E3 2011レポート
コーエーテクモ、「Champion Jockey」プロデューサーインタビュー
2つの名作競馬ゲームが融合した体感型競馬アクションゲーム!
コーエーテクモゲームスがE3に出展していた新作「Champion Jockey: G1 Jockey & Gallop Racer」はそのタイトル通り、旧コーエーの「ジーワン ジョッキー」と旧テクモの「ギャロップレーサー」を融合した初めての競馬ゲームだ。
プレーヤーがジョッキーになってトップを目指すという似た要素を持つ2つのゲームが合体したらどんなゲームになるのだろうというのは、ファンならずとも気になるところだ。発表されたゲームは同じくコーエーテクモゲームスの競馬シミュレーションゲーム「ウイニングポスト」的な要素やPS Move/Kinect/バランスWiiボードを使った体感ゲーム的要素を持ったジョッキーアクションゲームだった。
本稿では、会場でプロデューサーの鈴木亮浩氏のインタビューを紹介したい。日本版はプレイステーション 3/Xbox 360が7,560円、Wii版が7,140円でいずれも9月20日に発売予定。
【「Champion Jockey」E3トレーラー】 |
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■ 日本版では、馬、競馬場、ジョッキーが実名で登場
コーエーテクモゲームス「Champion Jockey: G1 Jockey & Gallop Racer」プロデューサーの鈴木亮浩氏 |
「ジーワン ダービー」と「ギャロップレーサー」の遺伝子が融合した体感ゲーム |
――「ジーワン ジョッキー」出展経緯について教えてください。
鈴木亮浩氏: もともと「ジーワン ジョッキー」などは欧州で人気があるゲームなのです。欧州と日本をターゲットにしたゲームですが、アメリカでもKinectの操作が面白そうだと言われて。じゃあ出してみようかということになったのです。
――操作法について教えてもらえますか?
鈴木氏: それぞれのハードの操作に併せて、それぞれに1番の面白そうだなというところをアピールするようにしています。今回Wiiはヌンチャクスタイルでの操作なのですが、実際にはバランスWiiボードと併せて操作も可能です。
――どうやるのですか?
鈴木氏: バランスWiiボードの上で身体を傾けることで左右に移動したり、障害はジャンプのような仕草で行ないます。Kinectだと実際にジャンプすることになります。
――どうして新作を体感ゲームにしようと思ったのですか?
鈴木氏: 「ジーワン ジョッキー」のWii版が欧州で数年前に発売されているんですが、その時のヌンチャクスタイルとバランスWiiボードの組み合わせがけっこう評判がよくて、こういうゲームだから体感ゲームにした方がおもしろいですからね。
――コースにはどんなものがあるのですか?
鈴木氏: 普通の平地レースと障害レースがあります。
――馬は何頭くらいいるのですか?
鈴木氏: レースによって違いますが、だいたい数十頭から選べるようになっています。馬のデータ自体は1万頭以上登録されています。
――実在の馬なのですか?
鈴木氏: 日本語版では実名で登場するのですが、海外版は実名ではありません。レース場も実名では出ませんが、モチーフにした場所はたくさんあります。今回もストーリーモードという、自分が騎手になって成長していくモードがあるんですよ。どこかの厩舎に所属して、リーディングジョッキーになっていくというものですが、今回は欧州を基盤にして、欧州でチャンピオンジョッキーになっていくということもできます。
――日本版でもそれができるのですか?
鈴木氏: できます。途中で活躍の舞台を日本から海外に変えたりといったことが可能です。
――試遊台のレース場はどこかわからない感じの場所ですが、日本の競馬場は実名ですか?
鈴木氏: そうです。中山競馬場なら中山競馬場というふうに。試遊のものは欧州のどこかの競馬場をモチーフにしたものだと思います。欧州の競馬場ってわりと日本みたいにあんまり建物がたっていないので、本当にこんな感じが多いですね。
――実際に現地に取材にいかれているのですか?
鈴木氏: うちの競馬チームの人って本当に競馬が好きな人が多いので個人的に行っている人はいます。イギリスとかドバイとか、北海道にも。
――実際に乗馬の経験があるかたもいるのですか?
鈴木氏: そういう人もいますね。
――海外のものはやはり権利関係の問題でだせないのですか?
