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【E3 2014】「サイコブレイク」ディレクター三上真司氏インタビュー

最怖のホラーゲームがいよいよ完成間近! 日本語版は史上初の特典が付く!?

6月10日〜6月12日開催(現地時間)



会場:Los Angeles Convention Center

Bethesda Softworksブース
試遊台の入り口がすでにホラー。この奥の試遊エリアは真っ暗になっている

 今年のBethesda Softworksブースは、「The Evil Within(邦題:サイコブレイク)」一色だ。ブースにいたゼニマックス・アジア ゼネラルマネージャー高橋徹氏に話を向けると、「日本法人設立の夢のひとつが叶った」という。高橋氏の夢は、「Bethesda Softworksという有力海外メーカーのメインタイトルを国産タイトルが張ること」ということで、「これで終わりじゃなくて、売らなくちゃいけないんですけどね(笑)」と屈託のない笑顔で答えてくれた。

 さらに余談だが、高橋氏との雑談の中で出てきた話として「サイコブレイク」は、“史上初の予約特典”を付けるつもりだという。内容は海外版に予約特典として同梱されるインゲームアイテムでもなく、Tシャツや攻略ブックレットのような物理アイテムでもないという。「驚くと思いますよ。楽しみにしていて下さい」と高橋氏。「サイコブレイク」の日本向けに具体的なプロモーションは6月下旬にも始まる予定だという。正式発表が楽しみだ。

 というわけで、Bethesda Softworks今年イチオシタイトル「サイコブレイク」のディレクター三上真司氏のインタビューをお届けしたい。三上氏には昨年のE3でもインタビューを行なっているが、あれから1年が経過し、マスターアップを目前に控えて、現在の手応えや開発状況などについて話を伺ってみた。

 相変わらず関西弁混じりの歯に衣着せぬ物言いで、おもしろさやクオリティに対する異常なこだわりを随所に覗かせてくれた。ぜひお楽しみいただきたい。

 なお、試遊レポートについてはこちらで詳しく紹介しているので合わせてご覧頂きたい。

「サイコブレイク」は、サバイバルホラーとアクションの中間ぐらいのゲーム

「サイコブレイク」ディレクター三上真司氏
幾重にもポストエフェクトが載せられた深みのあるグラフィックス。ゴシックホラーの雰囲気を演出している

――ついにプレイアブルでの出展を果たしましたが、E3出展の感想、手応えを聞かせて下さい。

三上氏:本当のことをいうと出したくなかったんです(笑)。ホラーを見せたらホラーじゃなくなるし、今回は事情でちょっと古いバージョンを持ってこなければいけなくて、処理落ちするところがあったり、モニターとの相性が悪くて絵が汚くて。PAXではこちらのメディアに「次世代感がない」と叩かれたんですが、今回実際見てみたら、これは叩かれるわという(笑)

――理由は何ですか?

三上氏:モニターとの相性と、ライティングですね。正しいライティング設定ではないものが残っているので、不自然に見えてしまうんですね。のっぺりになって立体感が薄れてしまうとか。

――モニターとの相性、表示の最適化というのは、今後マスターアップまでにやっていくわけですか。

三上氏:そうですね。

――現在の開発状況はいかがですか?

三上氏:だいたいほぼ出来上がってきています。今週は大事なデータ締め、内容に対する最終調整があるのに、E3に来ちゃっているんです!

――先日、北米での発売延期を発表しましたが、延期のの理由はなんですか?

三上氏:さっきいったデータ締めとも関係してくる話ですが、やはりクオリティです。

――それはつまり三上さんがテストプレイして「これやっぱりダメやん、おもろないやん」と言わざるをえない箇所があったってことですか?

三上氏:それもありますが、僕が担当している部分が時間内にやりきれなかったところもあるし、北米でテスティングしたときに「ここら辺に不備あるよ」というレポートがあり、だったら良くしようかということですね。

――話は変わりますが、現在、「サイコブレイク」をプレイしている姿を映したトレーラーを公開してますが、私はとてもおもしろいと思ったんですが、三上さんはこの見せ方についてどう見てますか?

