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コードマスターズ「F1 RACE STARS」ファーストインプレッション

F1らしいテクニカル感と個性的なギミックで痛快レーシング

2013年3月7日 発売予定

価格:7,140円

 コードマスターズの「F1 RACE STARS」は、プレイステーション3およびXbox 360向けに3月7日発売予定のコミカルなアクションレースゲームだ。F1フランチャイズ作品の拡充に力をいれるコードマスターズにとって初の、大胆にデフォルメされたF1マシンによるハチャメチャなレースが楽しめる作品となっている。今回、発売を前に製品と同等のバージョンで実際に遊ぶことができたので、ゲーム内容の気になる出来具合をお伝えしていこう。

F1公式ライセンス作品の輪を拡げる「F1 RACE STARS」

そうそうたるレーサーたちがコミカルに登場
2頭身キャラ&ちびマシンが爆走する!
グランプリ各国のムードを再現したコースを走ろう

 まず、先立つこと10月4日に発売された「F1 2012」は、F1公式ライセンス作品として最高のリアリティを追求した作品だ。最新作はハンドリングのシビアさにこだわり、コアファンからの好評を獲得。しかし、リアルさの代償としてとっつきにくさは拭いきれず、シリーズを通したファン層の拡大には至っていない。

 そこで、とっつきやすいパーティゲーム路線に大きく舵を切ったのが「F1 RACE STARS」だ。F1のゲームにありがちな“お高く止まった感じ”をバッサリカットして、コミカル表現を全面的に導入。誰にでも親しめる形でF1の文化を伝えようというのが本作「F1 RACE STARS」なのである。

 ちなみに本作は、当初2012年12月に発売される予定だったが、「販売戦略上の都合」を理由として2013年3月7日に発売が延期されている。ワールドワイドではリリース済みなので、これは日本国内だけの事情だ。コードマスターズによると「製品は完成しており、ローカライズなど開発の問題によるものではありません」とのこと。実際にリリースされるまで少々待たされることになってしまった本作だが、今回プレイすることのできたバージョンを見る限り、ゲームそのものは本当に完成品だ。ローカライズも完璧で、英国発のゲームながら、洋ゲー独特の“舶来感”がほとんどない形に仕上がっている。

 ゲームに登場するのは2頭身のコミカルなF1レーサーたち。彼らが操るのは、これまた大胆にデフォルメされた丸っこいF1マシン。とはいえ公式ライセンス製品というだけあって、レーサーたちはひと目で「あ、ベッテルだ!可夢偉だ!」とわかるし、マシンもしっかり、各コンストラクターのデザインを巧みに取り入れている。

 基本のゲーム性はシンプルかつ、アクションゲーム的だ。アクセル全開でライバルとデッドヒートしつつ、コース各所に配置されたアイテムを拾って多彩なブースト、妨害アクションを発動。超強力なスリップストリーム効果もあり、あれよという間に順位がバンバン入れ替わる。

 コースの作りも大胆だ。「Wipeout」か「F-ZERO」かというような立体レーンやほとんど垂直の超絶バンクがあるかと思えば、土煙上げてオフロードを爆走するトラックも。収録された全11カ国の全コースともに、F1が開催される各国のカラーを取り入れた上で、実際のグランプリコースに見られるコーナーや風景がそこかしこに仕込こまれているのだ。

 もちろん日本コースも存在していて、特にすごいデザインになっている。「フジヤマ!テンプラ!ゲイシャ!」と言わんばかりの、期待以上にズレまくった日本観をベースに、微妙に中華風のBGMが雰囲気を盛り上げる。現代日本の象徴であるラッシュアワーも再現し、一般車両を避けながらバトルするという、誰も見たことのないF1レースが展開する。雑然とした商店街を抜け、立体高速道を走り、謎のロボットに叩き潰されそうになり……。うん、コレは確かに日本?だ。

スタートからゴールまで、激しいデッドヒートが繰り広げられる展開の早いレースゲームだ

F1のテクニカルな側面もしっかりフィーチャー。アイテムとスキルで手強いレースに挑戦!

サイド・バイ・サイドの接戦を制すのは……?
スリップストリームで追い上げろ!

