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SCE・吉田修平 WorldWide Studiosプレジデント インタビュー

PS4で1番大事に思って作っていることは、ゲームを遊びやすくするということ

2月21日 収録(現地時間)

会場:LONDON HOTEL

 ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCEI)は現地時間の2月20日、ニューヨークで「PlayStation Meeting 2013」を開催し次世代据え置き型ゲーム機「プレイステーション 4」を発表した。

 発表から一夜明けた現地時間の21日にソニー・コンピュータエンタテインメントのWorldWide Studiosでプレジデントを務める吉田修平氏の共同インタビューが行なわれた。PS4の仕様などから、DUALSHOCK 4に関する話題まで幅広い質問が飛んだ。なかなか話せることが少ない中、吉田氏にはお答えいただいたので、お伝えしていく。

PS4について……

様々な質問に答えていただいた吉田修平 WorldWide Studiosプレジデント

記者:PS4のSECONDARY CUSTOM CHIPの機能を教えていただきたいのですが。たとえばネット関係の機能だけなのか、PS2時代にPSのI/O関係を担当していたようなチップなのか、ゲーム開発者が使用することができるものなのか、どうなのでしょうか?

吉田修平氏: 良い質問ですね(笑)。私も説明を受けていて、わかっているのは本体が落ちているときにSECONDARY CUSTOM CHIPが動いていて、消費電力が少なく、ネットに繋がっていたりダウンロードしたり、そういうことはできるという風に聞いています。(メインのチップと)同時に動かすことは基本的にないと聞いています。

記者:海外のサイトの記事で、ソニーの人がPS4では中古タイトルが動かないといった発言をされていましたが?

吉田修平氏: 全く逆です。(友人など)他の人が買ったディスクで動くか? というと、動きますから。

記者:PS3ではCELLを採用してきましたが、今回はAMDのAPUということで、こうしたアーキテクチャーの変遷の理由を伺いたいのですが。

吉田修平氏: CELLはすごいチップだったと我々も思っていますし、「The Last of Us」など最近のゲームタイトルを見ても、使いこなしていくといろいろできるなぁとすごく感じますね。ですが、使いこなしていくというのは、非常に難易度が高いということなんですね。それは今でもそうなんです。内容がわかってきたディベロッパーでも、これはどうにもこうにもやりにくいというのもありますので。

 最近のコンソール向けタイトルの規模は特に大きくなってきていますし、サードパーティさんにとってはマルチプラットフォームは当たり前ですから、プレイステーションのプラットフォームだけにものすごく労力をかけて特別なコーディングをするとかいうのはやってもらえませんし、それをやってる暇があるならゲームに力を入れて欲しいということがとても大事だということで、マーク・サーニーをはじめ、うちの半導体のチームですとか、いろんなベンダーさんと話をしていくうちに落ち着いたみたいですね。

記者:しかし、「Jaguar(ジャガー)」コアだと、コアあたりの性能で言えばCELLより低いのではないのでしょうか?

吉田修平氏: それも私としてはお答えできませんが、SPUレベルで言えば、特別なメモリを持っていてそこで動かさなければならないんですね。それと「Jaguar」コアのようなマルチコアの大きなメモリを使って動かすプロセッサでは、使い勝手の良さが違いますので。

記者:CELLがSPUでやっていたような超並列の概念は、GPGPUでやって欲しいということでしょうか?

吉田修平氏: プログラマにも様々な種類の方がいて、特に我々WorldWide Studiosのメンバーなどは、「これしかできません」というよりは「実は難しいけど乗り越える方法がありますがやりますか?」といった方が好きな人がいて、そういったプログラマに向けた方法が用意されているということですね。

記者:GAIKAIのアーキテクチャを使って配信するという話がありましたが、AMDのAPUのコアだとエミュレートしなければならないわけで、サーバーの方でCELLが載っているのではないかと想像するのですが、そういう方法でGAIKAIのサーバーは立てているのでしょうか?

吉田修平氏: そうですね……ご想像におまかせします(笑)。答えは1つだと思いますが。

マーク・サーニーの「俺のゲーム!」……PS4「KNACK」について

発表会でプレゼンテーションを行なったマーク・サーニー氏
Japan Studioが制作中の「KNACK」。PS4のパワーを盛り込みながらも、誰もがプレイできるゲームを目指すという

記者:PS4「KNACK」の開発はどれくらいかけているのでしょうか?

