アラリオ、WIN「アスタリア」1月21日よりプレOBT開始

「Diablo」、「UO」世代のための“あえて古風”なMMORPG


1月21日15時より プレOBT開始



 アラリオ株式会社は、Windows用MMORPG「アスタリア」のプレオープンβテスト(プレOBT)を、1月21日15時から24日12時まで実施する。公式サイトからユーザー登録すれば誰でも無料で参加可能。ゲームデータは削除されず、今後のサービスに引き継がれる。

 「アスタリア」は、「ドリフトシティ」などを手がける韓国NPLUTOが開発したMMORPG。「Diablo」や「ウルティマオンライン(UO)」といった、古くからあるオンラインゲームの不満点の解消を目指したゲームで、アラリオは「もう1度熱狂したい大人達に贈るファンタジーMMORPG革命」というキャッチコピーを掲げている。つまり本作のターゲットは、約10年前、オンラインゲームに熱狂していたゲーマー達だ。

 弊誌ではプレOBTに先駆けて、「アスタリア」をプレOBTに先駆けて体験する機会が得られた。筆者はまさに「Diablo」時代からのオンラインゲーマーなのだが、結論から言って、なるほど「Diablo」、「UO」だと感じるゲームになっていた。その視点から、本作の見所をお伝えしていきたい。




■ 「Diablo」を髣髴とさせるデザイン。あえて2Dゲーム的なプレイ感覚を演出

 まず5種類のキャラクターの中からプレーヤーキャラクターを選ぶ。物理攻撃系「エルフナイト」、重装甲型「ヒューマンナイト」、物理と魔法のハイブリッド型「ヒューマンロード」、補助魔法系「ヒューマンプリースト」、攻撃魔法系「エルフウィザード」があり、それぞれ能力や装備品、使用できるスキルが異なる。なおギルドを作成できるのは「ヒューマンロード」のキャラクターに限られているので、その点は注意が必要だ。

 キャラクターは性別、ヘアースタイル、フェイスを選んでカスタマイズが可能。またSTR、DEX、INT、CONの4項目のステータスにポイントを割り振れる。好みのタイプのキャラクターを作成してもいいが、最初は標準的な割り振りがデフォルト設定された「基本設定」を選んでもいいだろう。


【キャラクター】
上から順に「エルフナイト」、「ヒューマンナイト」、「ヒューマンロード」、「ヒューマンプリースト」、「エルフウィザード」。キャラクターデザインは「リネージュ 2」を手がけたチョン・ジュンホ氏が担当

近づいても見栄えのする作りこまれたキャラクターだが、ゲームではかなり引いた視点で見ることになる。贅沢なつくりだ

 ゲームを始めると、初心者用の村に出現する。操作は移動したい場所をクリック、NPCと話すにはそのNPCをクリック、村の外のモンスターを攻撃したければモンスターをクリック、モンスターが落としたお金やアイテムを拾いたければクリック……とシンプルなマウスオペレーション。回復アイテムなどの使用は、ファンクションキーが割り当てられたクイックスロットにアイテムを持って行ってセットし、そのキーを押すだけ。

 視点は斜め上方からの俯瞰視点で、マウスホイールを回せばある程度まで引いたり寄ったりはできるが、視点を前後左右に回転はできないので、一般的な3DMMORPGのような背後からの3人称視点にはできない。3Dグラフィックスを使ってはいるが、操作感は「拡大縮小ができる2Dグラフィックス」だ。あえてそう縛っているところに、「Diablo」を意識した開発者のこだわりを感じる。

 初期の村はレベル12までのプレーヤーだけが進入できる専用エリアで、チュートリアル的なクエストが用意されている。とはいえ、操作は実に簡単なゲームなので、チュートリアルの量も少なめ。ゲームに慣れた人なら1時間程度、のんびりやっても2~3時間あれば、クエストを済ませてレベル13に達するそうだ。その後は全プレーヤー共通の一般エリアへと移動することになる。


【スクリーンショット】
視点は近づけたり離れたりはできるが、回したり地面に水平にしたりはできない。キャラクターのアクションはなかなか多彩で、滑らかに動く
操作はマウスクリックでほぼ完結する。敵を攻撃してもダメージの数字がポップアップしないのも、今時のMMORPGとしては逆に新鮮



