NHN Japan、「スペシャルフォース 日本代表決定戦 2011」を開催
2人のプロゲーマーを擁する「UHS Athlete」が日本代表に決定!


10月2日 開催

会場:原宿クエストホール



 NHN Japan株式会社は、10月2日、東京・原宿クエストホールにて同社が運営するオンラインFPS「スペシャルフォース」の世界大会に向けた日本代表チーム決定戦「スペシャルフォース 日本代表決定戦 2011」を開催した。

 本大会では、昨年末より複数回にわけて実施されてきた国内大会「スペシャルフォースリーグ」の優勝・準優勝チームが一同に会し、11月5日~6日にかけてインドネシアで開催される世界大会、「スペシャルフォース世界大会inインドネシア」への切符をかけた戦いが繰り広げられた。


会場には、大会恒例の「ガチャコーナー」が設置。4アイテム詰め合わせが当たるガチャガチャと、9アイテム詰め合わせが当たるガラポンの2メニューが用意されていた
協賛企業のAlienwareからは大会用PC及び試遊機が展示。Alienwareの最新ノートPCで「スペシャルフォース」をプレイする来場者の姿が見られた。また協賛デバイスメーカーのSteelSeriesとPCショップ アークによるゲーミングデバイス物販も行なわれていた


■ オンライン大会優勝4チームによる準決勝。いずれも大接戦!

「スペシャルフォース」総合プロデューサーの石川光氏(中央左)と、プロデューサーを退き「スペシャルフォース 名誉会長」となった佐野亘氏(中央)も登場
大会ルール。5対5のチーム戦。2マップ先取制、各マップは7ラウンド交代制となっている
試合に臨む選手たち

 NHN Japanが継続的に公式開催している「スペシャルフォースリーグ」。日本代表決定戦への出場チームを決める各オンライン大会には延べ448のチームがエントリーした。1チーム5名編成が標準であるため、単純に考えて延べ2,000人を超える参加者から選りすぐられたプレーヤーたちが、この会場に集まったことになる。

 その選りすぐりのチームは、「SFL2010冬リーグ」で優勝した「UHS Athlete」、春リーグで優勝した「STD Gaming」、夏リーグで優勝した「Emotive Moment」、同じく夏リーグで準優勝となった「vouLus」の4チームだ。奇しくも、今年5月に開催されたオフライン大会「スペシャルフォース ゴールデンカップ(SFGC)」の出場チームと同じ顔ぶれである。つまり、全チームともオフライン大会の常連であり、しっかりとした実力をもったチームということだ。

 各大会が定期的に開催されてきたことで各チームの競技レベルも向上してきており、本大会に参加した4クランの戦いでは多くのシーソーゲームが展開した。特に注目が集まったのは、これまで幾度もオフライン大会で対決している「UHS Athlete」と「vouLus」だ。特に「UHS Athlete」はNHN Japan公認プロゲーマー2名を擁するセミプロチームであり、本大会での勝利が半ば義務付けられている。その彼らの逃れられないプレッシャーに波乱の予感があった。

 対戦ルールは全試合に共通して、3マップ制。2マップ先取したチームが勝利する。1マップは8ラウンド先取制で、7ラウンドで攻守交替して前後半14ラウンドを戦う。各チーム7ラウンド取得して並んだ場合は、追加1ラウンドをプレイして勝敗を決するというルールだ。



・ 準決勝 第1試合「vouLus」 対 「STD Gaming」

使用マップのひとつ「トレイン」。統計上は攻撃側有利だが、試合では異なる傾向が見られた
相手の連携により数的不利に追い込まれたシーン

 5月に開催されたオフライン大会「SFGC」ではこの2チームが対決し、「vouLus」が勝利した経緯がある。「STD Gaming」としては雪辱を期したい気持ちもあっただろう。

 攻撃側(レッドチーム)がやや有利と言われるマップ「トレイン」で行なわれた第1マップ目の対決は、まず防衛側をプレイした「vouLus」が前半7ラウンドを全て勝利するという一方的な展開で幕を開けた。「STD Gaming」は後半1ラウンドを取り返したものの、そのまま押し切られて1マップ目を落としている。

