Nexon Americaが放つ新進気鋭のソーシャルゲーム「MapleStory: Adventures」体験レポート
あの「メイプルストーリー」がFacebookでソーシャルゲームに!


7月27日OBTスタート




 韓国NEXONの米国法人Nexon Americaは、6月からFacebook上でクローズドβテスト(CBT)を行なっていたソーシャルゲーム「MapleStory: Adventures」のオープンβテスト(OBT)を7月27日からスタートした。

 日本でもお馴染みのオンラインRPG「メイプルストーリー」は、北米でも最も成功した韓国産ゲームの1つ。2010年12月の段階で北米の会員数は800万人で、同じ時期に本作の最高記録となる同時接続13万6,000人も達成している。

 北米で6月からCBTが行なわれた。OBT以降は、Facebookアカウントを持っていれば誰でも遊ぶことができる。スタート以来急速に勢力を広げつつあり、すでに月間アクティブユーザーは1,131,624人(8月12日現在)まで増加している。

 筆者も個人的に遊んでいるが、数あるFacebookアプリの中でも独自性があり、「メイプルストーリー」の味わいを生かしつつも、ソーシャルゲームらしいゲームに仕上がっており、完成度も非常に高い。

 現在のところは英語サービスのみで、日本や韓国でのサービスは未定ということだが、人気のあるゲームだけに将来のローカライズにも期待したいところだ。そんな期待を込めて、本稿では「MapleStory: Adventures」の魅力を、Windows版「メイプルストーリー」と比較しながら紹介したい。



■ 本家「メイプルストーリー」でおなじみの風景があちこちに

Facebook上にあるFacebookページ。上の検索にゲーム名を打ち込むと出てくる。「Play Now」のボタンを押せば登録などは必要なくすぐにゲームを始めることができる

 Facebook版「MapleStory: Adventures」はブラウザでプレイするソーシャルゲーム。ブラウザゲームはプラットフォームを選ばずに遊べるのが特徴だが、本作はFLASHベースのゲームなのでiOSからは起動しない。Androidでは起動画面までは進むことができたが、ゲームの処理やボリュームはPCでのプレイを前提に考えられているので、スマートフォンからは残念ながら起動することができなかった。というわけで本作を快適に楽しむためには、ぜひPCからのプレイをおすすめしたい。

 Windows版では、2重3重に構築されたセキュリティを登録する必要があるので、ダウンロードしてからゲームを始めるまでに要する時間がかかるが、Facebookのゲームは会員登録さえ終わっていればワンクリックでスタートできる。Facebookの画面上にある検索にゲーム名を打ち込めば公式のFacebookページが出てくるので、そこへ行ってスタートボタンを押すだけだ。

 ゲームが始まるとまずはキャラクター選択から。「メイプルストーリー」で「初心者」でスタートして転職していくが、「MapleStory: Adventures」は今のところ転職はなく、最初に「WARRIOR(ウォーリアー)」か「MAGICIAN(マジシャン)」のいずれかを選ぶ。

 キャラクターはメイプルストーリーと全く同じドットの2Dキャラクター。最初にカスタマイズできるのは髪、顔、肌の色の3箇所。選べる髪型は男女ごとに各4色×8種類。フェイスパターンは各7種類、肌の色は4色と本家とほとんど変わらないバリエーションがそろっている。


【「MapleStory: Adventures」】
オープニングの後、職業を2つから選んでキャラクターを作成する。グラフィックスは「メイプルストーリー」と同じものが使われている
【「メイプルストーリー」】
Windows版は最初のキャラクター作成では全員が「初心者」というクラスになる。装備品にもカスタマイズのバリエーションがあるなど少し選択の幅が多い

 キャラクター選択が終わるとフィールド画面に移動して、「メイプルストーリー」ファンにはおなじみのBGMが流れる。すぐにチュートリアルのクエストが始まるので、後はクエストに沿って進行していけば一通りの操作を覚えられる。もちろんすべて英語ではあるのだが、もともと子供向けのゲームなのでそれほど難しい単語は使われていない。

 ワールドマップは「メイプルストーリー」の初期に登場する「ビクトリアアイランド」によく似た同名の島。本家と多少配置は違うが、同じ名前の地域がある。地域の中はさらに細かいエリアに分かれていて、それぞれのエリアは本家と同じようにポータルでつながっている。ポータルを渡り歩いて移動することもできるが、遠くの場所へ移動するときにはワールドマップから行きたい場所をクリックすれば、ワールドマップ上を素早く移動することができる。

 現在実装済みなのは「ヘネシス」、「エリニア」、「ペリオン」、「カニングシティー」の4つ。残りはワールドマップ上で「Coming Soon」になっており、今後実装予定のようだ。

