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【Gamescom 2013】SCEE、「GT6」のプレゼンテーションを開催
ユーザー主催のレースをシステム面からもがっつり支援
(2013/8/22 10:19)
ソニー・コンピュータエンタテインメント・ヨーロッパは、Gamescomの会場に近いホテルで、出展作品のプレス向けのプレゼンテーションを行なった。このレポートでは、その中からプレイステーション3用リアルドライビングシミュレーター「グランツーリスモ6(以下、GT6)」の情報をお届けしたい。
自動車レースの人気が高い欧州だけあり、「GT6」の注目度は非常に高く、プレゼンテーションは予定よりも30分以上遅れて始まったにも関わらず、立ち見がずらりと並ぶ大盛況。プレゼンテーションはプロデューサーの山内一典氏自らが行ない、Gamescomに合わせて発表された「グランツーリスモ」の新たなプロジェクト「Vision Gran Turismo」に参加する企業を紹介した。また、マルチプレイのデモプレイや、「Vision Gran Turismo」の要素が含まれた新トレーラーを公開した。
「GT6」はこれまで支えてくれたファンへの感謝を込めた作品に
「Vision Gran Turismo」について山内氏は、「リアルとバーチャルの境界で起きるエッジエフェクトの1つです」と紹介。「自動車メーカーやブランドに、みなさんが考えるGT6を僕らにプレゼントしてくれませんかと提案したところ、想像を超える多くのブランドが15周年のお祝いにコンセプトカーをデザインしてくれることになりました」と感慨深げに語った。
もともとは山内氏らスタッフの個人的な車好きから始まり、「自動車を愛する世界の人に……」というキャッチフレーズとともに送り出してきた「GT」シリーズだが、今回はそこに自動車メーカーやブランドのデザイナーなど多くの人たちの想いが重なることになり、「車を愛する人から、車を愛する人へ」の作品になったことが良かったと山内氏。「GT6」はこれまでGTシリーズを支えてきた人たちへの感謝を込めた作品となる。
「Vision Gran Turismo」に登場するのは、アルファロメオ、アルピーヌ、アストンマーティン、アウディ、BMW、ベルトーネ, GMデザイン、ホンダ、インフィニティ、イタルデザイン・ジウジアーロ、ジョーダン(スポーツウェア)、メルセデス・ベンツ、ナイキ、日産、プジョー、SRT(クライスラー)、フォルクスワーゲン、ザガートの各社。
山内氏によれば、例えば「アルファロメオ 6C ビポスト Vision Gran Turismoは実在するアルファロメオ4Cと8Cのちょうど中間に位置する車」になる。アウディは、車のデザインだけでなくイノベーティブなメカニズムも考えている。「GT6はシミュレーターなので、新しいメカニズムのシミュレーションにも使えますから」と山内氏。ホンダは、現在進めているNSXとはまた別の何かを用意する。メルセデスは世界中にいる何百人というデザイナーからの公募でデザインを進めており、ナイキは「グランツーリスモ4」に登場した「ナイキ ONE」の後継作「ナイキ TWO」を用意。ジョーダンは「エア・ジョーダン」シリーズをデザインした伝説的なデザイナー、ティンカー・ハットフィールドがデザインを手がける。
普段は新車をPRしたいメーカー側からうちの車を出して欲しいとオファーがくることが多いそうだが、今回はすべてSCE側からの依頼だそうだ。デザインされた車はゲームの発売後、1カ月に1~2台のペースで、約1年間に渡って配信される予定だ。配信が有料になるかどうかについては、まだどういった形態になるかを決めかねているとのことだ。さらに、これらの車はただゲーム内に登場するだけではなく、いくつかは実車としても開発される予定だというから驚きだ。
新しくなるコースメーカーでユーザー主催レースを全面支援
「GT6」には、シルバーストーン、グッドウッド、ブランズ・ハッチなど7つのロケーションが追加される。また、「GT4」にあったアプリコットヒルは、グラフィックスの品質を上げたうえ、昼夜の変化に対応した形で復活する。昼夜の変化については「本当ならすべてのコースに対応したいが、それは現実的に難しい」と言いつつも、ニュルブルリンク、ル・マン、スパ・フランコルシャン、デイトナといった24時間耐久レースが行なわれているコースについては、昼夜の変化を入れたいと語った。
グッドウッドは、貴族の広大な私有地の中にある車ファン憧れのレース場。「GT6」ではすべてのユーザーがマーチ卿からの招待状を受け取り、ヒルクライムレースに参加することができる。ブランズ・ハッチは高低差の激しい非常にテクニカルなサーキット。「シルバーストーンとは別の意味で、イギリスのモータースポーツの聖地だと思っています」と山内氏は思い入れを語った。
「GT5」のマルチプレイは、PS3のオンラインタイトルの中で最も接続者数が多く、現在でも125万人のファンがレースを楽しんでいる。ファンの中にはレースを主催して、その様子をYoutubeなどに上げている人もいる。そんなファンたちがこの3年間に送ったフィードバックは「GT6」の開発に大いに活用された。「フィードバックが活かされているという意味では、GT6はユーザーが作ったゲームとも言えます」(山内氏)というほどだ。
そんなユーザーの楽しみを後押しするために、ユーザーがコースを造れる自由な空間や、より快適に主催レースを開催できるようコースメーカーを大幅に進化させている。「GT5のコースメーカーとは根本的に違うものを用意しています」と山内氏も力説していたので、レースの主催者は多いに期待して良さそうだ。また、ユーザーによる車のカスタマイズについては、東京ゲームショウで詳細が発表される。
映画は「GT5」ユーザーからプロのレーサーになったオルドネス選手をイメージ
Gamescomのカンファレンスでは「GT6」の映画化が発表された。映画化について「実は7年くらい前から毎年オファーはもらっていたのですが、断り続けてきたのです」と山内氏。そんな山内氏が今回とうとうOKを出したのは、映画の脚本が単なるカーアクションではなく、少年の成長物語になっていたからだ。「ルーカス・オルドネスの実話に基づいた話になる予定です」(山内氏)。ルーカス・オルドネス選手は「GT5プロローグ」を使った「GTアカデミー」に参加し、優勝した後、本物のレーシングドライバーとしてデビューしたという異色の経歴を持つレーサー。山内氏が「たぶん、ビデオゲームばかりやっている子供がいて、母親がすごく心配しているようなシーンから始まると思います」と言うと、会場から笑いが漏れた。
自分でもサーキットを走る山内氏。その経験はテクニカルな事だけではなく、ゲームのエモーショナルな部分にも反映されているという。「グランツーリスモ」のプレーヤーとしても、かつては全世界でトップ5に入るほどの実力者だったそうだが、「最近は年を取ったせいか、最後の1秒が縮められなくなって、大変悲しい」と残念がっていた。
「GT6」はPS3専用ソフトとして発売されるが、その直後にプレイステーション4が発売されることについては「まずは7,000万セールスを持つPS3で発売することを決めたので、その近くにPS4が発売されるのは仕方がありません。PS3は非常にピーキーだが高い性能を持っているので、そこを引き出すのは面白いです」と語った。
「GT5」の時には、PS3初期での開発に手こずったことや初めてのオンライン対応などで苦戦し、発売が延び延びになったりもしたが、そんな経験を生かした「GT6」は「GT5」の進化系として、より山内氏の理想に近いゲームへと近づいていそうだ。本格シミュレーターとしてのマニアックなこだわりだけではなく、新しいコースメーカーをはじめとしたユーザーへの手厚いサポートで、楽しめるゲームになりそうだ。
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