吉田修平氏: 2年から3年くらいでしょうか。基本的にマーク・サーニーがゲームデザインを担当しディレクションしているタイトルなんですよ。「クラッシュ・バンディクー」シリーズや「スパイロ・ザ・ドラゴン」とか「ラチェット」の前半など自分でゲームデザインをしていましたが、プロデューサー的な立ち位置になり、ハードウェアの仕事なども増えていく中で、もう1回ゲームも作りたいと……「俺のゲーム」的なゲームデザインをやりたいということなので、Japan Studioでやりますかと声を掛けたんです。Japan Studioには、むかしマーク・サーニーと一緒にやっていた人もいて、そういう人の師匠の様な感じなので、マーク・サーニーがメンバーを率いて制作を進めているようです。

記者:だからJapan Studio制作なのに、すこしワールドワイドでウケそうなテイストになっているんですね?

吉田修平氏: そうですね、それは最初から狙っています。最近は日本の市場だけでやっていくというのは難しいですよね。なので全世界でゲームを売るということを考えています。

記者:制作開始当初からPS4をターゲットとして作っているのですか? PS3で作り始めて移行するのではなく。

吉田修平氏: そうです。ですから最初の頃はPCで作り始めましたね。マーク・サーニーもPS4の設計の仕事がどんどん重くなる中で、それだけやっているとゲームクリエイターとして腕がなまってしまうので、ゲームも合わせて作りたいということで、ハードウェアの制作はSCEIと契約し、ソフトウェアの制作はWorldWide Studiosと契約して、1週間のうち何時間かはこちらの仕事をするというような調整をしてバランスを取ってやっています。

記者:「KNACK」は、ローンチタイトルとして制作が進められているのでしょうか?

吉田修平氏: そこはまだお伝えできないですが、けっこう動いてますよね。

記者:「KNACK」は、オブジェクトを体にくっつけて大きさを調節しながらゲームを進めていくというのがコンセプトですか?

吉田修平氏: 私もいろいろ話を聞いていたのですが、「KNACK」を考える上で、1つは、最近のゲームはすごく難しくなっているので、逆に昔のゲームのように誰でも遊べるゲームだけど、コアゲーマーもプレイしてみると面白いというものを作りたいというのがありました。もう1つはPS4のタイトルですから、パッと見て「PS3のタイトルだよね」と言われてはいけないので、PS4でなければできないと思えるものを盛り込んでいこうということになりました。ですから、すごく多くのオブジェクトが集まって大きくなったり、回転してみたりといったところをゲームデザインの中に盛り込んでます。

記者:日本ということで言えば、今回ドライビングゲームとしてフィーチャーされたのは「DRIVE CLUB」でした。日本には「GRAN TURISMO」シリーズがあるのですが、今回の発表会で山内氏はスポットでムービー出演していただけでしたが?

吉田修平氏: 山内さんもポリフォニー・デジタルのメンバーも、PS4の開発そのものに関わっているんです。WorldWide Studiosがいろいろ意見を出したりしながら作ってきたりしているので、そういう意味でもPS4について(発表会で)語ってました。

 では「『GRAN TURISMO』は?」ということでは、「GT5」以降なにも出てないですよね? そのうち彼(山内氏)の口から、次の「GRAN TURISMO」について明らかにされると思います。

「DUALSHOCK 4」は、Moveでできることはほとんどできる

大きく進化した「DUALSHOCK 4」

記者:今回コントローラーが新しくなり「DUALSHOCK 4」が登場しました。タッチパネルが搭載されていますが、これを盛り込んだ理由は?

吉田修平氏: タッチパネルもそうですし、ライトバーとかシェアボタンもそうですが、いろいろなアイディアを我々ゲーム制作側とハードの人たちから出し合ったんです。今回の形に落ち着く前にものすごく突飛なデバイスなども作ってみて対応するゲームなども作ってみたりとかやってきたんです。それでいろんなタイプを作って捨ててきたんですね。それを2年以上やってきてるんです。

 その中で1つあったのは、「最近ではみんなスマートフォンやタブレットなどを使っていて(慣れているので)、タッチインターフェイスは欲しいよね」といった意見があり、どのように実現しようかという中で、大きなものを搭載したこともありました。でもいろいろやって、「基本はスティックとボタンがきちんと使えるものを作ろう」ということになりました。「DUALSHOCK 3」も悪くはないけど、まだまだよくできるじゃないかと。

 その基本を押さえた上で、空いたスペースにタッチインターフェイスを入れられるなら入れましょうよという順番に決めたんです。ですからタッチインターフェイスがあるからすごくゲームが変わるといったアプローチではなく、最近ではみなさん使い慣れてますから、スワイプ、ピンチ、ズームといったことはスティックではやりづらいので、みなさんのやり慣れた入力手段も入れましょうと。それでゲームの必要なところで使いたければ使ってくださいと言う感じの位置付けです。

記者:「DUALSHOCK 4」のライトバーでは、PlayStation Move的なことでできることはどれくらいあるのですか?

