E3 2011レポート

サッカーファン注目の「FIFA 12」&新機軸のスノボゲーム「SSX」プレビュー
「FIFA 12」は球際の攻防がついに完成形へ! 世界中の山岳を滑りまくる「SSX」にも注目!


6月7日~9日 開催(現地時間)

会場:Los Angeles Convention Center



 Electronic Artsが展開するスポーツゲームレーベルEA Sportsは、サッカーやアメフトなど毎年定番のシリーズ物をしっかりと進化させつつ、新しいチャレンジも欠かさない点でとても存在感のあるブランドだ。今年のE3 2011でもEA Sports関連タイトルは幅広く展示されており、定番モノから新機軸のゲームまで、今年から来年にかけて発売される最新タイトルを多数見ることができた。

 中でもEA Sportsの世界的フラッグシップタイトルとなるのが今年もやはり「FIFA」シリーズだ。世界のフットボールリーグ2011/2012シーズンにかぶせる形で今秋リリース予定の「FIFA 12」では、“Impact Engine”という新システム搭載で遂に球際の攻防を完成形へと進化させている。

 一方、新機軸のタイトルとなる「SSX」では、エクストリームスポーツとしてのスノーボーディングを大胆にフィーチャーする。世界中の山岳地帯をプレイグラウンドとし、大迫力の痛快な滑りを楽しめるゲームになっていた。本稿ではこれらEA Sportsブランドの注目2作品をご紹介しよう。



■ 新搭載“Impact Engine”で選手のぶつかり合いを正確にシミュレート! 「FIFA 12」

「FIFA」シリーズは今年も根本的な進化を遂げている
“Impact Engine”が選手同士のぶつかり合い、絡み合いを正確にシミュレートする
プレスボタンを押した際の動きが根本的に変更され、間合いをとってスペースを消す動きに。この写真ではテリーがその動きをしている

 前作は各プラットフォーム累計で4,200万人ものユーザーがプレイしたというモンスタータイトル「FIFA」シリーズ。そこに根本的な進化をもたらすのは、本作のPS3/Xbox 360版で新搭載される“Impact Engine”というシステムだ。選手同士のぶつかり合いを物理シミュレーションにかけ、体の各部位への衝撃を正確に評価し、選手の動きに反映する仕組みである。

 前作「FIFA 11」でも選手同士のぶつかり合いを物理的に処理することはチャレンジしていたが、それはあくまで大雑把なもの。選手の腕や足などが相手選手の体を突き抜けてしまう瞬間がよく見られたのはそのためだ。しかし今作「FIFA 12」では、選手の全身のパーツに対して正確な衝突判定を行ない、アニメーションパターンに対して物理シミュレーションを適用。選手同士の各部位が重なり合ったり、突き抜けたりすることは原理的に起こらなくなっている。

 こうして実現したのが、選手同士が激しくぶつかりあう球際の攻防のリアルさだ。本作では前作にも増して体を使ったボールキープが有効になる。背中から無理なタックルをかければ覆いかぶさる形になって2人もろとも倒れてしまうことも。スライディングタックルの評価も正確になり、シュートモーションの最中に足をかけられた選手がつんのめって倒れるといった動きもきっちり再現された。

 このようなリアルな“球際”が再現されたことでますます重要になったのが、ドリブルとプレッシングの関係だ。そこで本作では、ドリブルには“Precision Dribbling”として、チョンチョンとボールを撫でるような精密なドリブル操作を導入。これまで“ゴール方向を向いてストップ”操作に使われていたボタンを押しながらドリブルすると、極めて小さなタッチでボールを動かすことができる。リアルのサッカーでも、スペースのないところで上手な選手がよくやるような動きだ。

 さらにショッキングなのが、プレッシング操作の根本的な変更だ。これまでプレスボタンを押すと、選手がボールホルダーにホーミングミサイルよろしく突っ込んで行ったが、これが廃止になった。今作ではプレスボタンを押している間、選手はボールホルダーのアタッキングスペースを消す位置に定位し続ける。攻撃側が前を向いてドリブルしてくるなら、ディフェンス側の選手は自動的にじりじりと下がりながら距離を維持するのだ。

 これにより、プレーヤーはディフェンスの際、より戦術的な判断を要求されるようになった。プレスボタンを押しながら移動スティックを倒してボールホルダーとの距離を調整し、どの程度のスペースを敵に与えるか。ボールを奪いに行く際は、プレスボタンを離してボールホルダーに近づき、手動でタックル操作を行なう。それをどのタイミングで行なうか。前述の細かいドリブルとの駆け引きが非常に緻密なものになる。


