タミヤ、「ジャパンカップ2012 チャンピオン決定戦」を開催

全国12地区の頂点に輝いたのは、小学生のころの夢を叶えた盛選手


9月30日開催

会場:MEGA WEB



 株式会社タミヤは9月30日、東京・お台場のMEGA WEBにて、ミニ四駆全日本選手権「ジャパンカップ2012」の「チャンピオン決定戦」を開催した。7月より12の地区で行なわれていた地方大会の優勝者が一堂に会し、日本一を競った。

 今年はミニ四駆誕生から30周年にあたり、「ジャパンカップ」も13年ぶりの復活となった。この大会のためにミニ四駆を再び始めたという人も少なくなかったという。この日は同時に3度目の東京大会や、30周年を記念した展示、著名人がミニ四駆の思い出を語るファンミーティングなど様々なイベントが行なわれ、大きく盛り上がった。





■ 30周年を記念した「ジャパンカップ2012」。池澤春菜さんなどのファンミーティングも

かなり難易度が高い、「ジャパンカップ2012 公式コース」
様々な著名人がミニ四駆の思い出を語った「ファンミーティング」

 「ジャパンカップ2012 チャンピオン決定戦」では、秋田、大阪、福岡など、全国12の地区予選を勝ち抜いた選手達がぶつかることとなった。特に東京大会は首都圏のみならず全国から1,000人を超える参加者が集う大きな大会となった。さらに今回もチャンピオン決定戦に先がけ、3度目の東京大会が行なわれた。

 彼らが挑戦するコースは、「ジャパンカップ2012 公式コース」。7月に行なわれた1回目の東京大会で詳しくレポートしているが、「ナイアガラスロープ」と呼ばれる急角度の下り坂が多くの選手を悩ましている。パワー重視、スピード重視にしすぎるとたちまちコースアウトしてしまうのだ。それでも抑えすぎるとライバルには勝てないので、選手達はギリギリのセッティングを求められることになる。

 このため、「東京大会1」では完走率が20%という展開になったが、この大会以降選手達の口コミや、ネットを介した情報共有により攻略が進んだ。「東京大会3」では、こういった状況を受け、さらに今まで以上に多い参加者を予想し、午前と午後の2度コースに挑戦できたところを1度きりに変更した。参加者は予想どおり多くなり、1,600人を超えた。

 1度きりの戦いということで、コースアウトも目立った。しかし、それでも熱心な選手は複数の地方大会に参加し、さらに仲間達と情報共有を行なってセッティングを煮詰めており、「東京大会1」とは違って同じコースアウトでも2周目、3周目まで粘る車も多かった。不安定になりながらも立ち直る車、ゴール寸前で止まってしまう車など、終盤まで緊張が続くレースも多かった。

 この地区大会と同時に、様々なイベントも行なわれた。会場となったMEGA WEBは2つの建物からなるトヨタのショーケースであり、両方を使用して行なわれた。東京大会3のほか、スペシャルステージとして様々なイベントが行なわれた。「ファンミーティング」ではミニ四駆を題材にしたアニメ「爆走兄弟レッツ&ゴー!!」の星馬豪を演じた声優の池澤春菜さんや、「スーパー耐久」シリーズなどに参戦するレーサーであり、第1回ジャパンカップのチャンピオンである駒木孝有さん、ヴィジュアル系ロックバンド・SuGのmasatoさん、お笑いコンビ・ギンナナのキクチケンイチさんが登壇し、ミニ四駆への想いを語った。

 また、メディアなどの関係者がミニ四駆で戦う「ジャパンカップ 2012メディアレース」や、新製品の発表なども行なわれた。新製品は10月11日より開催される全日本模型ホビーショウに先がけて一部が発表された。会場で大きく取り上げられたのは「エアロサンダーショット」。インテークが左右と上にあり、効率の良い冷却を可能とするほか、メンテナンス性に優れるといった特徴があるという。

