「SCEA E3 Press Conference 2012」レポート
PS Vitaが更に進化するアップデートや、新体験の周辺機器「ワンダーブック」をレポート
Sony Computer Entertainment America(SCEA)は現地時間6月4日、「SCEA E3 Press Conference 2012」を開催した。
カンファレンスでは多くのタイトルが発表されたが、ゲームタイトルの投入だけではなく、PS3やPS Vitaの様々な施策も発表された。この記事ではSCEの施策をメインに紹介していく。なお発表された各タイトルの紹介はこちらのレポートを参照して欲しい。
■ まったく新しい読書の形。「PS Eye」と組み合わせて使う新周辺機器「ワンダーブック」
「ワンダーブック」デモプレイの様子 |
カンファレンスでは「ワンダーブック」に対応する第1弾タイトル「ワンダーブック:ブックオブスペルズ」のデモプレイが行なわれた。
「ワンダーブック」はPS3用USBカメラ「PlayStation Eye」と組み合わせて使用する新しい周辺機器で、形状は文字通り本の様になっている。AR(拡張現実)技術を使い、「PS Eye」で撮影した「ワンダーブック」の周囲に様々な情報を付加し、テレビモニターに表示するという新しいタイプの周辺機器だ。
カンファレンスでは「ワンダーブック」に対応する第1弾タイトル「ワンダーブック:ブックオブスペルズ」のデモプレイが行なわれた。
「ワンダーブック:ブックオブスペルズ」はSCEが「ハリーポッター」シリーズの作者であるJ・K・ローリングと共同制作したタイトルで、「ブックオブスペルズ」と呼ばれる魔法の教科書を読み、「PlayStation Move」コントローラを魔法の杖として利用し、様々な魔法を実践するというタイトルだ。
「ワンダーブック」を開いても、現実世界では真っ白なページが広がるだけだが、「PS Eye」を通じて見ると本の上に呪文が浮かび上がり、「PS Moveコントローラ」は魔法の木の杖になっている。本当に魔法の教科書を見ているような気持ちだ。その後杖を振るなどアクションを起こすと、小さなドラゴンの様な生き物が本の周りを飛び回り、「ブックオブスペルズ」に炎を吐き出してしまった。慌ててプレーヤーが火を消すが、ページはススだらけになってしまう。しかしページを手でこするとススが払われ、再度ページの内容が読めるようになった。
他にも本の上でアルファベットのZの字を描くように「PS Moveコントローラ」を動かすと、あるページにあった扉が開き、本の中の世界が見えるようになる。その中には先ほど本に炎を吐いたドラゴンが飛び回っていた。プレーヤーが魔法の杖を振ると杖の先から炎が出てきて、その炎をドラゴンに当てて懲らしめるといった目的の様だった。炎を何度かドラゴンに当てると、開いていた扉が閉じ、「無事に練習が終わった」という内容の手紙が落ちてきた。
デモプレイはここで終了だったが、プレイを見ていただけの筆者も魔法の世界の中に入り込んだような没入感を感じることができた。第2弾、第3弾はどんな作品が出るのかはまだわからないが、「ワンダーブック」を使った新たな読書体験には非常に大きな可能性があるように感じた。
「ワンダーブック:ブックオブスペルズ」は2012年11月に欧州、12月に北米で発売予定となっており、他の地域にも順次展開していくという。
【スクリーンショット】 | ||
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まったく新しい読書体験になることは間違いないだろう | ||
■ PS3とPS Vitaがプラットフォームを越えて繋がる。「cross platform feature」
「クロスコントローラー」のイメージ |
PS3とPS Vitaのプラットフォームの連携を実現する「cross platform feature」が発表された。「cross platform feature」は「Cross-Play(クロスプレイ)」、「Cross-Controller(クロスコントローラー)」、「Cross-Save(クロスセーブ)」、「Cross-Goods(クロスグッズ)」、「Remote Play(リモートプレイ)」という5つの機能から構成されている。それぞれの機能を説明していく。
「クロスプレイ」はPS3とPS Vitaのユーザーがゲームの協力プレイや、対戦を行なう機能だ。既存のタイトルでは「ハスラーキング」、「モーターストームRC」、「WipEout HD」、「WipEout 2048」が対応しており、これから発売される「ストリートファイター X 鉄拳」、「PlayStation All-Stars Battle Royale」にも対応する予定だという。
