SCEA、「PlayStation E3 2012 Press Conference」を開催

「The Last of Us」、「God of Wars」最新作などを初お披露目


6月4日 開催(現地時間)
 
会場:Los Angeles


詳細は全く明かされなかったが、PS Vita用タイトルとして「CALL OF DUTY BLACK OPS:DECLASSIFIED」も発表された。今年の休暇シーズンに発売予定

 米SONY COMPUTERENTERTAINMENT AMERICA(SCEA)は6月5日、Los Angeles Memorial Sports Arenaにて「PlayStation E3 2012 Press Conference」を開催した。

 「PlayStation E3 2012 Press Conference」はSCEAが毎年最新作や今後のプラットフォーム展開などを発表する場となっており、今年もプレイステーション 3、PlayStation Vita、PlayStation Moveにラインナップされる多様なタイトルがお披露目となった。

 この記事では、発表の場にラインナップされたPS3とPS Vitaのタイトルをご紹介する。一部で噂されていたPS3の次世代機にあたるハードウェアの発表はなかったが、自社タイトルからサードパーティタイトルに至るまで満足感のある顔ぶれにご期待いただきたい。なおその他に発表のあったSCEAの事業戦略や新作PS Moveタイトル、PlayStation Networkなどに関する発表は別項でお伝えする。


発表の冒頭では、様々なプレイステーションプラットフォームのタイトルのゲーム画面をかいつまんでフラッシュバック的にまとめた映像が上映された。既知のタイトルから未知のタイトルまでをごちゃまぜにした、ゲームのモザイクとでも言うべき画面が映ると、会場からは歓声が上がった。思い出と期待が交錯するエキサイティングな映像だった


■ 「BEYOND TWO SOUL.」

重厚なサスペンスアクションが予想される「BEYOND TWO SOUL.」

 まず紹介されたのは、仏Quantic Dreamが開発した「HEAVY RAIN」に続く新タイトル「BEYOND TWO SOUL.」。ハリウッド女優のエレン・ペイジが主人公ジョディ・ホームズを演じており、Quantic Dreamらしい映画的な演出に期待がかかるタイトルだ。なお本作は、PS3でのみの販売となる。価格や発売時期は未定。

 その内容は、霊や死、超能力などについてが語られるという陰鬱な雰囲気を持ったもの。上映されたトレーラーでは、警官に何を質問されても物憂げな表情なまま口を開かないジョディや、そんな彼女をSWAT隊員が取り囲むシーン、また状況は打って変わってヘリコプターや車が爆発し、バイクや列車の上でアクションするジョディの姿が映し出されている。

 エレン・ペイジを起用することで映画的な描写をさらに追求した感のある今作だが、ゲームシステムや操作方法などについては明かされていない。「HEAVY RAIN」に見られたような没入感の強いゲームシステムが今作にどう受け継がれ、どう進化しているのか。人間の表情や動き、質感がリアルに表現されたトレーラーだけに、その辺りにも期待したい。


エレン・ペイジを起用したサスペンスアクション。前作は心の闇をテーマにした作品だったが、今回は霊や死をテーマに据え、それがどのような話へと発展していくかが楽しみだ


■ 「PLAYSTATION ALL-STARS BATTLE ROYALE」

正にオールスターズの乱闘アクション

 自社タイトル2つ目は、「PLAYSTATION ALL-STARS BATTLE ROYALE」で、こちらはPS3/PS Vita用乱闘アクションとなる。4人対戦が可能で、PS3とPS Vitaでの動作も特徴となる。発売日、価格は未定。

 本作は、いわゆるSCE版「大乱闘スマッシュブラザーズ」といったところで、PlayStationタイトルを牽引してきた「パラッパ」(「パラッパラッパー」シリーズ)、「クレイトス」(「ゴッド・オブ・ウォー」シリーズ)、「スライ・クーパー」(「怪盗スライ・クーパー」)などのキャラクターが勢ぞろいして乱闘を繰り広げるというお祭り的なタイトル。

 会場では4人の乱闘戦がデモプレイされた。対戦は、基本的には地上や空中を行き来しつつ、キャラごとに設定された格闘コマンドや連続技を決めていくというスタイルになる。またステージには地形が変化したり別のキャラクターが登場して戦闘に変化を与えたり、ゲージを溜めて必殺技を出せる。デモプレイでは、「Sweet Tooth」(「Twisted Metal」シリーズ)が巨大化し、対戦者に大ダメージを与える場面もあった。

 さらにデモプレイ後、「アンチャーテッド」シリーズより「ネイサン・ドレイク」が、「BIOSHOCK」シリーズより「ビッグ・ダディ」が参戦すると発表された。参加タイトルのラインナップも多岐に渡っているので、プレーヤーそれぞれに思い入れのあるキャラクターで対戦できるという楽しみもあるタイトルだ。


