「The Tower of AION」の大型アップデート「Episode 3.0」を韓国で体験
ユーザーのマイホーム「ハウジング」でアトレイアに夢の我が家を構築


11月9日(現地時間) 収録


 韓国NCsoftは、Windows用MMORPG「The Tower of AION(以下、AION)」の大規模アップデート「Episode 3.0 約束の地(以下、3.0)」を11月9日に実装した。「3.0」は過去に「Vision」という映像で紹介された「AION」の未来像を反映するもので、映像の中でも目玉要素の1つだったハウジングが実装された。

 そのほかにも、プレーヤーが乗って移動できる乗り物や、新エリア、新インスタンスダンジョンなど主に中・高レベル向けにボリュームのあるコンテンツの追加が行なわれている。このアップデートに合わせて、レベルキャップもこれまでのレベル55から65まで引き上げられた。

 今回は、実装当日のソウルにあるNCsoft本社で、PRチームチームリーダーのユン・ジョンウォン氏からアップデートについてコメントを聞くとともに、「3.0」の目玉であるハウジングを体験できた。このインプレッションを中心に、「3.0」の内容をひと足先にお届けしたい。なお名称はすべて韓国版のものなので、日本版での実装においては今後変更される可能性があることをご了承いただきたい。



■ 対人戦禁止の中立地帯「サルバン」と「ティアマランタ」

煉族のリーダー「カルン」が納める「サルバン」
龍帝ティアマトの本拠地「ティアマランタ」

 「3.0」では、2つの新しいエリア「サルパン」と「ティアマランタ」が実装される。この2つは、天族と魔族の共有エリアだが、ほとんどの場所が対人戦禁止になっているという今までにはなかったルールが存在する。

 「従来のアップデートでは2つの勢力が対立する内容でしたが、今回は新しく追加されるコンテンツをより楽しんで、ユーザー同士で調和をなすという内容になっています」とユン氏は語る。

 これらのエリアでは、煉族のリーダーが使う不思議な力「カルンの束縛」によって天族と魔族が戦えないようになっている。ただ、「ティアマランタ」の中心部にある「ティアマト城砦」や「ティアマランタの目」など、部分的に対人戦が可能なゾーンもある。対人戦をしたくない人がPKされることによって離脱するのを防ぐよう、従来よりも棲み分けが明確になった形だ。

 2つの地域には、ソロ用から12人で参加できるフォース用まで合計6つのダンジョンがあり、数多くの新しいネームドモンスターが登場する。今回のアップデートでは、「AION」のラスボス的な存在である龍帝ティアマトは登場しないが、ここから続いていくストーリーが完結するアップデートでその姿を現わすことになるらしい。

 新インスタンスダンジョンの中には、ロボットのような機械に乗り込んで戦うものや、攻城兵器を使うギミックなども用意されている。また、要塞戦に変わる新しいRvRコンテンツ「占領戦」も実装される。この新エリアの追加に合わせて、レベルキャップがレベル55から60まで引き上げられる。


「サルバン」にあるパーティー用インスタンスダンジョン「タメス」
レベル55からのソロダンジョン「アトラム空中要塞」
つながった2つのインスタンスダンジョンのうちの1つ「ラデスの森」
「ラデスの森」と対をなす「ドルゲル邸宅」。どちらも12人で攻略するダンジョンだ
新エリアの新しいRvRコンテンツとなる「占領戦」



■ 全サーバーの初心者が集まるルーキーサーバーが登場

素早くレベルを上げて、新規コンテンツを遊べるように成長曲線も緩和される

 サービス面での大きな変更は「ルーキーサーバー」の導入だ。「AIONはサービスが始まってちょうど3年が経過しました。プレーヤーのレベルは非常に高くなり、プレイ期間も長くなったことから、新規のユーザーが入りにくく、休眠ユーザーも増えている」という理由から、新規に始めたユーザーが集まる専用のサーバーが作られる。

 現在韓国では43個のサーバーが稼働しているが、プレーヤーはそのどこかにキャラクターを作った後、レベル45までは「ルーキーサーバー」でプレイできる。レベル45までの成長テーブルも調整されて、より早くキャラクターを育てられるようになる。「ユーザーがより楽に、楽しくゲームをプレイできるようにするのが、今回のアップデートのテーマ」なのだそうだ。



■ ついに夢のマイホームが実現。「ハウジング」インプレッション

山頂に首都パンデモニウムを望む、魔族のハウジングエリア「ベルノン」

 「3.0」ではプレーヤー同士のコミュニティが非常に重視されている。「ハウジング」はそんな方針の一環で、ハウジング専用の広大なエリア「エリアン」と「ベルノン」にプレーヤーが自分だけの家を持つことができる。今回の実装ではソロ用の住宅のみだが「今度はレギオンメンバーのための集合住宅も導入する予定」だそうだ。

 プレーヤーがレベル21になるとクエストが発生して、集合住宅の1部屋を無料でもらえる。この部屋に自由に家具を配置したり、友達の部屋を訪ねたりできる。韓国版ではNCsoftが提供する音楽配信サービス「24Hz」と連動して、ゲーム内で好きな音楽を聞くこともできる。