吉田修平氏: ビックリするくらい、けっこうできます。まずライトバーというのは、「DUALSHOCK」の認識番号があるじゃないですか? それを数字でやるのは古いんじゃないかということで、色でやった方が良いんじゃないかと。でもどうせ色でやるんだったら、色でトラッキングしたらMove的なこともできるんじゃない? そういったいろいろなアイディアがあって、最終的にこういった形に落ち着きました。

 そこでカメラ(PlayStation 4 Eye)でやってみてわかったのは、奥行きの測定が難しいですね。Moveは(上に付いている)球体がどこから見ても球体なので、大きささえ測れば距離が測定できるのです。それが正確なので、発表会のデモでご覧頂いたような粘土をこねるといった事も可能なのです。

 でも、「DUALSHOCK 4」も画面に対してのX軸とY軸の認識は非常に正確に行なえます。プラス「DUALSHOCK 4」に入っているセンサーは、Moveに入っているものよりさらに性能のいいものを使っています。ちょっと傾けたりとかも認識できますし、微妙な操作ができるので、X軸・Y軸の認識と傾きを組み合わせると、かなりのことができます。たとえば、狙ったところにピタッと止められて、ポインターとして使ったら非常に使いやすかったです。

記者:「PlayStation 4 Eye」は2眼ですから、深度も測れるのではないでしょうか?

吉田修平氏: (深度のデータも)取れます。ですからそれはライトの場所ですね。ライトの場所だけに限らず2眼の使い方としては深度ですね。ユーザーがジェスチャーしたり、ユーザーと背景を切り離して背景にハワイの映像を重ねたりといったことが可能です。

 ですから「DUALSHOCK 4」ではMove的なことがほぼできてしまうということですね。1番の違いはZ軸の正確性と、片手で使うラケットのような使い方は物理的に無理ですね。Moveはゲーム制作チームが「これ以上精度が高くなくて良いです」と言うくらいの完成度で、MoveにはMoveの良さがあるのでそのまま使えるようにしましょうということです。(PlayStation 4 Eyeの)カメラは今度はハイレゾになりますし、写る左右の範囲も広くなり、カメラを変えただけでさらに良くなりましたから、Moveはそのままで。

 でも「DUALSHOCK」は「3」でできていないところ……ヘッドセットやボイスチャットもやりたいので、そこは改良しましょうという感じですね。

記者:「PlayStation 4 Eye」はPS4に同梱されるのでしょうか?

吉田修平氏: 「DUALSHOCK 4」とそれに繋がるヘッドセットは同梱されます。それ以外のもの……カメラも含めて、なにが入って(価格が)いくらかといった事はまだ考えているところで、今の段階では最終的なお話しはまだできないと言うことです。

記者:でも、それは重要なお話しですよね。「PlayStation 4 Eye」が同梱されるかどうかで、開発者としては使うかどうかは違いますから

吉田修平氏: ただ、全数あるのが必須であるかどうかという点では、そうでもないと思います。いろいろ使える要素があれば、アタッチレシオ(装着率)を上げることはできると思います。他にもカメラでやろうとしていることは、顔認識で自動的にログオンさせたり、ボイス認識でコマンド入力など結構面白いと思っているので、いろいろ使い勝手はいいと思います。

記者:でも「DUALSHOCK 4」のライトバーはMove的な機能のために用意されているのであれば、なおさら「PlayStation 4 Eye」は必要なのではないのですか?

吉田修平氏: いえ、色によるユーザーの識別などもありますから。発表会の「KILLZONE SHADOW FALL」のデモで誰も気づかなかったのですが、敵に撃たれてヘルスが減ってきたらライトバーの色が変わってきていたんです。緑から黄色、赤に変わっていって、パックを使うとまた緑になったりして、インジケーター的に使用していたんです。ですからゲームによって、それは思うように使ってくださいと。3原色でどんな色も出せますし、点滅させることもできます。

 最終的なデザインでは、ライトバーは角度を付けていまして、上から見たら見えないようになっているんです。なぜかというと、光が強いので暗い部屋でやっていると、目が疲れるかなという意味からです。ですから内側にあって、正面から見るとカメラからは見えるし、持つと指の内側が反射して光るんです。間接照明的にぼやっと光って良い感じですし、プレーヤー以外の人が見たら面白いかなと。

記者:そういった「DUALSHOCK 4」の機能は「KNACK」でも使用する予定なのですか?

吉田修平氏: 使用すると思います。私が知っているのは「KILLZONE SHADOW FALL」と「inFAMOUS SECOND SON」ではタッチパネルを使っているんですね。昨日のデモではご覧いただけなかったのですが、次にデモをご覧になる機会では、こんな風に使っているんだとご理解いただけると思います。それぞれ違う使い方をしていますので、楽しみにしていただければと思います。

「KILLZONE SHADOW FALL」と「inFAMOUS SECOND SON」では、「DUALSHOCK 4」の様々な機能が使用されているという

PS4で1番大事に思って作っていることは、ゲームを遊びやすいということ

PS4では、リモートプレイはシステム側でやってしまうので、ゲーム開発側でなにもしなくても動くのだという

記者:ハードディスクの載せ替えの仕様はPS3と変わりないのでしょうか?