 そんな感じで大胆なデフォルメが施されている本作だが、レースそのものはなかなかに手ごわい。難易度イージー、ミディアム、ハードがそれぞれ「1000cc」、「2000cc」、「3000cc」というクラスに分けられているのだが、慣れないうちは「1000cc」でも1位獲得にはかなり苦労する。「2000cc」以上は相当のやり込みが必要だ。「3000cc」はもう中位確保にも必死という激ムズぶり。

 レースはマシンの選択から始まる。各マシンの速度やコーナリングなどの性能に違いはないのだが、チームごとに特殊スキルというべき、ユニークな属性が設定されているのだ。例えばレッドブルなら、スリップストリームが発動している間、勝手にスピードブーストがチャージされるという能力で勝負強さを表現。他のチームなら任意のアイテムを引きやすくなったり、オジャマアイテムが強化されたりといった様々なスキルがある。

 レース中はコース上に配置されたアイテムを巡ってのバトルが熱い。アイテム出現ポイントは決まっていて定期的に再出現するようになっているのだが、団子になってデッドヒートしていると1つのポイントに殺到して、結局1台だけがアイテムを獲得。アイテムを獲得するとシャッフルが始まって、どの能力が使えるかが決まる仕組みだ。

 とりあえず安定して使えるのがノーマルなスピードブースト。数秒だけだが最高速がグンと上がる。下位グループに甘んじている間ならもっと強力なアイテムを引きやすくなる。特に車両が一時的にミサイルに変身するアイテムは凄い。一定時間の“自動追尾”が始まって、ハンドル操作なしに超スピードでごぼう抜きだ。

 これに並行してよく引くのがオジャマ系アイテム。相手を黄色いバブルで捕まえて減速させるアイテムは、きちんと相手の進行方向を狙う必要があってテクニカル。自車周辺に爆風を発生させてライバルを弾き飛ばすアイテムは、コーナリング時に使うと効果的。差がついてどうしようもないときはセーフティカー導入アイテムが最高だ。先頭グループが強制的にフォーメーションランとなり、下位が差を詰めるチャンス。もちろん、上位陣にとっては迷惑この上ない!

 これらのアイテムを駆使した上でも「2000cc」以上のレースはかなりの難しさ。ただでさえスリップストリーム加速や各種ブーストアイテム、オジャマアイテムで後続車との差が詰まりやすいシステムなので、ちょっとしたミスが命取り。レース終盤でトップを走っていても全く安心できないバランスなのだ。

KERS充電ゾーンでパワーを溜めるのだ
大ダメージを受けたらピットレーンへ突入!即全快だ

 勝負のカギは、まず第1に確実なコーナリング。急カーブの多いコースは特に、アクセルベタ踏みでは曲がりきれずタイムロスにつながる。リアルのF1のようにしっかり減速、クリッピングポイントを踏んでスムーズに加速、というドライビングが効果的だ。

 F1ならではのKERSシステムも活用だ。コースの所々に設置された充電ゾーンを走る間、テンポよくアクセルを吹かすとエネルギー充填。充電ゾーンを抜けた直後から超加速が始まる仕組みだ。充電ゾーンはコーナーの途中など、わりといやらしい場所に配置されていることが多いので、慌ててアクセルを吹かすと壁に激突して逆にロスになることも。ここでも冷静に確実なドライビングが要求されるというわけ。

 もうひとつのカギはピット戦略。レース中に障害物や他車とのクラッシュが頻繁に発生するゲームなのだが、それでダメージが蓄積していくとマシンの性能がドンドン落ちていくのだ。各コース、ホームストレート脇に必ずピットレーンがあるので、ズルズル順位が下がる前に飛び込んでいく。一瞬で全壊から全快に変わり、追い上げ開始だ。でも、レース終盤ならブーストアイテムの“引き”に期待して、ピットインせずに頑張ったほうが良いかも?

 と、このようにF1的な要素もしっかりフィーチャーしつつ、息つく間もないデッドヒートを常に演出してくれるのが本作のシステムだ。当初は意外な難易度の高さに驚いたものの、コツを掴んでしまえば、相手のオジャマアイテム使用を見越した計画的なドライビングで安定上位を確保することも可能。シンプルそうな見た目とは裏腹に、それなりにやりこみの余地も用意されている印象だ。

 ゲームモードも幅広く用意されている。複数レースでポイントを競う「チャンピオンシップ」をベースに、最下位から順次脱落していく「ノックアウト」、燃料残量を気にしながら走る「給油レース」、コース上のトロフィーを集めてポイントを競う「トロフィーチェイス」、ゲート通過でポイントを獲得する「スラローム」、上位ポジションのキープ時間で勝者が決まる「ポールポジション」、各区間のベストタイムを競う「セクタースナッチ」など、モードによってレース戦略にも変化が加わる仕組みだ。

 発売が延期され、待っていたファンにとってはもどかしい時期が続く「F1 RACE STARS」だが、F1らしい味わいをしっかり備えてコードマスターズならではのレースゲームに仕上がっている。あと2カ月ほど、発売を忘れずに待とう。

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(佐藤カフジ)