ニュース

【特別企画】「S.H.Figuarts スカウト・トルーパー&スピーダー・バイク」レビュー

無骨で傷だらけの兵器をリアルに立体化!

4月20日発売



価格:12,960円(税込)

 バンダイは通販サイト「プレミアムバンダイ」にて、アクションフィギュア「S.H.Figuarts スカウト・トルーパー&スピーダー・バイク」を発売、4月20日より順次ユーザーの元へ発送した。今回筆者が購入した商品をレビューしていきたい。

映画からそのまま出てきたかのような存在感を持ったスカウト・トルーパーと、スピーダー・バイク
機体側面の汚し塗装。塗料がこすれて剥がれ、金属の地肌が出ているかのような表現だ
パイロットを外してみる。エンジンに安定板と最低限の操縦装置をつけただけの、実用性のみのようなデザインだ

 「スピーダー・バイク」は、映画「スター・ウォーズ」シリーズの世界に存在する乗り物で、様々なバリエーションが存在する。反重力を生み出す「リパルサーリフト・エンジン」で浮遊し、高速で地上を滑走する。「スター・ウォーズ」の世界は反重力エンジンの乗り物が一般化しているが、スピーダー・バイクは安価で取り回しやすいため普及しており、広大な惑星での“生活必需品”となっている。

 商品のモチーフとなったタイプは「エピソード6/ジェダイの帰還」で登場した。設定資料集などでは「74-Z スピーダー・バイク」と呼ばれる軍用の機体である。エンジンに座席をつけただけのようなボディと、前方のスタビライザーだけという非常にシンプルなデザインで、映画では、倒木もある林の中で高速のチェイスを繰り広げるという非常に危険な使い方をする。このアクションシーンは観客に強い印象を残し、その後の様々な作品に影響を与えた。

 ここであえて個人的な話をしたい。筆者はこの“スピーダー・バイクの玩具”に強い“憧れ”を持っていた。「エピソード6」が、「ジェダイの復讐」という邦題で日本で上映された1983年、筆者が子供の時に友達の家でスピーダー・バイクのアクションフィギュアを見た。その時の衝撃は今でも覚えている。それは精密なスピーダーバイクと、スカウト・トルーパーの海外製フィギュアだった。メーカーは覚えていないが、その商品のクオリティに幼い筆者は感動した。パイプが組み合わさったようなデザインを精密に再現し、塗装ではなく素材の組み合わせで細かいカラーリングやデザインを再現していた。

 「玩具でもここまでの表現が可能なのか」とその時強い驚きを感じたのだ。もちろん玩具が進化した今の時代では評価も異なると思うし、記憶として美化されているだろうが、その時の衝撃はしっかりと筆者の心に刻み込まれた。それ以降、筆者の中には“ハイクオリティなスピーダー・バイクのフィギュアが欲しい”という想いがずっとあった。「S.H.Figuarts スカウト・トルーパー&スピーダー・バイク」の写真は、子供の頃の思い出を強く揺さぶったのだ。正直価格は少し高かったが、現物を手にした今、強い満足感を感じている。

 商品の解説をしていきたい。つや消しの焦げ茶色で塗られた装甲板はボディを覆っているが、かなりの部分がむき出しだ。エンジンにパイプをくっつけただけの本体に、適当に装甲をかぶせただけのように見える。パイプに機械がくくりつけられているバランスは、先端に回転ノコギリがつき、後部に露出したエンジンが付いている「草刈り機」を思わせるところがある。ボディ上部にはレバーやボタンが付いているが、SFメカの緻密さよりも、工業機械の無骨さを感じさせる。シートは硬質のプラスチック製に見え、座り心地はよくなさそうだ。

 裏面前部にはブラスターが1門くくりつけられている。裏面の右側には1つだけジェットエンジンを思わせる機械が付いているが、これは空気を圧縮してエンジンに送り込む「コンプレッサー」だろう。機体側面の汚し塗装。塗料がこすれて剥がれ、金属の地肌が出ているかのような表現だ。後部は爆発的なスピードを生み出すであろう噴射口がある。映画では滑るように地上を滑走していたが、エンジンが生む強烈な加速力で無理矢理空を飛ぶような、ロケットを思わせるデザインとなっている。改めて機体をじっくり見ることで、色々考察をしてしまうところが面白い。

