ディズニー・インタラクティブ、映画「ボルト」の劇中劇がDSでゲーム化
無敵のボルトと天才少女ペニーの大冒険を体験できる


【映画「ボルト」】

8月1日 映画公開

【DS「ボルト」】

8月13日 発売予定

価格:5,040円

CEROレーティング:A(全年齢対象)


映画「ボルト」のワンシーン。テレビでスーパードックを演じてきた“ボルト”は、ふとしたことをきっかけに飼い主のペニーとはぐれつらい現実を知ることになるが、仲間達の助けを得てペニーの元を目指す

 ウォルト ディズニー スタジオ モーション ピクチャーズ ジャパン配給によるディズニーのフルCG映画「ボルト」が8月1日から夏休み全国ロードショートして公開されている。製作総指揮はPIXARのジョン・ラセター氏であり、氏によれば「私はディズニー映画を愛しており、私の想いすべてを込めて作った最初の映画が『ボルト』です」ということで、ディズニーとしても非常に力の入った作品だ。

 主人公は、背中に稲妻の模様のある犬「ボルト」。ボルトは撮影スタジオの中で育てられ、人気番組に出演しているハリウッドのスター犬。ボルトは自分の使命を「自分のスーパー・パワーで悪を倒し、飼い主の少女ペニーを守ること」と信じていた。その設定が番組の中のものであるということに疑うこともなかった。テレビドラマの世界を現実だと信じているスター犬「ボルト」だったが、ある日、トラブルからスタジオの外に運び出されハリウッドから遠く離れたニューヨークに到着してしまう。

 ボルトはニューヨークからペニーの元に帰ろうとする中で、はじめは自分にはスーパー・パワーがあると信じていたが、現実世界の元、自分の信じていた力が虚構の世界のものであったことに気付かされる。ボルトはひどく落ち込んでしまうが、ニューヨークで出会った皮肉屋の野良猫・ミトンズ、旅の途中で出会ったボルトをスーパー・ドックと信じて疑わないハムスターのライノらとの交流を通じ次第に立ち直り、ペニーのいるハリウッドを目指して突き進んでいく。しかし、ペニーの元にたどり着いた時、ペニーには真の危機が迫っていた……。

 映画「ボルト」は映画の王道とも言える展開の作品で、誰もが安心して楽しめる映画に仕上がっている。主人公が挫折を経験しながらもそれを克服し、目的に突き進む愛と友情に溢れた内容だ。挫折を経験した時にその側にいる友に励まされ、助けられ、その想いに答えていく。ボルトの経験する現実に対する幻想と挫折、そしてその克服は、観客の誰もが持つものと重なり共感することができるだろう。

 その映画「ボルト」のゲームがニンテンドーDS用ソフトとして発売される。ゲームは映画のストーリーを追った内容ではなく、映画の中で展開するスーパー・ドック「ボルト」の活躍をゲーム化している。このため映画の中のように悩みながら成長していく「ボルト」の姿はないが、圧倒的に強いボルトと少女ペニーの活躍を楽しむことができる。

 今回は映画「ボルト」の監督を務めたクリス・ウィリアムズ氏とバイロン・ハワード氏にお話を伺うことができた。ゲーマーだというお2人にゲーム化についてなど様々なお話を伺った。ゲームの詳しい紹介と共にお届けする。

映画「ボルト」のポスター。可愛らしいボルトだけでなく猫の“ミトンズ”、ハムスターの“ライノ”など魅力的なキャラが多数登場する主人公の“ボルト”。1度は挫折を経験するが、仲間達と共にそれを乗り越え、遠く離れたハリウッドのペニーの元を目指す“ボルト”の共演者にして、ボルトが小さい頃に動物保護施設から引き取った優しい女の子“ペニー”。ボルトは心を許せる大切な存在


(C) Disney Enterprises, Inc.



■ 映画「ボルト」監督にゲームについて話を聞く

記者陣の質問に丁寧に答えてくれた監督のお2人

 まず最初に映画が完成し日本で映画が公開されることについては、いろいろな苦労がありつらい面もあったが、完成した映画については誇りを持っているし、ジョン・ラセター氏が初めてディズニーを指揮した作品であるため、彼のためにも良い作品を作りたかったという。その上で日本で公開されることについては、日本はアニメーションを映画としても芸術としても受け入れている国で、上映されることをうれしく思うと共に、(そんな日本に来ることは)ハイライトなのだという。

