ユークス、PS3/Xbox 360「UFC(R) UndisputedTM2010」
“ゴチャゴチャいわんと、誰が1番強いか決めたらええんや!”
パブリッシャー対ディベロッパー・禁断のシュートマッチ!~後編~


発売中(9月9日 発売)

価格:7,329円

CEROレーティング:B(12歳以上対象)


Motosugi氏(上写真・右)とYamachu氏(同左)。シュートマッチらしく「メーカー対決だと美味しいなぁ」という筆者らの思惑を見事ブチ砕いて決勝に臨む

 株式会社ユークスは、プレイステーション 3/Xbox 360用格闘ゲーム「UFC Undisputed 2010」を9月9日に発売した。価格は7,329円で、CEROレーティングはB(12歳以上対象)。今回は、海外での販売元THQと開発元であり日本での販売元ユークスの各メンバーによる特別企画「“ゴチャゴチャいわんと、誰が1番強いか決めたらええんや!”業界騒然、パブリッシャー対ディベロッパー・禁断のシュートマッチ」後編をお届けする。

 まずは、前編に続いてトーナメント決勝戦の模様からスタート。“バーチャル・オクタゴン”ことユークス本社会議室には、当日多くの社内の方々が観戦に詰め掛けており、「これ、どっちか一方の会社側だけ残るっていうのが1番アレだよね」という不安感が無言のうちに漂っていたのだが、その空気がフラグとなったのか。前編をご記憶のかたはすでにご承知のとおり、ユークスのMotosugi氏とYamachu氏が見事決勝戦に進出した。

 念のためルールに触れておくと、決勝戦は5分3ラウンドで2試合先取制。ファイターは1回戦のままで、Motosugi氏がAlan Belcher、Yamachu氏がDan Henderson。「ついに恐れていた決勝カードが実現しました」とマイクを向けると、Motosugi氏は「Omar-Sanと対決を想定してのAlan Belcherだったんですが、秋山ならずダンヘン(Dan Henderson)で、ちょっと……テンションはダウンです(笑) でもがんばります!」とコメント。一方のYamachu氏は「そうですね、こうなったら優勝までいきたいですね。もう成るようになれ、っていうことでがんばります。本当に、ちょっと今、まわりの目を確認すると精神がガタガタになるんですよ。(後ろを振り向けますか?) 振り向けません(会場笑)。 早めに帰りたいと思います」とコメント。

 お互い精神的にやや追い込まれている様子だが、えてしてこういうときほど好ファイトが望めるというもの。多数のギャラリーが見守るなか、ついに決勝戦が開始された。




■ 決勝戦
~Alan Belcher(Motosugi氏) vs Dan Henderson(Yamachu氏)~

【第1試合】

 まずはお互い打撃を見せつつテイクダウンを積極的に狙っていく。スタンド、クリンチ、ケージ、グラウンドの各ポジションとも、互いに手の内を知っている同士といった一進一退の展開が続く。Danの打撃、Alanのグラウンド、それぞれストロングポイントを軸に仕掛けていくも決定打とはならず、互角のまま1ラウンドが終了。

 2ラウンドも同様に互角の状況で推移するが、残り3分を切ったところで互いに意地を張ったかのようなインファイトが勃発。紙一重で殴り勝ちダウンを奪ったAlanが、そのままの勢いで一気に畳みかけ、ロック状態から2ラウンド2:26でTKO勝利。Motosugi氏「最後のコンビネーションがきれいに決まって相手をフラッシュダウンできた。そこから一気にいくことができました。コンビネーションを練習したかいがありました」、Yamachu氏「スピードを生かしたコンボに対応しきれなかった」とそれぞれコメント。


【第2試合】

 1ラウンド序盤、Danがタックルを仕掛けるも切られてしまい、逆にテイクダウンを奪い返される。肩固めまで完全なAlanペースで進むが、ギリギリで返すDan。終了間際、バックハンドブローから立て続けに繰り出したDanの左フックがクリーンヒットし、Alanダウン。そのまま一気に勝負を決めようとするDanに、倒れこみ際にアームロックを狙うAlan。残り1秒まで一瞬の猶予も許されない攻防が続く。

