コーエー、Wii「戦国無双3」発表会を開催
宮本茂氏、GACKTさんなどスペシャルゲストが登場


11月 発売予定

価格:7,140円


 株式会社コーエーは、Wii用タクティカルアクション「戦国無双3」を2009年11月に発売する。価格は7,140円。また、「クラシックコントローラPRO同梱パック(仮称)」と、同パックをベースにサウンドトラックCD、設定資料集、フィギュアなど豪華グッズが同梱された「戦国無双3 TREASURE BOX」も11月に発売される。どちらも価格は未定。

 コーエーは、都内にて本作の発表会を開催。冒頭の挨拶で、コーエーテクモホールディングス株式会社 代表取締役の松原健二氏は「本作は、会社にとって極めて重い意義を持っていると思っている。このタイトルに賭け、文字どおり一丸となって開発に取り組んできた。その気合を、今日はみなさんに感じていただければ」とコメントし、本作の重要性を強調。コーエー専務取締役執行役員の杉山芳樹氏は「『戦国無双』は、今からちょうど5年前。私と鯉沼(久史氏)の2人が立ち上げたシリーズ。1作目は2004年にリリースされ、みなさまのご協力もあってミリオンセールスを記録。2作目はその2年後、2006年にリリース。本来であれば2008年に3作目が出て然るべきスケジュールだったが、ちょうど家庭用ゲーム機の世代交代があり、1年遅れて2009年リリースとなった」と経緯を説明した。

 プラットフォームにWiiを選んだ理由について、杉山氏は「ひとつは、1番売れているハードで、たくさんのユーザーの方々に『戦国無双』をプレイしていただきたい。もうひとつは、開発現場が『ぜひWiiで開発したい』という想いが強かった」とコメント。タイトルコンセプトは「Wiiで始める一騎当千」。以後4、5、6と長くシリーズを続けていきたいといい、「ユーザーからWiiを代表するタイトルに挙げてもらえるよう育成していきたい」とコメントした。

 続いて、プロデューサーの鯉沼久史氏が本作のゲーム概要を説明。操作系は、クラシックコントローラーPROなど従来型のコントローラーに対応。無双奥義を上回る破壊力を誇る「無双奥義・皆伝」、簡単な操作で強力な連続攻撃が繰り出せる「影技」などの新システムを搭載し、シリーズ最高の爽快感を演出。シナリオは、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康の3人にスポットを当てた「戦国の三傑ストーリー」、武田信玄、上杉謙信らによる「関東三国志」、加藤清正、石田三成、直江兼続、真田幸村らによる「関ヶ原若武者ストーリー」の3つを軸に、戦国時代全般を網羅。そのボリュームはシリーズ最大のボリュームになるという。登場キャラクタは、シリーズ最多の35名以上。既存のキャラクタはすべてデザインやアクションを一新。また、新たな人間関係を描くなどプレイに厚みを持たせるとしている。


【ロゴ】

【新キャラクタ】
黒田官兵衛加藤清正甲斐姫

【スクリーンショット】
同社が一丸となって開発に注力したナンバリングタイトル。爽快感あふれるアクション、登場キャラクター数、シナリオのボリュームなど、すべてが「シリーズ最強!」という
新システム「影技」は、画面左下にある青い球を消費する。通常技をキャンセルして連続攻撃が可能。再び通常技につなげられるため、ゲージ残量次第で強烈なコンボが叩き込める無双奥義は、画面左下・体力ゲージ下のゲージを消費して発動。3つに分割されていることからもわかるとおり、ゲージは最大3つまでストックできる新システム「無双奥義・皆伝」は、影技用ゲージがMAXの状態で無双奥義を発動。黒田官兵衛の場合、最後に空から巨大な鬼の拳が振り下ろされ強烈なダメージを与える


 新ゲームモードの紹介では、とある“サプライズ”が用意されていた。雷鳴とどろくSEとともにスクリーンに表示されたのは、オールドファンならひと目でわかる印象ぶかいシルエットの風景と「戦国無双」×「謎の村雨城」のメッセージ。驚くべきことに、コーエーは任天堂株式会社と協力して、本作に新ゲームモード「謎の村雨城」モードを用意するという。

 念のため説明しておくと、「謎の村雨城」は1986年4月14日にファミリーコンピュータ(ディスクシステム)向けに発売されたアクションゲーム。主人公の鷹丸を操作して刀や術を使いわけながら敵と戦い、ナゾの生命体を倒すべく村雨城へと乗り込む。昨年8月よりWiiバーチャルコンソール版が配信されている。モードの詳細については明らかにされなかったが、ゲストとして任天堂 専務の宮本茂氏がステージに登場した。