■ レベルよりも装備品強化を重視したゲームデザイン

 MMORPGの面白さの柱であるキャラクターの成長要素についても、本作は最近のMMORPGとは一風異なる。まずキャラクターそのものの成長については、先述のとおりレベルアップがあるのだが、これで変化するのはHPとMP程度。キャラクターメイキング時に設定したSTRなど4つのステータスは、レベルが上がっても変化しない。

 ステータスを上昇させるには、付加能力を持った装備品を身につける必要がある。こういった装備品は、アイテムを使って強化したものや、モンスターを倒すなどして手に入れるレア装備などがある。キャラクターをレベルアップさせることより、強い装備を入手することに高いモチベーションを置いたゲームと言えるだろう。

 また本作の装備品には、レベルによる装備制限は設定されていない。誕生したばかりのキャラクターでも、ギルドの知り合いから強力な武具をもらえれば、一気に強いキャラクターになれる。

 スキルは、ショップで購入するなどして入手できる。使って覚えるというわけではなく、アイテムとしてバッグに持っておき、それをクイックスロットにセットして使用する。スキルごとに使用できるキャラクターとレベルが設定されているので、強力なスキルを使うためにレベルを上げる必要はある。ただしレベルが上がっても、スキルを持っていなければ使えないというわけだ。

 キャラクターの外見は、装備品によって変化する。外見だけを変えるアバターアイテムのようなものは本作には存在しないので、レアアイテムを持っているプレーヤーは周囲の目を引くかもしれない。


【スクリーンショット】
最初に設定したステータスは、レベルアップしても成長しない外見は装備品によって変化する。見た目が気に入った装備があれば、着替え用に持ち歩いておくといいかもしれない



■ 狩場はMMOフィールドとインスタントダンジョンを使い分け

 さて、レベルを上げるにせよ装備を強化するにせよ、そのためにはモンスターと戦う必要がある。本作には大きく分けて狩場は2種類ある。1つは街の外に広がるMMOフィールド。こちらは特に探すまでもなく、すぐにモンスターを見つけられるだろう。

 もう1つは、インスタントダンジョンだ。レベル20以上のキャラクターが参加できるMOタイプのフィールドで、パーティーを編成して参加する。ダンジョンに進入すると、すぐにモンスターが現われるので、仲間とともに倒していく。ダンジョンは細かく区切られており、進んだ先のモンスターを全て倒せば次の区画に進めるようになっている。途中には中ボスも現われ、最深部の大ボスを倒せばクリアとなる。

 進行の約束事や、ある程度の時間制限はあるものの、それ以外はMMOフィールドと変わらない。狩場に悩まされることなく、好きなだけ遊べる場所があるのはありがたい。またMOフィールドなので、「他のプレーヤーに邪魔されることなく安全に」狩りができるのもインスタントダンジョンの魅力といえる。


【スクリーンショット】
街にいる「ダンジョン管理人」に話しかけて、インスタントダンジョンに進入する
出てくるモンスターを倒せば、次のエリアへの道が開く。ある程度進むとボスモンスターも現われる



■ 最大の見所はPK! プレーヤーの行動でキャラクターの性向が変化

 わざわざ「安全に」ともったいぶって言ったのには意味がある。本作の最大の特徴は、PK要素だからである。街中ではできないが、街の外の一部地域では他のプレーヤーを攻撃できる。具体的には、画面左上に表示されるエリア名が緑色で示された場所ではPK不可。赤字はPK可能エリアとなっている。

 フィールドには緑と赤の境目を見分けられるラインなどはなく、平地を歩いていると突然赤字に変わったりする。街道沿いは比較的安全だそうだが、少し道を外れるとすぐ赤字のエリアが現われるという印象だ。慣れないうちは気をつけながら歩いた方がいいだろう。

 PKに倒されてしまうと、プレーヤーはその場に「結晶体」というアイテムを落としてしまう。これは装備の魂のようなもので、落とした「結晶体」に対応する装備品の能力が半減してしまう。「結晶体」を取り戻せば装備を元に戻せるのだが、普通はPKが持ち去ってしまう。「結晶体」は街の鍛冶屋が高価で買い取ってくれるからだ。弱体化した武器は鍛冶屋で修理してもらえば元に戻るが、これもかなりのお金がかかる。ちなみにモンスターに倒された場合でも「結晶体」を落としてしまう。復活して戻るまでに誰かに持ち去られる可能性があるので、近くの仲間に確保してもらうといいだろう。

