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あのBlizzardが放つオンラインFPS「オーバーウォッチ」CBTレポート

親切設計で初心者でもとっつきやすい本格FPS

5月24日発売予定



価格:7,800円(税別)

 ブリザード・エンターテイメント初のFPSタイトル「オーバーウォッチ(Overwatch)」は、21人のヒーローから1人を選び、6対6の計12人でプレイするチーム制のマルチプレーヤーアクションゲームだ。

 既報の通り、日本語版は5月24日に発売予定で、現在は欧米市場を対象にクローズドβテスト(CBT)を実施している。日本では、5月5日〜9日までの期間で、購入者を対象にオープンβテストが予定されている。国内販売はスクウェア・エニックスが担当。プラットフォームはPCとPS4。

 この度本誌では、クローズドβテストに参加する機会をいただいた。本記事ではゲームの概要と、実際にCBTをプレイしてみてのインプレッションをお伝えしたい。

特殊アビリティ「ウルティメイト」で戦況を打開できるカジュアルなゲームデザイン

 選べるヒーローにはそれぞれ固有のアビリティ(技能)とロール(役割)が設定されており、各アビリティの性能は、それぞれの役割に向いた内容となっている。ロールは「Offence」、「Defence」、「Tank」、「Support」の4種類で、6人のメンバーのうち、同じロールのヒーローが偏るなどアンバランスな編成になると警告が出るが、そのまま出撃することはできる。また、戦況に応じて随時ヒーローの変更も可能だ。

ヒーロー選択画面。ロールの構成が偏るとキャラクターアイコンの右に警告が出る
各ヒーローが持っているスキルは4〜5つ

 各ヒーローはHUDの中央に表示されているゲージが100%になると、強力なウルティメイト・アビリティ(以下ウルティメイト)を使用できる。それぞれのウルティメイトは広範囲ダメージ、広範囲CC、範囲復活、範囲無敵、瞬間移動など非常に強力な性能を持っており、どうしても攻めあぐねているときや、守りが押し切られそうな時に打開策となりうる。

ごく短時間のみ使えるウルティメイト・アビリティは、上手く使えば戦況をひっくり返す強力な切り札である

 それぞれのヒーローは、定期的に強力なスキルを使えることによって、初心者でも活躍のチャンスがある。逆に言えば、ヒーローの性能がプレーヤーの腕の差をカバーしてしまうので、比較的大味なバランスとも言える。

 例えばDefenceロール、スナイパークラスに属するハンゾーのウルティメイト「Dragonstrike」は、自分の正面から壁を貫通する円筒状のダメージ範囲を発生させる技で、これは敵が密集している大体の位置に打ち込むだけで相手の誰かしらは倒せる凶悪さである。だがこうしたバランスブレイク気味なスキルが存在することで、使い所さえ間違えなければ初心者でも戦力になるというデザインは、カジュアルなビジュアル通りの敷居の低さを実現している。

ハンゾーのウルティメイトは、地形を無視して発射した方向へ直進する範囲ダメージスキル

ゲームモードの種類と試合の流れ

 CBT時点における主なゲームモードは、両チームが攻撃と防衛に分かれて戦う「Assault」、1つのキャプチャーポイントを取り合う「Control」、オブジェクトをルートに沿って運ぶ「Escort」の3つ。マップは全モード合わせて11種類ある。

 「Assault」の攻撃側は、2つある防衛拠点を順に攻め落とせば勝利となる。防衛側はゲーム開始前に1分間の準備時間が与えられ、また高台が取れて有利な地形が多いことから前線が作りやすく、待ち構えて迎撃しやすい。しかしリスポーン地点からの移動距離が長く、ひとたび前線が崩れると、乱戦になって各個撃破されやすい。一方、攻撃側は相手の守りが整っている状態から態勢を切り崩さなければならないため、効果的にキルを取っていかないと押し返されてしまう。

攻撃側は一定時間陣地に乗り続けてキャプチャーすることで目標達成となる
防御側は陣地をキャプチャーされないように守り切る。序盤はリスポーンポイントから距離があるので取られやすい

 「Control」は両チームともほぼ同じ条件でスタート。中央の拠点を取り合い、時間で増えるパーセンテージを先に100%まで溜めた方が勝ちとなる。一度キャプチャーした拠点は完全に取り返されないとパーセンテージは増えていかないので、初動でキャプチャーした陣営が有利になる。一度押さえたまま終わることもあれば、攻守がめまぐるしく交代することもある忙しいマップだ。戦況をひっくり返すウルティメイトが最も輝くタイプのモードだろう。

Controlの拠点を取れたら、取り返されないように守り切れるよう立ち回る

 「Escort」は、オブジェクト(オーバーウォッチの場合は車両)を敵陣奥深くの目的地まで運ぶ、いわゆる「ペイロード」である。車両はヒーローが近くにいると前進し、いなくなってしばらくすると後退する。防衛側は攻撃側を車両に近づけなければいいので、車両周辺は集中砲火を浴びる。車両を押すために周囲をクリアリングする必要もあり、チームの役割分担が問われるモードである。