ゲームが進行するとゲージが溜まっていき、必殺技を出せるというシステムも見受けられた。地形やそれぞれの特徴を活かして戦う乱闘アクションだ
PS3/PS Vitaで同時にプレイできる「ネイサン・ドレイク」、さらには「ビッグ・ダディ」の参戦も発表された。今後もさらなる参加キャラクターに期待したい


■ 「God of War: Ascension」

「クレイトス」の起源を描くアクション

 全世界でのシリーズ累計2,100万本の売上を誇る自社タイトルシリーズの最新作「God of War: Ascension」。プラットフォームはプレイステーション 3で、発売は2013年3月12日を予定。

 今回はデモプレイでのお披露目となり、主人公「クレイトス」のダイナミックな攻撃方法に磨きがかかった様子が映し出されていた。「クレイトス」は今回、ある特定の場所の時間を操る能力を得ており、崩れ落ちる建造物の時間を止め、空中に留まったそれらの破片を利用して移動し、さらに建造物が完全に直るまで時間を戻してこれを登っていくというアクションが見られた。この時間を操る能力は敵にも使用してコンボを繋ぐために役立てられるようだ。

 敵は羊や象の頭を持っており、ボスクラスともなると巨大かつ凶暴な攻撃で「クレイトス」を襲う。しかしクレイトスはクレイトスで怒りに満ちており、弱った敵さえ容赦なく斬殺していく。特に象の頭を持った敵に対してはQTEも挿入しての演出で、後頭部に刀を刺して、刺して、刺す場面では会場から思わずうめき声が漏れるほどだった(本作は残酷さがウリなので、直後に拍手となった)。

 さらに巨大な相手に対しては、QTE演出が存分に活かされるようだ。今回登場した巨大な足を持つクラーケンに対しては、クレイトスを踏みつけようとする足を刀で受け止め、これをきっかけにしてクレイトスは足を登っていく。さらにそこから海へと狙いを定め、海へと飛び込む……というところで映像は終了。海の中ではどのような戦いが繰り広げられるのか。クレイトスの知られざる活躍に期待したい。


残酷さ、そして残酷がゆえの美しさが特徴的なシリーズ。それは本作でも受け継がれており、そこまでしなくても……と思うほどに激しい描写も見受けられた


■ 「The Last of Us」

傑作の予感をビシビシと感じさせた初お披露目となった

 最後の自社タイトルは、米Naughty Dog開発によるPS3用サバイバルアクション「The Last of Us」。今回の新作発表の中でトリを務めたタイトルで、最新デモプレイが公開された。

 高精細なグラフィックスと冒険活劇の躍動感で話題を集めた「アンチャーテッド」シリーズでも呼び声の高いNaughty Dogだが、「The Last of Us」は、光が射し込み美しさすら感じさせる荒廃した都市の中で、じっと息を潜め、緊張感を持続させられるかどうかが運命を分けるというシビアな世界観を持ったタイトルだ。

 主人公は、中年のJoelとそのパートナーの少女Ellie。「The Last of Us」は「アンチャーテッド」と同じTPSスタイルを取っているが、体力は自動で回復しないゲージ制で、弾も滅多に手に入らないという過酷な世界だ。荒廃した街ではいつ誰に襲われるかわからず、やられる前にやるしかない。

 Ellieはか弱い少女なので、基本的にはプレーヤーの操作するJoelに素直に付いてくるだけ。Joelは敵の後ろから忍び寄って首を絞めたり、少ない銃弾を消費して敵を倒していく。

 今回のデモプレイでは、住宅ビルを進んでいく道中で敵(本来は敵ではないかもしれないが)と遭遇した場面が上映された。後ろから忍び寄って敵を瞬時に倒す、というのは最近のTPSでは基本となりつつあるが、「The Last of Us」での敵はなかなか倒れない。後ろから首をホールドしても、必死の抵抗を見せ、自分の命を最後まで守ろうとする。

 この敵をやっとの思いで倒しても、その騒ぎが敵に見つかり、激しい銃撃戦へと発展する。部屋と部屋を行き来し、敵をかく乱しながらできる限り弾を消費しないように攻撃に転じる。

 しかし、やがて弾は尽きてしまう。思わずカチッカチッと銃の音をさせると、敵は「俺はその音を知っているぜ……」と言って近づいてくる。絶体絶命のピンチだ。接近してくる敵を為す術なく待っていると、甲高い「ass hole!」という叫び声と共に画面横から瓦礫が飛んできて、敵の頭に命中する。Ellieが瓦礫を投げたのだ。この一瞬の隙に、Joelは敵に飛びかかる。Joelは敵の頭を壁に打ち付け、台に振り下ろし、頭部を破壊する。

