G-Star 2011レポート

【G-Star 2011】NCsoft、「Guild Wars 2」プレイレポート

「ダイナミックイベント」で熱中するハイクオリティなMMORPG


11月10日~13日 開催

会場:釜山国際展示場(BEXCO)

入場料:大人5,000ウォン、学生/子供2,000ウォン



試遊コーナーは多数のPCが常に満席状態。トリプルスクリーンとNVIDIA 3D Visionによる立体視環境も用意された

 韓国NCsoftは、11月10日より韓国・釜山で開幕した「G-Star 2011」において、Windows用MMORPG「Guild Wars 2(ギルド ウォーズ 2)」をプレイアブルで出展した。

 今年の同社のブースでは、出展タイトルを「Guild Wars 2」と「Lineage Eternal」の2つに絞ってきた。なおかつ「Lineage Eternal」は映像出展だったので、会場で遊べたのは「Guild Wars 2」のみ。ブースには約80台の試遊台が並べられ、1プレイ40分という長い時間に渡ってゲームをプレイできた。

 ゲームの概要については、8日にNCsoft本社で開催された「G-Star 2011 Premier」の記事をご覧いただきたい。本稿ではそれを踏まえてゲームのプレイ感をお伝えする。




■ 充実したキャラクターカスタマイズ。ゲームのストーリーラインに影響する選択肢も

 試遊台では40分間という時間を活かして、キャラクターメイキングから体験できた。種族は今回のバージョンでは人間のみだが、職業はエレメンタリストのほか、ウォリアー、ガーディアン、ネクロマンサー、アサシンなど7種類が選べた。8日のデモでは女性のエレメンタリストを選んでいたので、ここでは対照的な男性のガーディアンを選択した。

 次に外見のカスタマイズができる。項目はとにかく豊富で、身長と体格を選んだ後、ベースとなる顔と皮膚の色、髪型と色、髭の形を選んでいく。さらに目や鼻、口、あごの形といったパーツごとに微調整が可能。目だと釣り目・たれ目の角度や眉毛の高さなどを僅かずつ調整できる。その上、衣装や鎧の色もいくつかのパーツごとに決められる。ベースとなるパーツのデザインは決まっていても、その後のカスタマイズで印象はかなり変わってくる。

 外見の変更はここまでだが、キャラクターメイキングはさらに続く。「全てのものを失っても、最後まで持ち続けるものは何か?」、「出自は裕福か貧乏か?」、「過去の人生で後悔していることは?」など、性格診断のような質問がいくつか出される。これに答えていくことで、プレーヤーキャラクターの境遇が決定され、ゲーム開始時点から各プレーヤーごとに異なるストーリー展開に分かれることになる。

 カスタマイズの幅が非常に広く、カスタマイズしがいのあるキャラクターメイキングになっている。「The Tower of AION」などでキャラクターメイキングが楽しくて長時間かけてしまったような方は、本作でもまた違ったテイストのキャラクターメイキングで楽しめるはずだ。


職業は7種類の中から選択できた。外見は職業と性別によって異なる
ベースとなる顔や髪型、肌の色などを選んでいく
さらに目、鼻、口、あごの形を微調整。服や鎧の色もいくつかの部位ごとに変えられる
キャラクターの出自とストーリー展開を決める質問にもいくつか答える



■ プレーヤーの判断は実際の行動で示す「ダイナミックイベント」

 ゲームをスタートすると、先に選んだ項目によって決定されたプロローグが表示される。今回はガーディアンの男性キャラクターが貧しい境遇から抜け出すため、生まれ育った街を捨ててある村を訪ねたところ、その村がケンタウルスに襲われていた……というデモが流れた。イラストとインゲームのプレーヤーキャラクターをうまく重ね合わせた演出で、作ったばかりのプレーヤーキャラクターがこの物語の主人公だということを強く印象付けられる。

 プロローグが終わればゲームがスタートする。操作はW/A/S/Dキーで移動と回転、マウスでターゲット選択というオーソドックスなスタイルを採用している。ターゲットしたNPCに近寄って右クリックかダブルクリックで会話、モンスターに近寄って右クリックで通常攻撃開始、数字キーでショートカット設定したスキルを発動と、操作もMMORPGとしては一般的で特に難しいところはない。

 まずは村人と戦っているケンタウルスを倒す。持っていたメイスで数発殴れば倒せる程度の相手で、プレーヤーにとっては怖い敵ではない。数体のケンタウルスを倒したところで、襲われていた村人を救出すると、彼から村の集会所のようなところに来て欲しいと言われた。そこに行くと、今度は村の入り口となる砦での戦いに協力を求められた。砦もケンタウルスに襲われている上、特に強力な個体も現われてまずい状況らしい。

 これが本作の持つ魅力の1つ「ダイナミックイベント」だ。指示されたとおりに砦へ向かえばケンタウルス達との戦いが待っている。しかし行かなければ砦が陥落し、村も壊滅するかもしれない。本作ではそれを「かもしれない」では済まさず、本当に村が破壊されて機能を失うこともある。その場合は「村を再建する」というイベントが発生するのだそうだ。今回は初めてのプレイでもあるので、素直に指示に従って砦に向かった。目的地はマップに示され、一目でわかるようになっている。


