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PS3/Xbox 360「バイオショック インフィニット」先行体験レポート

聡明で不思議な力を持つ少女エリザベスとともに繰り広げる、天空の冒険

4月25日発売予定

価格:各7,770円

CEROレーティング:D(17歳以上対象)

 テイクツー・インタラクティブ・ジャパンは、プレイステーション 3/Xbox 360用アクションシューティング「バイオショック インフィニット」のプレス向け先行体験会を実施した。本作の発売日は4月25日で、価格は各7,770円。CEROレーティングはD(17歳以上対象)。

 「バイオショック インフィニット」は、天空に浮かぶ都市「コロンビア」を舞台としたアクションシューティング。主人公の私立探偵「ブッカー」と、謎の少女「エリザベス」の冒険を描く。まるで天国そのもののようなコロンビアに隠された秘密や、ブッカーを助けるエリザベスの知恵と奇妙な力、そして“スカイライン”という天空に張り巡らされたラインを使った空中戦など、見所の多い作品だ。

 今作はシリーズのファンはもちろん、これまでの作品の知識がなくても楽しめる作品となっている。今回は2K GAMESのクリス・ジェニングス氏と、2K GAMESアジア地区ローカライズマネージャーの矢野要介氏の説明を受けながら本作をプレイすることができたので、その模様をお伝えしたい。

天空に浮かぶコロンビア、楽園のような世界に隠された恐ろしい裏の顔

2K GAMESプロダクトマネージャーのクリス・ジェニングス氏
2K GAMESアジア地区ローカライズマネージャーの矢野要介氏
楽園のように美しい天空都市コロンビア

 今回の体験会は、ゲーム開始から前半の数時間を丸々遊ぶというかなりボリュームのあるものだった。コロンビアへの潜入、街での激しい銃撃戦をくぐり抜け、エリザベスとの出会い、そしてエリザベスの秘密の能力を体験するといった展開で、ゲームの基本的な要素をたっぷり見ることができた。最近はあっさりクリアできる海外タイトルが増えてきてるため、中盤ぐらいまでプレイしたような錯覚に陥ったが、まだまだゲームの序盤だという。前作「バイオショック」以上にボリュームのある作品だと感じた。

 本作は1912年、アメリカの最東北部にあるメーン州の沖から始まる。主人公のブッカーは1組の男女が動かす小舟に乗って、沖にある灯台だけが建っている小さな島にたどり着く。船はブッカーを下ろすと去ってしまう。ブッカーは灯台の中に踏み込んでいく。

 本作ではストーリーや設定、キャラクターの過去なども含め、全て断片的に与えられる。このシーンではまだプレーヤーは「エリザベスという少女を連れ出すために、コロンビアという場所を目指せ」という情報くらいしか与えられてない。

 どうやらこの灯台がコロンビアへの道らしいのだが、“天空に浮かぶ島”と呼ばれる、海の中の灯台から行けるのか? 船の男女は何なのだろう? なによりブッカーとはどんな人物なのか? 等々多数の疑問がわき上がる。これらの謎はプレイしていくごとに明らかになり、それが更なる大きな謎にも繋がっていく、というのが本作のストーリーテリングの手法のようだ。

 「バイオショック」をプレイした人は、“海の上に突然現われた灯台”という場面にニヤリとさせられるはずだ。「バイオショック」では偶然たどり着いた灯台から、海底都市「ラプチャー」への道が開かれた。「バイオショック インフィニット」の主人公ブッカーは灯台を探索するうちにカプセル型の機械に閉じこめられる。そして突然カプセルの底部が炎を吹き上げ、天空の島に打ち上げられることとなるのだ! 一瞬、窓の外に青い空と、雲に包まれて浮かぶ街が見える。その外の景色の美しさに目を奪われるところも、「バイオショック」での体験を思い出させる。

 こうして訪れたコロンビアは、平和で美しい街だ。コロンビアは空中に浮かぶいくつもの島が連結されて作られており、地上の都会のような街がある。店は華やかで、大きな風船が上がっていたり、花火が打ち上げられたりしている。ものすごく大規模な遊園地のような華やかで楽しい場所だ。さわやかな青い空と、雲の絨毯に浮かぶ島々は幻想的で、その壮大さにも目を惹かれる。

 グラフィックス表現でも驚かされた。今回はPS3版をプレイしたが、島々が連結し、高低差もある広大な空間はハードウェア的にかなりの負荷がかかりそうだが、遅延無しに表示される。暗い部屋に差し込む光や、木漏れ日、建物の反射する光など、光の表現は特に印象的だ。「バイオショック」ではPS3版のグラフィックスはXbox 360版と比べて荒いところがあったが、今作は最適化がなされ、どちらでも美しいグラフィックスで楽しめるとのことだ。

