Electronic Entertainment Expo 2009現地レポート
E3 2009 SCE PRESS CONFERENCE レポート・その1(PSP go、モーションコントローラー編)
PSP go発表。同時にPSPビッグタイトルも続々。SCEもWii対抗のモーションコントローラーを発表
6月2日、米Sony Computer Entertainment(SCE)は、ロサンゼルス市内の公会堂にてE3プレスカンファレンスを開催した。
登壇したSCEA President and CEOのJack Tretton氏は、おどけた感じで「今日、皆さんが来てくれて本当によかったです。この業界で、情報を秘密にしておくことはとても難しいんです(笑)。いずれにせよ、プレイステーション関連のプレスカンファレンスは、我々Sony Computer Entertainment自身がやらないと意味がないですからね」と開口一番、ジョークを飛ばした。
これは、「PSP go」の情報が事前に流出して広まってしまったことへの自虐的なギャグということだろう。
Tretton氏は「今日のプレスカンファレンスでお見せするものは、プレイステーション・ファミリーが、これからもコンピュータエンターテインメントの主流であり続けることの証になることでしょう。そして2009年は、プレイステーションファミリーが昨年よりもさらに成長を遂げます」と述べ、プレスカンファレンスは開幕した。
なお、プレイステーション 3用タイトルの話題やPlayStation Network(PSN)周りについては別稿にてお届けする。本稿ではプレスカンファレンス内で発表されたPSP関連の話題、PS3用の新しいモーションコントローラについての話題をお届けする。
SCEA President and CEO Jack Tretton氏 |
■ 「PSP go」発表。PS3のコントローラもつながる!
今回のSCEプレスカンファレンスで、最も注目を集めたのは「PSP go」の発表であったことは間違いない。事前の情報流出も、言ってみればよい方向に働き、世間からの注目を強く集めることとなったようだ。
Sony Networked Products & Service Group President / SCE President & CEO 平井 一夫氏 |
PSP関連のプレゼンテーションを行なったのはSony Networked Products & Service Group President兼SCE President & CEOの平井 一夫氏だ。
「プレイステーショングループは、一般消費者がデジタルテクノロジーに対して何を望んでいるのか、これに応えることにいつもフォーカスしています。2年前、我々は開発者、パブリッシャー、一般ゲームユーザーに至るまでに、『PSPをよりよくするためにはどうすればよいか』について聞いて回りました。その結果は直ちにPSP開発チームに回され、どんな機能が必要か、どんなデザインであるべきかを検討して参りました。その結果を受けて開発した、PSPのあるべき“次の姿”をご紹介したいと思います」(平井 一夫氏)。
平井氏はこう述べたあと、懐から新型のPSPを取りだして見せた。
「この新型PSPにはいくつかの名前の候補がありました。1つは『E3史上最悪の秘密漏洩』というものです(笑)。正式名は『PSP go』です」(平井 一夫氏)。
「PSP go」のスペックを以下に示す。
【「PSP go」の商品概要】 | |
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商品名称 | PSP(プレイステーション・ポータブル)go |
外形寸法 | 約128×16.5×69mm(幅×高さ×奥行き)(最大突起部除く) |
質量 | 約158g |
GPU | PSP CPU(動作周波数:1~333MHz/メイン・メモリ:64MB) |
ディスプレイ | 3.8インチ 16:9ワイドスクリーンTFT液晶 480×272ピクセル 1,677万色 |
サウンド | ステレオスピーカー内蔵 マイク内蔵 |
主なI/O | ワイヤレスLAN (IEEE 802.11b準拠)(Wi-Fi) Bluetooth 2.0(EDR) High Speed USB(USB2.0準拠) メモリースティック マイクロ(M2) アナログ ビデオアウト マイク |
主な端子 | マルチユース端子 (本体電源入力/外部電源供給/USB/ビデオアウト/音声入出力兼用) ヘッドホン/マイク端子 メモリースティック マイクロ(M2)スロット |
キー・スイッチ類 | 方向キー(上下左右)、アナログパッド×1 △、○、×、□ボタン、L、Rボタン×1 START、SELECT、PSボタン×1 POWER/HOLDスイッチ×1 ワイヤレスLAN(ON/OFF)スイッチ×1 ディスプレイ、サウンド、音量+/-ボタン×1 |