ゲームをスタートするとプロローグが流れる。まずは全体の世界観を伝える内容で、その後プレーヤーの境遇などが語られる。イラストに重ね合わせるようにプレーヤーキャラクターが登場し、自分が主人公の物語なのだと感じさせてくれる
まずはケンタウルスに襲われている村の人々を助ける。救出に成功すれば、村の集会所のようなところに来て欲しいと言われる
苦戦している砦に向かい、助けて欲しいと頼まれる。村を救けるため砦へと向かう



■ 目的を同じくする他のプレーヤーと自然な協力プレイが可能

 主人公が砦に到着すると、既に多くのケンタウルスが他のプレーヤーに倒された後だった。キャラクターメイキングに時間をかけているうちに、同時に始めた他のプレーヤーが先に進んでいたようだ。

 この「自分が居なくてもイベントが進行している」というのが本作のポイント。普通のMMORPGでは、プレーヤーがその場所に到着し、NPCと会話してイベントが進行するといった形になる。ところが本作はNPCと会話の必要もなく、同じ目的のプレーヤーが他にいると、そちらがどんどん先に進めてしまうことがある。ただ遅れても途中参加は可能。参加宣言やパーティーの申請、NPCとの会話をすることもなく、ただ目的のモンスターを一緒に攻撃してやれば参加したことになるようだ。

 しばらくすると、強力な個体がさらに変身し、巨大なモンスターへと変化した。攻撃力も高く危険なモンスターだが、イベントに参加したプレーヤー達が力を合わせて攻撃し、見事に撃破した。参加したプレーヤーには一律で報酬が与えられるので、参加者内での不公平感はない。

 他のプレーヤーと直接的なコミュニケーションを取ることなく、一緒に目的のクエストを行なうという形は、一見するとドライなゲームに見える。しかし実際には、目的のために自然と集まったプレーヤー達がお互いに協力し、苦労の末に困難を乗り越える場であり、クリア後には「ともに戦った仲間」に一声かけたくなる雰囲気がある。そこでコミュニケーションが生まれることで、レベルの近い人同士でのコミュニティも生まれてくるはずだ。全く知らない人に声をかけるよりずっと気楽で、うまくコミュニティを生み出す仕掛けになっていると感じた。

 試遊台ではさらに、よりハイレベルなモンスターとの戦闘も体験できた。今回の特別仕様で強制的にレベルアップされたキャラクターを操り、空を飛ぶ大型モンスターとの戦いに挑んだ。基本的にはみんなで寄ってたかって攻撃するのだが、モンスターが放つ蹴りやブレスなどの攻撃は一定の攻撃範囲があるため、モンスターの動きを見極めて、攻撃範囲に入らないようにするのがポイントだ。また1体のモンスターに、顔や足など狙えるターゲットが複数あるため、キャラクターの移動も自然と多くなる。通常攻撃は一定感覚で繰り返すMMORPGによくある仕組みだが、位置取りが重要という点ではアクションゲーム的なも必要、というバランスになっている。


目的の砦に到着すると、そこには既に他のプレーヤー達が。あらかたのケンタウルスが倒されたところで、ボスモンスターが出現
集まったプレーヤー達が協力してボスモンスターと戦う。一定範囲にいるプレーヤーを吹き飛ばす攻撃もあり、なかなか簡単に接近させてもらえない
何とかボスモンスターを撃破。イベントに参加したプレーヤーは全員が報酬を受け取れる
さらに巨大なボスモンスターとも対決。多くのプレーヤーが一緒に戦っていたが、モンスターの強力な攻撃の前に倒されてしまうこともあった
激戦を潜り抜けて見事に討伐を果たせば、宝箱からアイテムを入手できる



■ 明確なコンセプトのゲームを、高いレベルで実現

 サービス開始時期は未定で、「おそらく来年のG-Starの頃もまだサービスしていないのでは」という声も聞かれる(G-Starに出る大型タイトルはそういったものが割と多い)ものの、ゲームシステムの完成度はかなり高いと感じた。グラフィックスはMMORPGとしては十分に美しいが、それでいながら描画でもたつくような感覚はなく、現状あるPCでも十分にプレイできるのがわかる。

 システム面ではやはり本作の売りとなる「ダイナミックイベント」が斬新だ。「今からイベント開始」といったゲーム的な演出が削がれ、イベントと通常のゲームシーンがシームレスに繋がれたおかげで、その世界に自分がいるという自然な没入感がとても強まる。それでいて下手にカットシーンを入れ込んだゲームよりも説得力のある絵作りができていたのは、やはりグラフィックスの美しさもあってのことだろう。

 また会場では、来場者が参加できるPvP大会が早速開かれていた。前作「Guild Wars」がPvP中心のゲームだということもあり、ブース内で行なわれた参加抽選会には募集人数の数倍はいそうなほど大勢の人が集まり、試合中も多くの人が観戦していた。


韓国では今回が初のプレイ機会ながら、PvP大会は大盛況で観戦者も多数。開発者も真剣な眼差しを送っていた

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(2011年 11月 11日)

[Reported by 石田賀津男]