 両者ともに体力の損耗の激しさを感じさせるインターバルシーンを経て2ラウンド開始。タックルを切られたAlanに対し、積極的にスタンディングの打撃を狙っていくDanは、巧みな間合いのコントロールからインファイトで一気に優位に立つ。左、右、右と連続で繰り出されたアッパーがロック状態を誘発。即座にクリンチから仕切り直しを狙うAlanだが、打撃に意識が傾きすぎたのか、右膝を連続で繰り出したところでカウンターの左ショートアッパーを浴び、そのまま失神。2ラウンド1:32、DanがKO勝利で1-1のタイに持ち込むことに成功した。Yamachu氏「ダンヘンらしさを見せられたんじゃないかな、と思います。(1発が魅力ですね)そうですね、やめられないスね(笑)」、Motosugi氏「1回、相手のパンチを取ったときには『何とかなったかな』と思ったんですけど。後半盛り返されて、ぼくのペースが崩れてしまいました」とコメント。


【第3試合】

 泣いても笑ってもこれで優勝が決まる3試合目。前2試合の余韻からか、両者とも初手から強気のフルスイングを繰り出していく。20秒過ぎ、Danの右バックハンドブローがクリーンヒットしてAlanがダウン。慎重に仕留めにいくDanだが、多分に余力を残す両者だけに、要所で決めきれず一進一退の展開が続く。決定的なシーンが訪れたのは、2分40秒。クリンチから相手をケージに押し付けることに成功したAlanが、Danの頭部に右膝を連続で叩き込み、右フックでロック状態を誘発。容赦なくガードの隙間から右アッパーを連打するAlan。TKOで終了……と思われたが、ここでDanが信じがたい粘りと根性でロック状態から脱出。テイクダウンからバックマウントを取られるも、見事なスイープで体勢を立て直す。

 だが、奇跡は2度続けておきなかった。残り1分、スタンディングの状態で、あえて慎重に間合いを取るAlan。スタンディングなら元から分があるとばかり、間合いを詰めて大きく右を振りかぶってきたDanの顔面を、Alanのスーパーマンパンチが容赦なく貫く。1ラウンド4:08、KOでAlanが勝利。これにより、2-1でMotosugi氏が見事優勝を勝ち取った。「もう最後のほうは、相手がどう動くか全部わかってたんです(笑)」というMotosugi氏に対し、Yamachu氏は「挑発にのらないメンタルを鍛えてきたいと思います」と悔しそうにコメント。ケージポジションでワンサイドになった展開について「あそこはアッパーで押し切れる?」と質問すると、Motosugi氏は「打撃。アッパーか、キックが得意な人はニーでガツガツ当てるのがいいと思います」と説明。あの局面で一気に仕留められたかについては「いや、まだ頭のHPが減らせていなかったので……そこはグラウンドにいって、もっとコツコツしようかなと思っていました」とコメント。

 ゲームを熟知したプレーヤーらしい、見事な攻防が随所に見られた今回の企画。特に決勝3ラウンド目の粘りや直後の展開は、オンライン対戦などで参考になるはずだ。シングルプレイはもちろん、オンオフ問わず“対戦”しまくって、ガンガン腕を磨いていただきたい。


「せっかくレプリカのベルトがあるんだから、優勝者に巻いてもらいましょう」ということで、見事チャンプとなったMotosugi氏にポーズを決めていただきました。



■ 開発者ミニインタビュー ~ちょっと細かいトコなんかも聞いてます~

中谷 匡彦氏
大塚 相氏

 熟練プレーヤーによる対戦企画に続いて、ここからは「UFC Undisputed 2010」でクリエイティブ ディレクターを務めた中谷 匡彦氏と、リードゲームデザイナーの大塚 相氏らへのミニインタビューをお届けする。

編: 前作から1年と、短いスパンで続編がリリースされました。限られた開発期間で、もっとも厳しかったことはなんでしょうか?

中谷氏: 1年スパンという作り方だと、どうしても前の物を作り終わると、すぐ次が動き出しますよね。そういうところで時間が短いなかだとユーザーのフィードバックを集めて、それを反映させるのが難しい。強いていえば、そういったところだと思います。

大塚氏: 前作でやり残したところ。1作目としては満足できていたんですけど、やはり残していた。作っていた人間、全員が何かをもってたんで。やりたいことがたくさんあって、それを1年間でどこまでできるか、というのが1番難しかった。いい意味での反省点なんですけど、盛り込みすぎたかな、という気もします。そのなかに中谷が言ったみたいに、ユーザーのフィードバック、意見がきこえてくるタイミングでは、もう「UFC Undisputed 2010」の開発が始まっていた。それまでに「どうしても盛り込まないといかんだろう」など色々な意見がありました。

中谷氏: やりたいことがいっぱいあるなかで、盛り込む! 盛り込む! っていう……。

編: 生みの苦しみでしょうか?