 ゾーンによっては侵入できるレベルに制限がある場合があり、クエストに沿ってレベルを上げていくと自然に行動範囲が広がっていくような作りになっている。エリアの中の風景も「メイプルストーリー」で遊んだことがあるプレーヤーにとってはおなじみの光景だ。多少アレンジしてあったり、配置してある敵が違っていたりするので、Windows版をプレイしたことがあるならそのあたりの差を楽しんでみるのもいいかもしれない。


【「MapleStory: Adventures」】
フィールド画面と、エリアマップ、ワールドマップ。Windows版よりも画面が小さいので見やすくコンパクトにまとめてある
【「メイプルストーリー」】
Windows版のフィールドとマップ。「ビクトリアアイランド」の地形が微妙に違う



■ ワンクリックの簡単移動と簡単戦闘で気軽にアクション気分

敵をクリックするだけで自動的に戦ってくれる
戦闘指南をしてくれるNPCエミリー。フレンドと同じようにパーティーを組んで一緒に戦うこともできる。いい笑顔だ

 画面だけを見ると、本家とほとんど差がないように見えるが、実際にプレイしてみるとゲーム性はずいぶん違う。本作は一見アクションゲームに見えるが、実はアクション要素はなく、誰でもマウスクリックだけで楽しめるお気軽なゲームだ。

 ソーシャルゲームはそもそも長時間がっつりとプレイするようなゲームではなく、余った時間を使って少しずつ遊ぶというスタイルが一般的だ。ゲーム性についても、どちらかと言うとあまり考えずに遊べるカジュアルなものが多い。本作もそんなソーシャルゲームの気楽さを盛り込んだ“ゆるめ”のゲーム性になっている。

 移動はクリック移動。戦闘は本家のテイストを残しつつ、ワンクリックで敵を殴るオートバトルになった。本家にあるようないくつものスキルを駆使したりジャンプをしたりといったことはできない。HPゲージもなく、代わりに行動回数を示すエネルギーゲージがある。

 敵を1回殴るために、エネルギーが1必要だ。適正レベルの敵は1回殴っただけでは倒せないので、エネルギーをいくつか使用することになる。例えば1度に与えられるダメージが100で敵のHPが500の場合は5回殴る必要がある、この場合1匹倒すのに必要なエネルギーは5ということになるわけだ。エネルギーがなくなると、たとえ倒しきっていなくてもそれ以上は敵にダメージを与えられなくなる。

 エネルギーは時間かドロップや課金アイテムの消耗品で回復することができる。ちなみに戦闘を中断するとモンスターはノンアクティブに戻るので、自分が攻撃していない間はモンスターからも攻撃される心配はない。戦闘シーンを録画した動画を用意したので、実際に見て違いを確認して欲しい。ムービーの中で地図やクエストウインドウの一部が微妙に切れているのは、そこに筆者の友人の名前が並んでいるためなのでご了承いただきたい。

【MapleStory: Adventures】

 ボスキャラクターなど、一定回数以上殴っても倒せないくらい強い敵では「この敵はあなたには強すぎます」というメッセージとともにポイントが残っていても戦闘が終了する。レベルやスキルのレベルを上げたり武器をより強いものに変えたりすることで、最初は5回殴らないと倒せなかった敵を3回で倒せるようになったりと、エネルギーの節約にもなる。

 スキルはレベル40までは10ごとに覚えられる技が増えていき、現在のところはレベル55で覚えるものまで実装されている。それぞれ10段階まで強化することができるが、強化にはゲーム内マネーと「Skill Permit」というアイテムが必要だ。「Skill Permit」はクエストの報酬としてもらうか、課金で購入するか、友達に頼むかの3つしか獲得手段がない。

 雑魚のモンスターはすぐに再ポップするが、ボスクラスのモンスターはドロップがいいが、最初に出てくるキングスライムで2時間待ちと再ポップに時間がかかる。もっとも、再ポップをじりじりと待つタイプのゲームではないので、エネルギーがなくなったらゲームをやめて待っていれば、次にたまるころにはボスも沸いている。


【バトルシステム】
ボスキャラクターの「キングスライム」強すぎて倒せない敵だと、警告文が入って戦闘が中断する「メイプルストーリー」ではおなじみの敵が登場する
スキル指南をしてくれるNPCスキルはおおむねレベル10ごとに新しく覚えられるようになるスキルを覚えるには「Skill Permit」が必要。持っていないときには買うか、友達に頼もう
チュートリアルの最初に倒す敵は、本家と同じ「デンデン」。殻は投げられないフィールドにいるNPCからクエストを受けて敵を倒していくクエスト条件を満たすと、報告をしなくても自動的にクエストが完了する



■ 雇う方にも雇われる方にも利益がある非同期パーティーシステム

友達を雇うと、頭上の数字の回数だけ一緒に戦ってくれる
1日1回友達に無料のプレゼントを贈ることができる

 友達との関係が重要な意味を持つソーシャルゲームらしい要素も揃っている。本作はフレンドと同時にプレイすることはできないが、一緒に遊んでいるフレンドを雇って仲間にすることができる。ゲームに誘ったり誘われたりしたフレンドのリストが画面の下に表示されているので、フレンドリストの顔写真をクリックすると、どこからともなくドアが表れてそのフレンドのキャラクターが助太刀に現われる。

