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早矢仕洋介氏インタビュー。ファンが遊びたい「ゼルダ」を作った「ゼルダ無双」

9月18日~21日 開催(一般公開日 20日~21日)

会場:幕張メッセ1~9ホール

入場料:
前売り 1,000円
当日 1,200円
小学生以下無料

早矢仕洋介氏

 発表された瞬間、誰もが「えっ、それはさすがに嘘でしょ?」と頬をつねった、任天堂とコーエーテクモによる究極のコラボ、Wii U「ゼルダ無双」。初代以来「無双」シリーズが大好きで、コラボ作品も含めほぼすべてをプレイしてきた筆者も、さすがに「ゼルダの伝説」とのコラボには我が目を疑ったし、完成発表会を取材させていただいた際には「凄い時代になったなぁ」としばし感慨にふけってしまったほどだ。

 9月30日配信予定の更新データ「黒の魔女軍」も発表され、さらに熱く加速していく「ゼルダ無双」。ここではキーマンたる早矢仕洋介氏スペシャルインタビューをお届けしよう。

――ちらりと小耳にはさんだのですが、「ゼルダ無双」は女性ファンがとても多いとききました。これは当初から想定されていましたか?

早矢仕氏:これは想定以上でした。「ゼルダの伝説」って歴史があるぶん、年配のファンの方が多いのかと思ったら、女性ファンが多かった。それは我々も想像していなかった部分があります。実際出してみたら女性ファンの反応が凄かったので、それは出してみて初めてわかったことです。

――イベントなどで実感されたことは?

早矢仕氏:体験会を回ってみて、半数以上が女性でした。やっぱり、リンクがイケメンですから。

――なるほど。私はディスクシステムがスタート地点なので、いわゆる“イケメンリンク”の芯の部分に、ドット絵の「あの姿」がオーバーラップしちゃうんですよね。だから、イケメンリンクも恰好よく見えはしますが、氏素性を知っているというか……。ゆえに女性ファンの黄色い声的な反応は、肌感覚でギャップがあるというのが本音です。

早矢仕氏:それだけリンクが成長したってことじゃないですかね(笑)。

――今や目元も涼やかですし。そうなると、周囲のキャラクターもそれに合わせたイケメン的な方向性を意識されたんでしょうか?

早矢仕氏:「ゼルダの伝説」シリーズって、タイトルによってアートスタイルがまったく違うじゃないですか。ここはアートスタッフが凄くがんばってくれたんですけど、本作はファンの皆様が「こういうアートがいいよね」というところを突いていこう、というのがあった。あまり変に尖りすぎず、あとは我々が得意とするカッコよさ、かわいさをしっかり突き詰めていこうと展開させていただいた。ゼルダファンの皆様にもご好評をいただき、これはアートスタッフの努力の結果かな、と思っています。

――18日にDLCのキャラクターが発表されましたが、今後配信されるであろうものも含め、開発初期からいろいろ詰めておられたのでしょうか?

早矢仕氏:今回の3キャラクターは「ゼルダ無双」オリジナルなんですね。過去シリーズがモチーフになったキャラクターではない。製品版の開発中に「プレイアブルキャラクターにしようか」という議論はあったんですけど、それよりはゼルダファンの皆様が知っているキャラクターのほうが優先度が高いだろう、ということでプレイアブル化が見送られた。製品発売後、ユーザーの皆様から「プレイアブルにしてほしい」というご意見をいただいたので「それならプレイアブルにしよう」と。発売直後から作業にとりかかり、やっと先日完成しました。

――できたてのホヤホヤ?

早矢仕氏:「東京ゲームショウ 2014」前日まで作ってました。9月30日配信なんですけど「やっと配信できる!」という感じです。今回のオリジナル3キャラクターに関しては、気に入っていただけたファンの皆様へのサービスとして無料でご提供させていただきます。

――昨日発表されたばかりですが(本インタビューは19日収録)もうファンのリアクションは届いていますか?