三上氏:正直に言っていいんかな、やらせっぽくてイヤやなと(笑)。いや、やらせじゃないんですが、昨年北米でテスターさん集めてプレイ中の風景をモニターにカメラを付けて撮っているんですよ。どんな表情をしながらゲームに接しているかということを僕らが知りたかったんです。それが一番クオリティが高かったんです。あのトレーラーより自然で生っぽい。なので、これをプロモーションに使おうということになったら、ちゃんとした場所で取り直しちゃったんです。そしたらみんなかしこまっちゃって良くないなと(笑)。

【Terrified by 'The Evil Within'】

――クオリティに対するこだわりが凄いですね。私はこのトレーラーで十分、ゲームの怖さが伝わると思っちゃうんですけど(笑)

三上氏:ありがとうございます(笑)。でも僕は元の奴知ってるから、こんなもんじゃないぞと。これリアルだよな、マジやんというのがあるんです。とにかく驚き方がもっと自然でリアルなんです(笑)。頭をもじゃもじゃしたり、明らかにストレスを感じていたりとか、あとはブツブツ言っている人も多かったです。

――なるほど、もっともっと多様な反応があるわけですね。

三上氏:そうなんです。

――ただ、このゲームの評価って“怖さ”だと思うので、わかりやすいトレーラーではありますよね。

三上氏:そうですね(笑)。このゲームの評価は、怖さと、あともうひとつは怖がらせた相手をしばき倒す。この2つのシーソーだと思っています。単純に怖がらせるだけなら、「サイレントヒル」とかもっと優れたゲームはありますよね。

――なるほど。倒して恐怖に打ち勝つところに醍醐味があると?

三上氏:そうです。単純なホラーゲームなら、逃げ回って怖かったねでいいんです。このゲームの場合は、弾薬制限がある武器とかトラップを上手く使って敵をしばき倒すわけです。ここのバランスが難しくて、敵を倒してばかりだとアクションゲームになってしまうし、感覚的な話になってきますが、微妙なところですね。普通車も高級車もタイヤは4つですからね。その線引きとなると難しい(笑)

 僕の中では「バイオ1」が純粋なるサバイバルホラーなんですよ。「バイオ4」はホラーではなくアクションゲームなんですよ。ゲームが「バイオ」で、ジャンルに「サバイバルホラー」って付いてますけど作り手側としては完全にアクションゲームですよね。で、我々は今回、その中間を狙っています。もちろん、原点回帰なので「バイオ1」に戻るわけですが、「バイオ1」はもうさすがにスタイルが古すぎるので時代の変化も踏まえながら、じゃあ若干「バイオ4」に寄せようかなという、その中間ですね。

 サバイバルホラーって平たく言うとアクションアドベンチャーゲームなんですよね。それで今回はアクションの要素がちょっと強めかなという落ち着きどころになっていっていますよね。

歯ごたえのあるゲーム性は、ガンシューティングだけで終わらせたく無かったため

ゲームバランスについてこだわりを語る三上氏
立ち向かわなければならないシーンもある
ナイフは役に立たない

――今回我々はノーマルの難易度と、難易度をさらに1段階下げた状態でプレイしたのですが、弾数の制限や、要求されるアクション部分において、かなりシビアでストイックなゲームになっているなという印象を受けました。これが三上チューニングという理解でいいですか?

三上氏:そうですね。今回はチャプターの途中から始めて頂くことになってしまっているので、より少なく感じてしまうところもあるのかもしれません。こないだの最終調整でも、またさらに弾数をごそっと減らしています。

――うおお、さらに減らすのですか?(笑)

三上氏:減らします。ノーマルの難易度では、銃だけで全部の敵を倒すのはかなり難しいと感じられるはずです。

――それは作り手として、むやみやたらに銃で倒すのではなく、避けられるところは避けてほしいというわけですか?

三上氏:そうですね。逃げることが必然のシーンもありますし、そういうシーンも開発中に徐々に増えてきていますね。構想の途中でもっと幅広いお客をターゲットにするために弾ももっと多めにしていたんです。ところが、これだと逃げる、スニークする、トラップに敵をはめるといったアクションが、銃で撃つのが上手い人はいらなくなってしまうんです。その分、ゲームの幅が狭くなってしまう。かといって、これ以上減らすと「じゃあどうすればいいんだよ!」ってことになってしまうので、最終的に初期のコンセプトに戻してしまいましたね。個人的にはこれで良かったと思っていますが、難易度も上がってしまいましたね。ノーマルがノーマルの難易度じゃないと思います(笑)

――たとえば、ナイフを使った攻撃もヒットバックがないから、向かい来る敵を倒すには非力ですよね。

三上氏:もともとナイフ自体はスニークキル用に用意していますから、正面切って戦うことを想定していません。手持ちに何もなくなって最後の手段として、一旦敵から隠れてやり過ごし、スニークキルで倒す、みたいな使い方を想定しています。

――このゲームは、完全にステルスだけでクリアすることは可能なんですか?