 今回は、天族のキャラクターを使って「エリアン」をうろついてきた。広さはインギスオンよりも広いくらいの広大な場所に、点々と一戸建ての集まった街がある。場所によって湖のそばや、熱帯風の森、高原のようなさわやかな場所と景観に違いがあるがどこも風光明媚で平和だ。広すぎて徒歩での移動は大変なので、街ごとに移動テレポーターが設置され細やかな移動網を作っている。もちろんのんびりと散歩をするにもうってつけの場所だ。


アクティブな敵はおらず、広大なエリアはすべて平和そのものだ

 一戸建てには、金持ち用の邸宅からコテージ風までいくつかの種類がある。玄関にカーソルを合わせると、機能アイコンの形になるが「入る権限がありません」というメッセージが出て中に入れない。家を手に入れるには競売を通じて所有権を購入しなければならない。所有し続けるには、週単位で維持費用も必要だ。一戸建ては数が限られているので、獲得するにはおそらく非常に高額な費用が必要になる。「個人で持つというよりはレギオンで所有するようなものになるのではないか」ということだ。

豪華な家は数が少ないため、かなりの激戦が予想される

 エリアの中にはNPCの街もあり、そこでハウジングに関わる様々なクエストを受けられる。クエストは屋敷の機能を学習するチュートリアル的なものや、家具が報酬のものなどさまざま。

 ショップは雑貨屋や薬屋などベーシックなもののほか、まるでホームセンターのような家具ショップや、こちらも新実装された乗り物を販売しているNPCもいる。また首都にある工房のように、家具を生産するための工房が集まったエリアもある。ここで修業をして家具職人になれば、様々な家具を生産できるようになる。

 販売している家具はゲーム内通貨で数千~数十万ギーナで、それほど高くはないもののバリエーションが少なく見た目も質素だ。さらにいい家具を手に入れるには、製作や採集、クエストやドロップなどで集めなくてはならない。ショップでは家具の生産レシピも販売されているが、これは安いもので数百万、高いもので数千万と非常に高価だった。家のグレードによって取得できるレベルの制限もあり、ゲームの世界でもマイホームを持つのはなかなか大変そうだ。

 最初にもらえる部屋はベランダ付のワンルーム。部屋の中にはシューゴ族の執事がいて、家具は移動用のオーブだけだ。部屋の中に入ると、カスタマイズ用のUIが出るので、それを使って家具を好きな方向に向けて設置していく。家具はベッドや椅子に座れたり、壁に据え付ける棚なら上に物を置いたりできる。

 オーブはクリックすると友達のリストが出てくるので、そこから友達の部屋へ移動が可能。ほかにも倉庫になるクローゼットや、アイテムを取得できる植物など、家具には特別な機能を持つものも多い。

 しかし何より楽しいのは、自分の家を構築していく箱庭いじりだ。現状では同じような家が並んで少々物足りないが、家を手に入れたプレーヤーが外見をカスタマイズしていけば、街並みに個性が生まれるだろう。見る楽しさと飾る楽しさ、他人に見せる楽しさがすべて凝縮されている。

 最初の無料のワンルームもかなり広く、満足いくほどに作りこむには時間がかかるだろう。ハウジングが「AION」の新たなやりこみ要素になるのは間違いなさそうだ。

 
家具は自由に位置を移動させたり回転したりして、自分の好きな場所に設置することができる

 ハウジングエリアのNPCから購入できる乗り物は、小型の空飛ぶエイ。その上で、サーフィンをするように斜めに立ったまま移動する。価格は緑のエイが約1,100万ギーナ、紫のエイが600万ギーナで、韓国のプレーヤーのチャットでも「高い!」と驚く声があった。だが実装から数時間後には。もうかなりのユーザーがエイに乗って移動していた。飛行システムがある「AION」らしく、乗り物はすべて乗ったまま飛行が可能だ。

 なお乗り物については、「今のところは基本的な移動手段としてしか機能しませんが、今後は新しい機能を追加したり、種類によってスピードなどの性能に差をつける予定」ということだ。

 今回体験できたのは「3.0」のほんの一部で、アップデート情報もこれだけではない。日本への実装は2012年春ごろの予定で、まだ少し時間がかかる。今回はひとまず速報として、筆者が触れた情報だけをお伝えしたが、今後も新情報をどんどん紹介していきたい。


ハウジングエリアのNPCから購入できるエイ型の乗り物普段は地上を走るが、羽を広げて空を飛ぶ飛龍
変形しながら空を飛ぶバイク筋斗雲風の雲

天族の新装備
魔族の新装備

The Tower of AION (R) are registered trademarks of NCsoft Corporation.
Copyright (C) 2009 Ncsoft Corporation.
NCJapan K.K. was granted by NCsoft Corporation the right to publish, distribute and transmit The Tower of AION(TM) in Japan. All rights reserved.

(2011年 11月 10日)

[Reported by 石井聡]