Gamania Game Showソーシャルゲーム関連レポート
台湾からグローバルに向けたFacebookタイトルに注目


9月8日、9日開催

会場:台北市台北華山藝文中心



 「2011 Gamania Game Show(GGS)」の大きな特色のひとつがクライアント型のオンラインゲーム以外の出展が目立ったことだ。GGS2日目の9日の朝に開かれたアニメーション制作の発表会などはまさに象徴的だが、Gamaniaはオンラインゲームパブリッシャーから、デジタルコンテンツメーカーへと大きく舵を切りつつある。

 ゲームの分野でも、クライアント型のオンラインゲームにこだわらず、ソーシャルゲームやWEBゲーム(ブラウザゲーム)、スマートフォン向けなどマルチプラットフォーム展開を本格化させつつある。本稿では会場で見ることができたマルチプラットフォームタイトルの模様をお届けしたい。

【Digitaiment Cafe】
大型オンラインゲーム以外はすべてDigitaiment Cafeと呼ばれる一角に集められていた。ガマニアジャパンが担当しているWEBゲームは試遊台は置かず、プロモーションムービーとポスターのみの掲示だった。今後は欧米展開も進めていくという



■ Facebook向けソーシャルゲームを4タイトルも出展

Facebook向けソーシャルゲーム出展コーナー
こちらはiOS向けゲームアプリの出展コーナー
2階に設置されていた大型ポスター

 台湾はFacebookの人気が非常に高い。Facebookは日本でも人気を集めつつあるが、日本が500万人程度なのに対し、台湾は1,000万人を突破。何割かはプライベート用とゲーム用のマルチアカウントで利用しているため実数ではないということだが、人口が2,300万人程度なのを考えると、すさまじいほどの利用率だ。

 この人気に呼応して台湾ではFacebook向けのソーシャルゲームの開発が盛んに行なわれている。Gamaniaでは、台湾のセブンイレブンのマスコットキャラクター“Openちゃん”をモチーフにした育成ゲーム「Open City」を昨年リリースした程度だったが、GGSでは一挙4タイトルもの新作を出展していた。

 会社的にはまだトライアルの段階でビジネスとして収益に結びつけるためにはしばらく時間が掛かるということだが、中国語と英語に対応し、中国語圏と英語圏への展開を目指している。残念ながら日本語対応の予定はないということだが、Facebookアプリなのでやろうと思えば日本からプレイすることも可能なので、気になったタイトルがあればプレイしてみるといいだろう。それでは以下、iOSタイトルも含めて順番にご紹介していこう。

・「便利商店Web(My Convinience Store)」

 「便利商店Web」はGamaniaがオンラインゲームを始める前にPCパッケージゲームとして売り出したコンビニ経営シミュレーションゲーム「便利商店」のソーシャルゲーム版。2011年8月にサービスインしたばかりで、中国語、英語に加えて韓国語にも対応。見ての通り、Playfishの名作「Restaurant City」の影響を強く受けており、ほぼ同様のインターフェイスで台湾ならではのコンビニの経営を楽しむことができる。

 ゲームの内容は、PCパッケージ版と同様にリアルタイムで店舗を拡張したり、商材を補充しながら、売り上げを伸ばしていくというもの。コンビニのオブジェクトは大別すると、商品の代金を支払うキャッシャーと、商材を配置する棚の2種類で構成されており、パンやドリンク、書籍といったポピュラーな商材に加えて、台湾風おでんなど地域性のある商材も用意されているのがユニークだ。

 開発は台湾のデベロッパーYeck Entertainmentが担当しており、Flash風の豊かなアニメーションを実現しているが、実はFlashではなくUnityベースで開発されている。対応ブラウザはIEとFirefoxのみで、Flash非対応のiOSハードで遊べるわけではないという点と、アクションを起こすたびにたびたびローディングが入るのは減点対象だが、動作が軽くサクサク遊べるのは評価できる。

【便利商店Web(My Convinience Store)】
基本的な構造はPlayfishの「Restaurant City」と同一。日本語には対応していないが、日本からプレイすることもできる