 フレンドはエネルギーを15持っているので、その範囲内で一緒に戦ってくれる。フレンドが多ければ多いほど助っ人に呼べる人数が増えて戦闘が楽になるというわけだ。友達がいない間は、ガイドキャラクターのエミリーが助っ人に来てくれるが、やはり自分よりレベルの高い友達は頼りになる存在だ。1人では「倒せません」という警告が出て戦えないような敵でも、友達と2人でなら倒すことができた。

 自分が誰かの助っ人に呼ばれると、お返しにその誰かを1回余分に雇うことができる。友達を雇うことが相手の利益にもなるので、どんどん雇ってコキ使ってあげよう。

 それ以外にも、友達にプレゼントを送ったり、クエストをクリアするためのアイテムを友達に頼んだりといった、ソーシャルゲームによく見かける要素は一通り入っている。特に、スキルを覚えるために必要な「Skill Permit」を集めるのは強さに直結する重要事項だけに、友達の存在が重要になってくる。


呼び出すと、毎回微妙に違うセリフをしゃべる回数分戦い終わると、ドアから帰っていく友達とのプレゼントやお願いのやり取りは、メッセージセンターにまとめられている
友達を招待したり、お願いするというソーシャルゲームならではのクエスト友達がたくさんいればキャラクターがグングン育つ北米ではWindows版とのコラボレーションも準備されているようだ



■ 生産、ペット、エンチャントと戦闘以外の要素も豊富

いつも後ろをついてきてくれるかわいいペット

 キャラクターが身に着けられるアイテムはかなりの数がある。現在のところ、装備品はゲーム内マネーで、アバターは課金アイテムでという別れ方になっている。アイテムの種類はゲーム内マネーで変えるものだけでも、スタートしてすぐとは思えないほど豊富にそろっている。この辺りは「メイプルストーリー」という資産がある強みだろう。ボスモンスターがドロップするコレクションアイテムをそろえた時にもらえるレアな装備もある。

 Facebookの課金は、Facebookポイントという通貨で行なう。この通貨を購入するにはクレジットカードか、PayPalへの登録が必要。現在は105ポイントが784円と円高の恩恵でお買い得だ。

 プレーヤーが連れて歩くことができるペットはすべて課金アイテム。餌は課金と生産で手に入る。ペットは犬や猫、豚、パンダ、恐竜、サルなど現在12匹実装されている。購入するとペットホテルに入るので、そこから1匹を選んで連れて歩ける。「Play」コマンドでペットと遊ぶことで新密度が上がる。ある程度上昇すると、新しいアビリティを覚えていく。

 生産要素もある。ツボを使って「エンチャントスクロール」や「ペットフード」など様々なアイテムを作ることができる。エンチャント用のアイテムは、何かを強化するために使用するようだが、町にいるエンチャンターに話しかけてもまだ反応してくれないので、レベルが足りないのか、実装されていないのかのどちらかなのだろう。

 簡単に要素を説明してきたが、「MapleStory: Adventures」が意外と奥の深いゲームだということが少しでも伝わっただろうか? クエストでキャラクターを育てていく楽しみや、友達とパーティーを組んで戦う楽しみ、などMMORPGが備えている根本的な楽しみの要素が本作にもしっかりと盛り込まれているのがわかっていただけたのではないかと思う。

 アクション性を完全に捨てて、キャラクターの成長という部分だけにフォーカスするというのは「メイプルストーリー」という名前を冠したゲームとしては、かなりの決断だったのではないかと思う。しかしその甲斐あって「MapleStory: Adventures」はなかなか面白いゲームに仕上がっている。

 とはいえ、これがこのゲームのすべてではない。Facebookのソーシャルゲームは短いスパンで進化を続けていく。本作もどんどん姿を変えていくだろう。この素早い変化を追い続けていくのも、Facebookのソーシャルゲームの楽しみだ。この機会に始めてみてはどうだろうか?


【ペット】
ヘネシスの町にあるペット屋現在購入できるのは12種類好きな名前を付けて、成長させることができる
【生産】
ペット屋の下にある生産のための施設エンチャントアイテムやペットのえさを生産可能生産クエストをこなしていくと、生産できるものが増えていく
【ショップ】
装備品はモンスターから出るゲーム内のコインで購入できる。今装備しているのは最初にクエストでもらえる新聞紙シリーズファッションアイテムには課金通貨のFacebookコインでしか買えないものもあるモンスターが落とすコレクションを集めることで入手できるレアな装備もある

(C) 2011 NEXON Korea Corp. and NEXON America. All Rights Reserved.
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(2011年 8月 15日)

[Reported by 中村聖司]