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【E3 2014】第2のモンスター「クラーケン」登場! 「Evolve」プレイレポート

E3 2014のベストはぶっちぎりで「Evolve」で決まり! 彼らが目指す「4vs1シューター」の醍醐味を解説する

6月10日~6月12日開催(現地時間)



会場:Los Angeles Convention Center

 今年のE3のトレンドをキーワードでいくつか挙げるとすると、「コンソールゲームの復権」、「次世代機向けタイトルの充実」、そして「CO-OP(協力プレイ)ゲーム」だ。すべて繋げると、次世代機向けのCO-OPタイトルが数多く発表され、家庭用ゲーム機市場が活況に沸いた年、といえる。

ゴライアスがにらみをきかせる2Kブース。「Evolve」試遊コーナーは絶えず大盛り上がりだった

 こうした中で、今年のE3のイチオシとして猛烈プッシュしたいのが2K/Turtle Rock Studiosの「Evolve」だ。発表そのものは、2011年と古いタイトルだが、当時パブリッシャーだったTHQの倒産、2K Gamesへのパブリッシャーの変更という紆余曲折を経て、2014年1月に秘密のヴェールを脱いだ。翌2月にはグローバル規模で試遊会を実施し、もともとCO-OPシューターの元祖である「Left 4 Dead」の開発元Turtle Rock Studiosの次回作ということで、高い注目を集めていた「Evolve」だが、その期待を上回る出来映えで世界から絶賛を浴びた。

【Evolve - Kraken Reveal Trailer - Official HD】

新モンスター「クラーケン」
ハンター側は、序盤、まだ弱いモンスターを探し出し、早い段階で狩っていく
モンスター側は、ワイルドライフの捕食を繰り返し、安全な場所でEvolveしていく
Evolveが完成したモンスターは、ジェネレーターへの攻撃を始める。ここで決戦が起こる
火炎放射で空中にいるクラーケンに対抗するアサルト。手前にはクラーケンが設置したBanshee Mineが撒かれており、大ダメージは必至!
サポートのレーザー攻撃を横移動で避けるクラーケン。滞空中のクラーケンは意外に俊敏な動きが可能で、ハンターの動きを先読みすることで、地上より攻撃が避けやすいという印象だ

 ゲーム性はひたすらシンプルだ。「Left 4 Dead」が確立した、最大4人によるCO-OPプレイを発展させ、4人のハンター対巨大モンスター1人、この5人でマルチプレイを行なうというもの。この前例のないゲームデザインに彼らは“4vs1シューター”という独自の呼称を付け、ハンター4人で協力してPCが操作する巨大モンスターを撃破、あるいは巨大モンスターを操作して、4人のハンター達を狩る、ただそれだけのゲーム性にすべてを注ぎ込んでいる。

 2月の試遊の時点で、「このゲームは凄い!」と思っていたが、E3でその印象は揺るぎのない確信に変わった。

 もともとおもしろいゲームであることはわかっていた。4人のハンターは、それぞれ個性的な武器やスキルを持ち、それぞれが能力をフルに発揮し、連携を深めることで巨大なボスに立ち向かえる力を引き出すことができる。巨大モンスターは、大自然で好き放題に成長する機会を与えてしまうと手が付けられなくほど強くなるため、4人で手分けしてモンスターを捜し当て、早い段階で集中砲火を浴びせる必要がある。

 一方、巨大モンスターは、ゲーム開始時は子供のように弱く、使えるスキルも限られる。そこでフィールドを捜索してワイルドライフ(動物たち)を捕食し、“Evolve(進化)”していく必要がある。序盤は逃げに徹し、足音を消してそろそろと進み、鳥の群れを起こさないようにじわじわ進まなければならない。Evolveを繰り返す度に、新たなスキルや、既存スキルのレベルアップ、そして基本的な能力が増強され、なんといっても見た目も進化する。3段階目まで成長できればこちらのもの、というわけだ。

 勝利条件はシンプル。ハンター側はモンスターの撃破。モンスターはハンターの全滅もしくは、基地にあるジェネレーターの破壊。基本的に逃げ切りは許さないシステムになっている。このため、どの段階かで必ず遭遇戦が発生し、モンスターが最高レベルまで進化した状態では、必然的にジェネレーターの周囲で一大決戦が起こる。ここが「Evolve」のハイライトだ。

 ハンター達は、サポートのシールドや、メディックのヒールが届く範囲に固まって行動することを意識しながら、それでいて、ボスのスキルでまとめてなぎ倒されないように一定の距離を取り、モンスターに対して最大限の攻撃を繰り出していく。

 一方、モンスターは、ハンターに連携されるとやっかいなので、彼らを吹き飛ばし攻撃などで散らしつつ、アサルトのライトニングガンや火炎放射、サポートの空爆など大ダメージを受ける攻撃を当てられないように、絶えず動き回り、絶えずヒットアンドアウェイを繰り返しながら、1人ずつ数を減らしていく。

