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「サイコブレイク」予約特典“ゴアモードDLC”について高橋徹氏に聞く

CEROレーティングに対する考え方と、リアル店舗への注力について

CEROレーティングに対する考え方と、リアル店舗への注力について

ある意味でCEROレーティングと常に戦ってきたといっても過言ではない高橋氏。ゲーム産業の発展のために、レーティングの更なる改善が必要だと考えているようだ
本邦初公開となる「サイコブレイク」PS4版パッケージのイメージ。「レーティングD」が光る
「サイコブレイク」は、じわじわくる和風ホラーでは無く、直接的な恐怖が断続的に襲いかかってくるホラー。腰を抜かさないように注意したい

――今回の施策についてもう少し掘り下げたいのですが、今回、ディレクターの三上さんに「DとZの両方を用意してくれ」と伝えたら、どういう反応を見せたんですか?

高橋氏: 喜んでましたよ。Zで販売するという選択肢は最初から無くて、DかD/Zしかなかったわけです。Zだけにしたら、予約の部分や、店頭の積極性もだいぶ減りますし、宣伝が難しくなりますからね。

――それで、今回の企画の発端となっているCEROレーティングの厳しさについてですが、Dだと表現に制限が大きく、Zにするとマスへのアピールが難しくなる。この現状に関してどのように感じていますか?

高橋氏: まずは民放各社さんに関しては、民間企業の判断なので各社の判断としか言いようがないですが、条例で包括規制しているのは遺憾ですね。仮にZというくくりが有害図書に当たる表現をオッケーとしてるものであればいいんですけど、いまのZってそうではないんですよね。ヘタな少年誌やゴールデンタイムに流れる洋画やアニメの表現よりも規制が厳しいわけじゃないですか。だから、一段階ずらせば良いと思う。つまり、いまのZがDになって、Zは有害図書指定にする。その代わり表現は自由、だったら納得がいくんですよね。

――つまり、現状の規制だと、Dを選んでもZを選んでも解消しきれないジレンマが残ると?

高橋氏: そうです。1番最初は、神奈川県の条例ですよね。それ以来、販売店は区分陳列を強いられている。強いられるのは我々パブリッシャーでは無く販売店です。Zは有害図書指定なので、販売に対して積極的じゃなくなる。でも、そういうのがニュースになると、「Zは有害図書なんだからエロ本と一緒なのかよ」という認識になってしまいます。ただ、JRをはじめ公共性の高い場所では、実際どうであれば響きが良くないからご遠慮下さいという判断になりますが、この判断は仕方がないものだと思うのです。

 レーティング制度がスタートする前はそういうのはなかったわけです。素材に対する判断でした。「GTAIII」の有害図書指定は、個別指定だったんです。発売後半年経ってから「GTAIII」が名指し指定されたんです。そしたら全国で凄く売れたんですけど(笑)。その後、17才以上推奨というものが生まれて、A、B、C、D、Zの区分ができて、神奈川、大阪ではZは有害図書です、と包括指定になったんです。CEROにはもっとがんばってほしいですよね。

――高橋さんのマーケティング戦略は、リアル店舗への注力が立脚点になっている印象があります。リアル店舗にこだわる理由は何ですか?

高橋氏: 理由はいくつかあります。ゲームの流通は2つしか道はないと思っていて、1つはデジタル配信。もう1つはリアル店舗ですよね。で、仮にデジタル配信になるなら、オンラインショッピングサイトすらいらないんですよ。ロムがなくなるし、すべての端末はインターネットに接続されているのでダウンロードでいいという話になる。

 でもやっぱり、我々は販売店も重要な媒体だと思ってます。第一線に立っている方々であって、最後の営業マンというふうに考えています。新しいIPというのはリアル店舗に頑張ってもらうことで、可能性を伸ばすことができると考えています。ゲーム屋、CD屋がこの世から全部なくなって、iTuneかAmazonかという世界になって、コンテンツ系はすべてそうなったら、そういう世界はイヤじゃないですか?

――「サイコブレイク」について、今後日本で試遊イベントを実施する予定はありますか?

高橋氏: 「いつ」、「どこで」はこれから決めていきますが、何らかの形でやりたいと思っています。ただし、静かなところで周りを暗くして、ゆったり座ってリラックスできる環境でやってもらわないと伝わらないので、店頭に並べるというスタイルは考えていません。

――「サイコブレイク」はグローバル展開していくAAAタイトルですが、いまそのカテゴリの大型タイトルは、事前にDLCの存在を告知し、シーズンパスを販売し、発売して半年から1年をキッチリサポートして、コアユーザーをガッチリ抱え込むのが当たり前になりつつあります。私が見ていてちょっと心配なのはDLCの声が聞こえてこないところなんですが。

高橋氏: それは会社のポリシーです。ベセスダは「Skyrim」ですらそれをやりませんでしたよね? 単純な話で、本編が満足いく出来になってないのに、DLCを発表するのはどうなのか、順序があるんじゃないか、という考え方です。一般的に、開発段階でDLCを考えてるかどうかというと当然考えていると思います。でも、当社は発売前からDLCに人員を割くより、最後の最後まで本編のクオリティアップにパワーを注ぐべきだという考え方です。

――先ほど1作目だからというお話がありましたが、続編も考えていますか?

高橋氏: DLCすら発表してないのに、続編の話などはありません(笑)。

――気になる発売日と価格は?

高橋氏: 発売日は10月23日で確定です。価格はPS3/Xbox 360が5,800円(税別)、PS4/Xbox Oneが7,300円(税別)です。パッケージ、ダウンロード共に同じ値段です。「サイコブレイク」は延期したこともあって、最終的な発売時期が、現行機のリリースから1年経つ頃合いになってしまったので、現行機の普及が進む中で前世代機向けが6,800円はキツいかなと。PS3/Xbox 360版を購入される方は比較的ライトな層だと思いますし、長く売っていきたいので、年間に数本しかソフトを買わないような一般層にも手を取ってもらいたいように考えました。PS4/Xbox One版も本来は7,600円、7,800円というところですが、ファーストパーティータイトルと比較して高く感じられてしまうのと、PS3/Xbox 360版と比較して2,000円の差は大きすぎるので調整しました。

――日本のゲームファンに向けてメッセージをお願いします。

高橋氏: 「ぜひ予約をお願いします!」しかないんですけど、人生の3~4年を1本のゲームに費やしてやっていくのは本当に大変だと思います。それだけに開発スタッフの魂が籠もった力作になっているので、自信を持っておすすめできると思っていますし、これからも皆さんが触れたり、見たり知ったりという機会を増やしていくので、少しでも興味があったらぜひ情報を集めていただいて、ぜひ予約をしていただければと思います。

――ありがとうございました。

(中村聖司)