 そして楽しくなるのは機体に施された“汚し塗装”だ。機体側面の数カ所、そして前方の安定板はさらに多くの面積に、モデラーから“ハゲチョロ塗装”と呼ばれる汚し塗装、機体に塗られた塗料が、接触によって剥がされ地肌が見えているような処理がされているのだ。この汚し塗装が、本商品をより一層「スター・ウォーズ」のメカらしくしている。

 「スター・ウォーズ」のメカは、SFガジェットに“実用的な泥臭さ”をもたらしたところが革新的だった。宇宙船の排気口は油で汚れ、激戦を繰り広げた戦闘機は煤けている。塗装ははげ、細かい傷が付いている。ピカピカの未来の乗り物とは異なる、実際に運用されている機械をきちんと実感させてくれる。「S.H.Figuarts スカウト・トルーパー&スピーダー・バイク」は細かくリアルな造形と共に、この汚し塗装でユーザーに「スターウォーズのメカフィギュアを所有している喜び」をもたらしてくれるのだ。

【S.H.Figuarts スカウト・トルーパー&スピーダー・バイク】
ハンドルやフットレバー、機体後部の推力偏向板などが可動する
謎のパイプや、ちょっとレトロな感じの操作盤なども楽しい
裏面にはブラスターやコンプレッサーも確認できる

偵察と潜入を専門とする特務兵の装備を再現

 そして「S.H.Figuarts スカウト・トルーパー&スピーダー・バイク」のもう1つの主役、「スカウト・トルーパー」のほうも見ていきたい。帝国軍の兵士「ストーム・トルーパー」のバリエーションであり、偵察と潜入任務の訓練を受けた特殊兵である。狙撃能力に秀でてるという設定もある。

ストーム・トルーパーより装甲が少ないスカウト・トルーパー
ブラスターを構える。持ち手はハンドル用が2種、ブラスター用、拳の4種8個が付属している

 スカウト・トルーパーのボディアーマーは、ストーム・トルーパーのアーマーとははっきり異なる。装甲に覆われていない黒い部分が多く、機動力を重視している。特にヘルメットのデザインは大きく異なり、四角いバイザー、ゴーグル部分の大きさが特徴的だ。視界を広く取っているようにも見えるし、ゴーグルの倍率もより高倍率に対応しているかもしれない。“デザインに共通性を持たせながら、任務によって装備が変わる”というストームトルーパーのバリエーションもまた、その後の様々な作品に強い影響を与えた。

 「S.H.Figuarts スカウト・トルーパー」はその軽装の装備に魅力がある。アンクルホルスターに収められた拳銃型ブラスターは小さく、取り回しが良さそうだ。関節の可動域は広くブラスターを両手で構えたり、膝立ちもできる。装甲の少ないデザインは、動きのあるアクションポーズも可能にする。バイクにまたがりブラスターを構える姿もカッコイイのだが、欲を言えばライフルや大型ブラスターなどの装備も欲しかったところだ。「S.H.Figuarts スター・ウォーズ」シリーズの他の商品から武器を借りて構えさせるのも楽しそうだ。

 筆者にとって「S.H.Figuarts スカウト・トルーパー&スピーダー・バイク」はまさに“子供の頃のあこがれが実現した商品”であった。子供の頃には想像も付かなかったクオリティ、遊びごたえを持った商品が実現し、そして手の中にあるという喜びはたまらないものがある。本商品は受注商品のため残念ながら受付は終了しているが、バンダイコレクターズ事業部は今後も様々な商品を展開していく。本商品の技術がどのように今後の商品に活かされていくか、注目したい。

 弊誌では2015年末に映画公開に合わせて「S.H.Figuarts スター・ウォーズ」シリーズを特集し、いくつかの商品を紹介した。今後も様々な商品が発売予定であり、さらにラインナップは充実していく。さらに映画も“スピンオフ”である「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」が年末に公開予定と、こちらも大きく広がっている。どのようなキャラクターや、メカが出て、立体化されるのかワクワクさせられる。

【S.H.Figuarts スカウト・トルーパー&スピーダー・バイク】
幅広い可動範囲で、膝立ちなど様々なポーズが可能だ

(勝田哲也)