電源 | リチウムイオンバッテリー(本体内蔵) 外部ACアダプター USB充電 |
本体メモリー | 16GB(フラッシュメモリ) |
対応プロファイル | PSP Game |
アクセスコントロール | リージョンコード、視聴年齢制限(パレンタルロック) |
ワイヤレス通信機能 | ワイヤレスLAN(IEEE 802.11b準拠)(Wi-Fi) (インフラストラクチャーモード/アドホックモード〔最大16台同時接続〕) Bluetooth 2.0(EDR) |
本体同梱物 | ACアダプター USBケーブル CD-ROM(Media Go収録) |
「PSP go」からはUMDドライブが省略されており、2005年の最初期型と比較して、体積比で50%小さく、重量比で40%軽くなっている。
「『PSP go』は、PSP-3000に取って代わるものではありません。また、UMDのサポートを終えるというわけでもありません。ユーザーへの新しいPSPの形として提案するものになります。今後、発売されるPSP用ゲームは全てプレイステーションストアでダウンロード購入できる仕組みを提供していきます。もちろん、PSP-3000以前のユーザーのために、UMD版も提供してまいります」。
小型になった「PSP go」。UMDドライブが省略されたことでコンテンツはネットから入手することがスタンダードになる | 「PSP go」にとってゲームメディアはUMDではなく“ネット” |
「PSP go」の型式番はPSP-N1000。
本体サイズは約128×16.5×69mm(幅×高さ×奥行き)。重さは158g。液晶画面は3.8インチの16:9ワイドディスプレイ。解像度は480×272ドットで変更はなし。PSP-3000の4.3インチと比較すると画面は一回りないしは二回りは小さい印象だ。
画面も本体サイズも小さくなった「PSP go」 |
スライドしてコントローラー部を引き出して使用する |
操作系は従来機までと同じ |
液晶画面の下部にコントローラー部が隠されており、スライドしてゲームコントローラー部を引き出すというイメージになる。デジタルパッド、アナログパッド、4ボタンという操作系はPSP-3000以前と全く同じだ。PSPゲームプラットフォームとしての機能面での本質的な違いはなく、当初噂されていたタッチスクリーン機能などは搭載されていない。
ただし、コントローラー部を閉じたあとは、携帯電話の待ち受け画面のようにカレンダーや時計を表示する機能があり、また、音楽や映像、写真などを楽しむこともできる。フォトフレームや据え置き型時計として活用できるのはちょっと面白い。
UMDが省略された代わりに16GBの内蔵フラッシュメモリを搭載する。ここにはゲーム、動画、音楽、写真などを格納することができる。
外部記憶装置としては、PSP-3000以前までのメモリースティックProデュオから、メモリースティック・マイクロ(M2)へと仕様を変更している。M2はデュオよりも小型のメモリースティックだが、規格上の互換性があるため、M2に記録したデータは変換アダプタを用いることでデュオとしても読み書きが可能だ。
Blutetooth機能も内蔵しており、ワイヤレスヘッドセットはもちろん、PS3のゲームコントローラー(DUALSHOCK、SIXAXIS)も接続可能と発表されている。
ビデオ出力機能もPSP-3000から引き続き搭載される。ただし、接続端子は電源/USB/ビデオ/サウンドのマルチユースコネクタに変更されているので、PSP-3000/2000までの接続ケーブルは利用できない。そのため、「PSP go」発売時には専用接続ケープルがリリースされる予定となっている。
【プロモーションムービー】 |
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北米価格は249.99ドル。日本よりも北米での方が発売が早い |
この他、周辺機器としてはバッテリー充電機能とスタンド機能を兼ね備えたクレイドル(PSP-N340)が本体と同時に提供される。
「PSP go」の価格は北米で249.99ドル、ヨーロッパで249ユーロの予定。北米とヨーロッパでの発売時期は10月1日。日本では26,800円で11月1日発売予定と発表された。
PSP-3000の標準価格が19,800円であることを考えるとやや高いイメージがある。また、手持ちのUMDゲームソフトが「PSP go」ではプレイできないことを考えると、買い換え派よりは新規ユーザーに対して強く訴求されるべき製品と言えそうだ。
■ 「PSP go」付属ソフトウェアと今後のPSPユーザー向けネットワークサービス戦略
PSPコンテンツ管理アプリケーション「Media Go」 |
