GDC 2011レポート
GDC Smartphone Summitレポート その1
焦点はプラットフォームから具体的なアプリ事例へと変化
「GDC 2011」の初日と2日目に、スマートフォン関連の話題を扱う「GDC Smartphone Summit」が開催されている。携帯電話関連のセッションは、2009年までは「GDC Mobile」として開催されていたが、2010年には「GDC Mobile/Handheld」と名前を変え、今年はついにスマートフォン専門枠となった。フィーチャーフォンの枠は完全になくなっており、変化の早さを感じさせる。
今回は同時に最大3つのセッションが並行して行なわれており、2日間で23のセッションが開かれている。Googleなどのプラットフォーマーを始め、iPhone向けアプリケーションで成功を収めた様々なゲームアプリメーカーが講演を行なっている。ちなみにGoogleは2日目に「Android Developers Day」と称したスポンサーセッションを別枠で開催しており、GDCにかなりの力を入れてきている。
■ プラットフォームの選定は終わり、アプリ開発・販売のアイデアが焦点に
今年のセッションの内容は、昨年と比べてずいぶんと様変わりした。これまでは、携帯電話やスマートフォンの販売動向を見るようなチュートリアルセッションがいくつかあり、特に昨年はAndroidを始めとした「対iPhoneプラットフォーム」の解説が多く見られた。
しかし今年はそういったセッションもなく、ヒットしたアプリケーションの開発話や、位置情報ゲームやARゲームの作り方といった、具体的なゲーム開発の話題が最初から展開されている。ゲーム業界としても、iPhoneかAndroidかというプラットフォームの見極めのような段階は終わり、「スマートフォンでどんなコンテンツをどう提供すべきか」というところに関心が移ったようだ。
しかし、課題もある。GDCの開催は1年に1回で、講演者の応募は約半年前に締め切られている。昨今のスマートフォン業界は、日本でもAndroid端末が急激に増えてきたことでもわかるとおり、半年も経てばまるで事情が変わっている。アプリケーションの開発期間も短いだけに、最新の話を聞くのは難しい。
また、大ヒットしたタイトルの講演も、かなり広い会場が取られてはいるが、せいぜい半分程度の席が埋まる程度にしか人が集まっていない。一昨年にあったような、iPhone関連のセッションはほぼ満席、といったような熱狂的な雰囲気は、今はもう感じられない。iPhoneやiPadに関してはかなり研究が進んでいるし、Androidは不正コピー問題などプラットフォームに課題を抱えていて提供に踏み切りづらい、というのが熱の入らない理由としてあるようだ。
また別枠で「Social&Online Games Summit」が開かれている点も影響していると思われる。スマートフォン向けのゲームにおいて、ソーシャルゲームは今もっとも注目を集めている分野であり、そちらにかなり人を取られている印象がある。開発者としても、画期的なアイデアで爆発的ヒットのアプリを生み出すことよりも、比較的マネタイズしやすいソーシャルゲームやオンラインゲームに目が向き始めている、ということなのかもしれない。
とはいえ、開発者全員がスマートフォン向けアプリケーションの開発に飽き飽きしている、なんていうこともない。ここからは初日に行なわれた講演の中から、いくつかを紹介しておく。
(2011年 3月 1日)