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「サドンアタック」2012年の頂点を極める「SACTL 2012」レポート
昨年優勝のKmn-Gamingがまさかの準決勝敗退。NabDが王者の座を奪還
(2012/12/17 21:53)
株式会社ネクソンは12月16日、渋谷ヒカリエ ヒカリエホール1において、「SACTL(Sudden Attack Clan Tournament League) 2012」のオフライン決勝トーナメントを開催した。
「SACTL 2012」は「サドンアタック」の国内最強クランを決める大会で、決勝トーナメントに勝ち残った「NabD」、「Adult.V」、「Kmn-Gaming」、「Celluloid」の4クランが争った。参加した総勢772クランの中で日本最強のクランが決められた。
本稿では会場で発表されたアップデート情報と、「SACTL 2012」の決勝トーナメントの模様を紹介する。
新マップに新モード、「攻殻機動隊S.A.C.」とのタイアップなどを発表
アップデート情報では、本作の運用担当である柴田岳寛氏から今後のアップデート情報の発表が行なわれた。まず新マップ「カレメグダン」、「アサルト」と、新モード「シュートアウト」、「ダークナイフ」が追加される事が発表された。
石で造られた建物が見られる「カレメグダン」は、既存の三つ巴戦を維持しつつ、デスマッチもできるようにしたマップ。「アサルト」は碁盤目状に柱が並び、隠れる場所がほとんどない。激しい撃ち合いを想定したマップになるという。
新モードは動画での紹介になったので、詳しくは下記にある動画を確認して頂きたいが、これまでのサドンアタックにはない新しいタイプのモードとなるようで、「シュートアウト」はAIM力と反射神経が、「ダークナイフ」は暗闇の中、相手の行動の裏をかく戦い方が求められそうだ。
また新たなタイアップとして映画「ロックアウト」、「攻殻機動隊S.A.C.」とのタイアップが発表され、「ロックアウト」は武器のタイアップが、「攻殻機動隊S.A.C.」はキャラクターのタイアップが行なわれる。
これらのアップデートは、2013年1月から3月の間に実装予定とのことだ。
他にも吉木りささんとのタイアップ第3弾として、クリスマスバージョンの実装が現在進められているという。詳細は明かされなかったが、新たに録音されたボイスもあるとのことだ。こちらの実装は今月中を予定している。
また来年の大会についての話もあり、「サドンアタック」の大会のルールが韓国のルールと統一されるという。大会は「SAOMT(Sudden Attack Official Master Tournament)」2回、「SACTL」1回、日韓戦の4回を予定しており、「クラン募集数も幅を広げて1,000クラン程度にするので、今まで出たことない人も是非出てみてください」と柴田氏は話した。
準決勝第1試合、名実共に「サドンアタック」のトップクラン「NabD」vs初のオフライン大会に闘志を燃やすクラン「Adult.V」
準決勝は、5ラウンド先取の攻守交替の1試合勝負で争われた。準決勝第1試合は「NabD」vs「Adult.V」の試合。マップは「ドラゴンロード」だ。
「NabD」はかなり古くから「サドンアタック」で活動している古参クランで、オフライン大会の入賞歴も多い。「サドンアタック」を代表する強豪クランの1つだ。
対する「Adult.V」はオフライン決勝トーナメント初参加となる比較的若いクランだ。しかし実力は他のクランと比べても見劣りしておらず、夏に開催された「SAOMT 2012 Summer」でも予選を勝ち抜いて2次リーグに進出している。
準決勝のマップは「ドラゴンロード」が使われる。中華街をモチーフにしたマップで、看板の上を渡っていく立体的な移動が可能なのが特徴的なマップだ。看板の上はかなり狭くなっており、ちょっとした操作ミスで落下死してしまうこともある。
まずは先攻後攻を決めるナイフ戦。落ち着いてきっちりとこのラウンドを制したのはNabDのクランリーダーMatchaa選手だった。ドラゴンロードは防衛側のブルーチームの方が勝率が高いとのことだが、NabDは前半レッドチームを選択する。