動画、音楽、写真、そしてゲームといった多様なPSPコンテンツは、「PSP go」内蔵の無線LAN機能(WiFi)を利用し、PSNを通じてダウンロードすることになる。つまり、「PSP go」にとってゲームメディアはUMDではなく16GBのフラッシュメモリということになる。
「PSP go」単体でPSNのプレイステーションストアへアクセスしてコンテンツをダウンロードしてもよいが、16GBのフラッシュメモリの容量は有限であり、いずれデータの出し入れが必要になる。また、コンテンツの数が多くなるとその管理すら難しくなる。そうした膨大なコンテンツ管理にはやはりPCが便利だ。ということで、SCEは「PSP go」のためのPC向けコンテンツマネージメントソフトとして「Media Go」を提供することも発表している。「Media Go」はイメージ的にはiPodにおける「iTunes」のような存在だ。なお、「Media Go」は「PSP go」パッケージの付属CD-ROMに収録されるとのこと。
さらに、「PSP go」には、音楽ジュークボックス機能「SenseMe」が内蔵される。これは「PSP go」がユーザーの音楽コンテンツライブラリを解析して曲調を把握し、ユーザーが希望のムード(たとえば「リラックス」、「ダンス」、「アップビート」など)を指定することで、そのイメージにぴったりの曲をプレイリストとして音楽を再生してくれる……というDJ的な機能だ。
ちなみに、「Media Go」、「SenseMe」といったPSP支援ソフトは「PSP go」だけでなく、PSP-3000以前のモデルでも利用可能であることが明言されている。明確な提供時期については言及されなかったが、「PSP go」の発売とほぼ同時に提供されるとみられる。
また、北米時間6月2日より、PSPからダイレクトにPSNのビデオ配信サービスにアクセスする機能が提供されることを明らかにした。さらに、今回、新たに、Showtime Networks Inc.、Starz Media、G4、E!、Summit Entertainment、The Weinstein Company、HDnet、Magnolia Pictures、Anime Network、Media Blasters、Nozomi Entertainment、Manga Entertainment、Toei Animation、Viz Media、WEP、HDNet Fights、UFC、TNA、Video Action Sports.といったコンテンツプロバイダが、PSNのビデオ配信サービスへ新規参入したことも告げられた。
「SCEはUMDサポートをやめない」と強調はするが、PSP単体でPSNのコンテンツストアへのアクセスが可能になると、事実上、UMDの必要性は低くなる。ゲームコンテンツへのアクセス速度もUMDよりもフラッシュメモリの方が圧倒的に速いため、UMDの優位性は「物理的なブツとしてコンテンツを保有できる」という部分だけになる。今後の新作タイトルが、もしPSNダウンロード版の方がUMD版よりも大幅に安価だとすれば、ユーザーのUMD離れには拍車がかかることだろう。また、SCE側もUMDの面倒な在庫管理をしなくて済むことから、本音としてはPSNダウンロード版ソフトの方を積極的に売っていきたいと考えているはずだ。
今回、PSPの開発キットの大幅な値下げも発表されている。PSP開発に必要な開発キット「DTP-T2000/A」は15万円(北米1,500ドル、欧州1,200ユーロ)となり、開発の効率化やパフォーマンスの向上を可能にする統合プログラム開発ツール「ProDG for PSP」が標準同梱される。また、デバッグ/テスティングツール「DTP-H2500/A」の価格も10万円(北米1,000ドル、欧州800ユーロ)へと改訂された。この値下げによって、中小スタジオのPSPゲームソフト開発への参加を積極的に促す。
PSPがPSNのビデオ配信サービスへダイレクトにアクセスできるようになった | PSNのビデオ配信サービスに新規参入したコンテンツプロバイダ |
■ 「グランツーリスモ for PSP」
小さくてもフルスペックのドライビングシミュレーター
続いて平井氏はポリフォニーデジタル代表の山内一典氏をステージに招き「グランツーリスモ for PSP(GT for PSP)」の発表を行なった。
「お待たせしました。皆さんを長い間お待たせしていたPSP用『グランツーリスモ』の発表ができることをとても光栄に思います。今、実際に『PSP go』で『GT for PSP』が動作しています。とても小さな『PSP go』ですが、『GT for PSP』はフルスケールの『グランツーリスモ』で、60fpsで動作しています」(山内氏)。
「フルスケール」の言葉の意味は、「これまでの据え置き型で提供されてきた『グランツーリスモ』シリーズと肩を並べるほどの本格仕様である」という意味のようだ。