三上氏:部分的にはありますけど、すべてステルスというのはできないようになっています。ステージによっては全滅させないとクリアできないというものもありますからね。

――武器の中ではクロスボウが便利ですよね。トラップ解除でパーツも手に入るので、比較的使いやすい。

三上氏:お、そこに気づいて頂けると嬉しいですね。最初は使いにくいんですが、慣れるとあれが1番良い武器なんですよ。皆さんまずはハンドガンやショットガンに行きがちなんですが、遊び込んだ人はクロスボウがないとツライというでしょうね。

――ゾンビを相手に、厳しい段数制限の中で戦って行くというゲームは、昨年リリースされた中で「The Last of US」がありますが、プレイされましたか?

三上氏:遊びましたよ。やっぱりストーリーと演出が非常に良くて、naughty Dogさんのゲームは、「アンチャーテッド」からやっていますが、僕は勝手に「遊べる映画」シリーズと呼んでいます。その枠内においては、極めてレベルの高い作品だと思います。なかなかそのレベルまで到達できないですよね。

――「The Last of US」から何か影響を受けた部分はありますか?

三上氏:それはないですね。雰囲気とかイメージとか含めて、ストーリーとゲーム性にこだわったゲームだなというのは感じていて、それに近いレベルのゲームを作りたいという思いはありますが、直接何かというのはありませんね。

――「サイコブレイク」ならではの演出というと、なんといってもポストエフェクトだと思います。元の絵に何枚エフェクトを重ねているんだろうというぐらい、ゴッテゴテですよね。これがホラー感を助長しています。

三上氏:そこの所は担当アーティストに任せていますんで、実は僕も細かいところまでは把握してません(笑)。彼らがああいった演出を使いまくっているだけです。僕もお気に入りです。

――あの演出の発想はどこから来ているのですか?

三上氏:うーん。強いていえば「シャイニング」のパロディというか意識している部分はありますが、「バイオ」が現代で、「Dead Space」が未来というところで、僕らはゴシックな感じのホラーを作りたくて、古い雰囲気の感覚を出したくて、映像的にもキャラクター的にもああしたスタイルにしたというのはありますね。

Bethesdaブースでは時折、「The Evil Within」のタイトル表示が消えて、脳が丸写しになる
机の上に脳を露出させた頭部が鎮座する。先へ進むためには正しい位置にピックを突き刺さなければならない

――今回プレイしたステージ8の脳を突き刺すパズルですが、あの発想には驚きました。

三上氏:あれ自体は僕の発想じゃなくて、そこのレベルデザインを担当したスタッフのアイデアですが、もともと脳をモチーフにしているところもあるので、意識して使うようにはしています。

――ちなみに、そもそもなぜ「脳」がモチーフなんですか?

三上氏:これは言ったらネタバレになるので言えないんですが、当然裏設定があって、そこで物語において脳が重要なファクターになっているんですね。そこはスタッフもみんなわかっているので、だからあのステージは脳をパズルに使ったんでしょうね。

――それでは、他のステージでも効果的に脳を使った演出が行なわれているわけですか?

三上氏:そうですね。あそこまで露骨なのはともかく、演出ではちょくちょく出てきますね。

――しかし、刺すというのはショッキングでした。こういう怖さを味わわせるかという(笑)。

三上氏:あれはロボトミー手術から来ているものですが、直接アイスピックのようなものを鼻から刺して脳を刺激して精神を安定させるという原始的な手術ですが、それをダイレクトにパズルにしたっていう(笑)。

深まる謎と現実世界との乖離について

このゲームが現実世界のものか、精神世界のものなのかについて口を濁す三上氏
この世のものとは思えないモンスター
鋭い刃が回転する謎のマシンに引きずり込まれそうになる