鈴木氏: そうです。競馬場も馬も騎手もそうです。
――全部仮名なんですね。
鈴木氏: 日本の場合は騎手さんも何人かは実名で出ています。
――ライバルとして登場してくるわけですか?
鈴木氏: そうですね。
E3会場で、鈴木氏自らPS Moveを手に操作を説明してもらった | |
最初に選べる馬は数10種類。日本版では実名の馬が登場する |
■ プレイスタイルに合わせて3つの操作から自分の好きな操作法を選べる
2つのゲームのおもしろさを合体させるのに苦心しましたと鈴木氏 |
――作るときに苦心したり、気をつけたのはどういうところですか?
鈴木氏: 今回はタイトルにあるとおり、旧コーエーの「ジーワン ジョッキー」と、旧テクモの「ギャロップレーサー」を合体させています。会社が一緒になったので、2つを合わせた新しいジョッキーアクションゲームを作ろうということになったのです。そこで両者の面白さをいかに融合するかというところに1番苦心しました。
――どういう形で融合しているのですか?
鈴木氏: もともと「ジーワン ジョッキー」はどちらかというと、操作がとても難しいけれど、上手くなってくると馬を手足のように扱ってレースができるという難易度は高いけれど遊び応えがあるゲームだったのですが、「ギャロップレーサー」は逆に操作はわりと簡単で、レースの爽快感を気軽に楽しめるという、方向性の違うゲームだったのです。その違うものを1つにすることに苦労しました。
――難易度を高いままにするか、爽快感を重視するかは結構大きな決断ですね。
鈴木氏: ですから今回は操作法を3つの中から選べるようにしてあります。「ギャロップレーサー」タイプの簡単操作で爽快なレース展開が楽しめるものと、「ジーワン ジョッキー」タイプで難しい操作法だけど、慣れてきたらリアルなジョッキーアクションが体感できるものと、もう1つはカスタマイズできるものです。操作法をその3つからユーザーさんに選んでもらうようにしました。
――「ジーワン ジョッキー」の難しさというと?
鈴木氏: 「ジーワン ジョッキー」は、例えば馬を追うという操作があるのですが、これを馬のリズムに合わせて追わないとちゃんと追えないとかですね。他にも馬が前を走っている馬の砂をかぶるのが嫌いとか、馬込みの中にいるのが嫌いとか、そういう性格の馬がいて、馬が嫌な状況だとモチベーションが下がったりするので、状況を判断しながら馬が嫌いな状況を排除していくかが重要になります。
――このゲームにある「ポテンシャル」はどういう意味のあるゲージなのですか?
鈴木氏: ポテンシャルはスタミナがなくなった後に最後の追い込みができる時間の長さです。長さは馬によってもレース運びによっても違います。レースの道中で馬にとって気持ちがいいレース運びをしているとポテンシャルが伸びるので、途中までのレース展開を上手くやって最後に逃げる、追い込むと言う感じです。
――馬に合わせた操作をしなければいけないのですね。鞭はどう使い分けるのですか?
鈴木氏: 鞭には3種類あります。その中で「見せ鞭」というのは、叩かないで馬に見せるだけの鞭です。その場合は鞭の効果は低いのですがスタミナがあまり下がらないという利点があります。馬の性格や状況をみて何を使うかを決めていくわけです。
――かなりシミュレーション的な要素が強いのですね。
鈴木氏: そうですね。馬の性格にもいろいろな設定があって、素直な馬は言うことを聞いてくれるけれど、素直じゃない馬の場合はあまり聞かなかったり、鞭を使いすぎるとあまりよくない馬もいます。
――馬には成長要素はあるのですか?
鈴木氏: あります。ゲームを進めると、自分で馬を育てることができるようになります。自分が所属する厩舎に育てる馬を預けておいて定期的に自分で調教して育てることができます。
――トレーニングセンターで実際に騎乗して調教したり?
鈴木氏: そうですね。スタートの訓練をしたり、馬を一定の距離の間、同じペースで走らせるような調教をしたりすることができます。
――「ウイニングポスト」のような育成シミュレーション的な要素があるということですか?
鈴木氏: そうですね。ただ調教自体はプレーヤー自身が行ないます。
――馬主兼ジョッキーですね
鈴木氏: ええ。厳密には、馬主さんから任されるような形ですが、自分好みの馬を育てられるという意味では、馬主に近いですね。もちろん自分自身がジョッキーとして成長していくと、調教は自動である程度任せられるようになりますが、最初のうちは自分でやってもらった方がいい結果につながります。
――馬の育成はコントローラーでの操作になるのですか? それとも全部モーションコントローラー(もしくはMove、Kinect、バランスWiiボード)での操作になるのですか?
