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「ArcheAge」ファミリーテスト「最初の遠征隊」参加レポート

時にコントになる「裁判」、そして想像力を刺激する海上戦

コントと見間違うような珍裁判も。犯罪と裁判システム

裁判所も作りこまれている。隅にはなぜか石が積んであり被告に投げることも可能だ
裁判になると通報された犯罪履歴が表示される。陪審員はこれを元に量刑を決める

 ここまでの説明で「ArcheAge」の世界は無法状態と感じられた読者もいるかもしれないが、この世界にも法は存在する。

 同勢力のプレーヤーを攻撃したり殺害するのはもちろん、他のプレーヤーがフィールドで育成している作物や家畜を奪うことは犯罪とされていて、犯罪行為を行なうとその場に犯罪の証拠となる血痕や足あとが残される。プレーヤーはそこから犯罪を通報することができるというシステムだ。

 そして一定ポイント以上悪事を重ね、通報されると犯罪者は裁判所に召喚され裁判になる。

 裁判では条件を満たした“善良な”プレーヤーの中から5人の陪審員が選ばれ、審議を行なうことになる。ここで無実を主張し、陪審員を説得することができれば無罪になる可能性もある。逆に反抗的な立場を取ると刑が重くなる可能性もある。有罪になると刑期満了まで牢獄に収監される。

 収監中は狩りや生産活動など他のゲームプレイをすることはできないので、犯罪行為を考えているプレーヤーはその覚悟の上プレイして欲しい。それでも犯罪人として生きる道を選択する場合、実は監獄から脱獄する方法も残されている。ネタバレ的になってしまうのであえてこの記事では詳細を紹介するのは避けるが、キーワードは「スプーン」だ。

 ちなみに裁判の様子は裁判所に行けば誰でも見学することが可能で、裁判の会話は大陸中の全てのプレーヤーが見ることができる。

 先日見た裁判では「初心者なのでシステムについてちゃんと理解できておらず、気がついたら罪を犯していた」と真面目に情状酌量を訴えるものがあった。陪審員も「初心者なら仕方がない」といった空気になり、刑はかなり軽くなったのだが、被告人は裁判が終わった瞬間に「実はシステムについてちゃんと理解した上で敢えて犯罪を行なった」と悪びれることもなく暴露し、陪審員は一杯食わされていた。

 一方シリアスな裁判だけではなく、コントと間違えるようなものもあった。あるプレーヤーが作物泥棒として訴えられたのだが、被告人は「お腹が空いていたので目の前の食べ物を食べただけ」という主張をしていた。しかし彼は作物だけでなく竹も盗んでおり、「君は竹も食べるのかね?」という陪審員の追求に、犯人は「遠い祖先にパンダもいる」と苦し紛れとも冗談とも取れる釈明をしていた。実際にどの様な判決が下ったかまでは確認できなかったが、陪審員を唸らせたのは間違いなく、ログ上でもそのやり取りは秀逸だった。

【スクリーンショット】
作物泥棒を犯すと足あとが残り、他のプレーヤーに通報される
牢獄の中では刑務作業に従事したり、広場ではサッカーができる
広場にはサッカー用の得点板もあり、プレーヤーがゴール数をカウントできる
ある監獄には意味深な壁がある。囚人仲間で協力して脱獄もできる

少人数で戦う遭遇戦から、超大規模な海戦まで。多彩なPvPコンテンツで熱くなる

大勢の味方と一緒に進軍する。ゾクゾクとする瞬間だ
単身敵船に乗り込む筆者

 「ArcheAge」では様々なコンテンツが体験できるが、その中で筆者がファミリーテスト中に1番ハマったのがPvP、特に大規模な戦争コンテンツだ。

 「ArcheAge」の職業システムはユニークで、10種類ある適性と呼ばれるスキル群から3つを選ぶと職業が決まるというものになっている。単純に言えば、120種類のバリエーションがある計算だ。

 更に同じ職業でもスキルポイントは有限で、スキルの選択によって戦い方が全く異なってくる。この多様性が「ArcheAge」のPvPの面白さだ。

 例えば近接攻撃をメインとした「格闘」という適性を選択したとしよう。ここから更に防御力を高める「鉄壁」という適性を加えれば前線で戦う戦士型のキャラクターが想像できるし、攻撃魔法を使う「魔法」を選択すれば、ハイブリッドの魔法剣士の様な戦い方ができるというわけだ。

 MMORPGのPvPというとまずレベルを上げるのが大変で、やりこんでいるプレーヤーでなければ参加しにくいといったイメージがあるかもしれないが、ファミリーテストではレベルキャップまで数日で到達できたので、プレイ時間の少ないプレーヤーでも参加の敷居は低いように感じた。