中谷氏: 生みの苦しみは1作目だったんですけど、開発のなかでも、やりたいことって、いっぱいあったんです。それを、お客さんも求めているのか。後から、やりながらの確認になる。でも結果的には、みんなが思っているものと、お客さんが思っていてくれたものが、ある程度同じだということを確認できたので、心強く進められました。

編: ユーザーからの要望で、1番多かったものはなんでしょう?

中谷氏: サウスポーと金網(ポジション)。

大塚氏: 1作目で泣く泣く我慢した……お客さんにも我慢してもらっちゃったところなんですけど、UFCの再現としては、あまりよくはなかった。この2点は国内外のユーザーから1番多かったので、「UFC Undisputed 2010」で1番最初に取り組んだ部分でもあります。

編: サウスポーや金網といった要素を加えたことで、バランス調整はより難しくなったと思います。特にサウスポーなどは間合いにダイレクトに影響しますし。そのあたりはどうやって上手く調整されたのでしょうか?

大塚氏: このタイトルは物理演算エンジンにHAVOKを使っていますので、変な言い方になるんですけど「実機に出してみないとわからない」んです。今までのゲームであれば、アニメーションツールで出たものが100パーセント実機でも反映するんですけど、HAVOKが入ることでエンジンによる“フィルター”が1枚通っちゃう。作り手のぼくらでさえ、わからないことがある。頭のなかで「これをやれば大丈夫だろう」という感じで作っていても、いざ実機で出してみないと、本当の答え……課題が見えてこない。事前に潰せる問題点と、実機に出してみないと浮き彫りにならない問題点がありまして。

 本作は、ほぼ後者。実機に出してみないとわからないことが、あまりにも多い。そういう意味では、今までやってきたタイトルに比べると難しい。とにかく実機に出してみる。出したうえで、どういう調整がさらに必要か。ゲームからもう1回課題が与えられる。その繰り返しっていうところが、1番難しい。

編: 実装でトライ&エラーを繰り返さなきゃいけないというのは、凄く根気が必要ですね……。

中谷氏: これはTHQさんにもご理解いただいているんですけど。とにかく、出してみようってところで、一緒に付き合ってくださった。同じ物を見ながら話をしていくっていうのは、凄くポジティブだと思うんです。凄く楽しんでできました。

編: サウスポーという新要素は、私個人としても非常にうれしく思いました。ただ、サウスポーが入ることで「ゲームバランス的にきついんじゃないか?」と懸念したのも事実です。間合いが変わりますし、対戦で有利すぎやしないかと……。

大塚氏: 単純に距離が変わっちゃうんで、そこは落とし込む、というか。どこにもっていくのがいいか。最初はアニメーションデータを入れて、そこに技のパラメータを入れてみて、遊んでいるうちに一部分が強すぎたりとか、弱くなったりとか。元々ゲームデザインとして……これは語弊があるかもしれませんが、それほど特化させるものとは考えていなかったんです。なかにはスイッチできるファイターもいますし。そこに凄く尖った“クセ”が出てしまうと、プレーヤーがとっつきにくくなる。できるだけ“たいら”にしていく。それが結果的によかったかどうかはわかりませんが、思い切り強烈な個性にできないと考えていたので、それを丸めていく作業は、結構時間をかけました。

中谷氏: 操作として4つのボタンが左右の手足に対応している。スタンスが変わることで、なるべくユーザーが混乱しないようにっていうのは、作りながらみんなで注意したところですね。

大塚氏: オーソドックスな相手にはこの技は凄く有効だけど、サウスポー相手にはとたんに使えなくなるっていうものは、開発序盤に結構ありました。それは、このゲームのコンセプトからも極端に離れすぎていると判断しまして、悪く出ちゃった特徴を下げていくという作業をしました。

編: 今回、サブミッションに“チャージ”という新要素が加わりました。体験版をプレイして、私自身もちょっと操作に混乱したところがあるんですが、これを導入した意図は?