 これだけだとかなりPKに有利なシステムなのだが、やはりPKする側にはデメリットもある。PKを行なったプレーヤーは、「性向」というステータスがChaoticに寄っていく。「性向」は初期値はニュートラル状態で、モンスターを倒せばChaoticとは反対のLawfulへと寄っていく。「性向」がニュートラルのキャラクター名は白字で表示されているが、これがChaoticに寄るほどだんだん赤く変わる。Lawfulであれば青色が強くなっていく。

 Chaotic寄りのキャラクターはPKだと即座に判断され警戒されるだろう。さらにデメリットとして、倒された時に落とす「結晶体」の数が増える。Lawful寄りのキャラクターが1度倒されて落とす「結晶体」は1個だが、Chaoticにかなり寄ったキャラクターだと、一気に3つ4つと落としてしまう。PKするメリットは大きいが、やればやるほどリスクも膨らむというわけだ。なお、他のプレーヤーに攻撃され、それに対して反撃して倒した場合は、「性向」に変化はない。

 またChaoticのキャラクターは、街の入り口に立っている警備兵に攻撃される。これで倒されると街の入り口に「結晶体」をばら撒くことになり、目も当てられない。街に入ってしまえば、街中の機能は問題なく使用できるそうなので、出入りの際だけは注意が必要だ。


【スクリーンショット】
文字が被って見づらくなっているが、左上のマップの上部にエリア名があり、そこが赤字の場所ではPKが可能。倒されると「結晶体」を落としてしまう
こちらはLawfulが高いキャラクターで、名前が濃い青字右側にいる赤い名前のキャラクターは、Chaoticが高いChaoticが高いキャラクターが倒されると、多量の「結晶体」を落としてしまう



■ 日本向けのカスタマイズを強調。韓国版とは大きく異なる仕様に

モンスターに変身もできる。レベルが上がれば強力なモンスターの能力を操れる

 他にも本作にはいくつかユニークな機能がある。1つはモンスターに変身できるというもので、プレーヤーはモンスターの固有能力で戦える。低レベルのうちは「アマガエル」のような低級モンスターにしか変身できないが、レベルが上がれば巨体の「トロール」や、黒い甲冑をまとった「デスナイト」など、見た目にも強力なモンスターに変身できる。

 装備品の強化では、専用のスクロールを使用する。成功すればスクロールを使った武具の性能が上昇するが、失敗するとそれ以上強化できなくなったり、売却・譲渡が不可になったりする。失敗して武具を失うことはないものの、最高強化値の武具が欲しければ、武具を再度手に入れて何度も挑戦する必要がある。

 PvP要素については、GvGである「戦争」を導入予定だが、当面は実装を見送り、プレーヤーの動向を見て判断するという。

 ちなみに本作の韓国版は「Call of Chaos」といい、混沌とした世界を前面に押し出した作品である。その名に違わず、全ての地域でPKが可能だ。しかしこの仕様は日本ではありえないとアラリオが判断し、エリア分けの仕組みの開発を依頼し、日本版に実装したのだという。「アスタリア」というタイトルに変更したのも、そういった混沌さを控える狙いがあったそうだ。このような日本向けのカスタマイズは、今後も日本のプレーヤーの声を聞き入れながら行なっていきたいとしている。

 ただ担当者は、「ゲームの最終的な目的はPvPになるのではないか」と語っている。それがPKを基本とした突発的な戦いなのか、もっとスポーツ的にルールを定めた戦いになるのかは、これからの運営の味付け次第、プレーヤーの声次第だろう。もちろん遊び方を制約されることはないので、PvPなどせずに、ひたすらレアアイテムを集めて楽しんでも構わない。

 短時間の体験プレイではあったが、「Diablo」的なハック&スラッシュの楽しさと、昔の「UO」にあったPKの緊張感を、現代のMMORPGにミックスさせようとした意図は十分に伝わってきた。操作は簡単で、短時間でもプレイできるので、これらのタイトルを昔遊んだという方は、ぜひ1度「アスタリア」を体験してみてほしい。

 対応OSは、Windows XP/Vista/7。動作環境は、Pentium 4 2GHz以上のCPU(2.8GHz以上推奨)、512MB以上のメインメモリ(1GB以上推奨)、2GB以上の空き容量を持つHDD、GeForce FX 5600以上またはRadeon 9200以上のビデオチップを搭載したビデオカード(GeForce 7600またはRadeon X1600以上推奨)など。


【プロモーションムービー】
「信長の野望」シリーズのサウンドを手がける山下康介氏が、本作の音楽監督を務めている。重厚なサウンドも本作の注目点だ

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(2011年 1月 21日)

[Reported by 石田賀津男]