「クロスコントローラー」はPS VitaをPS3のコントローラーとして、タッチスクリーンやカメラなどの機能を使い、PS3のソフトを操作する機能だ。TVとPS Vitaのディスプレイを連携させることで新たな操作感で楽しめるという。既存のタイトルでは「アルティメット マーヴル VS. カプコン 3」が対応しており、「リトルビックプラネット2」でも対応する予定だ。
「クロスセーブ」はPS3とPS Vitaでセーブデータを共有し、自宅でプレイしていたPS3のゲームの続きを、PS Vitaを使って外出先でも続きをプレイすることができるという機能だ。既存のタイトルでは「BLAZBLUE CONTINUUM SHIFT EXTEND」、「MLB12: The Show」、「モーターストームRC」が対応しており、発売予定のタイトルでは「Sly Cooper: Thieves in Time」、「サウンドシェイプ」、「PlayStation All-Stars Battle Royale」などのタイトルが対応予定となっている。
「クロスグッズ」は購入済みのダウンロードコンテンツや、ユーザー個人が作成した独自のコンテンツもPS3、PS Vita両方で楽しめる機能だ。既存のタイトルでは「アルティメット マーヴル VS. カプコン 3」、「MLB12: The Show」、「ハスラーキング」、「モーターストームRC」、「ModNation 無限のカート王国」、「Modnation Racers: Road Trip 」などで対応しており、発売予定タイトルでは「ストリートファイター X 鉄拳」、「Assassin's Creed III」、「Assasin's Creed III: Liberation」、「サウンドシェイプ」、「リトルビッグプラネット2」、「リトルビッグプラネット PlayStation Vita」、「PlayStation All-Stars Battle Royale」などで対応する予定だという。
「リモートプレイ」は文字通りPS Vitaを使って、離れたところにあるPS3を遠隔操作し、ゲームや映像を楽しめるというコンテンツだ。既存タイトルでは「BLAZBLUE」、「BLAZBLUE CONTINUUM SHIFT」、今後の対応予定タイトルでは「ICO」、「ゴッド・オブ・ウォー HD」、「ゴッド・オブ・ウォーII HD」、「ワンダと巨像」などで対応する予定だという。
■ PS Vitaが進化する。PS Vita「ゲームアーカイブス」対応のアップデートを実施予定
PS Vitaで初代プレイステーションの「ゲームアーカイブス」がプレイできる |
「Hulu Plus」や「Crackle」以外にも様々な動画配信サービスに対応する予定だ |
PS3やPSPでゲームアーカイブスを利用しているユーザーには嬉しい発表があった。PS Vitaの「ゲームアーカイブス」対応アップデートである。
「ゲームアーカイブス」はPS3やPSPで、初代プレイステーションやPCエンジンのゲームが遊べるというサービスで、2006年に開始され、700本以上のタイトルが配信されている。これまでPS VitaではPCエンジンのゲームのみが遊べる状態だったが、今夏実施予定のシステムソフトウェアアップデートで、初代プレイステーションのゲームも遊べるようになるという。
他にも日本での配信は不明だが、「Hulu Plus」や「Crackle」といった動画配信サービスに対応するアプリケーションも配信する予定があるという。動画だけでなく、ソニーが提供している音楽配信サービス「Music Unlimited」にも対応する予定があることを明かした。具体的なスケジュール感は明かされなかったが、PS Vitaはゲーム専用端末ではなく、様々なエンターテイメントを楽しめる端末になる日はそう遠くないのかもしれない。
■ PlayStation CertifiedライセンスにHTCのAndroid端末が追加。ソニーグループ以外は初
PS Vitaで初代プレイステーションの「ゲームアーカイブス」がプレイできる |
HTCのAndroid端末の一部がPS Certifiedライセンスを取得したことが発表された。
PS CertifiedとはPlayStation Mobile推進のプログラムで、PS Certifiedを取得している端末では、初代プレイステーションタイトルの他、2012年後半以降PS Mobileの開発キットを使って開発したコンテンツをプレイすることができるようになるという。
これでまPS Certifiedを取得している端末は、ソニーモバイルコミュニケーションズの一部の端末のみだったが、今回ソニーグループ以外で初めてHTCが同ライセンスを取得した。今後もHTCの様にPS Certifiedを取得する端末が増えていき、様々な端末で「プレイステーション」のコンテンツが楽しめるようになるかもしれない。
(2012年 6月 5日)