コードマスターズ、TGS2012にて「F1」2作品をプレイアブル出展

「F1 2012」は正統進化。新作「F1 RACE STARS」はF1にカジュアルな楽しさを


9月20日~23日 開催予定(20日、21日はビジネスデー)

会場:幕張メッセ

【コードマスターズブース】
3-C1、セガブース内パートナーズコーナー



 コードマスターズ株式会社は「東京ゲームショウ2012」の開催に合わせ、今秋から今冬にかけて発売予定のFormula 1公式ライセンス作品「F1 2012」、「F1 RACE STARS」についての情報を公開した。コードマスターズは今年4月にレースゲームブランド「Codemasters Racing」を立ち上げており、F1の独占ライセンスを受けている唯一のゲームデベロッパーとして関連作品の開発に大いに力を入れている模様だ。

 「F1 2012」はプレイステーション3およびXbox 360向けに2012年10月4日発売予定。PC版も同日にイーフロンティアから発売される。「F1 RACE STARS」はプレイステーション3およびXbox 360向けに12月13日発売予定。両作品ともにコードマスターズのオンラインコミュニティサービス「RaceNet(公式紹介ページ)」に対応し、走行データの記録管理など独自のオンライン機能を利用できる。

 両作品はセガブース内、コードマスターズのミニブースに各3台づつプレイアブル出展されており、開発中のバージョンを試遊可能。「F1 2012」の試遊スペースには本格的なドライビングシートが完備され、理想的なプレイ環境でF1マシンの操縦を楽しむことができた。

【コードマスターズブース】
「F1 2012」の試遊コーナーでは、レーシングシート完備の本格的な環境でゲームを体験できるカジュアルな「F1 RACE STARS」はドイツコースを試遊可能。会場内で2人プレイもできるようだ


■ F1ならではの要素をさらに活かす「F1 2012」

コードマスターズの大庭将司氏。実際のプレイを交えながらゲームの進化点を紹介してくれた
「F1 2012」のメインビジュアル
今年も新たなF1シーズンがゲームで開幕!

 両作品について詳しい情報を提供してくれたのは、コードマスターズでローカライズを担当する大庭将司氏。まず「F1 2012」については、昨年の「F1 2011」に引き続きリアル路線を継承。F1やレースゲームの既存ファン層向けの作品という位置づけだ。

 今年のF1は大幅なレギュレーション改定が行なわれておらず昨年からの継続性が高いシーズンとなっているが、一方でゲームの「F1 2012」は堅実な進化を遂げている。その中で大きなポイントを挙げると、“遊びやすさの向上”、“F1ならではの演出強化”、“タイヤ戦略の追求”の3点だ。

・遊びやすさの向上

 今作で導入されるゲームモード「ヤングドライバーテスト」では、実際にも行なわれているドライバーテストの内容をゲーム的にアレンジ。2日間の日程で行なわれる技術テストを通じ、速度管理、コーナリングなどF1ドライビングの基礎技術を学ぶことができる。各科目で目標を達成すると成績に応じてブロンズ、シルバー、ゴールドいずれかのメダルを獲得。全日程を修了すれば、それに続く「キャリアモード」(前作同様に5シーズンを戦うモード)で初年度に加入するチームを成績に応じて下位~中位のチームから選べるという仕組みだ。

 中には実際にプレイする実技科目だけでなく、KERSを始めとするF1固有の装置の機能や使い方を紹介するビデオチュートリアルも用意されており、初心者でも問題なくF1レースの世界に入り込めるように工夫されている。また、テストを受ける際に選んだチームからは「キャリアモード」内でオファーが届きやすくなるなど、ドライバーとしてのロールプレイ要素にも繋がっているようだ。

 また、「キャリアモード」が長すぎて遊べないというユーザーのために、新たに「シーズンチャレンジ」という1シーズン完結のゲームモードが追加された。このモードは決勝レース以外の日程が大幅に省略されるなど手軽に遊べるように構成されている。チームの選択は任意だが、3段階用意されている難易度に応じて選べるチームが変化する。つまり、上位チームを選ぶには「イージーモード」の選択が必要で、「ハードモード」を選べば下位チームしか選べないということだ。

・F1ならではの演出強化

 ゲームモードの選択肢などメニュー画面を構成するアイテムに実写のF1ドライバーや車両の画像を配し、画面要素がずいぶんF1的で賑やかになった。ある意味で無味乾燥気味だった前作に比べ、ぐっと血の気を感じるデザインになっている。精密なCGで再現されたF1マシンの曲線美をじっくりと見ることのできる画面も存在するなど、演出全般にわたって細かな配慮が行き届き、F1ファンを喜ばせてくれそうな印象だ。

 さらに、新たに追加された「チャンピオンモード」にも注目したい。このモードでは順位、天候、マシン状態など、F1レースにおける様々なシナリオが用意されており、その中で歴代のチャンピオンに挑戦することができる。例えば「既にレース終盤、あなたはロータス・ルノーのドライバーで、新しいオプションタイヤを履いている。若干消耗したプライムタイヤを履くキミ・ライコネンをオーバーテイクし、フィニッシュラインまで逃げ切れ」といった格好だ。現実の名シーンを再現するわけではなく、あくまで架空の設定ではあるが、実際のレースでありそうな状況にどう対処するかが問われる。時にはF1ならではの戦略への理解も必要となるなど、ロールプレイ感覚の強いゲームモードだ。

