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【ChinaJoy 2013】Aiming、gloops、Ateam、Renren Gameなど日中6社によるパネルディスカッション

開発者はどのように新たなゲームを作り、日本市場にアプローチしていくべきか?

7月26日~29日開催(現地時間)

会場:上海新国際博覧中心(Shanghai New International Expo Centre)

 ChinaJoy 2013に先がけて開催されたChina Game Business Conference(CGBC)では、Aiming代表取締役社長の椎葉忠志氏、Ateam取締役の中内之公氏、gloopsSG第一統括部長の加藤寛之氏、Pokelabo代表取締役社長の前田悠太氏、そしてRenren Game Japan Vice PresidentのJacob Feng氏、PitayaGames Co-Founder & COOのHarrison Liu氏によるパネルディスカッションが行なわれた。

 パネルディスカッションのテーマは「中国・日本のソーシャルゲームとパートナー戦略」。パネリスト達はそれぞれの視点から、ソーシャルゲームそのものへの想いや、変化していく市場、自社のコンテンツを世界に展開していくためへの考え方などを、様々なテーマに沿って語られた。

受け継がれるカードバトルの楽しさ。源流はMMORPGの「武器強化」にあり!?

日中6社のゲームメーカーが集まり、ディスカッションを行なった
中国と日本のモバイル市場の比較。日本も大きい
中国のAPP Storeのゲームジャンルの傾向

 最初の大きなテーマは「中国ソーシャルゲームのチャンスとチャレンジ」。中国のゲームのトレンドに関して、PitayaGamesのLiu氏は「日本や韓国は大きくスマホ向けゲーム市場が伸び、次が中国と言われている。そして中国での成長していくゲームは全てがソーシャルゲームの要素を持っている。そしてスマートフォンを対象にしたゲームはそのまま海外に進出していくのではないか」と語った。

 Renren Gameのfeng氏は「IP」、「ゲーム体験」、「ハイスピード」という3点を挙げた。魅力的なIPと、ミニゲームなどの特性を活かしたゲームの楽しさ、そして早いスパンでのリリース。現在中国国内では2,000ものゲーム開発会社があり、そのうち800は優秀なゲームを生み出す力がある。それらの会社が半年に1本くらいのスパンで生み出している。このためゲームの質を求める方向性が強くなっている。

 こういった現状を受けた上で、ゲームメーカーはどうしていくか。Aimingの椎葉氏は「中国の市場を日本が攻略をするには現地企業と組まなければならない」と語る。中国のパブリッシャーがこちらのゲームを見る中で、他のタイトルと異なる魅力を知ってもらうためにはどうするか、やはり「ゲームの面白さ」が鍵となる。ソーシャルゲームはローカライズ、サーバーの運営費などかなりのコストがかかる。このコストを掛けて良いだけのタイトルかどうか、という点は大きいという。

 Pokelaboの前田氏は自分たちが作っているタイトルを中国でサービスしていくに当たり、大事になるのは「コミュニケーション」だという。ローカライズ、カルチャライズは現地の人達ならではの思い入れが必要となるが、こちらが提出する仕様書などは日本語であり、資料としては日本語であるため伝えにくい。

 Ateamの中内氏はタイミングも大事だという。「ダークサマナー」というタイトルを北米でサービスしたときは、まだカードバトルげーむがない中でイニシアチブが取れた。中国ユーザーが飛びつく新しいゲーム性をどう盛り込めるかも大事になる。

 gloopsの加藤氏は「日本はwebブラウザゲームで発展してきた。開発は2~3カ月でダメならば次、というようにフレキシブルにやってきたが、『パズル&ドラゴンズ』の様なネイティブアプリの場合はコストも時間もかかる。まだ新しい流れの成功経験をもてない企業も多い中で、中国や韓国のゲーム開発を続けてきた技術を持つメーカーとも何らかのシナジーがもてるのではないかと期待している」と語った。

 次に「日本市場に向けてのゲーム開発」というテーマでのディスカッションが行なわれた。日本ではカードバトルが市場の大きな牽引力となったが「パズドラ」のヒットで今開発は一気にネイティブアプリ開発に傾きつつあるという。しかし日本市場ではカードバトルの「文法・文脈」を取り入れたゲームがトップにあり続けるであろうと前田氏は語った。ユーザーが慣れ親しんでおり、1回数分のプレイと言った遊び方もマッチしている。様々な形で磨き上げられてきたカードバトルは形を変えても生き残っていくのではないか?

 一方で停滞期になっているのではないかと考えているのが加藤氏だ。結局、クオリティを高く、ということが求められている。しかし、ただコンテンツをリッチにするだけでなく、より楽しく遊ばせる、新しい知見でユーザーの心をつかむ研究が必要なのではないかと考えている。中内氏はリアルタイム要素があり、その時間はプレーヤーが必ず参加しなくてはならない「ギルドバトル」はこれまで無かっリアルタイム性をもたらした要素であり、このように様々な手法をとり得て進化していったり、カードゲームとしての見せ方そのものを変えてしまうような変化も起きていると分析する。

 これに対して椎葉氏は「カードバトルを日本で流行らせたのは私だ」と切り出し、「ドラゴンコレクション」が生まれたのは椎葉氏の「ブラウザ三国志」があったからであり、それはもともと元々、MMORPGの「武器強化」の要素を盛りこんでいったものだという。それを何故カード形式にしたかというのは、更新性の高さを実現させるためだ。

 MMORPGの武器や防具の場合、リソースがかなり大きなものになる。一方カードにしてしまえば絵を1枚用意するだけで良い。このシステムの本質はカードではなく、インフレし続けるユーザーの要求に対し、更新スピードをついていかせるために生まれたシステムだというのだ。一方中国は、開発力の高さでMMORPGでユーザーの更新スピードに対応できている。

 アイテムへの欲求をカードという形で答えた「合理的」なシステムこそがカードバトルゲームの本質だと椎葉氏は指摘する。このため今後もこのシステムは継続していくと椎葉氏は言う。このため、MMORPGを多く製作してきた韓国や中国の制作者は、カードバトル要素をもったゲームを今後作れるのではないかと期待しているという。中国側としても、チャンスではないかという視点を持っているという。

【パネリスト】
Aiming代表取締役社長の椎葉忠志氏
Pokelabo代表取締役社長の前田悠太氏
Ateam取締役の中内之公氏
gloopsSG第一統括部長の加藤寛之氏
PitayaGames Co-Founder & COOのHarrison Liu氏
Renren Game Japan Vice PresidentのJacob Feng氏

(勝田哲也)