 宮本氏は「実は、さっきの『村雨城』。25~6年前、『ゼルダの伝説』を作っているときに、たぶん初めてのプロデュースではないかと思うんですけど。東京のほうでアニメーションの制作会社と一緒に作っていました。例に漏れず、中盤色々とモタモタしまして。プロデューサーの最後のケジメとしてディレクターをやるという。で、ゼルダから遅れて半年後くらいにリリースしたと思うんですけど、すっかり忘れてました(笑)。鯉沼プロデューサーから電話をいただいて『村雨城、ありますよね。実は使いたいんですよ』といわれまして。『村雨城』を作ることは(今後)ないでしょうから、じゃぁ、絶対に気持ちよく遊べるゲームにしてくださいね」とコメントしたと経緯を説明する。

 「当時『村雨城』を作るにあたって気をつけた点を、ここで話していただけると有難いんですけど」という鯉沼氏の問いに、「爽快感!(笑)」と即答する宮本氏。「2本の剣さばきの気持ちよさ。これ、アニメーションの会社と一緒に作ったので、凄くいい絵を描いてくれるんですね。鷹丸の立派な絵。アニメーションもキレイなんですが、8bitのファミコンで描くと、なかなかそうはいかない。唯一残せるのが、鷹丸の決めポーズ。この決めポーズをいかに活かすかということで、剣はオートで振っちゃえ!というくらいまで開発時に色々やりまして。それで、シャカシャカと斬っていく。ふすまも大奥のようにサッサッと開いていく。こういうイメージで作りました」と当時のエピソードを披露してくれた。

 特徴的なBGMについても「日本人が作ったなかでは異質なところにあるのでは?」という鯉沼氏に対し、宮本氏は「『スーパーマリオ』や『ゼルダの伝説』を一緒に作ってる近藤(浩治氏)が書いてくれたんですね。で、この前にゼルダを作ってて。ゼルダも和風の感じで結構やっていた。仕置き人風の音楽とか、マカロニ・ウエスタンの感じとかでゼルダの曲ができてるんですけど『もうネタが尽きたかな?』と思ったら、この曲が出てきたんですね。もう、1発で決まりました。これで行こう! と。いまだにメロディを覚えています。耳についたら離れない、尺八と三味線。ディスクシステムで新音源ができたんですよね。FM音源に近いものですけど、三味線と尺八の音をリアルに使うというので、気持ちよくできたかなぁと思います」とコメント。鯉沼氏によれば、新モードではBGMが生の楽器で再現されるという。宮本氏も完成を大変楽しみにしている様子。「謎の村雨城」をプレイしたことがある人は、正式発売のあかつきにはぜひチェックしていただきたい。


松原健二氏杉山芳樹氏鯉沼久史氏宮本茂氏

「謎の村雨城モード」とは一体!? コーエーと任天堂のコラボだけに期待感は高まる一方。今後の続報が待たれる




■ テーマソングを謳うGACKTさんがサプライズゲストに登場

 発表会には、歴史アイドル“歴ドル”の美甘子(みかこ)さんと小日向えりさんが登場。「れきーっしゅ!」と元気良く登場したおふたりは、戦国武将シリーズの大ファンといい、美甘子さんが「阿国(おくに)」、小日向さんが「お市」のコスプレで登場。それぞれ背中の刺繍、肩と裾にあしらわれた浅井家の家紋など、ディティールも完璧といったてい。

 好きな武将についてきかれると、美甘子さんは「無双シリーズでは、直江兼続が好きですね。今回、直江兼続も衣装がバージョンアップして。愛の前垂れが、ちゃんと前についていて。昔は、背中に愛とあったので。新しくなって、楽しみだなぁと思ってます」とコメント。小日向さんは「私は真田幸村公をお慕い申しているんですけど、“真田日本一の兵、古よりの物語にもこれなき由”と褒め称えられている知勇兼備の武将で、大好きです」とコメント。実機のデモンストレーションが行なわれた際にも、真田幸村が出てくると「あっ、出てきた! ……でも、倒しちゃうんですよね? がんばれ幸村公!」と敵にも関わらず応援するほどの徹底ぶり(?)。

 ゲームの印象についてきかれると「凄い疾走感があって、前よりもアドベンチャー要素が増していて、より面白くなっているなぁと思います!」という小日向さん。美甘子さんも「やっぱり、物凄い迫力! 自分が弾を出したりとかはできないから(笑) やっぱりゲームでゲージを溜めて爆発! みたいな。爽快感があって、早くやってみたかったです!」と非常に気に入った様子。ただ……おふたりともWiiを持っていないといい、まずはそこから用意しなければならないようだ。