 ゲーム化が決まった時は「非常に興奮した。私たちが作った映画を題材にして、広く流通しているゲームというものに貢献できるということをうれしく思った」という。さらに「ゲームというものが非常に大きな産業であり、ゲームを作るのに映画を制作するのに匹敵する予算が投じられ、収益を見込まれているのはすごいことだ」とし、「作り手としては、自分たちが作り出したキャラクターには愛情が湧き子供のようなもの。それが他のメディアの作品に登場することは、自分が育ててきた子供達(キャラクター)を社会に出すような気分だ」と、うれしそうな顔で語った。

 日本ではニンテンドーDS版しか発売されないが、海外ではXbox 360やプレイステーション 3用作品も発売されることもあって、Xbox 360版やPS3版についてはすでにプレイしたとか。2人の監督の仕事の切り分け上ゲーム開発についてはゲームが好きなクリス氏が協力していたという。ゲームの開発担当者からゲームの説明を受けた時、「ボタンを押すとこうなって、レベルというものは……」と非常に細かい説明が行なわれたが、クリス氏がゲーム好きであることもあって開発中のゲームをどんどんプレイしていく姿を見て、より円滑にコミュニケーションがとれるようになったという。

 ゲームについては、「非常に楽しく仕上がっている」と全体的にお気に入りだという。どこが気に入っているかという点については「映画と同じで、ボルトは可愛らしくて害の無いような犬に見えるけど、(実はスーパー・ドックで)鍛え抜かれた軍の精鋭部隊をあっという間に倒してしまう、そのギャップがおかしくて楽しいと思う」とコメント。

 DS版では映画のストーリーを追うといった手法ではなく、劇中劇として登場するテレビドラマを描くという手法がとられている。このアイディアについては、「1番、理にかなったゲーム化だと思う」と前置きし、「なぜなら、映画の中のTVショウの部分はそれだけ強烈なインパクトがあるから(それをゲームの題材に使うのが1番いい)」と続けた。映画のストーリーを追うということについては「映画で描かれていることは、感情的な部分やボルトが抱えている問題だとかそういった部分なので、それをそのままゲームにするのはいかがなものかと思う。ですから、これだけ大迫力の派手なアクションがあるのでゲームとしてはそちらの部分を使用しました」と語った。

 実際ゲーム開発者側からも「TVショウをクローズアップしたゲームにしたい」という旨の提案があったという。監督のお2人もそれを想定していたため、すんなりとそういった方向で話がまとまったのだという。実際クリス氏にしてみれば「自分がゲームをプレイするので、『ヘリを爆破できるゲーム』と『ヘリを爆破できないゲーム』のどちらを選ぶかと言われたら、爆破できる方を選ぶ。そういった意味でも理にかなっていると思う」とプレーヤー視点的にも今回のゲーム化が成功しているという意向を示した。

 映画には、ボルトがテレビ番組同様スーパー・ドックであることを信じて疑わないライノというハムスターのキャラクターが登場する。ある質問として「ボルトの活躍をテレビで見続けたライノはボルトが本当にいると信じている。このゲームをプレイし続けたらプレーヤーはライノのようになるのでは?」といった質問が出た。この質問には笑いながら「その危険性はある!あまりにゲームに夢中になって場合によっては午前3時とかだったりして、それでハッとした時に『まさにライノみたいになったかなぁ』と思うことはあるよね。その気持ちはみなさんゲーム好きな人にはわかるんじゃないかな (笑)」と答えた。

 ちなみに直接ゲームとは関係ないが、ボルトというキャラクタが誕生したきっかけというのは、「もともとクリスが考えていたのですが、番組に出ている犬がその番組の世界を現実だと信じているという案はあったのです。白くて横に稲妻の模様があるというのが象徴的で、ヒーロー犬なんです。だいたいこういったストーリーは主人公から考えていくものですが、真っ白な犬の反対と言うことで黒い猫のミトンズを考え出しました。そしてその中間と言うことでライノというキャラクターが生まれました」と解説してくれた。

 映画制作者は犬を映画に登場させる時、まるで人間のような犬を描いてしまいがちだが、クリス氏によれば今回は犬本来の姿を描きたかったという。「犬というのはどういうものなのかを現わしたかったんです。犬の本来の性質というのは、飼い主をとことん愛しているというのところで、そこを称えたかったんです。飼い主に絶対的に忠実で愛着が強いというピュアなハートを描きたかったのです」と語った。

 最後に「日本はアニメーションを称えてくれる国ということもありますし、日本に来ることができて非常に興奮しています。ぜひこの映画を喜んでいただければと願っています」とコメントし締めくくった。


監督のクリス・ウィリアムズ氏。これまでにもディズニーの「ムーラン」、「ラマになった王様」のストーリー制作などを手がけたもう1人の監督、バイロン・ハワード氏。「ポカホンタス」、「リロ&スティッチ」などでアニメーターなどを担当。「ボルト」で長編映画監督デビューとなる

(C) Disney Enterprises, Inc.



