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「サイコブレイク」予約特典“ゴアモードDLC”について高橋徹氏に聞く

本編はCERO Dなのに、DLCはCERO Z!? 史上初の試みはどのような経緯で生まれたのか!?

【サイコブレイク】

10月23日発売予定



価格:
5,800円(PS3/Xbox 360、税別)
7,300円(PS4/Xbox One、税別)

 「バイオハザード」を生み出したサバイバルホラーゲームの第一人者である三上真司氏の最新作「サイコブレイク」がいよいよ10月23日に日本で発売される。

 「サイコブレイク」は、「Fallout」、「Elder Scrolls」シリーズを擁する海外大手ゲームパブリッシャー ベセスダソフトワークスをパブリッシャーに、世界で同時リリースされるAAAタイトルとなる。純国産タイトルとしては開発期間、開発費共に桁違いで、その目標は500万本とも1,000万本とも言われる。なんといっても純国産タイトルだけに、日本での大ヒットも期待されている。

 このタイトルの日本でのマーケティングを一手に引き受けているのがゼニマックスアジア ゼネラルマネージャーの高橋徹氏だ。高橋氏は、当時カプコンがパブリッシングを担当していた「Grand Theft Auto III」を皮切りに、数多くの海外大型タイトルのプロデューサーを務め、いわゆる“洋ゲー”の日本普及に努めてきた人物だ。

 その高橋氏が、今度は「サイコブレイク」で前代未聞のユニークな施策を実施するという。ぜひ直接会って説明したいということだったので、E3直後の6月下旬、ゼニマックスアジア本社会議室で高橋氏にインタビューしてきたのでその模様をお届けしたい。

史上初の予約特典“ゴアモードDLC”とは何か!?

ゼニマックスアジア ゼネラルマネージャーの高橋徹氏
「サイコブレイク」ディレクター三上真司氏。E3インタビューはこちら
「サイコブレイク」は演出的にどうみてもZは避けられないと思われていたが、Dだった。これが最初の驚き
むき出しの脳にピックを突き刺すパズル。こうした表現もレーティングによって演出が変わる可能性がある

――「サイコブレイク」について、ゲーム史上初のマーケティング施策があるということですが、その内容と経緯について教えて下さい。

高橋徹氏: 「サイコブレイク」はZeniMax傘下のTango Gameworksが開発した、国産AAAタイトルです。ベセスダとして、海外ゲームのパブリッシャーとして、この規模、このクオリティの国産タイトルを日本で発売するのは、ベセスダとしてはもちろんのこと、他社も含めて記憶にありません。僕らは「The Elder Scrolls V: Skyrim」、「Fallout 3」などを売ってきたわけですが、「サイコブレイク」は国内のトップタイトルと同じような数字が求められている。僕としてはその求めに対して結果を出さないといけないという使命がある中で、どう売っていくべきなのかを考えました。

 「サイコブレイク」は日本だけではなくて、世界で売っていくものなので、欧米とできるだけ同等の内容のものを売りたいという想いがあります。通常の洋ゲーだと目標値がだいぶ低いので、Z指定タイトルというしばりがあっても、目標を十分に達成できますが、今回は、三上真司の最新作とはいえ、ブランニュータイトルなのでそもそもの知名度が低い。このため目標を達成するためには相当なマーケティング施策が必要となります。

 となると、Z指定では、その時点で目標が達成できないと考えたんですね。なぜなら、店頭の通常の棚で売れないなど、Zだと色んな弊害がつきまとうことになるので、ビジネス的な視点から、どうしてもDにしなければならないというジレンマがある。そこで考えたのが、商品はDにする。その代わりダウンロードコンテンツ(DLC)という形で、「ゴアモードDLC」というものを別途用意するというアイデアです。そのコードを入れると、Z指定相当のゴア表現が追加されて、海外となるべく近い表現のものになるわけです。このアイデアをダメ元でCEROやファーストパーティーに話をしたら行けちゃいました(笑)。

 CEROレーティングはあくまでDなので、普通にテレビCMも打てますし、店頭ではDとしてマーケティングができる。かつコアな層、つまり表現にこだわるゲームファンに関しては、「ゴアモードDLC」を予約特典として提供することで、Z相当のゲームが提供できる。事前に予約すればZ相当のゲームが手に入ります。「ゴアモードDLC」は、予約を促すアイテムとしてもインパクトがあると思っていて、僕らとしてもこれまでいろんな施策、アイテムパック、物理的なアイテムを提供してきましたが、これが1番響くんじゃ無いかと期待しています。

――ゴア表現を予約特典として提供するというのはユニークなアイデアですね。その「ゴアモードDLC」は、発売後は手に入らない?

高橋氏: 「ゴアモードDLC」は発売しないので手に入りません。コードという形で提供するので中古でソフトを購入しても手に入らないので、予約購入するしか手に入れる方法はないです。あと製品としてはDですが、DLCも含めるとZの商品を提供することになるので、予約時はZと同じレギュレーションになります。ですから、18歳以下は予約できませんし、18歳以下には、別の特典を付けるつもりです。年齢を問わず共通して付くのは、特製スチールブックとサウンドトラックCDです。そして予約別に、「ゴアモードDLC」か別のものが追加されます。

――その18歳以下に、「ゴアモードDLC」の代わりに提供される特典とは何ですか?

高橋氏: 海外の予約特典になっている「ファイティングチャンスパックDLC」が提供されます。要するに武器やアイテムのパックですね。

――たとえば、18歳以上のゲームファンが「僕はゴア表現は苦手だから『ファイティングチャンスパックDLC』を選択したい」といったら選択できますか?

高橋氏: できるはずです。ただ、ほとんどの人は「ゴアモードDLC」を選ぶんじゃないかと思いますね。だから逆に言うと日本では「ファイティングチャンスパックDLC」を持っている人はほとんどいないということになるかもしれません(笑)。

――ちなみにそういう売り方は、プラットフォーマー的、CERO的に、条例的に問題ないのですか?

高橋氏: 問題ないです。大丈夫です!

――海外版とZ、Dでの表現の違いを教えて下さい。

高橋氏: ここに関しては、まだマスターが上がっていないので現時点では発表できません。表現に差異が出てくる可能性があって、適当なことをいうとあとで「嘘つき!」と言われてしまうことになるので。方向性としてはこれまで通り、Zの天井を目指したいです。

――パブリッシャーとしてはZで楽しんでいただきたいという感じですか?

高橋氏: それはもちろんそうです。そして日本で沢山売らないといけない。欧米でより多く売らないといけない。他社もそうだと思いますが、海外のマーケットに標準を合わせたものを作って、日本を含む規制の厳しい国の仕様に従っていく。たとえば、「バイオハザード」シリーズも日本はDで出すために、海外版とは表現が違います。Dで発売して、Zを予約として付けるのは最初で最後になると思います。

 「ロリポップチェーンソー」はDとZの両方を出しましたよね。あれも意図としては同じことだと思うんです。Dでプロモーションして、Zで予約を取る。でも、これだと店頭が困ってしまうんですよね。在庫が積み上がるリスクがそれだけ増えるし、それ以外にも問題が出てきます。僕らとしては、ぜひ予約をしていただきたい。でもDとZが両方出るなら予約をする必要はないわけです。予約の施策としてZを提供するところが大きな違いです。

(中村聖司)