、創作の輪を広げています。で、初音ミクのソフトウェアを進化させることが、そういった創作の機会を広げていくし、新しい方々を引き込んでいったりとかできるかなと思っていまして、初音ミクの新しいソフトウェアを9月26日にリリースします。これはヤマハさんが開発したVOCALOID 3というエンジンに対応したデータベースを搭載した初音ミクとなります。

 加えて、従来のボーカロイドというのはWindows版だけだったのですが、音楽を作っているユーザーにはMacを使っている方がかなり多いんですよ。そこで、Macに対応させるということが音楽のクリエイターの裾野を広げることになると思っていまして、「初音ミク V3」では、VOCALOID 3に対応するということに加えて、Mac環境でも音楽が作れるようなソリューションを提供しています。

 あと、ボーカロイドというのは音声のデータベースのみが入ったパッケージなのですが、ご存じの通り音楽を作る場合にはドラムとかベースとかいろいろな楽器を使います。「初音ミク V3」に関しては、人間の歌声だけではなくて、楽器の音色、そしてそれを構築するための基本的なソフト……DAWっていうんですけれども、そのソフトウェアも搭載していまして、要するに1本だけで音楽を作ることができるという、オールインワンパッケージになっています。それをリリースします。

 そして、その「初音ミク V3」として開発した英語のライブラリがあるんです。実は明日の8月31日に、それを全世界に向けてダウンロード販売という形で先行リリースします。僕らが目指しているのは音楽を作っているクリエイター、今まではWindowsのユーザーさんのみだったのですが、Macユーザーさんも取り込んで、従来はライブラリが日本語だけでしたが、それに加えて英語の歌も歌えるようにする。そうすると、海外のユーザーが英語を使って曲を作る人たちをどんどん増やしていくことができる。それが一方向なんですけれど、逆方向があって、日本のクリエイターが海外で活躍するための有効なツールにもなるのかなと思ってます。

 これからの初音ミクの方向性という点でいきますと、英語のライブラリを提供することによって、音楽を志すユーザーを増やしていく、日本国内だけではなくて、海外も含めて増やしていく、それから日本のクリエイターが海外でも活躍できる……最近ではクールジャパンといった言葉で、日本の文化を海外へ出していくことをやっていると思うのですけれども、真の意味で、日本のクリエイターが海外で活躍していく土壌を提供していきたいと思っています。

――「初音ミク V3 ENGLISH」は日本のクリエイターが海外で活躍するためのパスポートになると先日の発表会でおっしゃっていましたが、日本のどんな方に「初音ミク V3」を使っていただきたいですか?

カル・エリアには「初音ミク V3」が体験できるコーナーも用意されていた

伊藤氏:言葉って音楽のすごく重要な部分を占めるんですね。我々はJ-POPとか日本の音楽を聞きますが、J-POPはほぼ日本の中だけで聴かれていて、海外では聴くことはあんまりない。もちろんアニメエキスポとかジャパンエキスポとか、そういった会場ではファンはいますけれども、一般のアメリカ人やヨーロッパ人が聴くかというとノーですよね。でも、英語の歌詞を載せることによって、ワールドワイドで広がっていく可能性があると思っていて、僕らも日本人ですけど、アメリカのポップスとか普通に聴いたりしますけど、それは東南アジアでもヨーロッパでもアフリカでも同じなわけで……。

 「初音ミク V3 ENGLISH」を提供することは、同じ土俵にようやく立てると。英語で歌えるシンガーを探すというのは非常に大変なのですが、ソフトウェアとして提供してしまえば、英語の曲を自宅で作ることができてくるわけであって、そういった意味では世界にうって出る……そこまで深い意味ではなくっても、そういった志・才能を持ったクリエイターに使ってほしいなと思います。

――「初音ミク V3」の発売を来月26日に控えて、ますます初音ミクの盛り上がりが期待できますが、ファンやユーザーの皆さんへのメッセージをお願いします

伊藤氏:日本には1億2千万人くらいの人口がいて、これほどクリエイティブなことに関心の高い国民ってそうそういないと思っています。世界の中でも本当にクリエイティブな気質を持った国として日本があるのかなと思うんですね。たとえばクラスでイラストをちゃんと描ける人ってアメリカ人だと珍しいのですが、日本人だと珍しくないんですね。そして、メロディに言葉を乗せるということもうまいかなと思っていますし、音楽もこういったボーカロイドという文化が根付いてきて、非常にカジュアルに動画を作ることができちゃっているわけですね。そういった部分を広めていくコアになるモノとして初音ミクはあると思いますし、そういった文化をこれからも広めていきたいと思っていますし、そういうことを初音ミクファンに限らず、多くの日本人に、そして世界の人々に言いたいですね。

 トップダウンでハリウッド映画だけがコンテンツではなくて、日常的な思いを伝えていくというたくさんの人が集まったコンテンツも一方で世の中にあるんだということを、多くの人たちに伝えていきたいなと思いますね。

――ありがとうございました

(菅原哲二)