 実際にプレイしてみると、ハンターサイドだと、モンスターの強烈な攻撃になすすべもなく倒されることがしばしばで、味方に助けられつつ、何度何度も立ち上がって強大な敵に戦いに挑む感じだが、モンスターサイドだと、何度ハンターを蹴散らしても、視界を外したとたん復活されてしまってキリが無い。トラッパーのトラッキングダートを当てられて、常に場所がバレてるし、見えないところから痛い攻撃を繰り出され、気づいたら火だるまになっていて、モンスター家業も決して楽ではない。

 双方の視点から共通して言えるのは、前例のないほどの大激戦、まさに最終決戦というにふさわしい戦いが、最高のゲーム性、グラフィックス、そして演出で繰り広げられるということだ。

 E3 2014では、2月に発表されたモンスター「ゴライアス」に続く第2のモンスター「クラーケン」が公開され、実際に試遊することができたほか、ブースでは希望者を募ってエキシビションと実況解説が行なわれ、絶えず絶叫と喧噪に包まれていた。

 「クラーケン」の特徴は空を飛べるところだ。ライトニング系の攻撃を得意とし、一定時間チャージして撃ち込むと大ダメージを与える「Lighting Strike」、浮遊型の地雷を撒く「Banshee Mines」、自分の周囲にダメージゾーンを構築する「Aftershock」、前方範囲の敵をはじき飛ばす「Vortex」の4つのスキルを持つ。初期では3つ、2度のEvolveのチャンスでさらに1つずつ取得/強化できる。

 空を飛ぶクラーケンは巨大なイカというより、雷力を帯びた飛龍のようで非常にカッコイイ。あえて空を飛んで真下にハンターを集め、急降下して通常攻撃とスキルを連発してもいいし、たえず空を飛びながら有利なポジションから攻撃を繰り出してもいい。2月の「ゴライアス」はいわばキングコング的な怪力モンスターだったが、クラーケンはよりテクニカルで、不慣れなユーザー(全員初体験だから基本不慣れだが)が操作するとあっさり撃破されたりしていた。

 試遊コーナーがもっとも盛り上がったのはE3最終日だ。お互い手慣れたユーザー同士が対決した戦いだった。序盤はハンター側が有利に戦いを進めたものの、いずれもクラーケンを取り逃がし、この間、クラーケンは逃げの一手で、その都度ワイルドライフを捕食し、Evolveに成功。3段階目までクラーケンが進化した時、ハンターサイドに敗北感が漂い、会場でももうダメだという雰囲気が漂った。最強状態まで進化したモンスターはそれぐらい強力なのだ。

 満を持してジェネレーターを攻撃し始めたクラーケンをハンター4人が取り囲み、最終決戦となった。絶えず大型モニターに映し出すプレーヤーを切り替えながら、お互いにどのように見えているかを示し、迫力のバトルシーンを映し出していく。やはりクラーケンはの攻撃は強力で、早くも全員ボロボロだ。

 4人はそのままクラーケンの鎧袖一触で終わると思いきや、ハンター4人はキッチリ連携を取って、シールドによる無敵化や、全体ヒールなどをうまく使ってクラーケンの攻撃を凌ぎきった。長期戦に入ることが誰の目にも明らかになり、会場も俄然盛り上がってきた。

 近距離攻撃を嫌ったクラーケンが距離を取るために飛び上がろうとしたところ、アサルトが火炎放射を当て、継続ダメージを決める。空中で火だるまになるクラーケン。画面が真っ赤に染まり、CG映画を見ているかのような迫力である。

 しかし、まだまだ余力を残すクラーケンは、空中で距離を取りながら1人ずつ撃破を図るものの、その都度、仲間に救護され復活を許してしまう。見ていて明らかにクラーケンが焦っているのがわかる。こういう時に4人対1人という頭数の差が如実に出てくるという印象で、1人で4人と対峙しなければならないモンスターは冷静さを欠いてしまうと勝てる戦いも勝てなくなる。最終的にハンター側が最強状態のクラーケンを見事撃破し、大逆転勝利ということで会場は大フィーバーとなった。これはクラーケンがAIならここまで盛り上がらないだろうし、4対4の戦いでも同じだろう。4vs1という独自のゲーム性が生み出した興奮と言える。

 繰り返しになるが、「Evolve」は、次世代機向けとしてCry Engineを採用による美しいグラフィックスや、オンラインゲームとしての継続要素、スキルやPerkの選択といった差別化要素といった基本スペックはすべて押さえながら、CO-OPアクションとしての新たなゲーム性の追求や、対戦ゲームとしてのゲーム内での成長要素、モンスターによって大きく変わるゲーム展開など、たゆまぬ努力で独自のゲーム性を追求し、「Left 4 Dead」を初体験した時のような新鮮な衝撃に満ちたゲームに仕上がっている。E3 2014のベストと書いたのは誇張ではなく、しかもダントツでベストだと思う。発売が最高に楽しみなタイトルだ。

【スクリーンショット】
こちらはE3で初公開されたクラーケンとのバトルシーンばかりを収めたスクリーンショット

(中村聖司)