G-Star 2011レポート
【G-Star 2011】韓国NHN、KONAMIと共同開発の「ウイニングイレブン オンライン」を出展
専任チームを作って韓国オンライン市場に「ウイイレ」で挑む
「ウイニングイレブン オンライン」のメインビジュアル |
韓国NHNは、株式会社コナミデジタルエンタテインメント(以下、KONAMI)と共同開発した「Winning Eleven Online(ウイニングイレブン オンライン)」を「G-Star 2011」に出展した。
初日のプレスカンファレンスでは、KONAMIのウイニングイレブンプロダクションプロデューサーの長曽我部明義氏、NHN PDN3室室長のキム・ソンチョル氏、NHNサーバー開発室室長のチョ・クウァンレ氏が登壇して日韓のメディアが参加する質疑応答が行なわれた。
「ウイニングイレブン」は1995年に発売されて以来、シリーズを重ねているKONAMIの人気サッカーゲーム。コンソールバージョンは2011年6月までに全世界で7,050万枚以上を販売している。その初めてのオンラインゲーム版となる「ウイニングイレブン オンライン」は、KONAMIのウイニングイレブンプロダクションがゲーム部分の開発を手掛け、サーバー構築などオンライン部分をNHNが担当する共同開発で開発が進められている。
韓国では2012年のオープンベータテスト(OBT)が予定されている。日本のサービスは現在のところ未定だ。
【ブースの様子】 | ||
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ブースでは1日1回16強トーナメントが行なわれ、順位に応じて豪華な景品がもらえる |
■ 韓国ユーザーの声を反映させるために東京に専任チームを組織
KONAMIウイニングイレブンプロダクションプロデューサーの長曽我部明義氏 |
サッカーの盛んな韓国では、サッカーゲームは非常に人気がある。オンラインゲームでは現在Electronic Artsの「FIFAオンライン 2」が人気で、筆者が先日別の取材でソウルのネットカフェを訪れた時にも、たくさんのユーザーが試合に熱中していた。もちろんコンソール版の「ウイニングイレブン」も人気だが、ゲーム市場の大半をオンラインゲームが占める韓国に合わせる形で、オンライン版が開発された。
今回のオンライン版では、既存のエンジンではなくこのゲーム専用に新しく開発したエンジンを使用している。これは、幅広いスペックのPCで遊んでもらいたいという意図で、「現在のPS3とPS2の中間バージョンを韓国用にパワーアップしたものだと言えると思います」(長曽我部氏)。
必要なスペックはあくまでも目安程度としながらも必須環境でPentium 4 1.7MHz、メモリ1GB、GeForce 6600 GT程度、推奨環境でPentium 4 2.4MHz、メモリ2GB、GeForce 7600 GT程度とかなり低く抑えられている。コアゲーマーが遊ぶようなハイスペックのPCを持っていないサッカーファンでも気軽に遊べるようにしたいというのが、その意図だ。
操作方法もキーボードの操作が基本となっている。日本で開発されるゲームには珍しい方針だが、長曽我部氏は「これまで我々はコンソールで面白いゲームを作るということを第1に考えてきました。今まではコンソールで作ったものを単純にPCに移植してきたのです。しかし、ここがポイントですが今回は、このプロジェクトのために専門のチームを東京に立ち上げています。彼らが韓国ユーザーの希望を聞いて、オンラインゲームをもっといい形に改良するために取り組むことになります。今までの『ウイニングイレブン』はまずコンソールありきでしたが、今回はPCで楽しむことを優先して頑張っています」と、このゲームに賭ける意気込みを説明した。
「G-Star 2011」バージョンではUEFAチャンピオンズリーグの5つのチームが使用できた。その他のライセンス展開については、基本的にはコンソール版と同じライセンスを搭載していく予定だ。「韓国オリジナルなものはありますか?」という質問には、長曽我部氏が「韓国ユーザーがどういったものを望むのかを調査したうえで考えるとし、今はまだ具体的なことを話せる段階ではないが、(Kリーグの)ライセンスの強化は考えていきたい」とコメント。KONAMIだけの力では難しい部分についても、内容を工夫したり相手チームとの交渉によって、「韓国のユーザーに満足していただけるように考えていきたいと思います」と答えた。
長曽我部氏は最後に挨拶し、「今回のバージョンでは、低いスペックでも快適に友達と遊んで、緊張感を感じられる程度には面白いゲームに仕上がっていると思います。ただし、このバージョンはスタート地点に過ぎず、ようやく皆さんに見ていただける状態になったところだと考えています。『ウイニングイレブン オンライン』が、KONAMIがずっとやってきたコンソールと大きく違うのは、NHNという優秀な会社と組んで長く運営していくということです。ここをスタートとして、1年後、2年後、できればさらに何年もずっと韓国でサービスをしていきたいと思っています。その中で韓国の皆さんにさらに楽しんでいただけるように、クオリティを上げていきたい。G-Star版はその第一歩です」と熱意を語った。
