任天堂、「ニンテンドー3DS LL」発売レポート

大画面で立体視映像がパワーアップ!


7月28日 発売

価格:各18,900円



 任天堂株式会社は、7月28日、ニンテンドー3DSの画面サイズを約1.9倍大きくした「ニンテンドー3DS LL」(3DS LL)を18,900円で発売した。カラーバリエーションは「レッド×ブラック(RED×BLACK)」、「シルバー×ブラック(SILVER×BLACK)」、「ホワイト(WHITE)」の3種でスタートとなった。

 画面の大型化だけでなく、丸みを帯びたデザイン、「SELECT」、「HOME」、「START」ボタンの形状変更、バッテリー持続時間の延長など、「3DS LL」の特徴を「3DS」と比較しながらレポートしていこう。

■ シンプルな梱包。付属品点数の削減で大きさの割に小さいパッケージ

 3DS LLのパッケージは、本体の大きさを考えるとかなりコンパクトと思えるもの。光沢のあった3DSと違い、ニンテンドーDS Liteを思い出させるマットな仕上げになっている。

 パッケージには本体(SPR-001)、専用タッチペン(SPR-004)が1本(本体セット済み)、SDHCメモリーカード4GB(本体セット済み)と、ARカード6枚、取扱説明書、保証書とパンフレットなどが同梱。3DSにあった専用充電台とACアダプタ(WAP-002)は付属せず、その分コストダウンと省スペース化が図られている。また、SDHCメモリーカードは4GBと3DS同梱のものの倍の容量になっており、タッチペンは金属製の伸縮式のものから本体と同じ材質のDS世代のものに近い、専用のものへと変更されている。先端部の処理は3DSのものに近い。

 なお、専用充電台(SPR-007)は1,200円で別売され、ニンテンドーDSi LL/DSi、3DSと共通のACアダプタ(WAP-002)は1,000円で販売されている。

光沢のない、DS Liteを思い出させるパッケージの処理裏面には大画面であることをアピールする文言が
同梱物一覧。ACアダプターと充電台がカットされているSDHCカードとタッチペンは本体にセット済み

■ 大きくなった本体だが、各部の処理ですっきりした印象

 今回、カラーはホワイトを選択。ホワイトはマット仕上げで指紋跡は目立ちにくいが、過去の経験上、汚れや日焼けが目立つ傾向があるので、気をつけたほうがよさそう。液晶が大きくなり、本体も大きくなっているのだが、全般的にエッジ部分が丸く処理されており、スマートな印象だ。

 サイズ的には、3DSの74×134×21mm(縦×横×厚み)から、93×156×22mmとなっており、縦で19mm、横で22mm、厚みは1mm増えた格好だ(折りたたみ時)。

・本体上画面部

 3.53型(3DS)から4.8型(3DS LL)と大きくなった液晶画面と、その左右には2つのスピーカー穴、そして右には立体視の強弱を調整するスライド式の「3Dボリューム」が用意されている。また、3DSにあった「3Dランプ」がなくなった。

 3DSとは異なり、上画面内側は液晶画面以外の部分(いわゆる額縁)は、DS時代と同じくボディカラーと同じ処理が施されている。任天堂公式サイトの「社長が聞く」によれば、スピーカーを丸型のものから細長い角型のものへと変更しているとのことだが、スピーカー穴の形状はあまり変わっていない。額縁を狭くするための工夫だが、その効果もあってか、思った以上に液晶上画面は大きく感じられる。

 上画面右にある3Dボリュームは、2D表示(1番下)から上へスライドさせることで3D立体視表示となるが、最下部から上へずらす際に、軽くクリック感があり、切り替わるところがわかるようになった。

 上画面部裏側には立体視の写真が撮影できる「外側カメラ」とライトが備わっている。角が取れ、すっきりした印象で、上画面側のボディもすらっとしているのが印象的だ。

・本体下画面部

 3.02型(3DS)から4.18型(3DS LL)となったタッチスクリーンを中央に、左側にスライドパッドと十字ボタン、右側にA、B、X、Yボタンがあり、位置関係はほとんど3DSと同じになっている。形状に関しては、スライドパッドは角が取れており、へこんでいる部分が大きくなっているように見える。

 右下に電源ボタン、タッチスクリーン下部にはSELECT、HOME、STARTの3つのボタンが並ぶのは3DS同様だが、電源ボタンは角型から丸型へ形状が変更されている。そしてSELECT、HOME、STARTの3つのボタンは独立したパーツになっており、フラットなパネルだった3DSより明らかに押しやすくなった。STARTボタンの横には小さくマイク穴が設けられている。

 裏側に目をやると、L/Rボタンが3DSに比べて大型化しているのにすぐ気がつくだろう。ニンテンドーDSiに似た、底面までボタンが突出している形状で、ボディの大型化にあわせて押しやすさを考慮した処理だろう。タッチペンは本体横に収納されるようになり、3DSより取り出しやすくなったと感じる。その隣にはフタ付きのSDカードスロットがある。SDカードスロットのフタは開くようにするとそのままフタを引っ張るようにできており、3DSなどよりは開けやすかった。セットする方向は裏向きであるのは3DSやDSiシリーズ同様。

