【HANGAME EX 2011】格闘RPG「Fighters Club」、超アクション「KRITIKA」
こだわりの次世代バトルゲームはここがすごい!


5月13日~14日 開催

会場:韓国・済州島 新羅ホテル


リアルなストリートバトルの格闘ゲーム「Fighters Club(ファイターズクラブ)」
爽快感を追求したスタイリッシュアクションゲーム「KRITIKA(クリティカ)」

 今年の「Hangame ex 2011」メインカンファレンスでは、NHN HANGAME代表のジョン・ウク氏が、今年のNHNはRPGとスポーツゲームに注力していくという方針を説明した。同じカンファレンスでは6本の新作オンラインゲームが発表されたが、この記事ではその中でもかなり開発が進んでいる印象を受けた2本のオンラインアクションゲームに注目したい。

 発表されたのは、KOGの格闘RPG「Fighters Club(ファイターズクラブ)」とallm GamesのアクションMORPG「KRITIKA(クリティカ)」の2タイトル。「Fighters Club」はアーケードの対戦格闘ゲームを意識したオンラインの格闘ゲームで、対人戦を重視しつつもRPGとしての楽しさも同時に追求した異色作。「KRITIKA」はトゥーンシェーディングのキャラクターが素早く爽快感のあるアクションを繰り広げるド派手なゲームだ。

 どちらもムービーで実際にキャラクターが戦っている様子が流されたが、それぞれに目指す方向性や趣の違いがあり、プレゼンテーションに立ったallm Gamesの代表、イ・ジョンミョン氏は「KOGがアクションゲームの大家だから、アクションゲームの名家はうちに譲ってほしい」と先輩開発者に敬意を表しつつもライバル宣言をしていた。

 メインカンファレンスの後に開かれた、個別タイトルのQ&Aセッションでは短い時間ながらも、開発者からさらに詳しい話を聞くことができた。そこから得た情報をまとめて、注目のアクションオンラインゲーム2作品をまとめて紹介したい。

 「Fighters Club」は韓国で第3四半期にクローズドβテスト(CBT)を予定。年内のローンチを目標にしている。「KRITIKA」は韓国で下半期にCBT、2012年上半期にオープンβテストを予定している。


「Fighters Club」を開発したKOG代表、イ・ジョンウォン氏「KRITIKA」を開発するallm Gamesのイ・ジョンミョン氏メインカンファレンスの後には「Fighters Club」、「KRITIKA」などのQ&Aセッションが別室で開催された



■ 400ものアクションでリアルな格闘シーンを実現した「Fighters Club」

2007年にサービスが開始されたアクションMORPG「エルソード」

 「Fighters Club」は「グランドチェイス」や「エルソード」など、アクション性の強いゲームを作り続けてきたKOGの最新作。プレーヤーは暴力はびこる街でボクシング、レスリング、テコンドー、剣道など実際の武術をもとにしたアクションで敵をなぎ倒していくオンラインの格闘ゲーム。

 プレゼンテーションを行なったKOG代表のイ・ジョンウォン氏は「映画などのエンターテイメントでは格闘は重要な要素だが、オンラインゲームでは格闘ゲームというジャンルは今まで活性化していなかった」と、このゲームを作った理由を語った。

 キャラクターの動きには、モーションキャプチャーを使って、アクション俳優に演じてもらったリアルで重量感のあるアクションを採用している。また特徴的なところとして、被攻撃モーション、つまりやられた時の動きが1キャラクターごとに約400種類用意されている。「これまでは100でも多いと言われていた。アクション性の強さは、殴られたときにどれほどさまざまな動きができるかにかかっている」として一気に増やした。「モーションのバラエティは我々の1番の強みだと自信を持って言える。このゲームはグラフィックスではなくモーションの大作」とイ氏は述べた。


スクリーンショットからも、アクションへのこだわりの一部分が伝わってくる

 3D格闘ゲームと言うと操作が難しいイメージを持つ人もいるだろうが、本作は「オートターゲッティング」システムによって、キャラクターに1番近い対象を自動的に選択する。ユーザーはターゲッティングに頭を煩わせることなく、戦闘に集中できるわけだ。もう1つのシステム「カスタムコンボ」は、多様なテクニックを組み合わせてオリジナルコンボが作れるというものだ。

 RPGという部分にもこだわり、PvEモードではキャラクターの成長、個性的で特殊な攻撃を持ったボスとの対決、アイテム強化などRPGらしさを失わないような楽しみ方ができるようになっている。キャラクターが巨大な怪獣に変身して戦う変身クエストもある。そういったRPG要素を導入したのは、格闘ゲームに慣れていない多くの人に、すんなりとゲームに入ってもらうためだという。


ボス戦や、スキルの学習などRPGらしい要素もしっかりと入っているそうだ

 会場で流れたムービーには、ただ相手を倒すだけではなく、馬乗りになって殴ったり、バットを使ったり砂をかけたりと実に多彩な攻撃をしていた。NPCが持っている棒や地面の砂など、実際の戦いでも使いそうな要素がたくさん入っている。ただ素手で戦うだけではなく、なるべくプレーヤーが楽しめるようにという配慮なのだ。