早矢仕氏:実は以前「たとえばプレイアブル化するとしたら、どんなキャラクターがいいですか?」とTwiterできいたら、この3キャラクターが結構多かったんですよ。だから、そういった方々には喜んでいただけているのではないかなぁと思っています。

――ここしばらく早矢仕さんと直接コンタクトする機会がなかったので、ちょっと話は戻ってしまうんですが……この企画が立ち上がったときの印象は、どのようなものでしたか?

早矢仕氏:任天堂の青沼さんと「ゼルダ無双」を作るとなったとき、最初はやはり紆余曲折があったんですね。ゲームとのコラボレーションって、つまるところ“遊び”なわけじゃないですか。「ゼルダの伝説」って、やっぱり「確固たる遊び」があって。ぼくらはこの遊びを単純にトレースしただけじゃダメだし、かといってコレを変えてしまうと「そもそも、ゲームとのコラボレーションってなんなんだろう?」って、凄く行き詰る。

 ぼくらは任天堂の本流シリーズを作る開発チームではないので、いちファンとして、ファンが欲しいと思うゲームをそのまま実現してみようかと、途中で思ったんです。途中で宝箱を開けたり、爆弾で岩を壊したり、キングドドンゴに食わせたり、草を刈ったり、ニワトリを切っていじめたりとか……僕らの記憶に残っている、楽しかった思い出を“詰め込む”ということでやってみたら、ゼルダファンの皆さんが凄くいい意味で「ファンが作ったゲームだね」という反応をいただけた。「ぼくらもこういうゲームを待っていたよ!」と好意的に受け取っていただけて、ぼくらの想いが伝わったのかなって。よかったなと思います。

 今回、ダウンロードコンテンツもその流れで「裏ゼルダ無双パック」、「ムジュラの仮面パック」とか、タイトルからみなさんが想像していただける「こういうのが欲しいな」というものを実現していきたいなと思っています。

――「こうしなければいけない」と自縄自縛、鯱張らず、必要以上に構えるものではなかったということでしょうか。

早矢仕氏:そうですね。「ゼルダの伝説」って、重みがあるタイトル。そのなかで「ゼルダ無双」はお祭りゲームだと思っているんですね。たとえば「スマッシュブラザーズ」は任天堂さんのなかでのお祭りゲームですけど、「ゼルダ無双」は「ゼルダの伝説」シリーズのお祭りゲームだと思っていますので、みなさん一緒に楽しんでもらえるものをどんどん入れていきたいな、と思います。

――難しいのかもしれませんが、御社でいう「猛将伝」的な大き目のアップデートは期待できますか?

早矢仕氏:今回DLCを「まとめてパック」でご購入いただけるようにしたのは……これらは実際に作りながらご提供するので、最終的には10月~2015年2月くらいまでかかると思うんです。別途猛将伝のような形ではなく、そのDLCをご購入いただければ、ずっと長く遊んでいただける形で提供したいと思います。特に今はみなさんネットワークにつながっていますので、リアルタイムでひとつずつ楽しんでいただける形がいいかなと思います。

――9月30日配信のプレイアブルキャラクターで、早矢仕さんが「これが1番よくできたな!」というのはどれでしょう

早矢仕氏:ヴァルガは敵のときに変身して襲ってくるんですね。今回、プレイアブルキャラクターにもそのまま入っていますので、普通のチャージ攻撃をするだけでも変身してドッカーン! っていう攻撃が出せますから、ぜひぜひ体験していただきたいなと思います。

――普通、こういうプレイアブル化の際は性能を落としたりしますが、そのままって珍しいですよね。

早矢仕氏:開発中はプレイアブルキャラクターにする予定ではなかったので、それをどう落とし込むか開発スタッフが一生懸命がんばって作りました。

――すでにゲーム本編は発売されておりますので、今後の展開も含めDLCを楽しみにしているユーザーの方々にメッセージをお願いします。

早矢仕氏:「ゼルダ無双」は、我々自身すごく楽しく作らせていただきましたが、ファンの皆様の期待に応えなきゃ! ということで発売前はプレシャーも感じていました。発売後はゼルダファンの皆様に受け入れていただけて、すごくありがたく思っています。「ゼルダ無双」というお祭りはまだまだ続きますので、ぜひ一緒に盛り上がっていきましょう!。

――本日はお忙しいところをありがとうございました。

(豊臣和孝)