吉田修平氏: そこは、まだお答えできませんね。ですが、PS3のハードディスクは、最新のモデルですと500GBありますし、ゲームだけで一杯になっている人は少ないんです。PS4の場合、基本全タイトルデジタル販売で、大きなタイトルはディスク販売もありといった風に考えていますので、わりと一杯になるというのは想定できるかなと思いますね。

 しかし、換装を可能にするかどうかは疑問ですね。たとえばサーバーからダウンロードしてインストールしてといった行為が、待ち時間が少ない形でできる……発表会でも申し上げたように、ゲームの最初の大事な部分だけをダウンロードしてすぐに遊べるようにして、バックグラウンドで残りをダウンロードするのであれば、ユーザーさんに不便をおかけすることはないので、どんどん消していっても良いんじゃないのかという考え方もあります。

記者:外付けという選択はありますか?

吉田修平氏: 外付けは無いと思いますが、そこも正確にはお答えできません。

記者:SSDという選択肢は?

吉田修平氏: SSDという選択肢もありましたが、選びませんでした。SSDはコストも高いですし、書き換え寿命もありますので。

記者:4Kのゲームについてどのようにお考えでしょうか?

吉田修平氏: PS4として4Kの出力にはサポートしているのですが、今のところパーソナルコンテンツのみの対応なんです。写真ですとかカメラで撮影した映像は出力できるのですが、ゲームは対応していません。ゲームデベロッパと話しても、そんなに魅力を感じてないようです。解像度をもっと上げたいという開発者は少ないですね。PS4では1080pのものが多いと思います。フレームレートは60欲しいという人もいますが、30で良いという人もいます。それはゲームタイトルによりますね。

記者:リモートプレイですが、PS3の時は対応していないタイトルが多かったのですが、PS4では要件に入るのですか?

吉田修平氏: リモートプレイは、PS4ではシステム側でやってしまうので、ゲーム開発側でなにもしなくても動くんです。カメラベースのダンスゲームなど、ものによってはできないものもありますが、基本的にはゲームは全てリモートプレイで動くんですね。

 でも、我々が要件としてお願いしているのは、PlayStation Vitaで繋がったときにボタンのマッピングを変えてくださいと。PS Vitaではボタンが足りないし、大きなタッチスクリーンもありますので、ユーザーが特別にアサインすることがないように、遊びやすいようにカスタマイズしてくださいと、メーカーさんにはお願いしています。

 PS4とPS Vitaは密にやっていきたいですね。今後のPS Vitaは、PS4のペリフェラル的な感じで、Vitaのタイトルが少ないとか言われてる中で、「いえ、(リモートプレイで)PS4のタイトルは全部PS Vitaで遊べますよ」ということになります。これはPS Vitaにとっても大きなメッセージですね。

記者: 現状、Japan Studioで、PS4の制作ラインは何ラインくらい走っているのでしょうか?

吉田修平氏: 結構やってますね。数えなくちゃいけないくらいはやっています。

記者: 「大鷲のトリコ」がPS4になるとかありますか?

吉田修平氏: このあいだ上田さんがメッセージを出しておられましたが、ずっと開発が続いていて、ちょっと技術周りでやり直しをしている部分もありますので、ちゃんとできてから続報はお話ししたいですね。

記者: 最後にユーザーさんに向けてPS4のアピールをお願いします。

吉田修平氏: 日本のユーザーさんに向けてですが、私はすごく気になっているんです。今回の発表会は米国で行なわれたと言うことで、「KNACK」は別としてタイトルも欧米のものが中心で、日本でどう思われているんだろうというのはありますね。

 でも、PS4はPS3よりグラフィックスがよくなったとか、そういうことではないんですよね。グラフィックスが美しいとかは当然やりますけども、PS4で1番大事に思って作っていることは、ゲームを遊ぶときに遊びやすいということなんです。常に自分のゲームがそこにあって、待ち時間も無いし、自分のやっていることを人に伝えられるし、他の人たちがやっていることなんかも自然に知ることができる。ゲームを遊ぶだけでなく、ゲームを遊んでいないときも、みんなスマートフォンなど様々なデバイスから楽しくゲームとふれ触れ合えますよというところに注目して欲しいですね。

 それと、PS Vitaですね。PS Vitaをお買い上げになった方は半分PS4をお買い上げになったのに近いです。もうそこまで来ています。ということで、PS VitaユーザーさんはPS4を買うと、PS Vitaライフがメチャクチャ充実しますということも言いたいです。

記者: ありがとうございました。

(船津稔)