――このゲームは、どう考えても現実世界のお話じゃないと思うのですが、それを遊び手に理解させた上で、物語にリアリティを持たせていくというのが絶妙だと思いました。

三上氏:どうも現実の話ではなさそうだというのは遊んでいて気づくと思います。ただ、現実がまったく存在しないのか、ところどころ違うものが混ざっているのかについては、どんどん物語を進めていくとなんとなくアウトラインが掴めてくると思います。クリアすると、「こういうことだったのかもしれないな」ということがわかると思います。

――なるほど、最後まで明確な答えは示されず、様々な解釈が成り立つようになっているわけですか。

三上氏:そうですね。ホラーとしてハッキリとしたストーリー、決めつけのストーリーっておもしろくなくて、「ん、どういうことなの?」ということを意図的に強く出しています。そういう意味ではクリアしてもすっきり感はあまりないと思います(笑)。

――クリアしても消えない謎というか薄気味悪さのようなものは残るだろうと?

三上氏:そうですね。クリアした人同士が、こういう解釈じゃないかと言い合って楽しんで貰えればなと思っています。

――“現実ではない部分”についてですが、それは実は最初からなんですか? それとも途中から現実と乖離していく?

三上氏:内緒です(笑)。本当は最初からプレイしてみてもらいたいんですけどね。僕の中では、このぐらいから気づくかなという境界線があるんですけど。

――最初って、初公開時にデモを行なった病院のステージですよね?

三上氏:そうです。

――しかし、あれはデモのラストは、世界が崩壊していて、もう明らかに現実のものとは思えないですよね。

三上氏:そうですね。だから、まだお見せしていないシーンでそれとなくヒントが隠されているんです。ぜひ遊んでみてください。

――私はまだ2つのステージしかプレイしていませんが、いずれも非常に怖かったんですね。これが10以上あるステージでずっと続くと疲れてしまうんじゃないかと不安になったのですが(笑)。

三上氏:実際、7割ぐらいはあんな感じです(笑)。時々息抜きできるようにはしていますが、基本的には、狭い、暗い、怖いがずっと続きます。後半ですっと開放されて気分が良くなります。最後まであのノリでいくと僕ですらツライですから。息が苦しくなってくる(笑)。だから、最後の手前で開放感のある部分に行って楽になってもらって、救われた気持ちを味わってもらって、様々な謎を少しでも集束させるべく、ラストに向けて突き進んでいきます。

――「バイオ」シリーズは、クリア後の2周目以降のお楽しみ要素というものがありましたが、「サイコブレイク」では何かありますか?

三上氏:2周目以降も普通に楽しめると思います。一番大きいのは何かを用意するというよりは、プレーヤーの経験値が変わるので、それを元に新しい遊び方ができるということです。そこが僕はゲームの醍醐味かなと思っています。だから、2周目だからといってロケットランチャーが手に入って楽になるというのは、メインでは考えていません。あくまで2周目を遊んで頂くための呼び水のようなそんな程度です。それが何なのかはまだお話しできないそうです(笑)。

――基本的な考え方としては、ゲームの難易度を1段階上げて、さらに歯ごたえのある展開を楽しんで欲しいということですか。

三上氏:そうです。上手い方は縛りプレイをしても楽しいと思いますね。スニークばっかりとか、銃ばっかりでもいいと思いますし、そういう遊び方ができるような作りにしてますから。

――そういうアーチブメントも用意してるのですか?

三上氏:はい、用意してます。

――ちなみに三上さんはこうプレイして欲しいなというオススメのプレイスタイルはありますか?

三上氏:僕が1番オススメするのはバランスプレイですね。あらゆる方法を試して、その場面に最適な方法で切り抜けるというものです。食べ方でいったら三角食べですよね(笑)。

――本編発売後のダウンロードコンテンツについてですが、何かお話しできることはありますか?

三上氏:今はまだ本編に集中しているというのが本当のところなので、終わってから考えようかなと。今はそれどころではない状態なので。

――日本の三上さんファン、ホラーゲームファンに向けてメッセージをお願いします。

三上氏:なかなか歯ごたえのあるゲームになっていて、達成感がより強く味わえるようになっています。ぜひ怖がらずにプレイしてみていただければと思います。

――ありがとうございました。

【スクリーンショット】

(中村聖司)