第1ラウンドではMatchaa選手が先陣を切り看板を登ってBサイトに向かう。防衛側Adult.Vのメンバーを2Killし、その勢いに乗じてNabDのメンバーが雪崩れ込む。Matchaa選手がグレネードでKillされるも、さらに2Killを決め人数差は4:1と圧倒的にNabD優位な状況を作った。
Adult.Vで生き残ったのはスナイパーライフル(SR)のJungOoo選手。この人数差はかなり厳しく、ハンドガンでなんとか1Killを取るもカバーのNabDメンバーにKillされ、1ラウンド目はNabDが制した。
そのまま勢いに乗る第2ラウンド、NabDはAサイト、Bサイトに別れて攻めていくが、Aサイト、Bサイト付近でほぼ同時に交戦が発生、撃ち合いではNabDが2Kill、Adult.Vが3キルを取り2:3と人数差でAdult.Vが有利な状況。さらにNabDのVader選手がグレネードで自爆してしまうと、1:3と厳しくなる。
1人残ったMatchaa選手はAサイトで1Killを取り1:2に持ち込むが依然状況は厳しい。しかしMatchaa選手は一旦退き、フェイントをかける。相手が前線を押し上げる隙を狙って爆弾を設置するという頭脳戦を展開させると、爆弾の設置場所で待ち受けて2Killと鮮やかな逆転を見せた。
勢いに乗るNabDだが、Adult.Vも負けておらず、裏取りを決めた第3ラウンド、途中で攻め方を変更したNabDの動きを読み、封じ込めた第4ラウンドと2ラウンドを取り返し、ラウンド取得状況をイーブンに戻した。
続く第5ラウンドは、NabDのSR陣が落ち着いてきっちりとKillを取っていきNabDがラウンドゲット。
そして第6ラウンド目、Bサイト付近の交戦で人数差を作り1:2と有利な展開に持ち込んだAdult.Vの2選手。きっちりと2人1組で動き勝利を取りに行くが、NabDのSR使い、Eiss選手が爆弾を設置し、一気に追い詰められる。爆弾を解除するために前に出るしかないAdult.VをEiss選手がまず1Kill。爆発へのカウントは減り続ける。Adult.VはEiss選手をKillして爆弾の解除に向かいたいが、上手く回避され時間切れで爆発。このラウンドもNabDが制した。
前半戦最終となる第7ラウンドではNabDが撃ち合いに持ち込み、AIM力の差を見せつけNabDがラウンドゲット。前半戦終了時点で5:2とNabDが有利な状況で後半戦に突入する。
第8ラウンド、NabDのEiss選手がグレネードで2Kill、Matchaa選手が出会い頭ヘッドショットで1Killを取り、5:3と完璧な試合展開を見せるが、ここでVader選手がまさかの落下死。ドラゴンロード名物のこのアクシデントに解説のBRZRK氏から「年末の恒例行事ですね」というコメントが上がり、会場の笑いを誘っていた。結果は、アクシデントはありつつも撃ち合いを制したNabDがラウンドを取った。
流れを取り戻したいAdult.VはBサイト攻めからAサイト攻めに転じる作戦を取る。ゆっくりと時間一杯まで使って爆弾設置に向かうが、時間をかけすぎたせいかNabDに動きを読まれると、このラウンドも落としてしまい、NabDがマッチポイントとなった。
第9ラウンドは撃ち合いで3:1と人数差を作り爆弾設置、解除に来たNabD選手をKillし、Adult.Vがゲット。続く第10ラウンドも一気にBサイトになだれ込み爆弾設置。上手く爆弾解除を妨害しAdult.Vがラウンドをゲット。しかし第11ラウンド、Bロングでの撃ち合いに押し負けNabDがラウンド勝利。そのままNabDの決勝進出が決定した。
立ち回りや連携では大きな差は感じなかったが、やはりオフライン大会慣れしているのか銃撃戦でNabDが安定した実力を発揮したという印象だ
準決勝第2試合、連携で魅せるクラン「Kmn-Gaming」vs個人技で圧倒するクラン「Celluloid」
準決勝第2試合は「Kmn-Gaming」vs「Celluloid」の試合。マップは準決勝第1試合と同じ「ドラゴンロード」を使用する。