 続いてサプライズゲストとして登場したのは、本作のテーマソングを担当したGACKTさん。コーエーとGACKTさんのコラボレートが実現した経緯について、鯉沼氏は「『戦国無双』シリーズのナンバリングタイトルは、今までもずっと力を入れて作ってきた。今作はシリーズ最高の大作と位置づけており、プロモーションに関しても何か大きなところと組みたいな、というのがまずあった。楽曲に関しては、やはり戦国を愛している方……『戦国無双』のしなやかさ、鋭さといったイメージにある方にやっていただきたいと考え、GACKTさんにお願いしたいというのが私のなかにあった。ダメモトで話をもっていったら、快く受けていただけた」と説明する。

  GACKTさんは「ただ単純に楽曲を提供するだけではなく、共に作品を作っていくという姿勢で構わないのであれば、この仕事を引き受けますという形で、鯉沼さんや制作の方々に了承いただいた。『戦国無双』の世界観を含めて、前に進めていきましょうということで楽曲を制作すると決めました」と説明。「かなりの戦国武将ファンだということですが、そのあたりは?」という司会者の質問に、GACKTさんは少々はにかんだ表情で「好きです(笑)」と一言。好きな武将は? ときかれると「そうですね。この欲望渦巻く戦国時代のなかで、これだけ多くの個性あふれるキャラクタがたくさん出てきていって。そのなかでも、僕が以前演じたことのある上杉謙信、織田信長、前田慶次、ここいらへんのキャラクタは、僕のなかで“時代を傾(かぶ)いて生きた侍”なのではないかな、と。非常に、こよなく愛しています」と回答。

  NHK大河ドラマ「風林火山」で演じた上杉謙信についてコメントを求められると「(ご自身が天才といわれたら、と聞かれ)僕は天才じゃないんで(笑)。どちらかというと不器用で、ただ負けず嫌いなだけで。負けたくないから努力するタイプ。彼(上杉謙信)に惹かれるところっていうのは、圧倒的なカリスマ性。乱世のなかでも義を通す。私利私欲では戦わない、非常に類稀な武将というか。その気質が好きなんですよね」と説明。

  GACKTさんが挙げた武将のなかでオススメの武将は出てきましたか? と質問された鯉沼氏は「プロデューサーだからすべての武将がおすすめなんですけど。今回あえて挙げさせていただくと、黒田官兵衛あたりは面白いかなぁと思っています。実際、史実でも秀吉の名参謀として活躍した人物で、ただ、実力があり野心が強いがゆえに秀吉からも警戒されていた、という描き方。本シリーズは、他のタイトルと違い『この武将は悪で、こっちは善』といった位置づけはしていない。それぞれの想いを持って生きてきた武将たちを格好よく描かせていただいている。そのあたりを見て遊んでいただければ」という。

 テーマソングを作る際に意識したポイントをきかれると、GACKTさんは「戦うなかで、自分の存在する意味。これは別に戦国だけでなくて、現世でも、男であれば何かに対して戦っているという意識ってあると思うんですよね。そのなかで、自分を見つける。一体自分は何のために戦っているのか、をテーマに。あと、スピード感を出したいというのもあって。非常に激しく、速く、それでいて変拍子を異常に取り入れてるので。正直カラオケではまったく歌えないな、とは思ったんですけど(笑)。ま、カラオケソングではないんですよね。凄くドラマ性が高くて、もしこれを歌うことができるようになるんであれば、相当チャレンジャーだなぁと思いますし。そういう気持ちで聴いてもらえれば嬉しいかな、と。これを気に入って歌ってくれる子たちも出てくるとは思うんですけど、気合を入れて歌って欲しいな、と。かなり難しいんで。僕も歌いながら『えらく難しい曲を作ってしまったなぁ』と。だいぶ……そうですね。ぬるい曲が蔓延する今の時代に、これくらい激しい曲があってもいいんじゃないかな。僕らしくていいかな、と思います」とコメント。

 最後にファンに向けてのコメントを求められたGACKTさんは「歴史に触れるということは、色々なキッカケがあると思うんですけど。こうやって『戦国無双』のようなドラマ性の高いゲームを通して日本の歴史に触れて、過去に存在した多くの勇者というか、僕らの魂を元々作ってくれた人たちに触れてみる。それを多くの子供たちがやってくれるっていうのは、凄く嬉しいですし。このゲームを通して、楽しいだけでなく、キャラクターそれぞれの生き方、考え方に触れて、自分たちの生活にも反映してくれればいいな、と。そう思っています」とコメント。GACKTさんの熱い想いが込められたテーマソングは、ファンならずとも必聴といえそうだ。


美甘子さん小日向えりさんGACKTさん


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(2009年 8月 5日)

[Reported by 豊臣和孝]