・タイヤ戦略の向上

悪天候時はタイヤ戦略がより重要になる

 ドライビングモデルについては現実と同様、昨年に引き続きピレリタイヤを採用、エンジン規制も変わらずと大幅な変更はない。ただしゲームの側ではタイヤシミュレーションに更なるチューニングが施されており、特に天候変化の影響がより強く出るようになったという。晴天、くもり、雨、大雨といった天候を制御するシステムにも手が加えられ、サーキットのある部分ではウェット、別の部分はドライといった現実的な変化が起きるようだ。

 それに併せ、レース中にピットクルーが天候予想を伝えてくれる機能が追加された。例えば「5分後に雨になりそうだ」などと無線連絡がある。その上でプレーヤーは、実際の天候変化を観察しつつタイヤ交換のタイミングを見極めなければならない。雨天になっても数周はスリックタイヤで走ったほうが良いこともあれば、早めにウェットタイヤに交換すべき場合もあるから、簡単ではない。タイヤシミュレーションのチューニングと天候システムの調整により、F1ならではのタイヤ戦略に一層の深みが加わったということになる。

 そのほか本作には、元F1ドライバーであり現在は名解説者として知られるアンソニー・デビッドソン氏によるサーキット解説が全コースにわたり収録され、コーナー毎の使用ギアなどプロの走行技術を学ぶことができる。さらには実際のテレビ放送で見る絵に近い新カメラモードの搭載など、随所にわたりコンテンツの充実や改良が加えられている。昨年の「F1 2011」から堅実な進化を遂げていると見てよさそうだ。




■ ファミリー向けに楽しさを追求する「F1 RACE STARS」

「F1 RACE STARS」メインビジュアル。小林可夢偉選手の姿も
2頭身キャラでハチャメチャなレースがスタート
コース上のアイテムで多彩な効果が発生する

 もうひとつのフランチャイズ作品、12月13日発売予定の「F1 RACE STARS」は一転してカジュアル路線のレースアクションゲームに仕上がっている。「F1をより幅広く楽しんでいただきたい」(大庭氏)との思いが込められた本作では、大勢でワイワイと楽しめるシンプルなゲーム性と親しみやすさが重視されているようだ。

 カートゥーン風の2頭身キャラと化したF1ドライバー達と大胆にデフォルメされたF1マシンが走るのは、世界各地のグランプリコース。とはいっても大幅に手が加えられており、元コースの面影はほとんどない。ジャンプ台あり、極端な傾斜のバンクあり、所々にはショートカットでインチキできる箇所も用意されている。そのレース風景は「マリオカート」、あるいは「Wipeout」風でもある。

 そのコース上には各種のアイテムや仕掛けが配置されており、利用することでレース展開に変化を加えることができる。例えば大幅にブーストする、ロケットと化して路面を無視して前進する、はたまた強制的に他車を吹っ飛ばすなどなんでもござれだ。画面分割で最大4人がローカルでプレイできるほか、オンラインでは最大12人で対戦可能。大勢で遊べばそれだけ楽しくなりそうなゲーム性となっている。

 見た目的には現実無視の内容かと思われそうだが、F1的な要素も多い。車両にはKERSが搭載されていて、コース上に配置された充電ゾーンを通りつつ特定の操作をするとバッテリーが貯まり、爆発的な加速を得ることができる。調子に乗って車両をぶつけるとウィングが外れたりタイヤがグラグラになり減速。ピットインすれば全回復できる。オジャマアイテムのひとつに「セーフティカー」というものもあり、先頭グループが詰まってオーバーテイクしやすくなるなど、F1ファンならニヤリとする仕掛けがいっぱいだ。

 そのほか、各車両のデザインやドライバーのヘルメット、スーツ等の意匠は公式データに基づいて正確に再現されているなど、ライセンス作品としてのポイントはしっかり守られている印象だ。女の子向けに架空の女子ドライバーも選択できるようになっているが、絵柄的に「あまりカワイクない」(大庭氏)ように見えてしまうのは、ワールドワイド向けのユニバーサルデザインならではの痛いところだろうか。

 いずれにしても、本作では好きなチームとドライバーを選んでキャリアを詰んでいくことができる。各シングルレースや、複数のコースで構成されたシーズンレース、その他のゲームモードに挑戦していくうち、走行距離や最大Gなどの記録、各種の達成によるアンロック要素が蓄積されていく仕組みだ。

 最後に大庭氏からのメッセージをご紹介しよう。


 「F1が好きな人は、ぜひ『F1 2012』で本格的なレースを楽しんでください。F1にそれほど興味が無い、苦手だという人でも『F1 RACE STARS』なら手軽に楽しんでいただけると思います。F1というのは車を運転するだけでなく、コンマ1秒を縮めるために工夫を重ねるような、スポーツ的な側面にも大きな魅力があります。これらの作品を通じてF1そのものに興味を持っていただければ嬉しいです。ぜひ多くの人に遊んでいただきたいと思っています」


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(2012年 9月 21日)

[Reported by 佐藤カフジ]