大塚氏: 最初のとっかかりとしては、前作ではボタン連打とRスティックの回転で、テクニカルと力づく、2種類の抜け方を用意したんですが、結果的にガチャガチャしてることには変わらない、ということになりまして。それで、ボタンをまずやめよう、それ以外の何かを探そうっていうところで、結果たどりついたのがチャージ。チャージは確かに、コツをつかむまでは難しいと思います。ただ、チャージを使わなければいけない、というものにはしていない。Rスティックぐるぐるで勝負をかけるか、それともチャージのタイミングに自信があったり、「もう無理だ!」と思ったときはチャージでいちかバチか勝負してもらいたい。プレーヤーに対する選択肢として、前作のボタン連打よりも意味は出てきてるかな、と思います。ただ、習得するまでちょっと時間がかかるかなぁとは思いますが……。

編: 先ほどのシュートマッチでも、みなさんRスティックぐるぐるを使われてましたよね。個人的には大好きなんです。特にふたり並んで対戦してるときとか……。

中谷氏: がんばってる感が楽しいですよね(笑)。チャージのほうは、ちょっといやらしい感じの勝負。上手くなった人は「ニヤリ」とする感じかな? と思います。

大塚氏: 開発で上手い奴は、やっぱりチャージで。横でぐるぐる回してるところで、自分のタイミングで勝ったりする。

編: そのあたりのコツを……言葉で伝えるのは難しいとは思いますが。

大塚氏: そうですねぇ……言葉で答えると(そのままそれが)答えになるんです、実は(一同笑)。そんなに深い仕様でもなかったりして。凄くシンプルな仕様なんですよ、チャージって。

編: タイミング、ということでよろしいでしょうか?

大塚氏: タイミングと押している時間、ですかね。ただ、押している時間も、相手が(Rスティックを)グルグルまわしていると、相手側に寄っていくんで。自分が望む時間、押し続けられるかというのも駆け引きになると思います。

編: 技をかけられる側もじっとしてるだけじゃないですからね。ただ……日本語版が出たとき、ユーザーのみなさんが一番ひっかかるポイントという気はします。

中谷氏: 今回はオンラインキャンプで練習もできるので、ネットで誰か仲間を探して練習するというのもアリじゃないかな、と思います。

編: そういった新要素など、作り手側として「ここに注目して欲しい」といった部分はありますか? 意外にわかりにくいけど、ここ実は! みたいな。たとえば観客のところとか。

中谷氏: おっ、まさに観客のところは、地味なんであとで言おうかなと思っていたんですけど(笑)。基本的に、観客は誰ひとりとして同じポーズをとっていない、というコンセプトでやってます。アニメーションとして同じものが流れていても、タイミングをずらしたりとか。“沸き沸き感”を出してます。地味にオクタゴンサイドの人も、みんなファイターの方向を向いています。これは、やるとやらないでは全然違います。やってみるもんだな! っていう。

編: 明後日の方向をむいてたらおかしいですもんね。

中谷氏: 結構、早い段階でできてよかったなと思います。あと、金網のたわみ。これも目立ちにくいですけど、ちゃんとたわんでるんです。目立たないだけに、言ってプッシュしておきたい(笑)。金網自体、新しいゲームのフィーチャーとして入ってますので。やってますよ! っていう。

大塚氏: 細かいところなんですけど、リプレイのカメラアングル。一部、画角をきつくしているところがあります。それは実際の放送でも、画角が強くなってるところがあるので「今年はそれをやりましょう」ってことでやったんですけど。少しの労力で(笑)凄く効果的でした。

中谷氏: メインのところでいうと、ポジションが増えた。純粋にコンバットアニメーションが増えたっていうのは、試合の展開に色々な動きが出て、そこは普通に「続編らしくなったなぁ」と思えるポイントです。先ほどの試合も、続けて同じファイターでやっていても、やはり違う動きが出てくる。そこは凄く生きてると思いました。

編: スタンドから組み合っても、そこからケージがからまるか、すぐダウンするか。全然違いますよね。

中谷氏: そうですね。組み合いながら次々にポジションが展開していく。前作よりもシチュエーションが増えてます。グラウンドからバックマウントになって、バックマウントからクリンチになって、組み合ったまま外れないで立ち上がって、でもそのままふたりはクリンチしているといった状態も、前作にはありませんでしたから。格好いいシーンがだいぶ増えたかな、と思います。