「Kmn-Gaming」は昨年行なわれた大会「SACTL 2011 Winter」を制し日本一の座についたクランだ。オフライン経験も豊富で、知名度・実力共に「サドンアタック」のトップクラスのクランである。ただし、SACTLの大会直前にメンバーのSofina選手が抜け、補欠だったCyborg選手がメインメンバー入りするというトラブルがあった。新メンバーでの練習期間も短いため、Kmn-Gamingが得意としている連携プレイに影響が出る可能性がある。
対する「Celluloid」は個人技で対戦チームを圧倒するクラン。夏に行なわれたオンライン大会「SAOMT 2012 Summer」の優勝クランでもある。実力は申し分ないが、まだオフライン大会での優勝実績はない。本大会で実績を作りたいところだ。
まずは先攻後攻を決めるナイフ戦を制したのはKmn-GamingのKaminage選手。Kmn-Gamingの選手はこの結果になぜか大盛り上がりで、まるで優勝したかのような喜びを見せていた。そんなメンバーを尻目にKaminage選手は淡々とレッドチームでのスタートを選択した。
第1ラウンドはKmn-GamingがBサイトに向かうが、Celluloidが1stKillを取り人数差をつけてそのまま勝利。ラウンドを取られたKmn-Gamingだったが、Killされた選手はチームチャットを行なっているシーンも見られ、大会慣れしたKmn-Gamingの余裕が感じられた。
第2ラウンド、Kmn-GamingがBサイトを4人で攻め、裏を取ったCelluloidのREFEAR選手がBロングでKillを取るも、その隙にKmn-GamingのKINKO選手がAサイトに爆弾を設置、解除が間に合わずKmn-Gamingがラウンドをゲットした。連携と機転の効いた動きの勝利だ。
前半戦はここから取って取られてのシーソーゲームが続き第9ラウンド終了時点でKmn-Gamingが4ラウンド、Celluloidが5ラウンドを取るというかなり拮抗した戦いになった。
そして攻守交替し攻めるのはCelluloid。第10ラウンド、CelluloidのTENGO選手がSRで1stKillを取り、そのまま一気にBサイトになだれ込む。Kmn-Gamingのメンバーを一掃すると、まずはCelluloidがラウンドを制す。そのまま第11ラウンド、第12ラウンド、第13ラウンドと3ラウンド連続で個人技のスピードを生かして一気に爆弾を設置する戦法で4ラウンド連続でラウンドを取りマッチポイントになった。
後がないKmn-Gaming、迎える第14ラウンド、この重要なラウンドでCelluloidのTENGO選手がまさかの落下死。Celluloidにとっては厳しい展開に思えたが、まずグレネードでKmn-Gamingメンバーを1kill、そのままBサイトに突っ込みZODIAX選手が2Killし爆弾設置、解除に向かったKmn-Gamingのメンバーをきっちり抑えこのラウンドも勝利。後半戦はストレートでCelluloidがラウンドを制し決勝戦へ駒を進めた。
偶然会場にいたFPS5タイトルで日本1の座に輝いたbarusa選手に試合についてコメントを伺ったところ、「Kmn-Gamingは連携が非常に上手いクランで勝てたラウンドはきっちりと連携が取れていました。ただCelluloidの個人技がそれを上回ったという印象です」と話してくれた。
「Celluloidの怒涛の個人技にメンタル面での影響があったのでしょうか?」と伺うと、「Kmn-Gamingクラスのクランになると経験もあるのでメンタル面の影響はほとんどないと思います。強いて言えばメンバーが変わった事が影響したのかもしれません」とコメントしてくれた。
2012年「サドンアタック」No1クランの座に着くのははどちらのクランか
決勝戦は準決勝を勝ち抜いた「NabD」vs「Celluloid」の試合。決勝戦はマップは3つを抽選で選択し、5ラウンド先取の攻守交替制で先に2試合制したほうが勝者となる。マップは「シティキャット」、「オールドタウン」、「プロヴァンス」の順番に決定された。
まずは先攻後攻を決めるナイフ戦。勝ったのはNabDのMatchaa選手。全てのマップでNabDはレッドチームでのスタートを選択した。
第1マップ「シティキャット」は日本の街をモチーフに作成されたマップで、他のマップに比べフィールドが狭めになっており、早い展開が予想される。勝率はレッドチームの方が高い。
