Taipei Game Show 2011レポート

台湾国産ゲームが勢ぞろい。「MIT 遊戯精品館」ブースレポート
Wiiウェアのバイオリンゲーム、RFID技術を使ったおもちゃなど5作品を紹介


2月18日~22日開催

会場:台北世界貿易中心

入場料:150台湾ドル


 台湾のベンチャーや、メーカーが作った国産ゲームを台湾内外のバイヤーに紹介することを目的にした「MIT 遊戯精品館」が、昨年に引き続いて今年も登場。昨年に続き13の台湾企業から、オンラインゲーム、ブラウザゲーム、モバイルアプリなど多彩なラインナップの16作品が勢ぞろいした。

 出展会社はIGSやChinese Gamerなど独自にブースを出している大手企業から、社員が数人しかいない零細企業まで様々。大手メーカーのタイトルについては、別稿にて詳しく取り上げるため、本稿では「MIT 遊戯精品館」でしか見られない零細企業が出展した中から特に目を引いた5作品をピックアップした。


会場の様子。同じブース内で、行政院新聞局が主催した初めてのコミックアワード「金漫奨」の受賞作を紹介するパネルの展示も行なわれ、台湾のコンテンツビジネスが少しずつ熟成している様を感じた



■ ヒップホップな関羽が戦うタワーディフェンスゲーム「3 Kingdoms TD」(JoyMaster)

かなり斬新な三国志。手前左側のキャラは孟獲だそうだ

 モバイルパブリッシャーJoyMasterが出展したのはiPhone/Android用のタワーディフェンスゲーム「3 Kingdoms TD」。ベーシックなタワーディフェンスゲームに三国志の世界観と、あとは何故か“ヒップホップ”という異色の要素をプラスした、リズミカルな作品だ。

 プレーヤーは三国志の英雄、関羽を操作して、迫りくる敵軍から味方の城壁を守る。タッチパネルで砲台をドラッグして道に設置するのは通常のタワーディフェンスゲームと同じだが、自らも英雄として4つのスキルを使って攻撃することができる。2つのゲームモードは4つの難易度から選択でき、難易度ごとに雪原、砂漠、草原、ジャングルとマップが異なっている。

 しかし最大の特徴はヒップホップのソウルあふれるイラストだろう。三国志を題材にしたゲームが日本以上に氾濫している中国語圏では、人気のある題材ではあるが差別化しなければ埋没してしまう。そこで、本作では三国志の登場人物をクラブ系のダンサブルなイラストで描いている。プレーヤーキャラクターは出展されていたものは関羽のみだったが、今後夏侯惇ら他の勢力の武将も追加される予定だ。

 本作は日本でのサービスも予定されている。当初はiPhone用のみが4~5月ごろにリリースされ、その後アンドロイドでのサービスも提供していく予定だ。


【3 Kingdoms TD】
設置できる砲台は全部で5種類。画面ではそのうち3つはロックされている。砲台のアイコンをドラッグすることで、簡単に設置できる。右にある4つは関羽のスキルアイコンで、こちらもアイコンを関羽までドラッグすれば発動する




■ RFID技術を使った子供向けの英語学習ツール「Hello City」(iToys)

小さな子供が喜びそうなカラフルなオモチャ

 iToysはRFID(電波による個体識別)技術を使ったWindows用の知育玩具「Hello City」を出展した。「Hello City」は3~6歳向けの英語学習ツールで、インストール用のCD、イラストが描かれたスマートパッド、26個のアルファベットと○×の布製積み木、ゲームの入ったカードがセットになっている。付属しているアイテムはすべて台湾で製造された純国産の製品だ。

 カードは「Quiz」、「Gallery」、「Track」など8種類。それぞれに200種類程度の単語が入っており、現在も毎日のようにアップデートが行なわれて種類が増えている。プログラムを起動した後、パソコンに接続したスマートパッドにカードを近づけると、非接触で中のデータを読み込んで中に入っているミニゲームがスタートする。

 ゲームはどれも遊びながら英単語が学習できる内容になっている。例えば「Track」ではキャラクターが走るコース上に障害物があり、キャラクターが障害物にぶつかる前に対応したアルファベットをスマートパッドに載せることで消すことができる。セットには、ゲーム内に出てくるかわいいキャラクターのぬいぐるみもついていて、プレゼントにも喜ばれそう。現在は台湾と上海でプロモーションを行なっており、日本への販売は未定だ。


【Hello City】
「A」の積み木をスマートパッドに乗せることで、目の前の邪魔者を消すことができる。結果は記録されるので、成長度合いを確かめることができる
8種類のカードには各200語程度の英単語を使ったゲームが入っているゲームの操作はカードをスマートパッドに載せるだけ。マウスやキーボードは使わない




■ ソーシャルゲームからWiiウェアまで、アイデア勝負の小品も豊作

 PolyFunはソーシャルゲーム「COLA RANCH Fun and Easy」を出展。3Dで動くブラウザゲームで、畑を耕して野菜を作ったり、動物に餌をやって育てたりしながら自分の農園を作っていく。3Dで描かれた牛や馬が、常に農場の中をうろうろしている。友達の農場に遊びに行くと、飛び出す絵本のページをめくるような演出が楽しめる。友達の牧場では野菜や家畜の肉をもらったり、画面に泥球を投げて相手を驚かすイタズラもできる。現在は開発中で、今年の5月ごろにβテストを経た後、Facebookを始めとするSNSへ提供していく予定だ。


【COLA RANCH Fun and Easy】
まだまだ開発中のソーシャルゲーム。うろつきまわっている家畜のなかでなぜか豚だけ2本足で歩いていた

 コンシューマ機用のダウンロードコンテンツを得意とするKEYSTONE GAME STUDIOは、Wiiウェア用の音楽ゲーム「Violin Paradise」を出展。モーションコントローラーを弦に見立てて、バイオリンの名曲を演奏するゲームで、ブースには「パッヘルベルのカノン」の美しい音色が流れていた。すでに北米では昨年12月にリリースされているが、台湾や日本へのサービス予定は未定。


【Violin Paradise】
最大4人まで同時プレイができる体感音楽ゲーム。誰でもバイオリニスト気分が味わえる

 モバイルパブリッシャーのGemmy Planetは、iPhone向けと携帯アプリの2タイトルを出展していた。iPhone用の「緋紅魔域姫」は魔法のほうきに乗った魔女を操作する横スクロール弾幕系シューティング。2010年の夏にローンチされており、App Storeから購入することができる。操作は、左手で上下左右に操作しながら射撃とボムで攻撃する。見た目に反して難易度はかなり高めで、覚えながら進んでいくタイプのかなり本格的な弾幕シューティングが楽しめた。


【緋紅魔域姫】
シビアな操作が要求されて、なかなか難易度が高いファンタジー系のシューティング


(2011年 2月 19日)

[Reported by 石井聡]