 しかしそこで「STD Gaming」が冷静さを取り戻したのか、2マップ目「神経ガス研究所」での対決は激しいシーソーゲームの様相を呈した。「vouLus」は持ち前のテクニックを生かして1人で3人を倒すような爆発力を各所で見せる。「STD Gaming」も負けず、チームプレーで上手く裏を取り、劣勢を取り返していく。その中で両チームとも、ラウンド序盤のグレネード投擲合戦で何人倒せるかが、ひとつの勝負どころとなっていた。マップの研究量と相手の動きを読む力が問われてくる。

 ラウンドを取って、取られてを繰り返して試合は延長ラウンドへ。最後に押し切ったのは「vouLus」だったが、ラウンド終了時に残っていたプレーヤーはただひとり。開幕のグレネードが当たるか当たらないか、各所の撃ち合いで先に反応できるかどうか、そういうレベルの僅差だった。結局、2マップを勝利した「vouLus」が勝利して決勝戦へ進出した。



・ 準決勝 第2試合「Emotive Moment」 対 「UHS Athlete」

「サテライト」。狭い通路で各部屋がつながっており、緻密な連携が要求される
3マップ目にもつれ込んだ勝負は、ラッシュのかけあいで素早い展開に

 「SFL2011夏リーグ」の優勝チーム「Emotive Moment」は、プロゲーマー2名を擁する大本命「UHS Athlete」と準決勝で対決した。やはり下馬評としては「UHS Athelete」を推す声も多かったが、試合は実際に始まってみないとわからない。

 マップ「トレイン」で行なわれた第1マップ目は下馬評通りの強さを見せた「UHS Athlete」がラウンド取得数8対1でほぼストレート勝利。プロゲーマーのYuti選手が軽快に移動できる武器「UZI」を使い、遊軍として裏ルートを動きまわり、度々相手チームの判断を混乱させていた点が印象的だった。

 しかしそのような王道から外れた作戦がどのマップでもうまく行くとは限らない。狭い通路の多いマップ「サテライト」で行なわれた第2マップ目の戦いは、攻撃側の「UHS Athlete」が各個撃破される展開が続いた。特に遊撃手のYuti選手がいきなり倒れてしまうとチーム全体の情報共有にスムーズさがなくなってしまうようで、攻撃面の凄みが減る。そこを冷静に対処する格好で、前後半ともラウンド取得数が上回ったのは「Emotive Moment」。8-5の僅差で2マップ目を勝利した。対するプロゲーマーの顔から余裕が消えて行く。

 そして3マップ目。比較的オープンな地形の「デザートキャンプ」では、両チームともラッシュ気味の動きで勝負に出る。その影響はラウンド終了時の生存者数に現われた。ほとんどのラウンドで、勝ったチームが3~4人、あるいは5人残っているのである。こうなると、純粋に撃ち合いの腕力が勝敗につながる。「Emotive Moment」も4ラウンドを取得して健闘したものの、最終的には「UHS Athlete」が8ラウンド取得して貫禄勝ち、決勝進出を決めた。


■ 「vouLus」 VS 「UHS Athlete」。因縁の対決で日本代表チームが決定

決勝戦に臨む「vouLus」と「UHS Athlete」
1マップ目の前半は「vouLus」が大いに健闘してリードした
両チームとも、チームリーダーを中心に声を出して情報を共有していく
2マップ目、「サテライト」では「UHS Athlete」が優位に試合を展開

 そして迎えた決勝では、「SFGC」の決勝と同じ組み合わせ、すなわち「vouLus」と「UHS Athlete」が対決した。今回は優勝の名誉だけでなく、世界大会への切符もかかるというシリアスな戦いだ。大会の決勝戦を度々戦ってきた因縁をもつ両チームは、ゲーム開始時に大声を出してメンバーにハッパを掛けていった。

