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【特別企画】「ぶっちゃけドローンって何なの?」第3回
ドローンと言えばコレ! Parrotの「Bebop Drone」を飛ばす!
(2015/6/15 12:00)
今話題を集めている「ドローン」、弊誌ではその現状と周囲を取り巻く環境を紹介するため、 「ぶっちゃけドローンって何なの?」という特別企画として、第1回目に「実際に販売されているドローン」を取り上げ、第2回目として現在話題となっている規制の実際、そしてメーカーの取り組みなどを取り上げてきた。
しかし、やはり実際にドローンを触ってみなくては、飛ばしてみなくてはわからないことがある。実際ドローンとはどんな楽しさ、そして危険性を持ったホビーなんだろうか?今回はいよいよ「ドローン」の代表的な存在と言える、フランスParrotの最新作「Bebop Drone」を借りることができ、体験することができた。
実は筆者は2012年に「ドローン」の流行をもたらしたといえるParrotの「AR.Drone 2.0」に強く魅了され、実際に操縦した経験がある。今回、この後継機にあたる「Bebop Drone」をを操縦し、違いも語っていきたい。また“より手軽なドローン”として、Parrotの「Rolling Spider」も合わせて、動画と写真で紹介したい。。
すばらしい安定性を見せる「Bebop Drone」。誰でも自在に気軽に飛ばせる
現在のドローンの流行を作ったのが「AR.Drone 2.0」だといっても過言ではないだろう。「AR.Drone 2.0」の日本での発表会を取材したときの衝撃をまだ覚えている。4つのプロペラで飛翔する「マルチコプター」自体がまだ珍しかったし、滑るように空中を進む姿も強く印象に残った。
そして「AR.Drone 2.0」の最大の売りが動画撮影機能だった。機体に取り付けられたカメラの映像は操縦機となるスマホやタブレットの画面にリアルタイムで映し出される。それは、自身が空中浮遊しているような、魅力的な映像だった。筆者は「AR.Drone 2.0」を編集部から借り、実際に飛行を楽しんだ。
そして2年の時を経て、「Bebop Drone」が日本に上陸した。飛行エンジンは改良され安定性が大きく増した。そしてカメラはフルHDでの撮影が可能となった。特にスゴイのが機体の振動を吸収するスタビライザー機能で、映像はきわめて安定するのだ。こちらの発表会にも参加したのだが、飛行の安定性に驚かされ、「操縦してみたい」と強く思った。
今回、この「Bebop Drone」を体験することができた。動画では外側からとったものと、「Bebop Drone」からの映像をお見せしたい。この映像のチェックポイントは“安定性”である。動画の草の部分を見ればわかるが、この日は結構風があり、向かい風に逆らうような感じになった。しかし、飛行はきわめて安定している。カメラ映像はさらに安定しているのが確認できるだろう。
「Bebop Drone」の操縦は「Free Flight」というアプリで行なう。“Landing”ボタンを押すだけですっと空中に浮遊し、一定の高度で安定する。左の親指を画面に置き左右に滑らせると旋回、上下にすると上昇/下降する。そして右側の親指を画面に当てスマートフォン(タブレット)を傾けるだけで、前進/後退と左右移動する。とても直感的に操作できるのだ。
すべてをアナログレバーで操作するラジコンではこの手軽な浮遊感は得られない。筆者の指の操作と、デバイスの傾きによってまるで糸に釣られているかのように空中をすいすいと進むのだ。空中に浮遊する物体が自分の操作で自由自在に動くのは、本当に気持ちいい。
「AR.Drone 2.0」と比べると、特に風への耐性の強さに驚かされた。「AR.Drone 2.0」は風を受けるとかなり流されてしまい、あらぬ方向に移動してしまうことも多かった。しかし「Bebop Drone」は違う。特に空中で停止しているときはとても安定しており、強い風などで姿勢が乱れそうなときにはスマートフォンから指を離せばその場に制止し続けるのだ。
「AR.Drone 2.0」もかなりすばらしいドローンだったが、「Bebop Drone」はそこから段違いの進化を遂げている。空撮やドローンに興味のある人には文句なしに進められる商品だ。ただ、本体のみで70,900円(税別)、コントローラーユニットとのセットで130,900円(税別)という価格は、入門用と考えるとかなり高価だ。