【プレスカンファレンスの様子】 | ||
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通訳はKONAMI Koreaのヒョン・アム氏が務めた | NHN PDN3室室長のキム・ソンチョル氏 | NHNサーバー開発室室長のチョ・クウァンレ氏 |
4人が詰めかけた韓国メディアの質問に答えた | サッカーボールを片手に笑顔のコンパニオンのお姉さん | 会場の背後には8台の試遊台が設けられた |
■ UEFAチャンピオンズリーグの5チームを使って1対1の対戦試合
基本のゲーム画面。コンソールの「ウイイレ」に似た、中央下に全体マップのある俯瞰視点だ |
試遊ではUEFAチャンピオンズリーグの5チームが使用できる |
それでは「ウイニングイレブン オンライン」は実際にどんなゲームなのか、ここからは筆者がプレイしたインプレッションを交えてゲームの紹介をしていこう。
「G-star 2011」バージョンでは1対1の対戦試合がプレイできた。選べるのはUEFAチャンピオンズリーグのレアルマドリード、FCバルセロナ、ビヤレアル、バレンシアCF、マンチェスターユナイテッドの5チーム。選手はすでにセットされているものをそのまま使用した。
「ウイニングイレブン」では試合に合わせてリアルな実況が流れるのが特徴だが、「ウイニングイレブン オンライン」でも韓国人解説者による実況が予定されている。こちらは現在収録中で、ブースでは収録の様子を撮影したムービーが上映されていた。
マッチングが決まると試合開始のカットシーンが始まり、選手がフィールドに並んでゲームがスタートする。キーボードでの操作は、矢印キーで移動、「A」キーでロングパスとタックル、「S」キーでショートパスと選手の切り替え、「D」キーでシュート、「E」キーがダッシュ、「W」キーがスルーパス、「Q」キーは相手のプレーヤーにプレッシャーをかける。「A」、「S」、「D]キーの機能は自分がボールを持っているかどうかによって自動的に機能が切り替わる。実はこれらの操作方法は先行している「FIFAオンライン 2」に準じたものだ。すでに韓国のサッカーゲームではこの操作方法がデファクトスタンダードになっていると判断して、この操作を採用したという。
このほか「C」キーには特別な機能があるそうだ。現在は方向の切り替えに使っているが、今後は選手ごとの特徴を出すために使用されることになるかもしれないと、操作説明をしてくれたスタッフが教えてくれた。
操作できるのはボールに1番近い選手で、他の選手はAIで動く。普段は上空からの俯瞰視点だが、スローイングやペナルティキックなどの時は背中からの視点に切り替わる。ファウルやゴールが決まるとカットシーンが流れる。この視点の変化やUIはコンソール版の「ウイニングイレブン」とほとんど同じなので、遊んだことがある人にはわかりやすいだろう。試合は前後半各5分。
筆者がプレイした感じでは、画面の雰囲気はほとんどコンソール版と同じで、AIも遜色ない出来になっている。ただ、今回のバージョンでは作戦を決めたりといったことができないので、そういった意味でこう動いて欲しいと思う場所に味方選手がいってくれないこともあった。しかし、逆に思惑通りに動いてくれることもあり、ファインプレイが出ると試遊の会場でも大きな歓声が沸いていた。
今回の「G-Star」には、別のブースでPS3用の「ワールドサッカー ウイニングイレブン2012」のローカライズ版も出展されていた。2つのゲームを遊び比べている人も見かけた。家庭用のビッグメーカーKONAMIが自ら手掛ける、しかも韓国市場を焦点にしたオンラインゲームだけに、「ウイニングイレブン オンライン」の注目度はかなり高い。後発のゲームとして「FIFAオンライン 2」が切り開いたオンラインサッカー市場にどれだけ切り込んでいけるか、日本人としても注目したい。
【ゲーム画面】 | ||
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カットシーンを多用して、コンソールと変わらないリアリティのある試合風景を作り出している |
(C) Konami Digital Entertainment
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□「G-Star」のホームページ(韓国語、英語)
http://www.gstar.or.kr/
□NHNのホームページ(韓国語、英語)
http://www.nhncorp.com/
□KONAMIのホームページ
http://www.konami.jp/
(2011年 11月 10日)