具体的なゲームスペックとしては800台以上の車種(塗装バリエーションを含めると4,500車種)、35個のサーキット/コース(60種以上の景観/レイアウト)を謳う。
【グランツーリスモ for PSP】 |
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ゲームモードは通常のクイックレースの他、コースごとのタイムアタック、ドリフトチャレンジ、ライセンス取得モードを含むキャリアモードが用意されており、ゲーム体験としてもフルスペックの「グランツーリスモ」となっている。
オンライン機能については最大4人までのアドホックモードでの対戦モードがサポートされ、さらに、つながったプレーヤー同士が、お互いのガレージを参照して車の交換やシェア(貸し借り)も行なえるという。
「800台以上の車種が登場する『GT for PSP』では、1人のプレーヤーが全車種を獲得していくのはとても困難かと思われます。友達同士で集まってコミュニケーションしながらゲームを楽しみ、そして友達同士で様々な車を交換しながら獲得していく……そんなプレイ体験そのものが『GT for PSP』の楽しみ方になります」(山内氏)。
「GT for PSP」は、PSP全機種に対応し、UMDとPSNダウンロード版の両方で提供される。発売は「PSP go」の北米での発売日である10月1日を予定。
ポリフォニーデジタル代表取締役兼プレジデント、山内一典氏 |
【スクリーンショット】 | ||
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■ 「METAL GEAR SOLID PEACE WALKER」
小島監督直接指揮の下で制作される「MGS」シリーズ最新作
さらに日本人ゲームプロデューサーの小島秀夫監督(小島プロダクション代表)が登壇し、ステージはさらに熱気に包まれることになった。
「『PSP go』の登場でますます熱くなっているPSPですが、PSPに新しい『メタルギアソリッド』が帰ってきます。タイトルは『METAL GEAR SOLID PEACE WALKER(メタルギアソリッド・ピースウォーカー)』です。主人公は『MGS3』主人公ネイキッド・スネークで、『MGS3』の10年後の1970年代が舞台となっていまして、正式な『MGS3』の続編です。ボクがゲームデザイン、演出、プロデュースもしますし、開発も『MGS4』チームが担当しますので、正真正銘の『メタルギアソリッド』シリーズの本編の1つとなります」(小島氏)。
「METAL GEAR SOLID PEACE WALKER」はPSP専用タイトルとして登場! | 小島プロダクション代表、小島秀夫監督 |
ゲームそのものは本格的な「メタルギアソリッド」になる予定だが、PSPという携帯ゲーム機なので、携帯ゲーム機の良さを活かしたユニークなゲームシステムが搭載される予定とのこと。
公開された映像を見る限りでは、ビジュアル的にも、ゲームシステム的にも、「MGS3」の世界観の延長線をPSPのハードウェアの限界を感じさせずに見事に表現できているように感じられた。
また、小島氏のいう「PSPならではの要素」とは公開映像の中で登場する、風貌の微妙に異なった4人のスネークのことを言っているのだろうか。つまり、スネークが4人いるということから、アドホック接続時におけるネットワーク協力プレイではないかと想像できるのだ。
とにかく、正式なる続編と言うことで、歴代「MGS」シリーズのファンにとっては、とても待ち遠しい作品となりそうだ。なお、発売時期は2010年内を予定しているとのこと。
この雰囲気はまさに「MGS3」 |
これはネットワーク協力プレイ? |
【プロモーションムービー】 |
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■ 完全新作の「バイオハザード」が2010年にPSPで発売
「バイオハザード PORTABLE」は2010年内の発売の予定。内容については不明 |
再び壇上に戻ったJack Tretton氏は「バイオハザード PORTABLE」(北米では「RESIDENT EVIL」以下同)をアナウンスした。
「1996年に登場した『バイオハザード』はプレイステーションプラットフォームの成功に大きく貢献いたしました。『バイオハザード』シリーズは全体で4,000万本のセールスを記録した大ヒット作で、PSPシリーズへの新作がファンの間から切望されていましたが、ついに2010年に登場いたします」(Tretton氏)。
公開されたのははめ込みのイメージ映像のみで、実際に動いているゲーム映像は公開されなかった。Tretton氏によれば、「完全な新作となる」とのこと。
