ニュース

「FIFA 14 ワールドクラスサッカー」ジャパンプレミアが開催!

夏休み返上で「FIFA 14」を開発中! 牧田和也氏インタビュー

夏休み返上で「FIFA 14」を開発中! 牧田和也氏インタビュー

EAカナダ、エゼクティブプロデューサー 牧田和也氏。1999年より「FIFA」シリーズの開発に携わり続け、2009年よりシリーズ全体を統括

──今回の試遊では3時間みっちり遊べました。かなりというか、ものすごくプレイの印象が変わっていますね。

牧田和也氏:マスターしていただけましたか?

──いやあ、まだですね。操作の感触が非常に変わっていて、「FIFA 13」までの感覚を1度捨てないといけませんね。開発としては、これからどんどん調整をかけていくといった段階でしょうか?

牧田氏:そうですね。予定されている仕様はすでに全て入っている状態で、これから様々な調整を行なっていきます。

──今回、最新作としてどのような違いを生み出していこうとしているのでしょうか?

牧田氏:サッカーの試合の中で、自分のパターンを創りだせる、ビルドアッププレイに注目した遊びを実現することがひとつめの狙いです。それからフィニッシュの爽快感。ゴールを決めるときのスピード感などですね。自分が創りあげたゲーム展開の完成形がゴールですので、その面白さ、感動をちゃんと伝えられるようにフォーカスして開発しています。

──ビルドアップというと、今回はディフェンダーとの距離が縮まってかなりタイトなスペース感の中でプレイするゲームになっていますね。このあたり、従来よりも難しいゲームになるのかなという印象があるのですが、そのあたりのバランスはどのように調整しているのでしょう。

牧田氏:「FIFA」の場合、ユーザーさんの数が増えていることもあって、初めてサッカーゲームを触るという方もかなりいるんですよね。そういった方にも遊びやすいゲームにしなきゃいけない、ということを私達はいつも考えています。難しすぎることのないように、例えば本作ではスキルムーブを右スティックだけで出せるとか、密着したディフェンスに対してボールをキープする「シールディング」という動きを左トリガーだけで出せるとか、そういった操作性の部分でかなり簡略化を図っています。ゲームのペースも速すぎると難しくなりますし、ディフェンダーの距離についても遠すぎず、近すぎないバランスを見つけるために常に調整を行なっています。

──「FIFA 13」では、サッカー的な予想のできなさという部分がクローズアップされて、パスやトラップで予測できないことが起こるという要素が入って来ましたけれども、このあたりは「FIFA 14」でも継承されるのでしょうか?

牧田氏:そのあたりはシリーズの特徴として、個性を潰さないように今作でも取り入れています。

──今回プレイしたバージョンでは、多少その部分が厳しすぎるかな、という印象がありました。

牧田氏:まさに、これから調整していくのはそういった部分も含まれます。例えばトラップの動きなどは最後の最後まで最適なバランスを追求していきます。今回、パスの距離が足りないとか、方向が合わないといった部分をご指摘いただきましたが、それらを含め、ひとつひとつ問題を解決していくつもりです。

──その中で、今回導入された「プレシジョン ムーブメント」という要素ですが、2年前に導入された「プレーヤー インパクト」に匹敵するエンジン級の変更、もしくはそれ以上の根本的な変化を感じます。これはどういった思いで導入されたのでしょうか?

牧田氏:選手の移動の動きをロコモーションと呼んでいるのですが、ここが人間の物理的な動きを表現する上で最も重要な部分なんです。これがきちんとしてないと、人間っぽく見えない。重心移動というのはその時々の動きで変わってきますし、次にどういう動作をするかによっても姿勢が違ってきます。これを解決するために、1歩1歩の動きを全て計算で行なようにして、その時の足、体、手、顔の動きがどうあれば適切か、ということをやっています。これを作るにはかなりの時間が掛かりました。

──具体的には、出来合いのアニメーションパターンを単に繋ぐだけではなく、1歩ずつ、体の動き全体を計算している感じでしょうか?

牧田氏:そうですね、ほぼプログラム的に動かしています。行きたい方向がまずあって、それに対してボールやディフェンダーの位置など状況の変化を1歩づつ見ながら歩幅を変えるといった処理をしています。シュートの動きが1番わかりやすいですね。今までだったら無理やりアニメーションを合わせていたところを、今回は適切な歩幅・歩数で、きちんとしたシュート体勢を創りだせるようになっています。

──スポーツゲームとして最も基本の部分ですよね。ここを変えることによって、プレイの印象が全く違ってくるという。

牧田氏:これはもう「FIFA」だけでなく、EA Sportsの全てのゲームで同様の手法を取り入れています。

──Xbox Oneの発表会で披露されたEA Sportsブランドの新エンジン「IGNITE」というのは、つまりこれのことだったのでしょうか?

牧田氏:いえ、「FIFA」のこの要素だけではなく、いろんなスポーツゲームのプロジェクトで得られた良いところを組み合わせたもの、というイメージですね。

──「IGNITE」は今世代のゲーム機向けのバージョンにも搭載されると考えていいでしょうか?

牧田氏:「IGNITE」は、そこに到達するまでに今世代機で培われたものを集大成し、さらにパワーアップさせたものといったもので、次世代機向けとなっています。もちろん、今世代機向けのバージョンが全く切り離されているわけではないですけども、次世代機バージョンのほうがより進化していると理解していただければと思います。

──そうすると、PS3/Xbox 360向けの「FIFA 14」と、PS4/Xbox One向けの「FIFA 14」は、異なるゲームになるということですか?

牧田氏:それは、今後の機会にお話していきたいと思っています。まずはE3あたりからですね。

── では、E3でお聞きします(笑)。それ以外の点ですと、オンライン対戦でのマナー問題に対する取り組みが気になっています。例えば5分位内での失点で切断、試合をなかったことにする行為や、オウンゴールを連発して試合を壊す行為など、対策は考えていますか?

牧田氏:なるほど。例えば、ゴールセレブレーションを挑発的に使うユーザーさんなどもいるというふうには聞いています。楽しんでもらうために入れた機能が良くない使われ方をすることなど、ユーザーさんのマナーに関しての問題は開発でも話し合っていて、これから何ができるかを考えて行きたいというふうに思っています。

── 最後に、本作を楽しみにしているファンの皆さんにメッセージをお願いします。

牧田氏:残り数カ月ですが、最高の「FIFA」を実現するために、チーム一丸となって夏休み返上で(笑)がんばって開発しておりますので、是非楽しみにしてください。今までにない体験ができるゲームになると思いますので、よろしくお願いします。

(佐藤カフジ)