もう1つ、今回は特に「ドローンを飛ばすこと」にかなり気を使ったことも触れておきたい。ドローンを飛ばすのは、かなり人目を惹く行動だ。音も大きいし、空を飛ぶ物体いうのは目立つし、奇異の目を向けられる。現在法律的に問題のないのは確かだが、昨今騒がれていることもあるし、「何か注意されるかも」という気持ちは抱いていた。興味を持って見に来る人がいたり、話しかけられたり、通行人から「あれドローンだ!」と言われることもあった。ほとんどの人は珍しさ、面白さを感じてくれているようだったが筆者はできるだけ人に近づかないように飛ばせた。
「Bebop Drone」は、善光寺をはじめとした騒ぎを起こしたユーチューバー「ノエル」が使っていた機体としても知られている。実際触ると、とても気軽に空撮が楽しめるのがわかるし、気をつけていればかなり安定したものだというのがわかる。しかし、やはり「突風などで操縦不能になるかも」という不安感は常にあった。また、近くでこの機体が飛んでいたら、プロペラの高速回転は怖いし、得体が知れない不安感を与えてしまいかねない。そういった“迷惑を及ぼすかもしれない行動”に関しては、強く心配りをしなくてはいけないと感じた。
ユーザー向けの取り組みもこれから。一方、業務用は空撮業者や保険制度も
「Bebop Drone」の発表会で強く心を惹かれたものの、その値段に二の足を踏んだ筆者が、購入したのが同じくParrotが2014年に発売した「Rolling Spider」だ。こちらは定価12,800円(税別)全長14cmとミニカーのようなサイズだが、飛行の安定度、浮遊感は「Bebop Drone」に劣らない。風の影響は受けやすいが、ドローンで遊んでみたい、という人にはぴったりだ。
動画撮影機能はないものの、“部屋の中でも飛ばせる”という手軽さは大きな魅力だ。筆者は毎日のように部屋の中を「Rolling Spider」で“散歩”している。時間があるときは動画のように外で飛ばすのだが、野良猫が興味を持ってくるのも面白い。怖がらせないように、飛びかかれないように気も遣っているが、楽しい遊びである。
販売店などの話を聞くと、安定性、操作の簡単さ、そして機能と価格というバランスから考えるとやはりParrotの製品は他の商品とは段違いだという。特に風への耐性、安定性は地面を写すカメラにより地形を把握するParrotの技術があってこそで、高価な製品以外でここまでの機能を実現できているものはないとのことだ。
実は今回、比較用に1万円前後の録画機能付きのドローンも購入してみた。こちらは高度維持機能などはない純粋なトイラジコンで、細かくレバーを動かすことで機体を浮遊させる。「ラジコン本来の面白さ」を追求した商品だ。Parrotの全自動ぶりではなく、こちらを楽しむ人もいると思う。
しかし、このドローンはプロペラを付け替えただけで、飛ばなくなってしまった。プロペラをはめ直したりしたがどうやっても飛ばないので、お店で変えてもらったのだが、そちらも同様だった。製品とは思えない脆弱さに、事情を話して返金してもらった。ちなみに、「Rolling Spider」ではプロペラが吹っ飛ぼうがきちんとはめれば飛行する。たまたま2つが“外れ”だったのかもしれない。飛ばすことに努力するというベクトルも面白そうだと感じたが、精度の面でも疑問が残った。
現在日本メーカーが出ている安価なドローンは、Parrotの製品とは全く異なる純粋なトイラジコンだ、正直に言わせてもらえれば、信頼性が高く、初心者にも簡単に飛ばせるParrotのような製品を、日本メーカーも出してほしい。“ラジコンらしさ”も大事だと思うが、トイとして「Rolling Spider」のように気軽に遊べる、そして未来を感じさせるドローンを、日本メーカーもチャレンジして欲しい。
3回に渡って「ぶっちゃけドローンって何なの?」というテーマでドローンを扱ってみたが、どうだったろうか? ドローンの面白さ、可能性を感じていただければ幸いだ。筆者は空を飛ぶことにあこがれがあり、気軽に飛行機分が味わえるドローンが好きだ。もっともっと業界が活発になり、色々な商品が出て欲しい。
ドローンは1つの「未来の可能性」であり、日本の規制があったとしても、世界中で使用されていく。飛行システムは改良を重ねられ、輸送システムや空撮などで活躍していく。現状でも「ただのラジコン」とは大きく異なる、ホビーの枠にとどまらない存在だ。今後改めて「ドローンとは何なのか」が議論されていく。筆者自身興味を持って取り組み続けていきたい。