「バイオハザード1」のリメイクになるのか、あるいは「バイオハザード」の外伝的なシリーズとなるのか……といった詳細は言及されていない。
■ 「リトルビッグプラネット」がPSPへやってくる
PS3で大成功を収めた「Little Big Planet」(LBP)が、ついにPSPにも登場することが今回、発表となった。
公開された映像からはステージ・メイキングが行なえるかは不明だが、自由にカスタマイズした布人形のアバターを操り、物理シミュレーションで駆動される障害物満載の横スクロールステージを冒険していくゲーム性はPS3版と同じ。
「LBP for PSP」は2009年末の発売を予定している。
■ 「プレイステーション・モーション・コントローラー」は拡張現実コントローラを目指す
「ここからは今年の年末商戦の話ではなく、数年後の未来の話をいたしましょう。ここ数年、注目されてきているのはモーショントラッキングでゲームをプレイする技術です。ソニーもこの分野に対しては早くから開拓を行なってきました。PS2では『EyeToy』を、PS3でもビデオカンファレンスとゲーミングコントローラとして使えるCCDカメラ『Playstation EYE』を提供いたしました。そして、今回、これらをさらに拡張したアイディアである『プレイステーション・モーションコントローラ(PSMC)』を紹介したしましょう」(Tretton氏)。
Wiiの大ヒットの影響もあって「カジュアルゲーマーにはモーショントラッキングが向いている」という定説が浸透しつつあり、ハードコアゲーマー以外のカジュアルユーザー層拡大に向けてMicrosoftも今回のE3で、独自のモーショントラッキングシステム「Project NATAL」を発表したばかりだったが、SCEもこれに続いてきた格好だ。
「EyeToy」の開発で知られるリチャード・マークス博士 |
「PSMC」は棒状のデバイス |
今回の「PSMC」デバイスの開発担当は「EyeToy」の開発で知られるリチャード・マークス博士。
「PSMC」デバイスはカラオケマイクのような風貌で、握り手の部分が棒状になっており、マイクのように握って持って使う。棒状のてっぺんにはライトを内包した球体が取り付けられており、スティック上のボタンを押すことで球体の発光色は切り替わるようになっている。
このマイクのような「PSMC」デバイスはあくまでエンジニアリングサンプルであり、最終的な製品版はより洗練されたデザインになる予定だということが強調された。
内部にはモーションセンサー(傾斜センサーや加速度センサー?)が取り付けられており、どういった向きでどういった方向にどのくらいの速度で振り回されているかがホスト側に伝達できるようになっている。
これだけでなく、「EyeToy」開発チームの作品らしく、テレビ側にカメラデバイス「PLAYSTATION Eye」を設置して使うことになる。これはテレビ側からプレーヤーをリアルタイム撮影するCCDカメラの役割を果たす。
「PSMC」システムではテレビからのプレーヤーの遠近情報とプレーヤーが握った「PSMC」デバイスの向きや角度を把握しているのが特徴だ(遠近情報は、「PLAYSTATION Eye」から捉えた「PSMC」デバイスの映像、あるいはプレーヤーの映像などから判別していると思われる)。
「PSMC」システムは、これらの情報からプレーヤーからの入力を3次元的な軌跡として捉えることができ、これをゲーム用の操作入力として利用できる。
また、「PSMC」システムは、リアルタイムに「PSMC」デバイスの向きや位置を把握できているので、CCDカメラから捉えた映像中の「PSMC」デバイスに3Dグラフィックスをリアルタイム合成することができる。
これはちょうど拡張現実(AR:Augmented Reality)を彷彿させる目新しさと楽しさがあり、任天堂のWiiとも、Microsoftの「Project NATAL」ともひと味違うものになっている。
デモンストレーションでは、「PSMC」デバイスを様々なアイテムに切り換えて、コンピューター世界の中へ干渉する様子を披露した。
実際の製品化については未定として語られず。Tretton氏が「数年後の未来の話」という言い回しで紹介していたことから察するに、もう少し時間がかかりそうな印象だ。
PS3世代で提供されるのか、それとも次世代となるPS4世代で提供されるのかが注目される。
「PSMC」上のボタンを押すことでCG空間内での合成されるCGアイテムを切り換えられる |
2本の「PSMC」デバイスをそれぞれ剣と盾に見立ててプレイする剣術格闘ゲームのデモ |
2本の「PSMC」デバイスをそれぞれ弓と弦に見立てたアーチェリーゲーム風デモ |
【プロモーションムービー】 |
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(2009年 6月 3日)