編: 前作以上にリアルになったぶん、ゲーム的なケレン味で羽を伸ばしたくなるようなところはありますか? たとえば、今回、派手なダウンがなくなりましたよね。総合格闘技が好きな人は「おっ」と思いますが、ゲーム的には地味になっちゃたのかなっていう……。

中谷氏: その辺はバランスですよね。本当に、どこまでやるのかっていうのは、みんな自問自答しながら、もしくはクライアントさんに聞きながらっていうところになると思います。基本的には、今回THQさんが掲げられていたのは「よりリアルに、UFCらしく」。でも我々ディベロッパーとしては“ふり幅”をどう料理するかに懸かっていると思うので、そこは常に頭を悩ませるところです。

大塚氏: 悩みながらも、やっぱり……変な言い方をすると「2D格闘ゲームを作っているのではない」という大前提があります。ぼくらも色々なタイトルをやりますけど、見るたびに「あっ、ちょっといいなぁ」と思うんですけど(笑)、でも、自分の立ち位置とやるべきところを考えると、そっちではない。ほかのタイトルがやってる気持ちよさを、どう料理していくか、というのを考えるプロジェクトかな、と思います。実際の試合で、そんなにドカン! と吹っ飛ばなくても、試合が動いたり決まる瞬間っていうのは、見てるだけでやっぱり盛り上がる。それをヒントにしながら作っていくのが、このタイトルだと思います。

編: THQさんは、本作を見てどのようにおっしゃっていますか?

中谷氏: 先ほどのOmar-Sanの話なんですけど。実は彼自身、ケレン味あふれる色々な対戦格闘ゲームも好きなんです。でも、このゲームをどうしたいかっていうところで、リアルなものを作るという信念を持っておられた。そこは、ブレずにやりやすかったところです。

編: 先行発売されている海外版と国内版で、何か違いはありますか?

大塚氏: ないです。ただ、海外版では特定のショップ限定だったファイターが、日本版では収録済。具体的には「The Ultimate Fighter」シーズン10に出てきたファイターが、日本版は最初から使えるようになっています。

編: 海外版はパッチが配信されています。日本語版はすでに適用済み?

中谷氏: はい、それも含まれます。

編: 収録ファイターがついに100人の大台を超えました。パラメーター設定など、特に大変だったのでは?

中谷氏: スタッツは、基本的にUFCさんから「こういう設定でお願いします」という形でいただくんです。パラメーターですね。もちろんそれを元に、開発のなかで、よりゲームシステムを考えて妥当であるか補正を加える。UFCさん監修のもとパラメーターをつけさせていただいた。UFCさんからいただいていますので、そこは公平に作れているかなと思います。

編: 個人的で結構ですから、お気に入りのファイターを教えていただけますか?

大塚氏: ぼくは、TUFのファイター、ロイ・ネルソン。このプロジェクト史上、1番太っているファイターなんです。TUFで結果を残す前から、別の団体で有名な強いファイターだった。このファイターが入ったことで、仕事的にもチャレンジャブルなところもあり、モデルのデキも凄くいい。ぜひとも皆さん触って欲しいなと思います。サラベリーっていうえげつないポジションもあるファイターです(笑)。

編: 本作はモデリングが実際のコリジョンに影響しますから、ファットなファイターは難しかったんじゃないですか?

大塚氏: そうですねぇ。特に、相手の身体にクラッチするようなポーズは……失礼な言い方ですけど、ロイ・ネルソンって本当に太ってるんですよ。もう、回らない、ポーズが取れないっていうところから、どうしていこうかと。モデルを痩せさせるしかないよね、とかいってたんですけど。さすがに、それはできない。もう、なんとか……色々なことをしながら。

編: 何か、特殊な処理をされているんですか?

中谷氏: その状況を見て、対処方法を追加しています。

大塚氏: 元々、ロイ・ネルソンが入ってくるまでコリジョンは共通して1個だったんですよ。1個でなんとかなるだろうと思ってたんですけど、ロイ・ネルソンが入ってきた時点で、スキンとコリジョンの差があまりにも大きかった。埋まっちゃうんで、それはよくない、このタイトルでそれはできないってことで。最初は二の足を踏んでいたんですけど、これはやるしかないなと思いまして。モデルとコリジョンのタイプを複数用意して、その差を少しずつ減らしていくシステムを追加しました。そういう意味では、ロイ・ネルソンは思い出深いファイターです。

編: 全体をリアルにすることに役立った?