・「CoCoCan Planet(キャットランド、猫楽園)」

 「CoCoCan Planet」は、Gamaniaのカジュアルゲーム「CoCoCan」のキャラクター“クーキャット”たちが登場する遊園地経営シミュレーションゲーム。開発は台湾のデベロッパーXpecが担当しており、同社のFacebook向けアプリの代表作である「虹色どうぶつ園」のゲームエンジンを使って開発されている。今回初公開ということで、今後順次βテストを行なっていくという。

 ゲームはしっかりとした経営シムとなっており、アトラクションやショップ、装飾アイテムなどを購入して園内に配置し、来場者の動線を工夫して、効率よく遊園地を経営していく。

【CoCoCan Planet(キャットランド、猫楽園)】
ソーシャルゲーム開発ではすでに実績のあるXpecが開発したソーシャルゲーム

・「HITO Star(明星我最大)」

 「HITO Star」は、Gamaniaが自社開発しているアイドル育成シミュレーションゲーム。「HITO」というのは日本語のヒットのニュアンスを出した表現ということであまり深い意味はないという。

 ゲームの内容は、男女いずれかのアイドルを育成し、体力に気をつけながらトレーニングを積み、装いにもこだわってスターを目指していく。ソーシャルゲームらしく、フレンドのアイドルを評価したり、逆にファンを奪ったりすることもできるという。こちらも今回が初公開で年内のサービスインを見込む。

【HITO Star(明星我最大)】
実際のフレンドと共にアイドル育成を競い合うというユニークなアイドル育成ゲーム

・「Project Fighting」

 個人的にもっとも目を引いたのがこのタイトル。こちらもまたGamaniaの自社開発タイトルで、今回は映像のみの出展だった。リリースは来年の上半期を予定。

 ゲームの内容は、ジャンケンの仕組みを使ったソーシャル格闘ゲーム。カードバトルのように同時にカードを出し、勝った方が攻撃を繰り出すというシンプルなゲーム性で、攻撃時のアニメーションに楽しさが詰め込まれている。攻撃時に台湾でナンセンスでファニーなアクションのことを指す“KUSO動作”を繰り出し、笑いながらゲームを楽しめるという。

 アバター要素も豊富で、全身を着飾れるほか、住人たちの住まい“樹屋”を飾り付けて、来場者にアピールする。どんどん複雑化するFacebookアプリの中で、これほどシンプルでわかりやすいゲームは久々だ。サービス開始が楽しみなソーシャルゲームだ。

【Project Fighting】
ジャンケンスタイルの対戦格闘ゲーム。豊富なアバター要素が魅力

「Soul Captor」

 ここからの2本はiOS向けのカジュアルゲームとなる。いずれもプロモーションの一環として無料で公開されている。

 「Soul Captor」は、台湾と香港で2011年8月に正式サービスがスタートした同名のWindows用MMORPGのスピンオフ作品。現行世代iPhoneやiPod Touch、iPadに付いているカメラを使って風景や人物写真を撮ることで、敵が出現したり、アイテムが獲得できたりするという一種のARゲームだ。

 ゲームには5種類のモンスターが収録されており、一定の条件を満たして、彼らモンスターをすべて見つけ出し、なおかつ撃破するとMMORPGのほうで使用できるアイテムと引き替えられるシリアルナンバーが獲得できる。日本ではMMORPGのほうもまったく紹介されていないのでいまひとつピンとこないが、ユニークなプロモーションだ。

【Soul Captor】
iOSハードのカメラで写真を撮ると敵が出現する。これをタッチパネルで叩いて倒すというシンプルなARゲーム

・「HERO:108(水火:108)」

 テレビアニメと同時展開しているオンラインアクションゲーム「HERO:108」のiOS向けスピンオフ作品。エアホッケーやモグラたたきなど6種類のミニゲームが収録されている。米国のソーシャルゲームプラットフォームOpenFeintベースのアプリケーションとなっており、アニメの視聴者を増やすためのプロモーションの一環で無料で公開されている。

【HERO:108(水火:108)】
iPhone、iPadの両方で楽しめるミニゲーム集。日本からもダウンロードしてプレイすることができる

(C) 2011 Gamania Digital Entertainment Co.,Ltd.

 

 

(2011年 9月 10日)

[Reported by 中村聖司]