 この他に、30周年を記念し、これまでの歴史を題材とした展示、アニメの資料などの出展や、組み立て教室、RCカーの体験コーナーなどもあり、人気を集めていた。また、MEGA WEBに設置されているPS3「グランツーリスモ5 SpecII」のシミュレーターなども人気だった。


【ジャパンカップ2012 東京大会3】

「東京大会3」は、1度きりの挑戦だったが、1,600人以上の挑戦者が参加した
ミニ四駆誕生30周年を記念して、歴史を振り返るコーナーは特に盛況だった
左から、ファンミーティングで登壇した声優の池澤春菜さん、レーサーであり、第1回ジャパンカップのチャンピオンである駒木孝有さん、SuGのmasatoさん
ギンナナのキクチケンイチさん。組み立て教室や、RCカー体験コーナーなども
新パーツなどの情報も公開。目玉となるのは「エアロサンダーショット」945円で、12月発売予定




■ 13年ぶりに、ジュニアコース、オープンコースの日本一が決定

優勝した東京2の盛厚太朗選手、2位は群馬の廣瀬雅俊選手、3位は広島の山下智史選手
ジュニアコース優勝は東京1の船橋葵士選手、2位は広島の船橋亮雅選手、3位は愛知の池田彰太選手

 そしていよいよ「ジャパンカップ2012 チャンピオン決定戦」が行なわれた。中学生以下の「ジュニアコース」と、年齢制限のない「オープンコース」の2部門で12地区の優勝者がぶつかりあった。対戦はくじ引きにより決まり、2~3人で戦い、勝った選手がファイナルへと駒を進める。

 ここでは“運”が重要な要素となった。出場選手が全員リタイアしてしまうともう1度最初から戦い、勝者が出るまで返される。対戦相手の組み合わせによっては、もしコースアウトしてしまっても、全員がコースアウトした場合は再戦できるため、これがチャンスにもなり得た。ジュニアコースでは3回も勝負をし直したこともあった。さらに決勝には、敗れた選手達が再戦して入ることができる「敗者復活枠」が用意されている。オープンクラスの優勝者は、敗者復活から優勝をもぎ取っており、実力はもちろん、強運も味方にしていた、という印象も持った。

 また、次のブロックに進む際に「電池を交換するか」を質問される。ここも駆け引きである。電池残量が少なくなるとパワーは減るが、その分安定性は増す。電池を替えるか、替えないかも勝負に大きな影響を及ぼすのだ。

 結果、ジュニアコースでは船橋葵士選手と、船橋亮雅選手の兄弟の1、2フィニッシュとなった。弟の葵士選手は東京1代表、兄の亮雅選手は広島地区代表として出場したが、住んでいるところは愛知とのこと。このようにミニ四駆大会出場者は様々な場所から地区予選に参加する人も多いという。

 オープンクラスの優勝者は東京大会2代表の盛厚太朗選手。優勝時のコメントは「小学生のころの夢が叶った!」とのことだ。表彰式の後話を聞いてみたのだが、盛選手はブレーキを固めに、他の選手達のセッティングよりパワー重視のモーターを使う“攻めのセッティング”にしたのが勝った要因ではないか、と話してくれた。1度敗れてから、ブレーキ部分を指で揉んで柔らかくし、電池もあえて交換しないという方法で決勝戦に臨んだという。

 大会の最後には10月から行なわれる「オータムカップ」の開催が発表された。ミニ四駆選手達の戦いはこれからも続くようだ。今後どんなコースが現われ、選手達がどう攻略していくかに注目したい。


【ジャパンカップ2012 ジュニアコース決勝】

【ジャパンカップ2012 オープンコース決勝】

激戦となった決勝大会。実況放送もされており、試合前に自慢の車体を見せる演出も。中央下は緊張感のある電池交換作業
オータムカップ開催が宣言された。2週間後にはスタートだ

(2012年 10月 1日)

[Reported by 勝田哲也]