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「HTC Vive」の発売準備を進めるHTC、日本国内サポート窓口を準備中!

ルームスケールの初期セットアップや最新コンテンツ試遊の模様もお届け

 3月1日に一斉に予約受付が始まり、4月初頭に出荷開始予定となっているPC向けハイエンドVRシステム「HTC Vive」。その圧倒的な魅力については本誌VR連載でもすでに何度かお伝えしているが、HTCの国内法人HTC Nipponでは、現在、本製品の国内展開に向けて着々と準備を進めている模様だ。

HTC日本オフィスでの試遊の様子

 本製品の国内展開を担当するHTC日本の泉山英統氏によれば、現在、HTC日本では日本語サポートを行なうコールセンターの設置を準備中だという。今のところはまだHTC Nipponによる販売が行なわれる予定はないため、3月1日より北米で予約がスタートしたグローバル版を対象としたサービスとなる。

 HTC公式サイトや製品に同梱されるマニュアルも含めて日本語化されるかどうかは未確認だが、困ったときには日本語でのサポートが受けられるようになるというのはユーザーにとってありがたい話だ。

 また、現在のところHTC公式の直販のみとなっているViveの販売形式について、「国内の家電量販店等で購入できるようになるか?」という質問に対しては、「なるかもしれない」という曖昧な返答に留まった。HTC自体はスマートフォン等のデバイス販売で実績があるため、大いに期待したいところだ。

 ちなみに現在のところ開発者向けに配布されている最終開発版「Vive Pre」は、名前の通りプレ版であり、正式な製品版ではハードウェア的にもマイナーチェンジが加わるとのこと。詳細は明らかにされなかったが、既に非常の完成度の高いVive Preが製品版でどのように進化するのか、それもまた楽しみだ。

 本取材ではHTC日本のオフィスにて、Vive Preを用いた新しいデモを体験することもできたので合わせてご報告しよう。

驚くほど簡単だったルームスケールセットアップ

ルームスケールセットアップ。地面にコントローラーを置いて床の高さを検知
部屋の四隅にコントローラーを向けてトリガーを引いていく
検出した4隅の位置に応じて、最適なプレイエリアが自動設定される

 製品版を購入した際に必ず1度は行なうことになるセットアップ作業。Viveは“ルームスケールVR”を謳っていることもあり、かなり面倒な準備が必要になるのではないかと考えている人も多いはずだ。そこで、今回はコンテンツのデモを開始する前に、実際にルームスケールのセットアップを一から行なってみた。

 結果としてはセットアップは驚くほど簡単だった。PCにViveを接続し、センサーを対角線上に2カ所設置した上で、Steamから起動できるSteamVRユーティリティの指示に従って、次の操作を行なうだけだった。


1.2Dディスプレイの方向にコントローラーを向けてトリガーを引く(正面の検出)
2.床にコントローラーを置く(床の高さ検出)
3.トラッキングさせたい範囲の四隅でコントローラーのトリガーを引く(プレイエリア検出)

 壁際の家具などの影響で、四隅を繋ぐ線が綺麗な長方形にならない場合も大丈夫。設定されたエリアに外接する長方形のプレイエリアをSteamVRのプログラムが自動的に設定してくれる。

 物理的な設置作業を除けば、ユーザーが行なう作業はこれだけだ。泉山氏によれば以前の開発版ではもっと面倒だったというが、製品版のリリースを前にして大幅に使い勝手が改善されてきているという。

 もっとも、2つのベースステーションをどのように部屋の2隅に固定するか、という物理的に面倒な部分は残っているが、これについてのノウハウも、Vive発売後に本誌VR連載でカバーしていくつもりだ。

ルームスケールセットアップの様子

Viveでプレイするミニゴルフは驚くほどそのまんまゴルフだった!

デモゲームをプレイ中の様子。大半のコンテンツは2つのコントローラーを同時に使う
「Cloudlands Minigolf」。面が進むごとに構成がどんどんトリッキーに
プレイ中の姿勢は、実際のミニゴルフとまるで変わらない

 さて、今回HTC日本で用意されたプレス向けの体験セッションで、「Cloudlands Minigolf」というミニゴルフゲームを新たに体験することができた。

 Viveには2つのVRコントローラーが標準で付属しているが、本作で使うのは1本だけ。これをミニゴルフのパターに見立ててプレイするという、体感型のVRゲームとなっている。

 実際にプレイしてみると、VRコントローラーが棒状であることもあって、実際にパターを振っているような感覚を味わえる。コントローラーは非常に軽いため重量感は心もとないが、プレイ時にプレーヤーがとる姿勢・モーションは、本物のパターゴルフと全く同じ感じで面白い。

 バーチャルなパターを振り、地面に置かれたボールを小突くと、あるべきスピード、あるべき角度でボールが転がっていく。コースはリアルの部屋より大きいので、転がった先のボールにどうやって手を届かせるか。答えは簡単で、コントローラーを地面に向けてトリガーを引くと、その地点にワープできる仕組みだ。

 面が進むごとにコース構成もトリッキーになり、動くガジェットがボールの進路をジャマしたりもする。勢い、狙いを精密にしていく必要があり、バーチャルなパットを振るう姿勢もどんどんリアルに近づいていくという塩梅だ。

 これをやっている本人は意外なほどの「そのままさ」に笑ってしまうのだが、それ以上にウケているのが、そのプレイ模様を周りで見ている人たち。ジワジワとパットを揺らしつつ、球筋を見定めるプレーヤーの様子に息を飲み、転がっていくボールの行方を追っては「すごい!」、「惜しい!」と声を出してしまう。

 これをさらに外からの第三者視点で見てみれば、人の様子を見ているだけでも何を遊んでいるかすぐわかってしまうだろう。体感型のVRゲームには、現実世界とのスムーズな体験の連続、という、これまでのゲームではあまり見られなかった要素が色濃く宿っているように思えた。

 4月の出荷開始が予定されているHTC Viveには、ローンチ時点でさらに多くのゲームタイトルが控えている。新しいVRゲームの世界でどんな体験ができるだろうか。ますます注目していきたい。

Steam界隈では超有名なイライラ手術シム「Surgeon Simulator」のVive版もプレイすることができた。操作は圧倒的に直感的だが、本作特有の「手先の不器用感」は過剰なほど再現されていたほか、ステージが無重力空間ということもあって、やはり最後は手術道具や内蔵が飛び散りまくるという、惨憺たる有様となった

(佐藤カフジ)