鈴木氏: メニューなどの操作は普通にコントローラーですね。レースや調教中だけ、コントローラーでの操作でも、モーションコントローラー(もしくはMove、Kinect、バランスWiiボード)でもプレイできます。
馬の性格によって騎乗のスタイルも変わってくる | コースは平地と、欧州で人気のある障害の2種類 |
左下の丸いゲージの色が馬の気分を示している |
■ 2つのゲームのいいとこどりをして、面白いゲームができた!
――レースのモードはいくつあるのですか?
鈴木氏: 今回はたくさんあります。大きくはストーリーモードとファンレースモードですが、ファンレースモードの中に細かいレースモードがたくさんあります。ファンレースモードはレースをひたすらやっていくモードなのですけど、ストーリーモードで自分が会心のレースをした時の様子を録画しておけば、もう1回改めて同じ状況でレースをしたりすることもできます。
――ストーリーモードのレースはどうなっているのですか?
鈴木氏: 日本版では、日本の競馬の番組表通りにできます。毎週土日にレースがあるだけでなく、地方のレースなどにも騎乗できます。
――全部に出走することができるのですか?
鈴木氏: 実際の競馬のように、同じ日に違う競馬場のレースに騎乗することはできませんが、同じ競馬場のレースなら何レースでも騎乗することができます。ただ最初のうちは新米ジョッキーなので、そもそも馬に騎乗してくれという依頼がほとんどないのです。たまにひいきにしてくれる人が、この馬に乗ってくれよと言ってくれるので、最初のうちは1日に1つか2つのレースで乗れるくらいです。勝って実力が認められてくると騎乗依頼も増えてくるので、乗れるレースが増えていきます。
――だんだんできることが増えていく形なんですね。
鈴木氏: そうですね。要は競馬学校をでたジョッキーの状態で始まるので、実際のジョッキーもそうだと思いますが最初は騎乗依頼なんかそれほどあるわけもなく、とにかく少ない騎乗のレースで勝って、強いことをアピールしていかないと乗れる馬が増えていかないわけです。
――レースゲームといっても、本当にシミュレーション要素が強いですね
鈴木氏: シミュレーション要素は、コーエーが得意としているところで「ジーワン ジョッキー」の流れなのです。
――今回作っているスタッフは「ジーワン ジョッキー」のスタッフなのですか?
鈴木氏: ミックスです。テクモとコーエーが合体してから初めてではないでしょうか、本格的に一緒になっているチームというのは。
――お互いの競馬談義で花が咲きました?
鈴木氏: そうですね(笑)。もちろんチームに入っていない人もいるのですが、チーム外の人にも話を聞いたりして、本当に一緒に作っている感じがします。
――コーエーテクモの競馬好きが結集して作ったゲームなのですね。
鈴木氏: そうですね。
――オンラインの要素はあるのですか?
鈴木氏: ネットで4人まで対戦ができます。2人までならオフラインでも同じテレビ画面を分割して対戦できます。
――オンラインはランダムマッチングなのですか? それとも友達と遊べるのですか?
鈴木氏: 友達と遊べますし、自分と似た強さのプレーヤーとマッチングするシステムもあります。
――北米での発売時期は?
鈴木氏: いまのところ10月下旬頃を予定しています。日本は9月下旬です。
――最後にファンへのメッセージをお願いします。
鈴木氏: 「ジーワン ジョッキー」や「ギャロップレーサー」のようなジョッキーアクションゲームが発売されるのは久々だと思います。今回は2つのタイトルのいいところを合わせて、凄く面白いゲームができたと思っているので、昔「ジーワン ジョッキー」や「ギャロップレーサー」をやったことがあって、最近はやってないなとか、そろそろ出てくれたらいいなと思っている人はぜひこの機会に触っていて欲しいと思います。
――ありがとうございました!
久しぶりに出るジョッキーアクションゲーム。昔からのファンだけでなく、新しいファンにとっても楽しそうなゲームだ |
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□Electronic Entertainment Expo(E3)のホームページ(英語)
http://www.e3expo.com/
□コーエーテクモのホームページ
http://www.gamecity.ne.jp/
(2011年 6月 17日)