 CBTではボクサー、レスラー、フリースタイルの女性格闘家がプレーヤーキャラクターとして使える。他にもテコンドーと剣道のキャラクターを開発しているそうだ。将来はe-sportsの種目として使われることも考えているという。「ゲームセンターで大勢のギャラリーが試合を見ながらワイワイと楽しむ姿が、ネットカフェでも見られるように」というのがイ氏の願いで、韓国では現在低迷ぎみのネットカフェに賑わいを取り戻したいと語った。

 まだオンラインゲームでは対戦ゲームは不可能だと言われていた2000年初めから、使命感を持ってずっとアクションゲーム一筋に開発を続けてきたKOG。ゲームはもうかなり完成に近付いており、今は実際の格闘技術を導入して検証しているところだ。対戦アクションゲームを作ってきた中から得たノウハウを生かして、「剣と魔法とは一味違う楽しさをユーザーに提供していきたい」のだそうだ。

 今回はスクリーンショットのみの紹介になるが、イ氏も言っている通り動いている画面を見るとゲームに対する印象ががらりと変わるだろう。そういった素材も今後紹介していきたい。本作は日本でもサービスされる予定だが、スケジュールは未定。


ムービーで紹介された対人戦のステージは金網デスマッチ。対人はかなり重要視して力を入れているのだそうだ



■ 家庭用ゲームのように個性的なキャラクターのド派手バトル「KRITIKA」

 「ルニア戦記」を開発したallm Gamesの新作「KRITIKA」は、リアルさを重視した「Fighters Club」とは逆に、派手さや格好よさをとことんまで追求した漫画っぽいアクションMORPG。「KRITIKA」と言う名前は「Critical」+「Attack」から生まれた造語。「痛快かつ爽快な超アクション(Extreme Action)」と「個性が際立ち魅力的なキャラクター(Appealing Character)」というキーワード通り、クセのあるキャラクターが見栄を切りながら巨大な剣や武器を振り回す、スタイリッシュで爽快感のあるゲームだ。

 ディレクターのパク・ジョンウン氏は「過去のゲーム開発の経験の中でユーザーが願っていたのは、短期間でストレスを発散すること。ストーリーやシステムが複雑なものよりも、手早く楽しめる格好いいアクションやシーンを求めている」と語った。カートゥーンシェーディングを選んだのも、そのほうが過度なアクションでも違和感がないからという理由からだ。


オンラインゲームとは思えないほど個性的なキャラクターがしゃべりまくる

 「KRITIKA」は斬り心地や殴り心地といった打撃感を重視しており、リズム感よくコマンドを入力することでコンボや、必殺技、スペシャルアタックという大技につなげていくことができる。大技には大声で叫びながら画面じゅうを飛び回って多段攻撃をするものや、武器に特大のエフェクトを付けて敵めがけて叩きこむような派手なものが揃っている。

 プレーヤーが選べるクラスとして、今回は2つのクラスが紹介された。1つは頑丈な身体を利用して、体当たりで敵を1カ所に集めていく盾役の「剣闘士」、もう1つはガントレットに装着されている爆発装置を利用して集められた敵を効率よく処理する「爆魔」だ。「爆魔」は遠距離攻撃の魔法クラスだが、魔法の力を機械文明に使っていると言うこのゲームの世界観に合わせた設定になっている。

 紹介ムービーの中で、盾役の「剣闘士」が自分の数倍もあるような敵の攻撃を防いだあと、顔がアップになりセリフを言いながら吹っ飛ばすシーンがある。これは防御ではなく、盾らしいアクションとして入れられた“攻撃を受けるアクション”だ。格好よく攻撃を受け止めた後、不敵な笑みを浮かべる顔がアップになる演出は日本人の目から見てもかなり格好いい。


「剣闘士」男が巨大な敵の攻撃を受け止めた後、表情がアップになってニヤリと笑った後、敵を1撃で吹っ飛ばす。かなり格好いいシーンだ

 本作は短時間でお手軽にゲームができる「インスタントゲームプレイ」を目指しており、視界に入った近場の敵を自動的にターゲッティングする「オートターゲッティング」がある。成長スピードも早めで、短めのプレイ時間で爽快感を得られるようにと考えられている。また、allm Games代表のイ・ジョンミョン氏が「キャラクターの魅力はオフラインゲームの専売特許ではない」と言うように、キャラクターはきわめて個性的で「このキャラクターを育てたい」と思えるようなキャラクターが多数出る予定だそうだ。

 「KRITIKA」の日本でのサービスはまだ未定となっている。


オートターゲッティングでスピーディに敵をなぎ倒していく。ハデなエフェクトで爽快感は抜群だ

(2011年 5月 14日)

[Reported by 石井聡]