【「FIFA 12」 Impact Engine 紹介ムービー】

 会場では実際にプレイすることもでき、筆者も1on1対戦を楽しんでみた。プレスボタンがスペースを消す動きとなった結果、無意識にプレイしても前作に比べてぐっとリアルなサッカーらしい駆け引きが生まれてくる。ドリブルで抜き去る際、「FIFA 11」で使えた強引な方法は有効性をひそめており、新たなドリブルテクニックの発見や、パスを回してスペースを作り出す戦術がさらに重要になると思われた。

 会場には「FIFA」シリーズのエグゼクティブプロデューサーである牧田和也氏も顔を見せており、今作のポイントを語ってくれた。特に今回導入された“Impact Engine”の開発には2年もの期間が必要で、今回の実装は長い間の念願であったとのこと。次は東京ゲームショウあたりで、完成間近のバージョンを見ることができそうだ。


【FIFA 12】
今作のグラフィックスは前作よりもさらに明るく、くっきりとした色彩に。写実性と見やすさを両立させたレンダリングになっている



■ 世界中の山々で、エクストリームなスノーボーディングにチャレンジ!「SSX」

スピード重視のレースチャレンジ
華麗なトリックでハイスコア競争
とてつもない地形でサバイバル!

 EA Sportsの新IPとなる「SSX」は、新たなスポーツゲームの形を提案することになりそうなタイトルだ。本作ではスノーボーディングを題材とし、世界各地の山々を舞台に、レース、トリック、サバイバルという3種類のエクストリームなチャレンジが用意されている。発売は2012年1月を予定し、対応プラットフォームはPS3/Xbox 360。

 デモルームで見ることのできた本作はまだプリαバージョンということだったが、すでにプレイアブルな完成度に達し、ひととおりのゲーム要素を見ることができた。ゲームの舞台は地球そのもの。地球儀を回転させてステージ選択ができる。アルプス、ヒマラヤ、ロッキーといった山脈を始め、アフリカ、アジア、そして日本の山々がプレイグラウンドとなる。空前のスケールのスノボゲームだ。

 ちなみに本作は、別のゲームの研究開発中に生まれたアイディアが元になっているという。NASAによる全地球の地形データを見ている最中に、その詳細さと地形の起伏のおもしろさに惹かれ、「これがそのままゲームになるのではないか」と考えたのが切っ掛けだ。これを受けて「SSX」のゲーム中ではNASAの地形データが使われており、レベルデザイナーによる調整も入ってはいるものの、大自然のスケール感をそのままに各ステージが形作られているという。

 こうしてプレーヤーは、3人のプレーヤーキャラクター“Kaori”、“Elise”、“Mac”のいずれかに扮して世界の山々で様々なチャレンジに挑戦する。デモンストレーションではまず、アフリカ・キリマンジャロ山の火口に向かって滑走するコースでレースが展開された。3人のキャラクターが別々のドロップポイントからスタートし、火口目がけて一気に滑り降りる。地中の洞窟を抜けて一気に山の斜面へ出ると、断崖をジャンプしてヘリに飛び乗ってゴールだ。スピード感は抜群、とにかく気持よさを追求したゲーム性になっており、見ているだけでも楽しい。

 本作では主に3系統のチャレンジが用意されている。タイムを競うレースモード、フリースタイルで華麗なトリックを決めてスコアを競うモード、そして極めつけがサバイバル。サバイバル系のチャレンジでは、本来なら危険すぎて近づくこともできないロケーションで、生きてふもとまで辿りつくことを目指す。

 会場でデモされたシーンではエベレスト山を一気に数千メートルも降下するコースを見た。ひとつひとつのジャンプポイントの落差が少なくとも100m~500mはあるという無茶苦茶な地形で、滑走というよりも滑落するような勢いで下へ下へと向かっていく。そこで激しい衝撃を加えられた雪面が崩壊、連鎖的に雪崩が発生するのだ。スピードを殺せば雪崩に潰され、スピードを出しすぎれば衝突や落下の衝撃でゲームオーバー。生き延びるために緻密なスノーボーディングを要求される、まさにサバイバル!

 このように「SSX」はEA Sportsの各種スポーツゲームの中でも特に迫力重視で、クレイジー。現実を少し(?)超えたところにあるエクストリームな面白さを追求した作品となっており、これまでにない体験を与えてくれそうだ。


【「SSX」 プリαムービー】


【SSX】

(2011年 6月 11日)

[Reported by 佐藤カフジ]