■ ボルトとペニーとなって敵を蹴散らしていく!!

パッケージ写真

 ニンテンドーDS版「ボルト」は上記にある通り映画の中で描かれているボルトが出演しているテレビ番組をモチーフにしている。このため、映画のボルトのポスターなどは可愛らしく描かれているが、ゲームのパッケージなどは非常に凛々しくカッコイイ「ボルト」が描かれている。ゲームはアクションアドベンチャーで、プレーヤーはスーパー・ドッグのボルトと天才少女ペニーとなり、悪の組織にさらわれたペニーの父を捜し出すために世界中を冒険する。

 ボルトはスーパー・ドックであるため様々な超能力を持っており、これらの能力を駆使して敵と戦っていく。一方、ペニーはハッキングなどが得意で、謎解きなどに力を発揮していく。

 ボルトには体力のほかにエネルギーゲージが存在しており、このエネルギーを使って無敵状態になり敵を倒すことができたり、この他にもジャンプから地面に体をたたきつけることで側にいる敵にダメージを与える「グラウンド・ショック」といった技も持つ。このエネルギーはステージにあるアイテムを見つけていくことで補充することができる。さらにボルトにはレーザー光線を発射するという技を持つが、ゲーム中でもそういったシーンが再現されている。ある特定の場所で下画面で発生するミニゲームをクリアするとレーザー光線を発して障害物を取り除くことなどができる。

 ペニーはホイールバーと呼ばれるハンマーのようなアイテムを持っており、これで敵を倒すだけでなく、ステージ上のあちこちに引っかけることで進んでいくことができる。また閉ざされている扉などは得意のハッキングでミニゲームをクリアすることで謎を解いてゲームを進めることができる。

 この他にもハムスターのライノとなり、ハムスターボールに入ったライノを転がしながら、制限時間内に迷路を脱出するといったミニゲームも用意されている。


エピソードの間にはイメージイラストが挿入される。映画にはない劇中劇なので、他では見られないオリジナルイラストとなっているボルトの重要な能力の1つ「むてきパワー」。ボルトをタッチすると無敵状態が発動し、緑色の波動が発せられる。この波動に触れた敵はダメージを受けることとなる。ただしエネルギーをどんどん消費してしまう。再度ボルトをタッチすると無敵状態を解除できる
複数の敵に同時に攻撃することができるコンボアタック。ゲームを進めていきレベルを上げることで、コンボ技の種類は増えていくジャンプして地面に体をたたきつけることで側にいる敵にダメージを与える「グラウンド・ショック」。この技も「むてきパワー」同様にエネルギーを消費すするスーパードックであるボルトのパワーはすごく、どんなに重いものでも簡単に動かすことができるステージにはいろいろなアイテムが隠されていることがある。箱などを壊すと最大エネルギーが増えるアイテムを発見することも
ボルトの必殺技のひとつ、「レーザー光線」。目からレーザー光線を発し障害物を排することができる。決まったところで使用することになる。制限時間以内に、スクリーンショットのように絵からはみ出さないようにタッチペンでなぞることで発動。成功すれば障害物を真っ二つにできる。失敗すると違った絵が表示されるのでサイドチャレンジすることになる「ボルト」がハイジャンプを決めているところ。技を駆使して広大なマップを駆け巡ることとなる
ペニーの得意技はハッキング。制御装置などをハッキングしパズルを解明したりする場面もある。右スクリーンショットにあるとおり、制御時間内に上画面に表示された絵の順番通りにタッチペンでつないでいけばクリアとなるペニーはホイールバーと呼ばれるアイテムを持っており、これを使いステージ上のあちこちに引っ掛けることで、移動することができる
ホイールバーは移動に使うだけでなく、振り回したりさまざまなアクションで敵を倒すことも可能。ボルト同様コンボ攻撃が可能で、レベルが上がればパワーアップしていく緑の箱を壊すとスクリーンショットにあるようにエネルギーの最大値を上げるアイテムを手に入れることができる。ちなみに画面写真の左下にある顔の横にあるバーの上が体力ゲージで下がエネルギーゲージこちら画面写真にあるのが、ペニーのレベルアップに必要なアイテム。この経験値アイテムを集めるとパワーアップすることができる集めた経験値アイテムは「攻撃力」、「防御力」、「スピード」にそれぞれ割り振ることができる。プレーヤーの戦略によってペニーを育てていくことができる
映画にも重要な役回りで登場するハムスターの「ライノ」。そのライノを操作して時間内に迷路をくぐり抜けるミニゲームも収録されている

(C)Disney.

(2009年 8月 3日)

[Reported by 船津稔]