目的地まで車両を押していくEscort。車両の位置により主戦場は移り変わっていく
リザルト画面。様々な指標で最もチームに貢献したプレーヤーが讃えられる

 いずれのモードにも共通するのは、「Overtime」というロスタイムが存在することだ。この時間は負けているチームが挽回するための最後のチャンスであり、ここで挽回されてしまって逆転負け、というパターンも十分にありうる。このためバトルの最後の最後まで気が抜けない仕様となっている。

 マップを攻略するにあたり重要なのは、複数のヒーローによる相乗効果だ。一例としては、リーパーゼニヤッタのウルティメイト・アビリティが挙げられる。

 リーパーのウルティメイト「Death Blossom」は自分の周囲の敵に大ダメージを与えるシンプルなものだが、無敵状態になるわけではないので、単に敵の集団に近づいて使っても蜂の巣にされてしまう。だが、ゼニヤッタのウルティメイト「Transcendence」は自身が無敵になるほか周囲の味方ヒーローに大幅な回復効果が継続して入るため、併せて使えばリーパーは比較的安全にウルティメイトを使うことができる。いずれも発動は短時間なので、タイミングを合わせるのは難しいが、「オーバーウォッチ」には標準でボイスチャットがついているので、示し合わせて同時発動を狙ってみても楽しいだろう。

リーパーのウルティメイト「Death Blossom」。残像が残り一見スタイリッシュだが蜂の巣にされている
ゼニヤッタのウルティメイト「Transcendence」。自身が無敵になり周囲にいる味方を回復し続ける

大量のアバターやボイス、エモートなどゲーム以外の要素も充実

 ゲーム本編以外の要素としては、キャラクタースキン、スプレー、ボイス、エモート、勝利ポーズ、ハイライトなどが存在する。これらのアバター要素は、プレーヤーレベルアップ時にもらえる「LOOT BOX」からランダムで手に入る。アバターにはレアリティが設定されており、無色→青→紫→金の順番に上がっていく。また、LOOT BOXからまれに手に入るゲーム内通貨「Currency」を消費することによって、好みのアイテムを交換できる。交換したアイテムを装備してゲーム内に適用できるほか、「HERO GALLERY」で鑑賞することも可能だ。

様々なアイテムがもらえるLOOT BOX
中にはスキンやスプレー、ボイスなどのアバター要素が入っている
手に入れたアイテムはHERO GALLERYで鑑賞できる
手に入れたアイテムを装備することで使用ヒーローに適用できる
アイテムは膨大な数用意されている
ヒーローごとのスタッツも確認できる

 LOOT BOXは一種のガチャ要素であり、手に入るのはアバター要素なので、基本的には自己満足の世界なのだが、試合終了時に活躍したプレーヤー1人が選ばれて表示されるハイライトシーン(とばせない)には、その試合で使ったヒーローに自分で設定したスキンや勝利ポーズが適用されるので、プレーヤーのモチベーションを高める1つの要素であるとも言える。

試合後には活躍したプレーヤーのハイライトシーンが流される。とばせない。この画面のポーズも数種類用意されている

 現在のところゲーム内課金についてはアナウンスされていないが、正式サービスの開始時にはCurrencyを購入して、アバター要素以外のものも交換できるようになるかもしれない。

プレーヤーを萎えさせない数々の工夫と徹底したカジュアル路線

 CBTに参加してみての感想としては、全体的に気軽に楽しめるFPSという印象を受けた。豊富なアバター要素もそうだが、ゲームシステムの面で言えば各ヒーローのスキルやロールといった性能面がはっきりしており、向き不向きが明確で、理解しやすい。それだけではなく、普通は“暗黙のセオリー”としてゲーム内で明文化されないチーム構成をシステムとしてサジェストするなど、細やかな心配りも見て取れる。また1試合の時間もだいたい10〜15分程度で区切りがつくので、少しの空き時間にも軽く楽しめる設計になっている。

 チームスコアは表示されず、敵味方のキルログも流れない。自分のスコアしか確認できないので、スコアが伸びない初心者がチームメイトから注意されたり、あるいは活躍できない自分の未熟さに萎えてしまうことも起こりにくい。

ゲーム中にスコア画面を開いたところ。自分のスコアのみ表示される仕様だ

 FPSやMOBAなど、突き詰めると高いプレーヤースキルが求められがちなジャンルでは、ゲームシステムとは直接関係のない、メタな部分の要素がプレーヤーのモチベーションに大きく影響することもある。「オーバーウォッチ」の特徴の1つは、プレーヤーが離脱する原因を徹底して排除している点だ。思い切った舵取りだと思うが、これはカジュアル向けタイトルとして妥当な方向性だと感じる。

 もちろん、マップの特色に合ったチーム構成でなければ勝ちにくいようにはなっているので、「競技」として取り組みたいプレーヤーにも研究の余地はあるだろう。いくつかのプロゲーミングチームには「オーバーウォッチ部門」の開設を表明しているところもあり、正式リリース後に盛り上がりする要素は十分である。5月のオープンβ、そして正式サービスの開始を楽しみに待ちたい。

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(関根慎一)