 筆者は、欧米のゲームはどちらかというと暗い、陰鬱な世界を扱った舞台が多いと感じていたが、このコロンビアは柔らかな明かりに満ちており、人々の表情も柔和で、筆者がこれまで持っていた“欧米のクリエイターが生み出す世界”とは対照的で、こういう「夢のように美しく、平和な世界」の表現もできるのかと驚かされた。とても印象的な世界だ。

 しかし、ブッカーは都市を探索していくうちにコロンビアの「闇の部分」に直面することになる。多くの観客が集まった楽しげなステージに行くと、突然「ボールをぶつけよう!」とボールを手渡される。ステージの幕が上がると現われた標的は縛り上げられた黒人と白人のカップル。観客達は「汚らわしい」とわめき、ボールをぶつけろとはやし立てる。黒人と関係を持った白人に制裁を加えろというのだ。

 コロンビアは人種的偏見に満ちた白人優越主義の地だった。加えてブッカーはこの地に侵入する時に、手の甲に入れ墨を入れられている。この入れ墨はブッカーを「偽りの羊飼い」と呼ばれる犯罪者として指名手配するものだった。ブッカーはこのカップル達の騒動をきっかけに入れ墨を発見され、彼を殺そうとする警官達と血みどろの戦いを繰り広げて行くことになる。

 戦いの最中にも、コロンビアは様々な一面を覗かせていく。警官や賞金稼ぎ達の暴力的な面や、天国を満喫する白人達と、こき使われる有色人種。また、支配者である「カムストック」への宗教的な匂いの強い盲目的な信仰心を持った人々にも出会う。

 コロンビアはどんな世界であり、繁栄の陰にどんな矛盾を抱えているのか、カムストックにはどんな秘密があるのか。今回プレイした範囲ではまだまだ語られていないところが多い。コロンビアの秘密は、プレイの大きなモチベーションとなると感じた。

【スクリーンショット】
空の上の平和な世界。永遠の休日を過ごしているような、住人の幸せそうな表情が強く印象に残る
侵入者として追われることになるブッカーに、裏の顔を見せ始めるコロンビア。世界の描き方、その変化に注目したい

スカイフックで空を飛翔し、様々な特殊能力「ビガー」を使いこなせ

ビガーの「デビルズ・キス」。火の玉を出すだけでなく、爆弾としても使える
マシンガンやショットガンなど様々な火器を使いこなす

 「バイオショック インフィニット」ではブッカーは様々な銃器と「ビガー」と呼ばれる特殊能力、さらに「スカイフック」という回転する鍵爪での近接攻撃で戦う。スカイフックによる近接攻撃は強力で、特に体力の少ない敵には「フィニッシュ」が使える。スカイフックを頭部に突き刺したり、ちょっとエグイ演出が入るトドメの攻撃だ。

 最初の遠距離武器はピストル、次にマシンガン、ショットガンといった感じで物語を進めていくに連れて徐々に武器が増えていく。ピストルやマシンガンは反動が少ないため敵に当てやすく、ショットガンは近距離での攻撃が強力だった。さらに威力は高いが単発しか撃てないカービン銃や、範囲攻撃ができるが持ち運べる弾が少ないRPGなどクセのある武器も登場する。ただ、注意点としてブッカーは1度に2個までしか武器を持ち歩けないため、どれを使っていくかは考えていかなくてはならない。この武器の仕様は、すべての武器を所持して、それぞれ強化しながら物語を進めていった「バイオショック」とは大きく異なる部分だ。

 ビガーもまた様々な種類が登場する。「ポゼッション」は敵や砲台などを一定時間操る能力。1度操られた敵は、支配が切れる寸前自分自身を攻撃して倒れてしまうというかなり強力な能力だ。「デビルズ・キス」は炎の弾を発射し、一定時間継続ダメージを与える。攻撃ボタンを長押しすることで、地雷のように設置することもできる。「マーダー・オブ・クロウ」はカラスの群れを呼び出し、敵を攻撃する。

 ビガーを使うには「ソルト」が必要となる。ソルトはライフとは別の青いバーで表示されており、フィールドを探索して青いクスリを取ったり、ソーダ水を飲むことで回復する。ライフは赤いクスリや食べ物で回復する。この他「シールド」がある。シールドは敵の攻撃で0になっても一定時間で回復する。これらの数値は「インフュージョン」というアイテムを取ることで上限を上げられる。

 武器の威力上昇やビガーの強化はフィールドの自動販売機で「シルバー・イーグル」というゲーム内通貨で購入できる。また、「ギア」という装備により、「近接攻撃に炎の効果がプラス」といった様々な特殊能力を獲得できる。

 そして本作を代表するゲーム要素が「スカイライン」である。コロンビアにはスカイラインというレールが空に引かれており、ブッカーはここにスカイフックをひっかけて高速で移動できる。また、建物にフックのオブジェクトがある場合があり、ここに飛び移ることもできる。一見移動不可能な場所でも突破口が見つかったりする。