大塚氏: そうですねぇ。結構、珍しいんですよ。へヴィ級だから、そういうファイターが出てきた。UFCって階級ごとに決まってますが、ヘヴィ級だけ幅が大きい。ロイ・ネルソンはその上端。筋肉ではなく、ぶよっとした感じ。

編: でも、北米の人ってバタービーンとかタンク・アボットみたいなファイター、好きですよねぇ。ぼくも好きです。体系的に親近感が……。って、ちょっと話が変わりますけど。前作は海外で400万本以上の売り上げを記録しましたが、それで何か変化したことはありますか? 急にUFCさんの対応が……とか。

大塚氏: UFCさんは、1作目から凄く協力してくださったんですよ。そういう意味では、特に何も変わってないですねぇ。パラメーターの件ひとつとってもそうですし、映像素材も提供してくださる。特に今年は、実際のPPVで使ってるような素材をもとにメニューを組んだり、試合前のイントロのムービーデータも実際のものを使わせていただいて、とても感謝しています。海外では販売イベントにも凄く協力してくださって、UFCのダナ・ホワイト社長とか、そうそうたるファイターがイベントには必ず参加してくださる。

編: これは個人的に聞きたいことなんですが、金網にぶつかったときや押し付けられたとき、ダメージは受けているんでしょうか?

大塚氏: ケージからのダメージはありません。新しく追加したケージポジションという、クリンチで押し込んでいる状態は、押し込んだ側にアドバンテージを与えるために強めの打撃だとか、強力な組み技を入れていますので、ケージの恐ろしさをわかってもらえるところかな、と思います。

編: 先ほどのシュートマッチでもありましたね。それでつい「あそこはパンチで押し切れるんですか?」ときいちゃったんですけど。あれは明らかに意図的な行動でしたから、何かあると思って……。

中谷氏: 彼は純粋に、そこで押し切れたかどうかを答えていたと思うんですけど。たしかに有効な状態ではあります。あのアッパーは効いていたと思いますよ。

編: 容赦なかったですよね。あのケージポジションの体勢で、防御側は何をするのが正解なんでしょう? 一瞬思いつかないくらいパンチの回転が速かったですし。

大塚氏: 防御側はガードできますし、キャッチもできます。

編: キャッチかぁ! でも、あのパンチの回転の速さでキャッチにいくのは、かなり勇気がいります。

大塚氏: 試合のなかで1回、膝蹴りをキャッチしてテイクダウンに持ち返していた展開がありましたよね。相手が打撃をしているということは、こちらはトランジションを挟み込む余地があるはずなので、ガードしながら隙をみて、自分で少しでも有利な行動を……。

編: 3本目の試合は、メンタル的な意味でも参考になりました。

中谷氏: 最後の1本は、かなり。勝つ気の攻め。倒しにいってるなーと思いました。メリハリがきいてて楽しかった(笑)。

編: 最後に、日本語版の発売を心待ちにしているユーザーのみなさんにメッセージをお願いいたします。

中谷氏: 圧倒的にゲームモードが増えています。オンライン、シングルプレイもたくさん増えています。ぜひ、たくさん遊んでください。よろしくお願いします。

大塚氏: 「トランジションを覚えるまでは大変」という意見がたくさんありましたので、グルグル回しているだけでもトランジションできるようにしました。ボタンとかスティックをカチャカチャしているだけでも、そこにはUFCの試合が再現されるようにしています。正直、操作はそんなに簡単ではないと思うんですけど、ボタンを押せば打撃が出る、Rスティックを押せばグラップル系の操作が出る、というふうにしています。最初はワーワーいいながらファイターが動くのを見ているだけでも楽しいと思うので、それをとっかかりに、やがて深いところまでいっていただければなぁ、と思います。

編: 本日は、お忙しいところを本当にありがとうございました。




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画像は開発中のものです。また、パッケージデザインは変更される場合があります。

(2010年 9月 24日)

[Reported by 豊臣和孝]