決勝戦第1試合で注目したのはCelluloidのuNiteD選手。準決勝でもかなりの活躍を見せていたが、決勝で爆発した。NabDが1ラウンド、Celluloidが2ラウンドを取って迎えた第4ラウンド、完全に別の方向を向いていたはずのuNiteD選手が脅威の反射神経で振り向き様にKillを取ると、第5ラウンドで2Kill、第6ラウンドで1stKillと活躍を見せる。スコアもトップに踊り出るほどの活躍だったが、チームのラウンド取得にはなかなか繋がらない状況が続いていた。
決勝戦第1試合前半戦終了時点で、5:4でNabDが1ラウンド多く取得し、後半戦に突入する。
攻守交替し第10ラウンド、第11ラウンドと連続してラウンドを取ったCelluloid。第12ラウンドで飛び抜けたのはやはりCelluloidのuNiteD選手。4Killを叩き出したuNiteD選手は、解説のBRZRK氏からは「1人で1個の師団みたいな感じですね」というコメントされていた。
3ラウンド連続取得で流れに乗りたいCelluloidだが、NabD側も負けておらずMatchaa選手の個人技でラウンドを返していき、第13、第14ラウンドはNabDが取った。これで取得ラウンド数はイーブンになる。
第15ラウンド、危うい展開ながらもなんとかCelluloidが制したものの、第16、17ラウンドとNabDに取られ、NabDがマッチポイントで迎えた第18ラウンド目。展開序盤からCelluloidはuNiteD選手を失い厳しいスタートとなった。
NabDのMatchaa選手が攻撃をしかけるも、CelluloidのREFEAR選手がそこに裏取りをかけて倒し、人数差2:1でCelluloid有利の人数状況となる。ここで残っているNabDのSR使いEiss選手が爆弾の設置を完了させた。状況を考えれば、このラウンドはCelluloidが制したと会場の誰もが思った。
爆発まで残り25秒の時点、Eiss選手はSRを使い、ヘッドショットで1Killを奪うと、さらに焦らそうと一瞬壁から顔を出したCelluloidの選手に遠距離からハンドガンでヘッドショットというスーパーショットが炸裂させた。会場も、選手たちも、実況のyukishiro氏も、解説のBRZRK氏も、そして何より本人も言葉を失うほどのミラクルショットで、第1試合はNabDが制した。
第2マップは「オールドタウン」で、グレネードの使い方が勝敗を分けるマップとなっている。
なんとかこのマップを制して第3試合に持ち込みたいCelluloidだが、第1ラウンドからCelluloidのゲームメーカーのuNiteD選手がNabDのVader選手にグレネードでKillされ、そのままの流れでNabDがラウンドを取り、幸先の悪い展開。第2ラウンド、第3ラウンドも続けてNabDが制す。
しかし第4ラウンドは、爆弾を解除するCelluloidのTENGO選手をREFEAR選手が守りきって爆弾を解除、Celluloidがラウンドを取得する。続く第5ラウンド、第6ラウンドもCelluloidが取って3ラウンド連続で勝利すると、この頃は会場の熱気もピークで、特にNabDのMatchaa選手がKillをすると意味不明な叫び声が会場から聞こえるなど、観客もかなりテンションが上がっていた。
しかしCelluloidの勢いはここまでとなる。第7ラウンド、第8ラウンドと連続してNabDにラウンドを取られ、前半戦はラウンド取得数5:3でNabDが有利。
第9ラウンドはCelluloidがなんとか制したものの、第10、11、12ラウンドは先ほどハンドガンでのスーパーショットを見せたEiss選手のハンドガンが再びCelluloidの選手を捉え、NabDが制した。マッチポイントを迎えたNabDは第14ラウンドに勝利を決め、「SACTL 2012」の優勝はNabDに決定した。
優勝の気持ちを聞かれたクランリーダーのMatchaa選手は「最高に気持ちいいです。またこのメンバーと、今回は補欠のziNovif選手やKeNNy選手も含めてみんなで戦って行きたいです。皆さん本当に応援して頂いてすこく嬉しいです、これから先も1人1人頑張っていくので応援をよろしくお願いします」と答えた。