 足もとに何もないような場所もスカイフックで移動することがあり、背筋が寒くなるような恐怖感と、空を飛ぶ爽快感がない交ぜになった気持が体験できる。この浮遊感、飛翔感は「バイオショック インフィニット」で特に強調されている要素だ。

 スカイラインから地上に降りる際、敵がいれば降下しながら攻撃できる。移動速度を調節しながら銃撃戦をしたり、進行方向を変えたり、別のスカイラインや足場に飛び移ったりと、スカイラインならではのアクションはストーリーが進むにつれより多彩になっていく。慣れてくることで、自由自在に空を飛んでいるようなアクションを自分の手で実現できそうで、とても楽しみだ。

【スクリーンショット】
スカイライン、スカイフックを使いこなした空中戦
様々な場所で戦いを繰り広げていく

頼もしい謎の少女エリザベスとの冒険、異世界の扉を開ける超能力「ティア」

気丈な少女エリザベス。頼もしいパートナーでもある
異なる世界の扉を開く「ティア」
この映画のタイトルは……謎が詰まったシーンだ

 襲いかかってくるコロンビアの警備員や賞金稼ぎを撃退しながら街の奥へ進んでいくと、やがて目的地であるエリザベスの元にたどり着く。エリザベスは長い間囚われの身としてある所に閉じこめられているが、基本的な性格は明るく、好奇心が強く、かつ賢い少女だ。

 彼女は自分が閉じこめられていた場所から解放されたことに喜ぶが、コロンビアの支配者カムストックが何としてもそれを阻止しようとしていること、そしてそのために人の命を何とも思わないような恐ろしい刺客を繰り出してくることに激しく動揺する。しかし立ち向かうためには戦っていくしかないと覚悟を決め、ブッカーに協力する。これ以降、ブッカーとエリザベスが力を合わせて難関を突破していく、という展開となる。

 ブッカーであるプレーヤーにとって、エリザベスはとても頼りになる存在だ。彼女は戦闘中は巧みに敵の攻撃から逃れダメージを受けない。そして倒れた敵や近くのアイテムボックスから弾丸やお金、体力回復用のクスリなどを見つけ出し、ブッカーに投げ渡してくれるなど何かとフォローしてくれる。エリザベスはゲーム中導くようにブッカーの前を走る。地形に引っかかったり、足手まといになる事もない。エリザベスの自然な行動は、このゲームのAIの優秀さに気づかせてくれる。

 スカイラインで移動中の時もエリザベスは同じようにスカイフックを使ってついてくる。また「ロックピック」というアイテムを持っていることで、エリザベスは閉ざされた扉を開けることもできる。エリザベスは一緒に冒険を重ねていく中でプレーヤーの心に強い印象を残していく。“ヒロイン”の描き方にも注目したい作品だと感じた。

 そしてエリザベスの最大の特徴が「ティア」という特殊能力を持っていることだ。彼女はこの世界と異なる世界を見ることができ、さらに次元を超えて様々なものをこちらの世界に持ってこられる能力を持っている。そしてブッカーはこのエリザベスの能力を使って目の前の事態に対処できるようになる。ゲーム的には、エリザベスが見つけ出した異界にあるオブジェクトを、こちらの世界に出現させることができるようになるのだ。

 砲台を呼び出せば敵を自動的に攻撃してくれるし、弾薬が足りなければ、アイテムボックスや、自動販売機を呼び出すこともできる。スカイフックを引っかけることができるオブジェクトを呼び出すことで、これまで移動不可能だったところを進むこともできる。ティアは1度に1つのオブジェクトまでしか呼び出せない。例えば砲台で攻撃中にアイテムを出現させると砲台は消滅してしまう。一方で砲台が敵に壊された場合などは1度砲台を消滅させてから再出現させると復活するといった使い方もできる。ティアを使うことでより戦略的に戦うことができるのだ。

 ティアはブッカー達のいる世界とは異なる世界への扉だ。つながる世界はこの世界とよく似ているが、不意に巨大な怪物が現われたり予想がつかない“違い”がある場合もある。エリザベスはなぜこの能力が使え、そしてブッカーとの冒険にどのような影響をもたらすのか? この後のストーリー展開の鍵を握る要素だ。

 「バイオショック」ではラプチャーという海底都市が登場したが、主人公が訪れたときには秩序は崩壊してしまっていた。本作「バイオショック インフィニット」では楽園のようなコロンビアが、主人公の侵入と、エリザベスの逃亡で姿を変えていく。楽園に見えたコロンビアの裏の顔も明らかにされていく。この物語がどんな展開を迎えるのか、とても興味が惹かれる。もっともっとプレイしたいと感じた。発売が待ち遠しいタイトルだ。

【スクリーンショット】
奇妙な敵も多数登場するようだ
エリザベスは閉じ込められていた環境から、ブッカーによって解放される。エリザベスの成長、2人のドラマにも注目したい
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(勝田哲也)