 たった数分のデモだが、“サバイバルすること”がとてもリアルに描き出されていた。ショットガンを持った敵ともみ合いになり、銃を奪って思わず敵の顔に向けると、相手は恐怖の表情を浮かべて「やめてくれ……!」と絞るような声を出す。デモプレイでは一瞬の間の後、ショットガンを発射するというショックな決断をした。しかしこれは同時に、こういった場面での決断は、あくまでプレーヤーに委ねられていることをも表している。

 自分も生き残るために必死だが、敵の行動や心理状態も状況によって変化する。過酷なサバイバルのリアリズムを描き出したデモプレイが終了すると、会場からの拍手と歓声は十数秒間続いた。今回のデモプレイは、会場の誰しもに傑作を予感させたお披露目だったと言えるだろう。


サバイバルはあまりに過酷で、シビアな判断の連続となる。Ellieは力こそ弱いが、武器を持った男に立ち向かっていく度胸と魂は並大抵ではない。なおこのEllie、モデルはエレン・ペイジだという話があり、カンファレンスはエレン・ペイジに始まりエレン・ペイジに終わるという奇妙な結果となった


■ 「ASSASSIN'S CREED III LIBERATION」

Vita専用の「アサクリ」が登場

 「ASSASSIN'S CREED III LIBERATION」は、米Ubisoftによるアメリカ独立戦争が舞台の「ASSASSIN'S CREED」シリーズ最新作「ASSASSIN'S CREED III」の外伝的アクション。プラットフォームはPS Vitaで、発売日は10月30日を予定している。

 「ASSASSIN'S CREED III LIBERATION」の主人公は女性で、木々を飛び移ったり兵隊を後ろから襲ったりといった暗殺アクションが楽しめる作品になるようだ。映像はまだ作品のほんの触りを紹介したに留まったが、Wi-Fi版PS Vita同梱版が発売されることが発表された。


シリーズ初の女性アサシンが活躍する暗殺アクション。まだまだ全貌は明かされていない

海戦アクションがデモプレイで披露された

 またプレイステーション 3/Xbox 360用アクション「ASSASSIN'S CREED III」の最新デモプレイ映像も公開された。シリーズでは地上を走り空中を駆ける身軽なアクションが定番となっているが、今回のデモプレイの場所は打って変わって海、しかも帆船同士での砲撃戦が見られた。

 プレーヤーは船長として舵を握り、左右への舵切り、砲撃の合図などをして敵船を撃ち落としていく。大砲は帆船の横についているので、敵船に対して横になりつつ砲撃しなければならない。船の動きには波の揺れも加わり、操作にはある程度の慣れが必要そうだった。圧巻は帆船同士が近距離で横並びになった瞬間で、ここではお互いの一斉砲撃によって食うか食われるかのスリルを感じられると同時に、豪快な火柱を見られる。

 砲撃が成功して怯んだ敵船に接近すれば、海賊よろしく全員で敵船に乗り込んでの戦闘になる。ここでようやく「アサクリ」ならではの暗殺術アクションが見られる……! と息巻いたところで映像は終了。名残惜しくはあるが、発売日は10月30日、限定DLCも付いたPS3同梱版も発売される予定だと発表された。新情報まで今しばらく待っていただきたい。


木造の帆船同士で砲撃し合う一見「アサクリ」らしからぬゲーム画面。砲撃を受けるとこちらの船も燃え、木片が焼け焦げて床に散らばる。砲撃がヒットすれば火柱をあげながら敵の船は大きく揺らぐ


■ 「Far Cry 3」

4人でのデモプレイが披露された

 「Far Cry 3」は、昨年のE3で米Ubisoftから発表され、北米では9月4日に発売が予定されているPS3/Xbox 360/Windows用FSP。今回は、4人の協力プレイによるデモプレイが行なわれた。

 場所は「Far Cry」らしい緑の生い茂る森の中で、ラフな格好をした4人組が武装勢力らしき敵勢を攻め、キーポイントなる場所を爆破していった。デモプレイではお互いに声をかけ合いながら、スナイパーが前線を援護したり、爆発物を運ぶプレーヤーを守りながらポイントまで移動したりと、連携の楽しさを感じさせる内容となっていた。

 本作では、こうした協力プレイのほかに、シングルプレイ、地図の編集なども楽しめる。なおPS3版を購入した場合、無料の限定DLCが付属する。


熱帯雨林を進むFPS。声をかけ合いながら進む協力プレイでは、爆弾を運ぶ係を守って進む、などのアクションが必要になるようだ

(2012年 6月 5日)

[Reported by 安田俊亮]