 本体下側の奥側は、中央にDS/3DSカードスロット、その横には、充電台用の充電端子とACアダプタ接続端子、赤外線受発光部が配置されているのは3DSと同様だ。

 左側面にはスライド式スイッチのサウンドボリューム、右側面にはスライド式の無線スイッチがあるが、どちらも3DSより大型化されているだけでなく、少し出っ張った形にセットされており、使いやすくなっている。

 3DSでは手前の中央部にあったヘッドフォン端子は、3DSでは左に寄っている。ストラップホールは、左右の角の丸く処理された場所にそれぞれ設けられている。


角を取って丸く処理することで、すっきりしたイメージに仕上げている。閉じた状態では、ボタン類が上画面にカバーされていないので、隙間から見える
上画面はこのような角度で固定できる。3DSやDSi LLとほぼ同じ

 なお、バッテリー持続時間に関しては、3DSが約3時間~5時間(3DSソフト)に対し、3DS LLは約3時間30分~6時間30分。やや伸びている。

■ 3DSと比較しながら実際に操作してみる

解像度は変わらないが、大型化したことでやはり迫力が出ることは大きなメリットだろう

 DSi LLのときも感じたが、なんといっても、3DSよりも大型化した液晶画面の迫力は代えがたい。特に立体視表示がより見やすくなったと感じられた。ただし、画面を目の正面に持ってくること、そしてやや離し気味にすることなど、あらかじめちょうどいい位置関係を探しておくことが重要となる。いわゆるスイートスポットは3DSよりはやや遠めで、狭いかな? という印象だ。

 3DSと解像度、色数に変更はなく、同じ解像度で画面が大きくなっているため、単純に映像が大きく表示されるが、DSi LLのときほどドットがはっきり見える感覚はない。画面を凝視すると認識できるが、ゲームをプレイしていたり、動く映像を見ている際はあまり気にならないのが正直なところ。

 画面への映り込みに関しても3DSから変化があった。3DSではかなりはっきり見える映り込みだが、3DS LLでは映り込んだ像が3DSよりも暗く見えるため、ありがたい。

 ただ、上画面に関しては、タッチスクリーンと比較すると、やはり若干暗く見える。バックライトから出る光の利用効率を向上し、省電力化したということだが、3DをON/OFFと切り替えても(3D OFFのほうが明るくなる)、下画面と比較すると若干暗い印象だ。

 ボディが大きくなったわりに、薄さが追求されている本体は、各部のエッジが丸くなっており、持ってみると、手にごつごつ当たる感触がないのが印象的。両手の手のひらで挟んで、下の丸い角を支えるように持つことで、ホールドしやすくなる。タッチペンを使ったプレイでは片手で持つことになるが、その場合は裏に回している人差し指を開き気味にするなどして支えてあげるといいだろう。

 大きくなってもボディの剛性は保たれており、ひねるように少し力を入れてもたわむようなことはない。重心が中央寄りになっているようで、両手で持ったときのバランスはよく、重量が約336gと、3DS比で約1.4倍になったとは感じにくい。片手で持つと、やはり重量増は感じられるが……。タッチペンを主に使うタイトルは、長く遊ぶなら机の上などに置いてプレイしたほうがいいだろう。

 また、各部のボタンが大型化しており、3DSとはっきり違う感触で使いやすくなった。特に、大型化したL/Rボタン、そしてSELECT、HOME、STARTボタンは押しやすくなったと言える。電源ボタンは突起が低くなっているが、誤操作防止にはこちらの形状のほうがいいと思える。

 スピーカーによる音に関しては、高域よりの傾向はあまり変わらないが、ユニットの違いなのか、3DSよりはやや音量は小さくなっていると感じられる。音を気にするなら、ヘッドフォンなどでプレイするといいだろう。


ボディサイズ的には厚み以外は大きくなったことがよくわかる。逆にタッチペンは短くなっている
A、B、X、Yボタンはほとんど変わらない感触電源ボタンは本体と同じ高さに近くなったが押しにくくはないスライドパッドの角がなめらかになった。テンションは変わらない印象
独立形状になったSELECT、HOME、STARTボタン大型化して押しやすくなったL/Rボタン3Dボリュームは3Dと2D切り替えの部分にクリック感が演出されている
本体下部も角が丸く処理されている本体上画面の厚みは3DSとあまり変わらないが、角が取れているため細めに見える?本体下画面部分も厚みがあまり変わらない。ボディが大型化したので薄さが際立つ


 いろいろ触ってみて感じたのは、やはり画面が大きくなるということによる効果が迫力という形で出ているということ。また、大型化したにも関わらず、ボディの作りは手堅いものになっており、安心感があるのが印象に残った。ボタン類が大きくなり、押しやすくなったのもうれしいポイント。上画面と下画面の明るさの違いが少し気になるところだが……。

 バッテリー持続時間は3DS LLのほうが伸びているが、個人的に外で遊ぶことを考えるとやはり3DSが向いていると思うし、屋内で使うことが多いなら3DS LLのほうがいいと思う。結局のところ、3DSと3DS LLのどちらを選ぶかは、利用者が何を望むのか、どのような利用シーンが多いのかではないだろうか。

(C) Nintendo
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(2012年 7月 28日)

[Reported by 佐伯憲司]