 特に会場からも応援の声が多かったのが「vouLus」である。度々「UHS Athlete」と対決して破れてきたチームながら、ディフェンディング・チャンピオンを倒さんとする挑戦者としての立ち位置が、多くのプレーヤーの共感を呼ぶのだろう。いきおい、気持ち的には「vouLus」のほうが気勢高く試合に入っていった。

 まず第1マップ目は「デザートキャンプ」。当然ラウンドの序盤はグレネードの投擲合戦となるが、そこでプレーヤーを欠くようなヘマは両チームとも犯さない。互いに複数のルートを抑えながらの乱打戦の様相で、各ラウンドとも最終的な生存者が1人、2人という接戦が続いた。

 時には爆弾の設置タイミングに合わせてピンポイントでグレネードを投擲し、見えない場所から一方的に撃破するというスーパープレイも飛び出した。そんな前半戦は非常な接戦となり、4-3で防衛側の「vouLus」がややリード。「これは波乱もありうるか?」と予感させる流れだった。

 しかし攻守交替した後半、効果的に防衛する「UHS Athlete」が一転有利な流れになった。とにかく、「UHS Athlete」は守りが上手い。特定の選手しかKILLを取れない「vouLus」に対して、「UHS Athlete」の各選手はほぼ同じペースで相手を迎撃していく。

 こうなると各ラウンドとも早々に生存人数の差が生じ、そのままラウンドの勝敗につながっていく格好だ。局面の撃ち合いで優位であるということか、「UHS Athlete」は5人全員生存したままラウンドを終えるということもあった。こうして、第1マップ目の後半は「UHS Athlete」が圧倒し、総ラウンド取得数8-6で勝利。

 迎えた第2マップ目は「サテライト」。閉鎖空間と通路の多いマップで、互いにどのルートを取るかを読み切ることが重要になる。見落としがあれば裏を取られて圧倒的に形成不利になることもあるという流れだ。

 ここでは要所をスナイパーのSpyGea選手が抑えつつ、Yuti選手が遊撃するという「UHS Athlete」の戦術がうまくハマったようだ。度々の数的不利な局面を味わった「vouLus」は、攻撃側としてなかなかラウンドを取ることができない。1対1の撃ち合いではほぼ互角なシーンも多かったのだが、1人倒しても別の相手がすぐカバーに入る状況では、チームとしてなかなか有利な大勢を作れないという印象である。

 こうして2マップ目の前半戦は、防衛側の「UHS Athlete」が5-2でリードして折り返す。その勢い止まらず、続く後半戦は完全に相手を飲んでしまった「UHS Athlete」が3ラウンド連続で勝利。効率的に数的優位を作るチーム力、劣勢の局面でもなんとか打開してしまう各個人の力、その両方がうまく機能した結果といえそうだ。

 こうして、日本代表決定戦の勝者の座は「UHS Athlete」が勝ち取った。



・「UHS Athelete」は世界大会、そして「WCG」へ。世界の頂点を目指す

 こうして、11月にインドネシアで開催される「スペシャルフォース世界大会 in インドネシア」に出場する日本代表チームは、「UHS Athlete」となった。試合後、チームリーダーのYuti選手は、「僕自身は4年連続で世界大会に出場することになるので、今年こそは日本に“優勝”の2文字を持って帰りたいです」と意気込みを語っている。

 また日本代表チームは、世界大会で6位以上に入賞することができれば、12月8日から11日にかけて韓国で開催される「World Cyber Games 2011」の「スペシャルフォース」部門にも出場する権利を獲得できる。つまり、「UHS Athlete」は今年、世界の頂点に立つチャンスが最大2回得られるというわけだ。

 「スペシャルフォース」に限らず、FPS系タイトルの大規模な世界大会では、日本のチームが優勝を果たしたことはまだない。しかし、かつてなくレベルが高まった大会を勝ち抜いた「UHS Athlete」ならば、それも可能になるかもしれない。「スペシャルフォース」ファンの皆さんもぜひ、世界大会に臨む「UHS Athlete」を応援しよう。

優勝した「UHS Athlete」。世界大会に臨む準優勝の「vouLus」。リーダーのかぶりものは原宿スタイル?




(2011年 10月 3日)

[Reported by 佐藤カフジ]