 むしろ「ArcheAge」のPvPで重要なのは適性の選択で、適性に合わせた立ち回りを展開させるプレーヤースキルだと感じた。

 筆者は厚い鎧を身にまとい防御力を高め、両手武器を振り回して敵に大ダメージを与えるというプレイスタイルをベースに、周囲の味方にサポートスキルを与えるという方向性を選んだ。敵の数が少ない状態で接近できれば火力で圧倒できるが、逆に数が多いと魔法の集中砲火を受けて死んでしまうことも多く、プレイした限りではあまり活躍はできなかった。

 しかし一言で近接攻撃をメインにした職業といっても、適性の組み合わせによって自分自身を回復することもできる。適性の組み合わせだけでも奥深いシステムになっているので、今後のプレイではスキルを変えたり、装備を工夫することで魔法攻撃にも耐えられないかトライアンドエラーを繰り返してみるつもりだ。

 ここまでは地上戦の話だったが、本作には海上戦もある。戦場が海に移ると戦闘は様変わりする。

 まず陸地とは違い、泳ぐと大きくスピードが下がるので船に乗るのが基本となる。その上で大砲で船自体を攻撃するのか、船を横付けして直接乗り込むのか。もちろん魔法や弓で遠距離攻撃もできるし、プレーヤーを海上に落として海上や海中で戦うこともできる。

 ファミリーテストで実装されていた船は大きく4種類で、手漕ぎ船、高速艇、貿易船、小型帆船で、それぞれ船のスピードや武装などが違い、まったく異なる戦い方が展開された。

 筆者は近接攻撃がメインだったので直接乗り込む戦い方が多かった。小型帆船の横に高速艇を横付けし、移動を妨害しつつハイドスキルを使って身を隠して潜入したり、味方とタイミングをあわせてグライダーで一気に乗り込むという戦い方をしていた。

 海上戦というと船に乗って大砲を撃ちあうような戦闘をイメージしていたが、本作の特徴であるグライダーや、船の種類、また適性の組み合わせ次第で無数の戦略が生まれそうだ。

 ちなみに本作の船は敵の船ですら操ることができるので、敵船を奪ったあとはそのまま凱旋の旅に出たり、船を破壊することもできる。筆者も自分の船を作成してみたが、その日の内に敵に沈められて悲しい思いをしたのが印象深い。

【スクリーンショット】
小規模な陸上戦から、大規模な海上戦まで。戦場も戦い方も多彩だ

自由度は高いが迷子になることはない。丁寧なチュートリアルとクエストシステムで世界に慣れる

 この様に、「ArcheAge」ではその自由度の高さがウリになっている。だが自由すぎると逆に何をやって良いかわからなくなるということも起こりうる。他にも、同じように高い自由度をウリにしたMMORPGは存在するが、筆者個人は自由度の高さゆえ、逆に何をして良いかわからなくなってしまうことがあった。

 しかし本作はプレーヤーが迷うようなことはなく、メインとなるストーリーと、チュートリアル、そしてクエストが用意されている。

 チュートリアルを進めていくと徐々にシステムについて理解が深まっていき、メインストーリーを進めれば自然に適正レベルのエリアへと誘導される。そこで起こるクエストを進めていくと経験値や装備が貰えキャラクターを成長させる事ができるといった具合だ。

 もちろんストーリーやクエストは任意なので無視して他のコンテンツで遊ぶことも可能だ。いきなり鉱山に鉱石を掘りに行ってもいいし、オススメはできないが敵大陸を目指して泳いでいく事もできる。

 ファミリーテストでは翻訳率が40%程度で、ところどころ韓国語が残っている部分がある。メインストーリーの見所であるムービーもその1つで、字幕は未翻訳だったため全体的なストーリーを掴む事はできなかった。動画からは何やら意味深な描写も見られたので、次回以降のテストを楽しみにしたい。

 クエストには指定された敵を倒してくるものや、アイテムを拾ってくるもの、特定の人物に会いにいくものが多いが、制作や交易や、家畜の育成などシステムについての理解を深めるものもある。

 更に指示されることは単純でも、NPCの会話をよく読むと人間関係や社会情勢が浮かび上がってくる。村人の為にモンスターを倒して欲しいと話すNPCは実は自分の利害しか考えていなかったり、別のクエストを依頼したNPCが実はスパイだったといった展開もあって面白い。

 特にユニークなクエストとしては、廃城の堀の底になぜか下着が落ちていて、その下着を持ち主のところに届けるというクエストがあった。筆者はまだ落とし主は見つけられていないが、なぜ堀のそこに下着が落ちていたのか、その謎が明かされる時を楽しみにしたい。

 今回は筆者が特に注目したコンテンツに絞ったが、「ArcheAge」には生産や交易といった要素も非常に充実している。しかし、それでも遊び方はまだまだ一部にしか過ぎず、他にも多くの遊び方が存在している。

 「ArcheAge」にはプレーヤーの想像力次第で様々な遊び方が生まれる。「そんな遊び方もあるのか!」と話題になるようなプレイを多くのプレーヤーがすることで、更に魅力的なゲームになっていくだろう。プレーヤー人数が解放されていく今後の展開に期待していきたい。

【スクリーンショット】
死体からスタートするクエストもある

(八橋亜機)